アクセスするたびに表示内容が変わる動的なWebサイトやソフトウェアを制作する場合、プログラムの活用は必要不可欠です。なかでも、APIはプログラミングが必要な制作において幅広く活用されています。
APIを活用したほうが、ゼロから制作するよりも開発コストを抑えやすいうえ、FacebookやTwitterなどの大手Webサービス企業が保有している大量の情報を活用することも可能です。今回は、APIの概要や利用するメリット、一般的に利用されているAPIの種類、活用方法についてご紹介します。
目次
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API(Application Programming Interface)とは?
近年のスマホアプリの開発やWebサイトの構築では、「Web API」が重要な役割を果たしています。そもそもAPIとは何か、まずはAPIの概要を解説します。
APIとは、簡単に言うと「サービスが持つ便利な機能を共有し、誰でも使えるようにしたもの」です。具体的にはプログラムから特定の機能を利用できるように公開しているインターフェイスのことで、「ソフトウェアの機能や情報を共有するための仕組み」とも言えます。
APIとは? | ||
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言葉 | 読み方 | 意味 |
A(Application) | アプリケーション | PCやスマホのアプリ、Webサービスなど |
P(Programming) | プログラミング | プログラムを通じてコンピュータに指示をすること |
I(Interface) | インターフェイス | 「何か」と「何か」をつなぐもの |
ここで言うインターフェイスとは、「何かと何かをつなぐもの」という意味を持ちます。例えば、HDMIやUSBケーブルはハード機器同士をつなぐインターフェイスで「ハードウェアインターフェイス」、PCのキーボードやタッチパネルなどは人とコンピュータをつなぐもので「ユーザーインターフェイス」と呼ばれています。APIは、ソフトウェアとプログラムやアプリケーション同士をつなぐもので「ソフトウェアインターフェイス」のひとつです。
APIの中でも、近年主流になっているのが「Web API」です。Web APIとは、Web上に公開されているAPIで、アプリケーションとアプリケーションをつなぎ、データのやり取りを行います。多くのクラウドサービスでAPIが用意されており、GoogleやFacebook、Twitterといった大手Webサービス企業がWeb APIを公開しています。
例えば、「企業のオフィシャルサイトに地図を載せたい」という場合においては、Googleが公開している「Google マップ」のAPIが使用可能です。APIを使うことで、複雑なプログラムを組む必要もなく、制作したサイトに地図を表示させることができます。
APIのメリット
ソフトウェアとプログラムをつなぐAPIを活用すると、さまざまなメリットを受けられます。ここでは、APIの代表的なメリットを4つご紹介します。
APIのメリット |
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1.ソフトウェア開発の効率化 |
2.コスト削減 |
3.セキュリティの向上 |
4.最新情報を簡単に取得可能 |
1.ソフトウェア開発の効率化
APIというインターフェイスを介することで他サービスの機能を埋め込めるので、開発を効率化できるというメリットがあります。特定の指示や命令などの必要なプログラムがAPIで公開されていれば、ゼロからプログラムを組む必要がなくなります。
例えば、チャット上で天気予報を知らせるボットを作るとしましょう。本来であれば、天気予測のためのプログラムをゼロから組まなくてはなりません。しかし、Yahoo!やlivedoor等が提供している気象情報APIを連携して機能を借りることで、膨大な時間・コストがかかるプログラムを自力で組めなくても、天気予報お知らせボットを作成できるのです。
すでに公開されているAPIを活用することで、複雑なプログラミングや高度処理を省くことができ、開発時間を短縮して、効率的な開発が進められます。制作のハードルが下がり、幅広い開発が比較的簡単にできるようになるでしょう。
2.コスト削減
高度な処理を行う複雑なプログラミングは、完成までに膨大な時間と費用がかかります。また、運用にはエラーやバグがつきものであり、テストを繰り返して根気よく改修する作業も忘れてはなりません。処理が高度になればなるほど、開発にかかるコストは膨らんでいきます。
Web APIの多くは無料で公開されているため、開発にかかる時間やコストの削減が可能です。基本的にWeb APIは、APIそのものの仕様が変更になるといった場合以外、バグ修正などの運用コストも必要ありません。システム運用の自動化によって、運用負荷の軽減が期待できます。
3.セキュリティの向上
SNSや会員限定ページに会員登録をしようとした際に、FacebookやGoogle、Twitterなどのアカウントでログインしたことがある人もいるでしょう。連携したいサービスのAPIを活用することで、ログイン認証が必要なときに該当アカウントを利用したログインができます。自社で会員登録の機能を作るよりも大手Webサービス企業が制作したアカウント機能のほうがセキュリティも高く、ユーザーの信頼度も高くなるでしょう。
4.最新情報を簡単に取得可能
APIで情報をリクエストすれば、GoogleやFacebookなど他社サイト、サービスから最新情報を取得可能です。そこで取得した情報を活用すれば、自社のWebサイトやアプリケーションに新たな機能を追加できます。近年はスマホアプリ開発で、Web APIがよく利用されています。
APIの注意点
●APIの仕様変更・提供停止の際に不具合が生じる
他サービスの一部機能を使わせてもらうという性質上、APIの提供が終了した際には開発したサービスやソフトウェアに不具合が生じる可能性があります。APIの提供が止まる・仕様が大幅に変わるといったケースは稀ですが、2018年にGoogle Maps APIが料金体系をガラリと変えたことは大きな話題を呼びました。有名企業のAPIだからといって、いつまでも変わらないとは限りません。APIを利用する際には、ある日突然APIが使えなくなるリスクを考慮しておき、APIのアップデート情報を収集しておく必要があります。
●サーバー障害が発生した際に利用できなくなる
APIを組み込むということは、APIを提供する企業・団体に依存して開発を進めることでもあります。APIを提供する企業・団体がいきなりなくなってしまうというケースはほとんどありませんが、システムダウンや臨時メンテナンスが発生した際には、連携していたサービスやソフトウェアが利用できなくなってしまう可能性も否定できません。
●課金体系を踏まえたコーディングが必要
APIの中には従量課金制を導入しているものもあるため、ソフトウェアが使われすぎた結果、課金額が膨らんでしまうことがあります。有名どころではGoogle Maps APIが従量課金制であり、無償枠で利用できるアクセス数を制限しています。超過すると追加料金が課されるほか、APIが使えなくなってしまうこともしばしばです。アクセス数や処理回数の概算を出したうえで、表示回数制限を設けるといった対策が必要です。
APIの利用方法
APIの概要とメリットを紹介できたところで、APIの利用方法を解説しましょう。サービスによっては若干異なることもありますが、以下の4つの手順を踏むことで、APIを利用できるようになります。
APIの利用方法 |
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1. APIサイトに利用登録 |
2.「APIキー」と「シークレット」を取得 |
3.アプリに設定 |
4.実装 |
1.APIサイトに利用登録
まずは、APIを提供しているサイトで、連携したいアプリケーション情報を登録します。「アプリ名」「アプリケーションのドメイン」「コールバック」などを入力すれば、登録完了です。
2.「APIキー」と「シークレット」を取得
登録すると、「APIキー」と「シークレット」を取得できます。「APIキー」はIDで、シークレットはシークレットキーとも呼ばれ、利用する際のパスワードを指します。取得したAPIキーとシークレットは、セキュリティに注意して管理しましょう。
3.アプリに設定
取得したAPIキーとシークレットを、APIを利用するアプリ側で設定します。
4.実装
最後にプログラムを実装します。プログラミングの際にはAPIごとにリファレンスやガイドが公開されているので、参考にしながら機能を実装していきましょう。
APIの種類と活用例
APIは幅広いシステムやソフトウェアで用意されており、普段スマホやPCで閲覧しているコンテンツの多くでAPIは利用されています。開発内容が異なれば、利用するAPIの種類も変わります。ここでは、実際に利用されているAPIの種類と活用例をご紹介します。
●Google Calendar API
Google Calendar APIは、Googleが提供しているGoogleカレンダーの各機能が使えるAPIです。
例えば、実店舗に誘導させる目的のWebサイトを作ろうと思ったときに、営業カレンダーを独自に制作すると祝日・休日を設定する機能や色分けする機能、それを正しく表示させる設定など細かい開発工数がかかります。その際にGoogle Calendar APIを使えば、Googleカレンダーに休日や営業時間を入力するだけで、Webサイトでも表示が可能です。すでにGoogleが一般に提供している機能のため、バグも取り除かれた高品質なカレンダーが自社サイトやアプリでも利用できます。
⇒Calendar API | Google Developers
● Maps JavaScript API(GoogleMap)
Googleが提供している地図サービス「Googleマップ」の機能が使えるAPIです。Maps JavaScript APIを活用することで、サイト上に地図を表示させるだけではなく、任意の場所にマーカーを複数表示させる、指定区間のルート・最寄り駅を検索するといった機能を追加できます。
以前は無償プラン・有償プランで分かれていましたが、2018年から従量課金制が採用されました。毎月$200分まで(約28,000回マップ・ストリートビューを表示するまで)は無料ですので、よほど大量にアクセスしない限りは無償枠でも十分にニーズを満たせるでしょう。課金が心配であれば表示上限も設定でき、細かな調整が効くのも嬉しいポイントです。
マップの使用頻度が高いスマートフォンやタブレットに配慮し、これらの携帯端末でも快適に動くよう設定されています。
⇒Maps JavaScript API Overview|Google MapsPlatform
●YouTube Data API
動画共有サービスYouTubeの動画をWebサイトやアプリケーションと統合できるAPIです。YouTube上にガイドとリファレンスが用意されています。YouTube以外のWebサイトから、YouTubeのサイトに遷移することなく動画を閲覧した経験がある人もいるでしょう。YouTube APIでは埋め込みプレーヤーを使用して、YouTubeのWebサイトに直接アクセスしなくても、サイトやアプリ内で動画が再生できる機能を提供しています。
動画の再生表示だけでなく、ユーザーがWebサイトからクリックするだけでYouTubeチャンネルを購読できたり、再生リストの情報をはじめとする競合調査のデータ収集ができたりします。
●Graph API(Facebook)
Facebookが保有している大量の情報が活用できるAPIです。Graph APIでは、Webサイトやアプリ内でFacebookのソーシャルグラフの読み込みや書き込みを行えます。「マーケティングAPI」は、Facebookの広告プラットフォームでマーケティングの自動化が可能です。
また、Facebook APIの活用例としては、写真共有アプリInstagramが有名です。Instagram Graph APIでは、中規模から大規模サイズのInstagramビジネスアカウントのデータにアクセスでき、メディアオブジェクトの管理やコメント・メタデータの表示などが簡単にできます。
⇒Graph API Overview|FACEBOOK for Developers
●Twitter API
Twitterもツイート機能やハッシュタグ、検索といった機能が利用できるAPIを公開しています。Twitter APIを利用すれば、リアルタイムのつぶやきをWebサイトに表示させたり、特定の企業やアカウントに対して向けられたツイートだけを抽出して表示させたりすることが可能です。
⇒Twitter API Documentation | Twitter Developer
●Messaging API(LINE)
LINEが公開しているMessaging APIは、LINEのメッセージをコントロールできるAPIであり、これを利用するとチャットボットを作成できます。例えば、LINEのボット(友だち)作成、ボットによるメッセージの送信・返信やデータの一元管理が可能です。例えば、ヤマト運輸のLINEボットはお届け予定・ご不在連絡のメッセージを都度LINEから送付し、再配達依頼をLINEで完結できますが、これもMessaging APIによるものです。Checkun(チェックン)と呼ばれるLINEボットは、グループに招待することで割り勘・立替支払・生産金の回収管理などを一手に担ってくれます。このように、日常生活をちょっと便利にするようなツール作成が可能です。
⇒Messaging API|LINE Developers
●Amazon API
Amazonが公開している2つのAPIは、Amazonマーケットプレイスやアフィリエイト利用者が用いることを前提としており、個人事業主や小~中規模の事業者を想定しています。例えば、「Amazon MWS API」を使うと出品している商品の注文情報の確認や情報更新が容易になりますし、「Product Advertising API(PA-API)」を使うと運営しているWebサイト・ブログ等にAmazonアソシエイト経由で貼っているアフィリエイト広告の売上データを管理できます。
⇒Priduct Advertising API 5.0 Documentation|Amazon
●チャットワークAPI
中小企業向けビジネスチャットツール「チャットワーク」もAPIを提供しており、タスクやメッセージを自動化したり他サービスと連携したりといった形で活用されています。例えば、他APIと組み合わせて天気や電車の遅延情報を通知する仕組みを作成する、Googleカレンダーと連携して日々の予定をリマインドするといった使い方も可能です。
APIを活用すれば高品質のサービスを低コストで実現
WebサイトやWebサービスを制作する場合、ゼロからすべての機能を作り込むと多大な時間とコストが必要になります。
新たにWebサービスやWebサイト、アプリケーションなどを制作する際は、活用可能なAPIやWeb APIがないか事前に確認してみましょう。
APIを効果的に活用することで、制作コストを抑えながら、高い品質とセキュリティを担保したサービスが実現できます。
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