アプリの開発には、様々な不具合やエラーがつきものです。エラーや不具合などを引き起こすバグの原因を特定するためには、バグを取り除くデバッグ作業は欠かせません。デバッグ作業に慣れていないと、バグの解消がうまくいかず、作業に手間取って開発が遅れてしまうことも。本記事では、アプリ開発におけるデバッグの基礎知識から、デバッグ作業の進め方やポイント、デバッグ作業を外部依頼するメリットについて詳しく解説します。
目次
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デバッグとは何か?
デバッグとは、コンピュータプログラムの中に潜んでいるエラーや欠陥(バグ)を発見し、修正する作業です。理想は、コーディングの段階でバグのないプログラムを作ることですが、完全にバグのないプログラムを一発で作り上げることはほぼ不可能です。どんなに単純なプログラムでも、コーディングされたプログラムにバグが一切含まれていないというケースはほとんどありません。設計書や仕様書に不備があったり、異常系に対する配慮が不十分だったり、エラー処理が欠落していることがバグの原因となることもあります。
デバッグの目的は、バグを抱えているプログラムを仕様どおりに動かせるよう修正すること。デバッグ作業では、プログラムの動作や条件を観察し、プログラムを実行してエラーが発生する箇所を特定します。ただし、プログラムは複雑に作用し合っており、一部でも書き換えると、ほかの箇所に不具合が出ることがあります。バグの修正によって、新たなバグが発生してしまう可能性があるということです。プログラムを修正した後は、リグレッションテスト(回帰テスト)を行い、プログラムの変更によって全体に影響が及んでいないかどうかを検証する必要があります。
プログラムの修正とテストをひたすら繰り返すデバッグ作業は、プログラムの品質向上や安定性確保のために欠かせない工程です。
●デバッグが必要な理由
バグはアプリ開発において避けられない問題です。どれほど機能を絞ったアプリであっても、仕様どおりに動くプログラムを一発で書くことはできません。もしもデバッグを実施せずにアプリをリリースしてしまうと、想定どおりに動かない、アプリがクラッシュするなどのトラブルが起こってしまいます。また、障害発生後、迅速にバグを修正したとしても、予期しない干渉や修正を行ったことで別のバグが発生するリスクもあります。デバッグが不十分だと、リリース直後からバグの修正に追われてアプリの運用・保守費用がかさみますし、アプリの挙動が不安定なままだとユーザーからの信頼を失うことにもつながります。
●デバッグ作業が必要なタイミング
デバッグ作業が必要なタイミングは、システムの特性や要件、アプリの規模によっても異なりますが、一般的には以下のタイミングで行います。
-
プログラムが想定どおりに動作しない
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テスト結果が仕様と異なる
-
ユーザーから不具合報告を受けた
プログラムを実行した時、分かりやすく不具合が生じる場合はバグの可能性が高く、デバッグをする必要があります。例えば予期せぬエラーメッセージや警告が表示される、要求された動作を正しく行わない、プログラムが突然終了するといった不具合が該当します。不具合とまではいかなくても、予想よりも遅く動作したり、多くのリソースを消費したりする場合にもデバッグ作業を検討するべきでしょう。パフォーマンスの低下は、バグや最適化の問題によって引き起こされる可能性があるからです。
また、動作に問題はなくても、プログラムの動作テストの結果が仕様や期待値と異なる場合にもデバッグは必要です。プログラムの動作テストは、「単体テスト」と「結合テスト」に大きく分けられます。単体テストでは各モジュールやプログラムが問題なく動作するかを検証し、結合デストではモジュールやプログラムを結合させて、1つのシステムとして動作するか検証します。テスト実施後に見つかった大小様々なバグを解消するためにデバッグ作業が行われ、デバッグが完了したら次の工程に進むのが一般的です。
アプリ開発におけるデバッグの方法
デバックの方法はたくさんありますが、今回はその中から、「机上デバッグ」「分割統治法」「デバッガの利用」について紹介します。
●机上デバッグ(目視確認)
机上デバッグとは、コードやプログラムを目視で解析する方法です。より具体的にいえば、プログラムを実行せず、デバッガも使わずに、コードを目視確認して問題を特定しようとする手法です。原始的な方法であり、一見すると効率が悪いように見えますが、初歩的かつ単純なコードミスは多くはこの方法で見つけられます。自分以外が書いたコードをデバッグする際に、プログラムのロジックに対する理解を深めながら根本的な原因を探したい時にも効果的です。
●分割統治法
デバッグにおける分割統治法は、プログラムを関数やモジュールごとに細分化してテストをしながらバグを発見する方法です。問題を分割して、それぞれの小さな問題をすべて解決することで、最終的に全体の問題を解決しようとする手法です。特に大規模で複雑なプログラムのデバッグを効率化するために使われますが、プログラム全体で見ると見落としてしまいがちな小さいバグも発見しやすくなるという利点があります。
●デバッガの利用
デバッガは、エラーの発見とデバッグ作業の効率化を支援するツールです。Xcode(エックスコード)やAndroid Studioなどのアプリ開発ツールにはデバッガが標準搭載されています。
デバッグの方法は、iOSアプリとAndroidアプリによって細部に違いはありますが、基本的には同じです。例えば、ソースコード上に「ブレークポイント(中断点)」を設定し、プログラムの実行を一時的に停止できます。停止した時点での変数や処理の流れを観察することで、問題の特定と修正が可能です。さらに、「ステップ実行」を使えば変数の値や処理の流れを1行ずつ確認できます。詳細なコードチェックができるデバッガを活用することで、予期しない動作が発生している箇所を特定しやすくなります。
デバッグに必要な知識やスキル
デバッグ作業を適切に行うためには、開発経験やスキルがあるに越したことはありませんが、デバッグにもっとも重要なのは、デバッガとプログラミングに関する基本的な知識です。デバッガの操作に慣れることは、効率的なデバッグに必要不可欠です。加えて、プログラムの文法、変数、条件分岐、ループなどの基本的な概念を理解していれば、コードのエラーもすぐに発見できます。例外処理やエラーメッセージの理解を深めることで、バグが発生しやすい箇所に目星がつけられるようになります。
デバッグには、地道な作業をひたすら続ける根気強さが求められます。また、バグ管理システムへの記録や、開発者やほかのデバッガとの情報共有も重要な作業なので、明瞭で客観的・論理的な記録能力とコミュニケーション能力も必要です。
アプリ開発におけるデバッグ作業の進め方
デバッグ作業の細かい手順はOSごとに異なりますが、大まかな手順は以下のとおりです。デバッグ作業の手順は、バグが見つかるたびに繰り返されます。
デバッグの手順 | 内容 |
---|---|
1.問題の特定 | バグの存在を明らかにします。自動テストの結果、開発者が自分でコードを確認して見つけたエラー、ユーザーからのフィードバックなどで発見できます。 |
2.再現性の確認 | バグが一貫性を持って発生するかどうかを確認します。バグが再現する具体的な条件や手順を明らかにできれば、プログラム修正後にバグが本当に解消したかどうかを確認しやすくなります。 |
3.原因の特定 | デバッガを使ってコードを1行ずつ実行(ステップ実行)し、一時停止させた時点のプログラムの状態や変数の値を調査しながら原因を特定します。 |
4.問題の修正 | 原因を特定したら修正をします。修正方法はバグの内容によりますが、プログラムのロジックを変更したり、新しいコードを挿入したりします。 |
5.修正後のテストと検証 | 問題がきちんと修正されているか確認するため、再度テストを行います。バグの再現手順をなぞり、バグが解消されているかどうか検証します。解消されていなければ、再び問題の特定から始めます。 |
6.バグ管理システムの更新 | もしバグ管理システムを利用しているなら、バグが解消されたことを記録して完了です。 |
アプリ開発におけるデバッグ作業のポイント
デバッグは、1つずつコードをチェックするという根気のいる作業であると同時に、デバッグするコードの処理を理解し、バグが発生しそうな箇所を予測する能力も求められる作業です。経験を積み、コードの理解を深めることで、デバッグがより効率的になります。ここでは、デバッグ作業をスムーズに進める際のポイントについて解説します。
●バグの再現方法を見つける
バグが確実に修正されたと判断するためには、バグの再現方法を試しても不具合やエラーが生じないことを確認する必要があります。つまり、再現性のないバグは修正できないということ。バグを発見したら、バグの発生条件や再現手順を記したテストケースを作成することが重要です。テストケースによってバグの原因を特定しやすくなります。
●ユーザー視点を持つ
デバッガを使ったコードチェックも重要ですが、アプリを前にしたユーザーの行動を想像してデバッグを進めることも重要です。開発関係者はアプリの目的や機能をよく知っているので、ユーザーも自分たちのように正しくアプリを使うだろうと想定しがちですが、時にユーザーは開発側が予想もしないような方法を試し、予期せぬバグを掘り出すことがあります。
デバッグを行う際はユーザー視点を持ち、「こうしたらどうなるのだろう?」「これはできるのかな?」など、イレギュラーな使用パターンを想定することで、ユーザーが直面しやすい問題に対するデバッグを行えるようになります。
デバッグ作業を外部依頼するメリット
デバッグ作業はアプリの挙動を安定させるために必要不可欠ですが、同時に多くの工数を要する作業でもあります。自社に開発リソースが用意できる場合も、デバッグやテストを外部依頼するメリットはあります。ここでは、デバッグ作業を外部依頼するメリットを紹介します。
●開発リソースを確保できる
デバッグデバッグには多くの時間と人手が必要です。また、デバッグの専門的な知識を保有する社員がいない場合は、新しく雇用・教育するコストがかかります。デバッグ作業を外部依頼して開発リソースを確保することで、開発期間の短縮や品質の向上につなげられます。
●デバッグの質が高まる
経験豊富で優秀なデバッガは、影響力の大きな問題を素早く特定できるため、長期的に見た場合にはコスト効率が良くなる可能性があります。デバッグの依頼は様々な会社に依頼できますが、中にはデバッグに特化した会社もあります。専門的な知見を持つデバッガに依頼することで、深刻な問題をより確実に特定・修正できます。
信頼できるパートナー会社の選び方
外部の開発会社を活用する際には、以下の要素を考慮に入れて、慎重に比較検討をすることが大切です。複数の開発会社から見積もりを取ることで、品質と予算の釣り合いが取れる依頼先を見つけられます。
●アプリに関する実績があるか
第1に、開発したいアプリに精通している経験豊富なパートナー会社を選ぶことが重要です。過去に手がけたプロジェクトの分野やアプリの規模、使用している技術スタックなどが、現在検討しているアプリ開発プロジェクトと一致しているかどうかを確認してみてください。
アプリ開発プロジェクトで使用する技術やツールを理解していることは、デバッグを効率よく進めるためにも欠かせません。ゲーム系アプリを得意とする開発会社でもサービス系アプリの要件を満たすアプリ開発は可能ですが、デバッグ作業に工数が取られてしまい、そのぶんコストがかさんでしまうおそれもあります。
●受入テストが可能か
自社内に開発リソースがない場合は、開発を完全に外部委託することになるでしょう。理想としては、発注者側がユーザー視点でデバッグ作業を実施してバグを発見することが望ましいのですが、アプリ開発におけるデバッグはある程度技術的な知見が求められるので難しいでしょう。ただし、仕様どおりのアプリを納品してもらうためには、リリース前にアプリの品質確認をする機会を設けることが重要です。
そのため、仕様どおりになっているかどうかを確認する「受入テスト」ができるかどうかを確認することをおすすめします。受入テストとは、発注者側がリリース前のアプリをチェックし、要件やニーズが満たされているかどうかを確認するためのテストです。たとえ発注者側でデバッグができなくても、受入テストを実施することで、要件やニーズを満たすアプリに仕上がっているかどうかを確認できます。
アプリのデバッグを外部依頼する際は、見積もりの価格だけでなく、実績や得意分野などを総合的に判断して選定することが重要です。しかし、ニーズにぴったりと合うパートナー会社を見つけるのは困難です。独自で調査し、比較検討を行うといった作業には、時間も手間もかかります。 アプリ開発を依頼したい、デバッグを外部にお願いしたいをお考えの担当者様は、ぜひ「発注ナビ」の活用をご検討ください。
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