今回は、制御開発業者を選ぶ際のポイントについて。
依頼する案件の分野で実績を持つ会社を選ぶこと
得意とする開発環境や言語が依頼案件にマッチングした業者を選ぶこと
「費用・納期・システムの内容」など、具体的な提案能力を持つ業者を選ぶこと
はじめに
制御システムについて
制御システムは、IT業界では一般に「制御系」と呼ばれ、機器や別のシステムを管理・制御するためのシステムを指します。家電製品などに組み込まれる、いわゆる「組み込み系」も制御システムの一種ですし、NC旋盤などをコントロールするためのシステムも制御システムです。制御開発案件を外注するにあたっては、このようなジャンルの広さを念頭に、ふさわしい技術を持つ業者を選ぶ必要があります。
依頼したい分野の実績をチェック
「制御システム」といっても、家電製品を制御するようなシステムと監視装置や通信装置を制御するようなシステムは必要とする技術がまるで異なります。また制御システムは使われるハードウェアとセットで動作するため、システムだけでなくチップやメモリなどとの関係性についても専門的なノウハウが求められます。
こうした背景から、制御系の優秀なエンジニアは不足気味といわれています。業者を選定する際は、どんな分野でどれくらいの実績を持った会社なのかを事前によく調べましょう。いくら実績があっても、依頼したい分野と畑違いでは不安が残ります。できれば担当予定のエンジニアの個人的なスキルまでチェックしておきたいところです。
得意とする開発環境や言語
制御システムで用いられるCPU(中央演算装置)は、PCなどに使われる汎用性の高いものではなく、必要最低限の用途に特化したCPUが使われます。これらのCPUは機能が限定されているため安くて処理が速いという特徴がありますが、汎用性がないため、求められる機能を実現できるかどうか、どのようなプログラムを書けばそれが実現できるのかという知識がエンジニアに求められます。また、OSも処理の速いRTOS(リアルタイムOS)や組込みLinuxが採用されること、あるいはOSなしという場合もあります。
このため開発環境も、たとえば組込みLinux+Java、組込みLinux+C/C++、RTOS+Cなど案件によって使い分ける必要があり、外注にあたってはそれぞれを得意とする業者を選定する必要があります。
提案能力はしっかりしているか?
「そんなことをいわれても、外注したい案件にどのような技術が必要なのか、こちらは素人なのでわからない」という場合もあると思います。そういう際は、まずめぼしい業者(できれば規模や得意分野などが異なる業者)をいくつかピックアップし、営業担当者を呼んで「自分たちが実現したいこと」を説明し、どのような方法で、いくらぐらいの予算・納期で実現してくれるのかを提案してもらいましょう。
この場合、個別に相見積もりをとっても構いませんし、合同説明会のような形でこちら側の要求を伝え、各社ごとに個別に提案してもらうという形でも構いません。
おわりに
制御開発に限りませんが、システム開発は開発過程でのコミュニケーションが非常に重要です。要求~提案までの間、各社の営業担当とのコミュニケーションがどのようなものであったか、「わからないことを教えてくれて、こちらの伝えたいことをしっかり引き出してくれたかどうか」といった点についてもしっかり評価し、外注先を選定しましょう。