AWS(Amazon Web Services)とは、Amazonが提供しているWebサービスの総称です。
クラウドコンピューティングを利用して、ストレージやデータベース、サーバなど、さまざまなサービスを貸し出しています。
Amazonが使用しているサーバをベースにしているので安定性が高く、個人ユーザーだけではなく企業ユーザーも数多く利用しています。
今回は、AWSについての基礎知識や主なサービス、メリット・デメリットなどをご紹介します。
目次
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AWSの基礎知識
AWSとは「Amazon Web Service」の略語です。その名の通り、世界的なインターネットショッピングサイトとしてお馴染の「Amazon」が提供しているクラウド型サービスのことです。AWSはひとつのサービスではなく、以下のようなサービスが利用できます。
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仮想サーバーの作成
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Webサイトの運用
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ビッグデータ分析
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システム開発環境の構築
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データベースの運用
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AI(機械学習)機能の利用
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動画や画像などのコンテンツ配信
AWSの代表的なサービスは、後の項で詳しく紹介しますが、大きく分けて90以上、細分化して700以上のサービスが提供されているのが特徴です。これらのサービスをまとめた総称が「AWS」なのです。仮想サーバを作成できる「EC2」、コンテンツの配信が可能な「S3」など、サービスごとに独立した機能が備えられています。
AWSのように、インターネットを経由してさまざまなサービスを提供するシステムは「クラウドコンピューティング」と呼ばれます。一般的なクラウドコンピューティングシステムには、レンタルサーバのほかストレージによるデータ保存・バックアップ、ソフトウェアのオンデマンド配信などが含まれます。
インターネットを経由して提供されるサービスであるため、サービスの利用者はサーバなど設備を改めてそろえる必要がありません。インターネット環境が整っていれば、パソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスから必要なサービスを受けられます。
AWSは、大手Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービスとあって、世界中で利用されているサービスです。2017年11月時点では全世界で100万人以上、190ヶ国で使用されていると報告されています。
AWSが選ばれる理由
AWSは、GoogleやAmazon、MicrosoftやIBMと並んでシェア率の高いクラウドコンピューティングサービスです。特にAWSは世界でもトップクラスのシェア率を誇っている強みがあります。そんなAWSが選ばれる理由を、以下で紹介します。
●必要なサービスのみを選べる
概要の項で記述した通り、AWSは仮想サーバのほか、90以上のサービスが提供されています。幅広いジャンルのITリソースやWebサービスを網羅している上、その時々のタイミングで必要なサービスを必要なだけ柔軟に確保できるのです。たとえば、「繁忙期の時期だけリソースを補強する」、「閑散期は必要最低限のリソース以外のサービスを停止する」といった使い方ができます。
使用したいサービスのみを選択できる分。AWSは「機能を持て余してしまう」という心配も少ないでしょう。サービスの柔軟性に秀でているのが、AWSの魅力と言っても過言ではありません。
●従量課金制
AWSは初期費用が無料な上、料金体系は従量課金制を採用しています。サービスを利用した時間や通信量に応じた費用だけを払えばOKです。使っていないサービスにもコストがかかってしまうことはありません。タイミングに応じて必要な機能を追加・停止させて、料金を変動させたりリソースを調整したりすることも可能です。時間単位での課金になるため、サービスの検証や実験的なプロジェクトなどにも活用できます。
端的に言えば、使った分だけ費用が発生する分、AWSは「余計なコストが発生しにくい」のです。Webサービスを利用する上で、コストを抑えたい企業にとっては、AWSの導入を検討するのも手です。
●セキュリティが高い
AWSは、もともとAmazonが「自社サーバとして利用していたもの」を提供しているサービスです。そこから、クラウドコンピューティングサービスとして提供され始めたのが、AWSの始まりとなっています。したがって、Amazonが持つ高いセキュリティレベルがそのまま活かされているのが特徴なのです。政府や金融機関、小売業者や医療機関などのセキュリティ要件・コンプライアンス基準もクリアしています。
加えて、セキュリティレベルの向上・更新も常に行っているのもAWSのポイントです。常に最新のセキュリティが導入されているほか、セキュリティの最新化の処理はサービス側で行われているためユーザーの手間はかかりません。
●パフォーマンスに優れている
AWSは、世界の11エリアに地域にサーバを設置しています。ユーザーに最も近い設備からサービスが提供されているため、常に高いパフォーマンスを保ったままサービスを利用できます。さらに、ハードウェアの更新も定期的に行われているのも特徴です。
AWSのサービス
前述の通り、「AWS」は複数の独立したサービスの総称です。ユーザーは数あるAWSのサービスの中から、必要なサービスを任意でセレクトし、利用します。以下でご紹介するのは、AWSの中でも特にポピュラーなサービスです。
AWSの代表的なサービス | ||||
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サービス名 | AmazonEC2 | RDS | AmazoncloudFront | AmazonS3 |
容量 | 必要に応じて変更可能 | 必要に応じて変更可能 | – | 容量無制限 |
料金体系 | 従量課金制 | 従量課金制・予約制 | 従量課金制 | 従量課金制 |
特徴 | 複数サーバの構築が可能 | サーバやOSの管理を フルマネージドで行なってくれる |
さまざまなWebコンテンツを 配信できるサービス |
ストレージサービス。 ネット環境があればどこでもデータの閲覧・管理が可能 |
●AmazonEC2(Amazon Elastic Compute Cloud)
EC2は、必要なときにだけ使用できる仮想レンタルサーバで、料金は利用する容量とアクセス量に応じて変化します。AWSの中でも特にユーザー数の多いサービスです。「Elastic(弾力のある、伸縮自在の)」という名前の通り、運営しているWebサイトの規模やアクセスによる負荷に応じて、利用する容量を変更できます。これにより、キャンペーンを行ったり、コンテンツがSNSでシェアされたりして突発的にアクセス数が増加しても、容量オーバーでサーバがダウンすることはありません。
●RDS(Amazon Relational Database Service)
RDSはマネージド型のデータベースサービスです。OSやDBMSをインストールしたり、運用管理をしたりする必要がないので、リレーショナルデータベースの運用を簡単に行うことができます。MySQLやOracle、SQL Serverなどに対応しており、それぞれの機能をフルに利用できます。自動バックアップも可能で、アクセスの負荷を軽減したり、冗長性を持たせたりすることもできるため、大規模なデータベースの構築・運用も可能です。
●Amazon CloudFront
CloudFrontは、コンテンツデリバリーネットワークサービスです。動画や画像などのコンテンツファイルを、コンテンツデリバリーネットワークを介してユーザーに配信することで、Webサイトでコンテンツを簡単に配信できます。初期費用や毎月のコストは必要なく、EC2と同じように利用した分だけの費用が発生します。
●Amazon S3(Amazon Simple Storage Service)
S3はAmazonのサーバを利用したストレージサービスです。データをクラウド上に保管して、どこからでもデータを閲覧・保存できます。利用した分だけの料金がかかるので、気軽に利用できます。開発やデータベースのバックアップなど、容量の大きいデータにも対応しており、Webサービスやシステムに導入してデータを別のシステムに受け渡すための保管場所などに利用することもできます。さらに大量のデータの場合は、スピードにやや難があるものの、低コストの「Amazon Glacier」というサービスを利用することもできます。
ほかにもDNS、VPC、システムのモニタリング、オンライン決済、アカウント管理、動画変換などAWSにはさまざまなサービスがあり、必要なものだけを連携して利用可能です。
AWSのメリット・デメリット
AWSは便利なサービスである一方、メリットと同時にデメリットもあります。サービスを利用する前に、メリットとデメリットの両方を把握しておきましょう。AWSだけに限った話ではありませんが、新しいサービスを導入する際は機能や料金体系に加えて、付随するメリットやデメリットを理解した上で検討することを推奨します。
●AWSのメリット
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初期費用や契約費用がかからない
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ハードウェアやソフトウェアを購入する必要がない
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従来のオンプレミスのように容量検討・サーバ選定などを行う必要がない
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最新のセキュリティ体制を常に保っている
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サーバの準備から運用のリソースを確保できる
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必要に応じて柔軟にリソースを増減できる
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リスクやインシデントの分散がされている
「選ばれる理由」の項で紹介したように、AWSは、サーバなどのハードウェアやアプリケーションソフトウェアを購入したり、設置したりする必要がないので初期費用が必要なく、契約費用もありません。料金は利用量に応じて決まります。小規模なスタートアップでも大企業でも、それぞれのスタイルに合わせて利用できます。
また、すぐに利用を開始できる点も大きなメリットです。オンプレミスサーバのようにサーバーの選定や設定などは必要ありません。ハードウェアやソフトウェアの選定や設置はAWSが行うので、ユーザーはすぐに使い始めることができます。準備期間が不要のため、時間や人手を節約して、システム開発に集中できます。
●AWSのデメリット
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従量課金制であるため正確な料金の見積が難しい
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サービスのみの提供であるため、システム担当者がいないと運用が困難
AWSは利用量に応じて料金が変化するサービスが多いので、毎月の費用が一定ではありません。使った容量は見ることができるので、ある程度の見積を出すことはできますが、請求書が来るまで正確な料金が分からないのが一般的です。毎月のコストが固定費ではなく変動費になるのはメリットですが、請求額が分からないのはデメリットといえるでしょう。
またAWSが提供しているのは、あくまでサービスのみです。メニューは豊富に揃っていますが、サービスの利用方法について個別のサポートはありません。実現したいWebサイトやWebサービス、さらにAWSの導入などは自分で行い、トラブルが発生した際も対処する必要があります。
利用価値が高いAWSの豊富なサービス
AWSは仮想サーバの構築やコンテンツ配信、クラウドによるデータ管理などさまざまなリソースを確保できるのが特徴です。
もっと身近な例をあげると、動画ストリーミングサービスの運用やWebサイトの運用、ビッグデータ解析によるデータ収集などの場面で活用できます。たとえばコンテンツ配信サービスの「Amazon CloudFront」は、動画のストリーミングサービスである「Amazon Prime Video」や「Hulu」で導入されているのがポイントです。また株式会社東芝では、製品サポートに必要なダウンロードソフトウェア配信環境にAmazonEC2、AmazonS3、Amazon CloudFrontが導入されています。
AWSのシステム構築で覚えておくと良い用語
用語 | 主な意味 |
---|---|
AZ(アベイラビリティゾーン) | データセンター |
Region(リージョン) | データセンター郡があるエリア/td> |
インスタンス(Instance) | AWSクラウド内に立てられた仮想サーバ |
サブネット | 大きなネットワークを小規模に分割したネットワーク |
AWSを使ったシステム構築をするのであれば、以下の用語は覚えておくとよいでしょう。AWSをあまり使ったことのない方に向けて、システム構築でよく使われる用語を紹介します。
●AZ(アベイラビリティゾーン)
AZとはデータセンターを指す言葉です。AWSのサービスは、複数のAZにシステムが保管されることで成り立っています。
●Region(リージョン)
本来は「地域」や「領域」という意味を持つ言葉です。転じて、AWSなどクラウドコンピューティングのシーンではデータセンター群があるエリアのことを指します。
●インスタンス(Instance)
インスタンスとは、AWSクラウド内に立てられた仮想サーバを指します。RDSやEC2によって構築された仮想サーバをカウントする際の単位として用いられます。
●サブネット
1つの大きなネットワークを、さらに小規模に分割したネットワークは「サブネット」と呼ばれます。
AWS導入・構築支援で最適な発注先をスムーズに見つける方法
今回は、Amazonが提供するクラウドサービス「AWS」について詳しく紹介しました。
AWSは、あくまでシステム構築に必要なサービスやインフラを享受できるサービスです。必要な開発やカスタマイズはユーザーの手によって行う必要があるため、システム開発の知識・技術がないと運用に行き詰る可能性もあります。
よりスムーズかつ効率的にAWS導入・構築を進めたいのであれば、システム開発会社へ外注するのも手です。日本最大級のシステム開発会社ポータルサイト「発注ナビ」は、実績豊富なエキスパートが全国1,500社以上のシステム開発会社から、貴社に代わって最適な発注先を探し、ご相談からご紹介まで無料で対応いたします。
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