テレワークや在宅ワークが普及した現代は、多くのメリットから業務システムのクラウド化を検討する企業も珍しくありません。クラウドが必要だとは知っていても、クラウド化を進める具体的な方法をイメージすることは難しいでしょう。この記事では、クラウド化に対して悩みを持つ企業担当者の方に向けて、システムをクラウド化すべき理由やクラウド化が可能なシステム例、システムをクラウド化する具体的な方法についてご紹介します。
目次
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システムをクラウド化すべき理由とは
クラウド化における基本情報として、最初に以下の3点について詳細に解説します。
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システムのクラウド化とは
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クラウド化すべき理由
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オンプレミスと何が違うの?
●システムのクラウド化とは
システムのクラウド化とは、既存の情報システムを外部のクラウドサービスに移行することです。クラウドサービスの種類には以下の3種類があります。
SaaS(Software as a Service)
SaaSは、インターネット上で利用するWebサービスのことで「サース(またはサーズ)」と呼びます。
このSaaSは、使用しているデバイスが異なっていても同一アカウントを使うことで同じサービスを利用できます。クラウドサーバー上のソフトウェアを利用するため、導入コストが安く開発も必要ありません。一方でカスタマイズの自由度が低く、自社に合ったサービスを利用したい場合は不向きなクラウドサービスです。代表的なSaasとして下記があります。
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Microsoft Office 365
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Gmail
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Dropbox
PaaS(Platform as a Service)
PaaSは、アプリケーションの実行に必要なネットワークやOSなどを利用できるサービスを指し、「パース」と呼びます。PaaSを導入することで開発環境を整備する必要がなく、システム開発に専念できるメリットがあるのです。しかし、開発言語やデータベースはベンダー提供のものしか利用できません。代表的なPaaSとして下記があります。
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Amazon Web Service(AWS)
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Google Cloud Platform
IaaS(Infrastructure as a Service)
IaaSは、ネットワークやサーバーなどのインフラを提供するクラウドサービスを指します。「イアース」とも呼ばれ、IaaSの導入にはインフラエンジニアのような専門知識を持った技術者が必要です。代表的なIaaSとして下記があります。
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Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)
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Microsoft Azure
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Google Compute Engine(GCP)
●クラウド化をすべき理由
クラウド化すべき理由は、以下のようなメリットを享受しやすくなるためです。
システム面・セキュリティ面のコスト削減
サーバーを自社で運用するとなると、メンテナンスや障害対応、設置スペースなど多額のコストが発生します。クラウドサービスを導入すると自社のサーバー設置は不要となり、メンテナンスや障害対応もすべてベンダーの役目となります。その結果、大幅なコスト削減につながりやすいのです。
また、セキュリティ対策は日々アップデートしていく必要がありますが、クラウドのセキュリティはサービス提供会社が対策を講じてくれます。そのため、セキュリティ対策のコスト削減にもつながるのです。多くのクラウドサービスで強固なセキュリティ対策を行っているため、海外の企業もシステムをクラウド化する例が増えています。サーバーを自社で運用する場合、セキュリティについて知識を持った人材を雇用するか外部委託する必要があるため、コストがかかります。
利便性の向上
システムをクラウド化すると、システムに外出先や自宅からアクセスができます。また、クラウド化したシステムは、サービス提供事業者がセキュリティ対策を実施しているため、安心して利用できるというメリットがあります。
●オンプレミスと何が違うの?
オンプレミスとは、自社でサーバーやネットワーク機器を用意しITシステムを構築・運用することです。端的にいえば、オンプレミスが物理サーバーであるのに対し、クラウドは仮想サーバーです。オンプレミスは導入コストが高く、運用するための人員が必要になります。また、導入に時間もかかりがちです。一方、クラウドはオンプレミスよりも初期投資を抑えられ、また利用料金は従量課金制となります。サーバーなどを準備する必要がないうえ、Webからのアカウント登録ですぐに利用が可能です。障害発生時にはオンプレミスは自社で復旧作業を行う必要がありますが、クラウドはサービス提供会社が対応します。
クラウド化が可能なシステム例を紹介
クラウド化が可能なシステムは、以下のようなものがあります。
クラウド化が可能なシステム例 | |
---|---|
ビジネス業務関連のシステム | 営業管理システム |
顧客管理システム | |
バックオフィス業務関連のシステム | 勤怠管理システム |
人材管理システム | |
採用管理システム |
ビジネス業務関連のシステムは、経営戦略・マーケティング・営業活動などをサポートするシステムです。ビッグデータやAIの膨大なデータの集計と分析を実行し、経営判断に役立つ情報を視覚化してくれます。一方のバックオフィス業務関連システムは、企業の経理・人事・総務の業務をサポートする支援サービスです。バックオフィス業務のクラウド化は労働時間や人件費の削減につながり、長時間労働も減らせます。
●営業管理システム
営業管理システムの代表的なものに以下の3つがあります。
BI(ビジネスインテリジェンス)
「BI」とはビッグデータから情報を抽出し分析できるようにしたシステムです。経営管理や売上のシミュレーションにも活用でき、多くの企業が利用しています。BIツールには、レポーティングやOLAP分析、データマイニングなどの機能があり、システムを横断したデータ分析も可能です。
MA(マーケティングオートメーション)
MAとは、獲得した顧客情報を一元管理しマーケティング活動を自動化できるツールのことです。このMAには、「B to B」向けと「B to C」向けがあり、リードの獲得や管理、マーケティング業務の自動化などがMAの機能として挙げられます。活用事例として、SNSで認知させ自社サイトに誘導し、自社サイトを訪問したユーザーにプッシュ通知を送るなどがあります。
SFA(営業管理システム)
「SFA」とは「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」を略したもので、企業の営業部門の情報全般をデータ化・蓄積・分析できるツールのことです。SFAツールを導入すると、顧客やレポート管理などの機能によって、営業活動の「見える化」「効率化」「標準化」につながります。
●顧客管理システム
顧客管理システムの代表的なものは、CRMです。ここでいう「CRM(Customer Relationship Management)とは、カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の略称です。顧客に関する情報を一元管理し、マーケティング・サポート・マネジメントができます。CRMツールによって顧客の可視化ができるため、顧客のニーズに合ったサービスや商品を迅速にアプローチできるでしょう。
●勤怠管理システム
「勤怠管理システム」とは、その名のとおり従業員の出退勤を管理するシステムで、従業員の出退勤時間や労働時間を把握できます。正確な打刻時間を把握したり、打刻の不正を防止したり、出退勤にかかわる悩みの解決に役立つシステムです。給与計算システムなどほかのシステムと連携させることで、総務や人事の業務負担の軽減もできます。
●人材管理システム
「人材管理システム」とは、採用管理・人事評価・給与計算など人事情報を管理できるシステムです。人事業務の効率化や人材の適材適所への配置に役立ちます。勤務形態が多様化する現代では、正確な人事評価を行う上で役立つシステムといえるでしょう。
●採用管理システム
「採用管理システム」とは、採用業務をデータ化し管理するシステムです。応募者情報の一元管理、採用スケジュールの進捗管理、イベント管理などができます。従業員の採用活動を効率的に行うための機能が多く、特に就職活動のシーズンにおいては役立つシステムといえるでしょう。
システムをクラウド化する方法
システムをクラウド化する方法には、以下の2つの方法があります。
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パブリッククラウドを導入する
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プライベートクラウドを開発する
●パブリッククラウドを導入する
パブリッククラウド | プライベートクラウド | |
---|---|---|
メリット | オンラインですぐに導入しやすい | システムをカスタマイズしやすい |
初期費用が発生しにくい | 自社に合うシステムを構築しやすい | |
サーバー作成の自由度が高い | 情報漏洩を防止しやすい | |
デメリット | セキュリティ性に劣りやすい | 専門的な知識を必要とする場合がある |
事業者がサービスを停止する場合がある | 納入までコストと時間がかかる | |
障害が発生した場合対処しにくい | ||
システムをカスタマイズしにくい | 導入後はリソースを柔軟に変更できない | |
既存ソフトウェアと連携できない場合がある |
パブリッククラウドの特徴は以下のとおりです。
パブリッククラウドとは
「パブリッククラウド」とは、クラウドサービスの事業者が提供するサーバーを企業・個人が利用する形態のことです。専用のハードウェアが不要なため、必要な時に必要なだけサービスを利用できます。
メリット・デメリット
パブリッククラウドのメリットは、導入コストがかからず必要な分だけ利用ができることです。デメリットは、セキュリティ面の不安やシステム障害によりサービスを停止する場合があることです。個人情報を取り扱っている企業にとってはリスクがあるでしょう。また、自由にカスタマイズできないため既存のソフトウェアとの連携ができない場合もあります。
導入方法
パブリッククラウドはオンラインでの申し込みで、すぐ導入できます。導入後は、契約した内容に応じて月々の使用料を支払う仕組みです。中には一定期間無料で使用できるサービスもあるので、自社に適しているかどうかを試してみるのも良いでしょう。
●プライベートクラウドを開発する
一方のプライベートクラウドには、以下のような特徴があります。
プライベートクラウドとは
「プライベートクラウド」とは、企業が自社専用のクラウド環境を構築し、サーバーの運用・管理をする形態です。従来のオンプレミスのように自社で設計・管理できるため、自社に合った柔軟な設計ができます。また、セキュリティ面も強固なセキュリティ対策ができるため安心できるでしょう。
メリット・デメリット
プライベートクラウドのメリットは自社独自のクラウド環境にできることです。OS・仮想環境など細部にわたり柔軟にカスタマイズできるのが魅力です。また、クローズドシステムのため高度なセキュリティレベルで対応できます。情報漏洩の心配がないため、個人情報を取り扱っている企業でも安心して利用できるでしょう。デメリットは、一からシステムを構築するためコストがかかることです。インフラの設置やメンテナンスも必要なため、専門的な知識を持った人材の配置も必要になります。さらに、導入後にリソースを柔軟に変更できない点もデメリットでしょう。
導入方法(自社開発、外注)
プライベートクラウドの導入方法には、自社開発と外注があります。自社に専門知識を持った人材がいる場合は自社開発ができますが、開発経験がない企業には外注がおすすめです。
クラウドを導入する時のポイント
最後に、パブリッククラウドとプライベートクラウドのそれぞれで導入するポイントをご紹介します。
●パブリッククラウド
サポート体制
パブリッククラウドを導入する場合サポート体制が充実しているサービスを選びましょう。チェックすべき項目は、導入前や運用中のトラブル対応について相談できることと、導入やシステム構築を依頼できることの2点です。
データ容量の増加
パブリッククラウドは、データ容量を増やせるサービスを選ぶのがおすすめです。あらかじめ必要なデータ量は把握しておきましょう。会社の規模が大きくなると扱うデータ量も増えがちなので、必要なタイミングで必要な量を増やせるサービスが良いでしょう。
導入後の管理も考慮する
パブリッククラウドは、運用開始後の管理における手間やコストについても考慮しなければなりません。それらを考慮せずに運用を開始してしまうと、想定しなかった手間やコストが発生してしまいます。運用開始後に起こり得る事態やそれにかかるコストを考え、クラウドサービスを提供する企業がどのような対処をしてくれるかをチェックしましょう。
コストとパフォーマンスのバランスを確かめる
パブリッククラウドはコスト面だけでなく、機能面(パフォーマンス)も大切です。コストだけに着目してサービスを選ぶと、自社に必要な機能が利用できず、結果的に導入した意味がなくコストだけ嵩んでしまう可能性があります。コストだけではなく必要な機能が利用できるかも確かめましょう。。
セキュリティの強さ
パブリッククラウドを選ぶ場合、セキュリティ面のチェックは必要です。十分なセキュリティ対策をしていないサービスは、情報漏洩や不正アクセスのリスクも高まります。暗号化通信やIPアドレス制限、端末認証などのチェックポイントを押さえておきましょう。
●プライベートクラウド
自社開発の会社を選ぶ
自社開発している会社は、エンジニアのレベルが高いケースが多いほか、細かい要望が伝えやすいなどの特徴があります。そのため、クオリティの高い開発が期待できるのです。一方、外注比率の高い会社や、自社開発と外部委託両方の体制を持つ会社は、エンジニアの実績・経験に乏しく、認識のズレが生じる可能性が高い傾向もあります。
業績が安定している会社を選ぶ
外注する場合、業績が安定している会社を選ぶことをおすすめします。システムの運用は長いスパンで考える必要があり、アップデートや機能改善を繰り返すのです。しかし、業績が安定していない会社はアップデートの頻度が少なく、セキュリティ性やシステムの使い勝手に問題が生じることも少なくありません。
クラウドの開発実績が豊富な会社を選ぶ
外注する会社を選ぶ場合、クラウドの開発実績が豊富な会社を選びましょう。システム開発会社の得意分野は会社によって異なります。実績が豊富であってもクラウドの開発が得意分野でない場合もあるのです。
PM(プロジェクトマネージャー)のコミュニケーション能力が高い会社を選ぶ
クラウドの開発を依頼する場合、担当窓口はPMとなります。
PMのコミュニケーション能力が高いと、質問や疑問にも的確に返答してもらうことができ開発がしやすくなります。しかし、PMのコミュニケーション能力が低い場合、認識のズレが生じて意図したものと違う開発になってしまう可能性もあるのです。メールや電話、対面のやり取りから、PMのコミュニケーション能力をしっかりとチェックしましょう。
パブリッククラウド・プライベートクラウドを導入する時の注意点
パブリッククラウド・プライベートクラウドの導入には、以下のような注意点があります。
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回線の負担増
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セキュリティリスク
●回線の負担増
クラウドサービスは、利用人数に合った回線プランを選ぶことをおすすめします。利用者が多すぎると通信速度の低下を招き、アクセス障害を起こすこともあるのです。つながりにくいサービスはユーザー離れの原因となってしまいます。利用者が多い場合は、自社専用にできるクラウドサービスを選びましょう。
●セキュリティリスク
システムをクラウド化する場合、セキュリティ対策は必須です。対策を講じないと情報漏洩・ウイルス感染・不正アクセスの恐れがあります。特にテレワークなどでWi-Fi接続する場合は注意が必要です。SSL通信やWPA2などの複雑な暗号化のほか、パスワード認証の厳格化で対応します。アプリケーションやOSの更新も怠らないようにしておきましょう。
クラウド開発が得意な会社への外注もおすすめ
システムをクラウド化すると、「コスト削減」「利便性の向上」「セキュリティ対策の向上」など、さまざまなメリットがあります。
システムをクラウド化するには、パブリッククラウドとプライベートクラウドがありますが、セキュリティ面に強く、自社に合うクラウドを利用したい場合は、プライベートクラウドが良いでしょう。自社に開発環境や開発ノウハウがある場合を除いて、クラウド開発は外注で行うのが理想です。クラウド開発を外注する場合、業績が安定していてクラウド開発で実績のある会社を選ぶことをおすすめします。
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