今回は、「ASPとパッケージ」について。
ASPはレンタル。導入は易しいがカスタマイズが困難。
パッケージは買い取り制。それなりの初期費用や導入準備だが自由度は高い。
まずは自社のニーズをリスト化し、ASPとパッケージのどちらが適しているかを検討。
ASPとは
ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)とは、何らかのアプリケーション(ソフトウェア)を利用したいユーザーに対して、ソフト開発会社がインターネット経由でアプリケーションをレンタルするサービスです。料金は期間や使用量に応じて課金されます。
ASPには財務会計、給与計算、webサイト運用などさまざまなアプリケーションが準備されており、幅広いニーズに対応できます。また、ASPにはパッケージと違って「必要な機能を必要な時だけ」使えるというメリットがあります。ただしレンタルである性格上、カスタマイズなどの自由度は決して高いとはいえず、ニーズに適切なASPを選択することが重要になります。
パッケージとは
パッケージ(パッケージソフト)とは、「財務会計」「給与計算」など、一定の用途に対して必要と思われる汎用性の高いアプリケーションを包括(パッケージング)したソフト製品です。ASPとは違い、販売を前提としており、特定の機能だけを切り出して購入することはできません。
なお、パッケージ製品は自社で購入する製品ですから、自分の好きなようにカスタマイズして使うことができます。販売元のソフト開発会社がカスタマイズサービスを行っている場合もありますし、もちろんその他のソフト開発会社にカスタマイズを依頼することもできます。パッケージ製品にはカスタマイズを前提として改良のための自由度が高く設計されているものも多くみられます。こういう製品はカスタマイズを前提とした「叩き台」としての役割を果たします。
ASPとパッケージのメリット・デメリット比較
1. イニシャルコスト(導入費用)
ASPはレンタルという性質上、イニシャルコストを低く抑えることができます。パッケージはアプリケーションの内容によってはパッケージ購入費用のほか自社サーバーなどを用意する必要もありますが、ASPはそうした動作環境も提供者のものを利用することができ、「サービスそのもの」だけを受け取れるというメリットがあります。
2. 利用開始までのタイムスケジュール
ASPはすでにサービスが準備されているため、ユーザーの教育期間などを除けば、契約後すぐに利用できるようになっています。これに対しパッケージはカスタマイズにかかる期間が必要で、カスタマイズを行わない場合でもサーバーや各端末へのインストール、動作確認などに時間や手間がかかります。
3. 管理運用
パッケージソフトの場合、バージョンアップの際にはサーバーや各端末に対して手作業によるアップデート作業が発生します。またトラブルが発生した際も販売元からエンジニアを呼ぶなどの対応が必要となり、管理運用にはそれなりの手間とコストがかかります。またバージョンアップが有料のものであった場合、新たに購入費用も発生します。
これに対し、ASPではバージョンアップは自動的に行われ、常に最新のものが利用できます。原則としてバージョンアップ料金を要求されることもありません。
導入の注意点は?
ECサイトを持ちたいと考えた場合、ECサイトに求められる機能をASPで調達するかパッケージで調達するかは大きな違いがあります。
たとえば「商品数があまりに膨大で、ASPで想定されている商品の枠に収まりきらない」というような場合、商品枠を増やすことはASPでは不可能です。また「うちのポイント制度は他のどんな店にもない独自性の高いものだ」という場合、ASPが用意している「一般的なポイント管理制度」では扱いきれない可能性もあります。こういう場合はパッケージを選びカスタマイズを行う必要があるでしょう。
とはいえ、ASPにはさまざまなサービスがあり、ECサイトだけを見ても各社からさまざまなサービスが提供されています。また、簡易型のオプションサービスなども利用でき、応用範囲はかなり幅の広いものとなっています。
「ASPかパッケージか?」と導入を迷った際は、「アプリケーションに求められる絶対に必要なニーズ」「あれば便利な機能」などをリストアップし、それぞれの項目に優先順序をつけてから比較検討するべきでしょう。