
業務の効率化を図る方法のひとつに「工数の削減」があります。近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が求められるなか、その実現を後押しする仕組みとして業務自動化ツールが注目されています。
「もっと効率的に仕事を進めたい」と考える企業にとって、こうしたツールの導入は有力な選択肢のひとつです。自動化を取り入れることで、従業員の負担軽減や労働時間の短縮につながるだけでなく、結果的に生産性向上や利益拡大も期待できるでしょう。
目次
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業務の自動化をする方法・達成までの流れ

業務の自動化は、これまで人の手で行っていた作業をIT技術で代替することです。IT技術は年々進化し続けていて、事務作業をはじめとする単調な業務は、簡単に自動化が実現しやすくなっています。業務の自動化を進めるためには、専用の自動化ツールの導入が効果的です。ツールを導入して業務効率化を実現するため、以下の流れに沿って準備を整えていきましょう。
- ペーパーレス化の導入
- データベースの構築や共有の仕組み作り
- パソコン操作の精査
- RPAツールの選定
- RPAツールを用いて自動化ツールの効果測定・検証
●ペーパーレス化の導入
紙媒体で管理されていた情報をペーパーレス化することが自動化の第一歩と言えます。紙の書類のままでは、自動化ツールが情報を認識できず、後々の工程でつまずく原因となります。まずは情報を電子データとして扱える状態にすることが、自動化の基盤となります。
●データベースの構築や共有の仕組み作り
データのペーパーレス化が完了したら、そのデータをデータベースとして蓄積・構築し、共有できる仕組みを作っていきましょう。さまざまな部署・部門が情報にアクセスしやすくなる分、セキュリティの強化も同時に行うことも大事です。情報をハッキングする技術は高度化し続けているため、セキュリティ技術も定期的に見直していってください。
●パソコン操作の精査
データベースの構築ができたら、そのデータを活用するパソコン操作の精査も必要です。具体的には、どの部分を自動化してどの部分は自動化しないのか決めていきます。精査が完了したあとは、自動化ツールを誰でも活用でき、トラブルが起きても対応できるように、マニュアル化や業務標準化していきます。それらの手順を踏んで、ツールに落とし込んでいくための準備を整えていきましょう。
●RPAツールの選定
ここまでのステップを踏んだら、RPAツールを使って自動化のテストを行っていきます。ここでいうRPA(Robotic Process Automation)ツールとは、ロボットが業務を自動で行うツールのことです。RPAツールには操作した手順をそのまま再現するものだけでなく、プログラムを組み合わせて、ロボットやシナリオといった形にできるものもあります。自社に合ったやり方を固めて、そのやり方に合ったRPAツールを選定してください。
●RPAツールを用いて自動化ツールの効果測定・検証
RPAツールが決まったら、そのツールを用いて実務レベルの運用テストを行い、効果測定や効果検証を進めていきます。例えば、自動化ツールによってかかった作業時間や負担を記録し、どのくらいの効果があるのか把握していきます。運用テストが完了したら、本番の環境で自動化ツールを利用してテストしていきましょう。そこでエラーやミスが発生しなければ、現場で導入を進めてください。
自動化に向いている主な業務

具体的にツールで自動化できる業務として、以下のようなものが挙げられます。
- 経理・財務部門の金銭的な処理
- 人事・総務部門の労務管理や採用情報の管理
- 営業部門の在庫や受発注の管理
- マーケティング部門のデータ抽出・解析
これらの業務の自動化が必要な場合に、自動化ツールの導入を検討してみてください。
●経理・財務部門の金銭的な処理
請求書発行や月次決算など、毎月同じ時期に行う経理・剤部部門の金銭的な処理業務は、定期的に発生する業務であり、スケジュールを明確化させることができるため、業務自動化に向いています。
日付や条件を設定することで、自動的に作業を実行させることができるため、業務の効率化が図れます。
繁忙期や決算月は、多忙となるため、単純な作業を自動化させることで、リソースの削減が可能です。
●人事・総務部門の労務管理や採用情報の管理
人事・総務部門の労務管理、採用情報の情報を管理する際は、決められたフォームに必要事項を入力していくため、自動化に向いています。
氏名や年齢、住所などの項目は、フォームの形式に沿って入力していくため、自動化がしやすく、検索をかけてデータを確認する際も閲覧がスムーズになります。
●営業部門の在庫や受発注の管理
在庫管理や受発注管理では、大量のデータを取り扱うため、自動化が最適です。
手作業で在庫管理をすると、在庫を数えるために工数がかかるだけでなく、受発注の人的ミスが起こる恐れがあります。
在庫管理を自動化することで、少なくなった在庫をデータで可視化でき、受発注がスムーズになり、リソースの削減につながります。
●マーケティング部門のデータ抽出・解析
マーケティング部門での商品やサービスの調査やデータの抽出・解析は自動化に向いています。
マーケティング部門で商品やサービスの調査や分析を行う際は、ITの知識を豊富に持つ人材と分析に割くリソースが必要不可欠です。
大量のデータ収集やデータ抽出・解析には、専門性の高いノウハウと多くのリソースがかかるため、自動化することで業務効率を向上させられます。
業務の自動化の必要性とメリット

業務を自動化する必要性とメリットは、以下の5つがあります。
●リソースを確保し業務の効率化が図れる
業務を自動化することで、これまで手作業で行っていた作業が必要なくなり、その分のリソースを確保できます。
空いた時間で他の業務に時間を使えるため、業務の効率化が図れる点が大きなメリットです。
簡単な単純作業を自動化し、改善点の分析や調査などに時間を使えるようになることで、成果の出る施策を実行できます。
●人手不足を解消できる
人手不足に悩む企業は、業務を自動化させることで、その分の人員を他の業務に振り分けることができ、人手不足の解消につながります。
人手不足で困っている企業こそ、自動化できる業務を見つけ出し、効率的に自動化ツールを利用することが最適です。
●従業員満足度が向上する
これまで手作業で行っていた業務が自動化されることで、従業員の作業が減り、負担が軽減されるため、従業員満足度が向上します。
従業員満足度が向上すれば、現場の士気が上がり、業務が円滑に進み、離職率が下がるメリットがあります。
●人件費削減ができる
自動化ツールの導入により、作業効率が上がることで、自動化する前に作業にあたっていた人員を他の業務に振り分けることができ、人件費を削減できます。
例えば、業務が終わらずに残業をしていた場合、自動化によって作業時間が少なくなり、社内の残業を減らすことができれば大幅なコストカットにつながります。
●企業の競争力を強化できる
自動化ツールを活用すれば、作業効率がアップし、コストカットやリソースの削減ができます。
さらに、自動化ツールを活用してデータ分析・施策実行を繰り返し行うことで、競合他社に差をつけた商品やサービスの開発を進めることが可能です。
自動化によってできたリソースを、新規事業の推進にあてることができ、企業の競争力を強化できます。
業務の自動化のデメリット

業務を自動化する際には、3つのデメリットもあることを知っておきましょう。
●導入コストがかかる
自動化ツールを導入する際には、導入コストがかかります。
さらに、長期的に継続して活用していくためには、月額料金がかかるため、予算内に収まるかどうかを事前にシミュレーションしておく必要があります。
●自動化に向けた準備に手間がかかる
自動化ツールは、既存のデータをそのまま使えるわけではないため、事前準備に手間と時間がかかる点がデメリットです。
自動化ツールを導入する際は、事前にデータクレンジングなど、データの整理を行う必要があります。
例えば、社内の部署ごとで異なるフォーマットを利用している場合や、データが点在している場合は、フォーマットを揃えて全社のデータを収集する必要があります。
●自動化を推進する人材がいなければ上手く活用できない
自動化ツールを活用する場合は、ツールを活用して使いこなせる知識を持つIT人材が必要です。
IT人材がいない場合は、自動化ツールを導入しても上手く活用することができず、自動化によって業務効率化を図ることや効果的な施策を実行することができないでしょう。
導入するならパッケージ?それとも独自開発?

自動化ツールを導入する際は、パッケージと独自開発の2つの方法があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットなどについて見ていきます。
●パッケージの特徴やメリット・デメリット
パッケージは、ある程度システムの機能が決まっていて、サービス提供者と契約して月額課金で利用できるシステムです。パッケージの特徴として、主に以下のものが挙げられます。
- 低コストで導入しやすい
- 導入速度が早い
- 品質が保証されている
パッケージの自動化ツールは、ほとんどが月額課金制になっているため、毎月一定額の料金で使い続けられます。そのため、コストを抑えたい中小企業でも導入しやすいです。また、すでにでき上がっているシステムを導入する形になるため、契約したらすぐに自動化ツールが使えます。さらに、パッケージとしてサービスが提供され続けているということは、それだけユーザーから評価されており、ある程度は品質が保証されていると言えます。
導入しやすくて便利なパッケージの自動化ツールですが、必要なシステムばかりが揃っているわけではない点に注意が必要です。加えて、ツールをカスタマイズするにも限界があります。パッケージの自動化ツールを導入する際は、必要な機能がどのくらい揃っているのかを把握したうえで契約することが大事です。
●独自開発の特徴やメリット・デメリット
独自開発は、システム開発会社に個別に依頼して、ゼロから独自のツールを開発してもらう方法です。独自開発の特徴として、主に以下のものが挙げられます。
- 自社に合ったシステムが手に入る
- 自由にカスタマイズしやすい
- アフターサポートが手厚い
独自開発は、企業で入れてほしいと思う機能を入れてもらいやすく、自社の業務に則したツールが手に入りやすいです。パッケージの場合、自社に必要ない機能が含まれたツールを導入してしまう可能性があります。しかし、独自開発ならそのリスクがほぼありません。
また、独自開発は直接システム開発会社にコンタクトが取れるため、自動化ツール開発後に機能をカスタマイズしてもらえます。ほかにも、依頼先によってはアフターサポートが手厚い企業も多いです。現場で実際に自動化ツールを利用する方が継続的に使い続けられるように、自動化ツールの運用・管理を任せられるところで依頼するのも手です。
「自動化しても業務効率化がされない…」導入失敗の原因

せっかくコストをかけて自動化ツールの導入を進めても、業務効率化につながっていないと意味がありません。実際に、自動化ツールを導入しても業務効率化につながらなかったというケースもあります。その原因として、以下の3つが挙げられます。
- 業務の実態を把握できていない
- 自動化が可能な業務かどうかを見極められていない
- 自動化の効果を具体的に示せるかどうかを重視していない
●業務の実態を把握できていない
業務の実態を把握できていないと、実際の業務で利用できない、利用できても部分的にしか効果がないというケースも少なくありません。ツールの独自開発を行う場合、自動化ツールの中身をすり合わせる段階で、業務の実態を把握しておくのが理想です。システム開発会社側にその内容を伝えることで、業務の負担をより解消しやすくなります。例えば、現場ではマニュアルに沿っていない形で業務を進めているケースもあります。業務マニュアルをシステム開発会社側に渡しても、そのズレが原因で十分な効果を得られないこともあります。そのため、マニュアルを渡すだけでなく、正確な業務の実態を伝えるようにしましょう。
●自動化が可能な業務かどうかを見極められていない
自動化しやすい業務かどうかの判断が十分でないことも、原因の1つとして考えられます。これまで人がしてきた業務は、すべて自動化できるわけではありません。自動化をしやすいのは、人の判断がかかわらない業務で、人の判断を求める業務は自動化の難易度が高くなってしまいます。自動化の難易度を意識していないと、自動化ツール導入の失敗につながりやすいです。人の判断を求める業務については、無理のない範囲で自動化を意識してください。
●自動化の効果を具体的に示せるかどうかを重視していない
自動化ツールで、実際は効果が得られているのだとしても、その効果を実感できていないということもあります。自動化によって得られる効果を数値化して、自動化ツール導入前と比較できるかどうかが大事です。システム開発の依頼先からは、導入後に内容の説明を受けます。その際に、具体的な数値での効果説明がない場合には、なるべく数値を元に導入前後が明確にわかるような効果説明を求めましょう。
自動化ツールを導入する時のポイント

自動化ツールを導入する際には、以下のポイントを意識するのが大事です。
- 業務プロセスの可視化
- 自動化に適した仕事かどうか
- コストパフォーマンス
●業務プロセスの可視化
自動化ツールを導入する前に、業務プロセスを可視化して、どの過程に問題が見られるのかを把握してください。問題のない箇所にツールを導入しても、効果を得ることはできません。導入で発生したコストが無駄になるうえ、業務効率が低下してしまう可能性もあります。
●自動化に適した仕事かどうか
業務プロセスを可視化して、問題のある業務がどれかわかっても、それが自動化に適した業務とは限りません。顧客の新規開拓や経営判断のように、柔軟な対応が求められるような業務は自動化が困難です。自動化に適したルーティン化された業務だけをピックアップしてください。
●コストパフォーマンス
自動化ツールを導入すれば、あらゆる問題を解消することが可能です。その代わり、自動化する業務内容によっては、コストが大きくなる可能性もあります。業務効率化によって利益アップを狙っていくにもかかわらず、その過程でコストがかかってしまうと本末転倒です。コストパフォーマンスを意識して、ツールなしで効率化する方法も模索してみましょう。
「自動化」ツールのさまざまな仕組み

中には、具体的に自動化ツールがどういった仕組みでできているのか気になる方もいるでしょう。業務の自動化ツールは、主に以下のような仕組みが採用されています。
- ITの自動化
- ビジネスの自動化
- ロボティック・プロセス・オートメーション
- 産業オートメーション
- 人工知能
- 機械学習
- ディープラーニング
●ITの自動化
ITの自動化は、手動作業をITシステムに置き換えるシステムのことです。現場の生産性を高めて、ミスを減らすために必要な仕組みです。
●ビジネスの自動化
ビジネスの自動化は、常に変化するユーザー全体の需要に応えるためのアプローチのことです。ビジネスプロセス管理とビジネスルール管理を、最新のアプリケーション開発と連携して進めていきます。
●ロボティック・プロセス・オートメーション
ロボティック・プロセス・オートメーションは、ロボットを活用して人間がしていたルーティン化した作業を進めることです。ロボットであれば、24時間いつでも作業を任せられるうえ、業務時間を意識しないでも良い点が便利です。その特色から「デジタルレイバー」とも呼ばれるRPAは、定型作業の自動化に効果があります。
●産業オートメーション
産業オートメーションは、コントロールパネルやヒューマンマシーンインターフェースを活用し、手作業を削減することです。製造プロセスを簡素化してすっきりさせられます。
●人工知能
人工知能はAIと呼ばれるもので、人間の知的な部分までを人工的に再現できる仕組みのことです。人工知能を活用すれば、より自動化できる作業の範囲が広くなります。
●機械学習
機械学習は、人間が行うように経験から何かを学んで、それを次のアクションで活かす仕組みのことです。端的にいえば、AIの学習行動や技術のことであり、タスクが完了すると次のタスクに合わせてアルゴリズムを変更していきます。
●ディープラーニング
ディープラーニングは、人間が行うタスクをコンピュータに学習させる仕組みのことです。機械学習でポピュラーになっている方式になっています。人間の脳を模した多層構造になっているのが特徴であり、ディープラーニングを積極的に進めることで人工知能の精度がより高くなっていきます。
おすすめの業務自動化ツール4選
業務の自動化におすすめツールを4選紹介します。
ぜひ、自動化ツール選びの参考にしてみてください。
●【RPA】マクロマン
「マクロマン」は、ダウンロード社数7,000社以上のRPAツールであり、メールの作成・送信など、毎日行う定型的な業務を自動化することに適しています。
利用期間や利用者の人数、機能に制限がなく、無料で使えるツールです。
データ入力やデータ収集・レポート作成などを自動化でき、業務効率がアップします。
自社で利用できるように使い方の学習コンテンツを豊富に取り揃えており、ツールを使いこなせる人材の育成やRPA運用のアウトソースが必要な場合には、サポートサービスも利用可能です。
●【AI機能搭載】AI議事録
「AI議事録」は、AI機能を搭載した自動化ツールです。
AIの音声自動認識機能を利用して、会議の議事録を作成できます。
リアルタイムで議事録を作成でき、記録員の負担軽減と人件費の削減が可能です。
翻訳機能があるため、多言語に対応できる点も大きなメリットです。
情報共有も円滑になり、議事録作成の手間とリソースを大幅にカットできます。
●【AIチャットボット】ChatGPT
「ChatGPT」はAIチャットボットであり、高精度なAIが搭載されています。
文字を入力すると、膨大なデータの中から最適な答えを導き出すことができ、日常使いだけでなく、ビジネスにまで対応可能です。
無料版でも、キーワードを入力すれば文章を執筆することができます。
有料版では、リアルで美しい画像を生成できる機能があります。
●【OCR】DocuWorks
DocuWorksは、紙媒体のデータを電子化できるOCRツールです。
紙媒体の文章を読み込み、パソコン上で編集を行うことができ、PDF形式に変換して保存できます。
パスワード設定もできるため、セキュリティ面も安心して利用できるツールです。
業務の把握をしっかり行って自動化を進めよう
かつては、あらゆる業務が書類に記載された情報を使って手作業で進められていました。
しかし、人の力でこなせる作業には限界があります。そういった背景があり、近年では業務を効率化し利益を上げていく自動化ツールが必要とされています。技術の発達により、将来的には自動化できる業務も増えていくと予測できますが、「業務に則したツールの導入が必要」という点に変わりはありません。業務効率化や利益の拡大を目指すためには、企業ではどんな業務を行っているのか、どんな業務を自動化できるのかをしっかり把握しておくのが大切です。
システム開発の最適な発注先をスムーズに見つける方法
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