事業にはいろいろな取引方法がありますが、スマートフォンをはじめとする通信デバイスが普及する中で、注目されているのが「CtoC」の取引です。CtoCは一般消費者同士が取引する形式なので、事業者としては介入しにくいと思う方もいますが、仲介役としてサイトやアプリなどを制作・提供することで利益を得られます。
ただし、利益を得るにはCtoCの特性や注意点などを理解してマーケットインする必要があるので注意しましょう。本記事ではCtoC向け事業の利点や事例、事業参入のためのサイト・アプリを制作する方法などをご紹介していきます。
目次
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CtoCとは?
「Consumer to Consumer」の略称であるCtoCとは、「一般消費者同士が取引を行う形式」です。基本的には、仲介用のマッチングサービスがあり、それに登録してから売り手と買い手がマッチング、商品取引を行うビジネスモデルを意味します。
従来の商品・サービス取引といえば、「BtoC(企業と一般消費者)」や「BtoB(企業同士)」が中心でした。事業者から一般消費者が商品・サービスを手に入れるBtoCは、長らく日本経済を支えており、同じようにBtoBも事業者間で取引を行い長期的な関係を築く方法として今でも一般的です。ただし、現在ではインターネットの普及やそれに伴う消費者の情報発信力強化などが影響して、CtoCのようなBtoCやBtoBに該当しない取引形式も登場しています。
CtoCは、フリーマーケットのように消費者同士が売り手と買い手になり取引を行うのが特徴になっています。現在では、CtoCを実現するサイトやアプリが普及しており、消費者はそういったサービスを利用して取引を行うのが一般的になりました。
●CtoC直近の市場規模と将来性について
大量生産・大量消費の時代は終わり、現代は「限られた資源を複数人で共有して使おう」という流れを作り出しています。その流れを受けた「シェアリングエコノミー」は、現在急速に普及しつつあります。このシェアリングエコノミーを実現するのがCtoCを利用できるサービスであり、シェアリングエコノミーの市場規模拡大はCtoCの市場規模拡大と関連性が強いといえるでしょう。
現代におけるCtoCの市場規模は1兆円以上ともいわれており、今後もCtoC市場は成長していくこととなるでしょう。現在はコロナ禍で衛生上の観点から民泊や交通などに関するマッチングサービスが使いにくくなり、市場成長に悪い影響を与えてはいます。ただしECのCtoC関連分野は依然として堅調に成長しているので、コロナ禍が収束すればさらに大きなCtoC市場成長が見込めるようになるでしょう。
ほかの取引形式との違い
CtoC以外にも、次のような取引形式があります。各取引形式を比較しながら適切なジャンルでマーケットインを目指してください。
●BtoG
政府関連組織に対して、商売を行う形式が「BtoG(Business to Government)」です。信頼性が高いとみなされた大企業などがBtoGで国と取引しています。道路工事や専用の消耗品販売といった事業は、BtoGに該当します。BtoGを行うのは簡単ではありませんが、取引先が国に関係する組織という点で安定性の高さに定評があります。長期的に受注ができる関係を作れば、安定した利益が見込めるでしょう。
●BtoB
事業者対事業者の取引を、「BtoB(Business to Business)」と呼びます。大ロット発注に応じた大幅な割引などが受けられるのは、発注数が多くなりがちなBtoBならではの形式です。以下のようなものが、BtoBに該当します。
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企業用の消耗品販売
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業務システムの提供
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法人向けの広告デザイン作成・運用
BtoBで販売する商品・サービスは検討期間が長くなる弱点がありますが、その分販売した時に得られる利益も大きくなりやすい点がメリットです。現在ではサブスクリプション形式で長期的に利益を確保するパターンも増えています。
●BtoC
「Business to Consumer」の略であるBtoCは、企業対消費者の取引を指しています。例えば、以下のような取引がBtoCに該当します。
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一般家庭で使用する日用品の販売
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プライベートで使うインターネット関連サービスの提供
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生活に関する代行サービスの提供
現在では、コロナ禍を受けてEC経由でBtoCを行う企業も増加しており、CtoC事業者がBtoCへ新規参入するパターンも増えています。これにより、BtoCとCtoCを両方提供して利益を得る方法も考えられるでしょう。
●BtoE
BtoE(Business to Employee)は、事業者と従業員間の取引を指しています。事業者が自社従業員向けに行う取引をはじめ、事業者が他社の従業員向けサービスをサポートするために行う取引もBtoEです。事業者が自社の従業員に向けて格安で自社商品・サービスを提供することで、ロイヤリティを醸成して離職防止につなげるといった効果が見込めます。そういった背景から、BtoEは福利厚生の一環として提供されるのが一般的です。現代は、自社従業員向けにコーヒーやお菓子といった商品を提供できるサービスも登場しています。
ユーザーと事業主別のCtoCを利用するメリット
ここからはCtoCの利用メリットを、ユーザーと事業主別に解説していきます。
●ユーザーから見たメリット
ユーザー視点で得られるCtoCの利用メリットは、次の通りです。
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購入するよりも安い
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出品することで利益を得ることも可能
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いろいろなモノを試せる
企業から直接商品・サービスを購入すると高価になる事例も多く、一般消費者にはハードルの高さを感じて購入をあきらめるケースもありました。CtoCを使えば商品・サービスをほかの消費者から安く購入可能です。
商品によっては価格が高騰しやすいといった弊害もありますが、良い消費者と取引できれば納得できる価格で商品を手に入れやすいのが利点です。また、自分が売り手として出品することも可能です。出品して商品を売ることで、個人ビジネスの練習になる、モノを無駄にしなくて済むといったメリットが得られます。また、現在ではフリマサービスの登場により、モノを処分するよりも出品しようという方が増えています。
また、安く購入できる分、いろいろなモノを試せるというのもメリットになっています。例えば、現在では高級車をほかの方から短期間で借りられるサブスクリプションサービスも登場しており、複数の高級車を購入しようとするより楽に自動車を試せる環境ができつつあります。
●事業主から見たメリット
事業主(CtoCサービス提供者)の場合、次のようなメリットが得られます。
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仲介手数料が得られる
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ユーザーの囲い込みやロイヤリティ向上などが狙える
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在庫調整の負担がない
プラットフォーム提供者は、CtoCサービスを提供することで、報酬として仲介手数料が得られます。この仲介手数料は、販売成約の際に支払われた代金の一部を指定することで得られるのがポイントです。競合と比較してちょうど良い手数料割合を提示できれば安心です。また、以下のようなサービス上の工夫によって、長期的に売り手や買い手を囲い込んで長期的な利益につなげることも可能です。
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専用配送サービスを用意して安く提供する
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販売成約に応じてポイントをプレゼントする
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販売サポートとしてアドバイスを行う
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購入に使えるポイントをプレゼント、または付与する
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トラブル時も補償を付けて損をしないように調整する
大手のサービスなどを参考にして、独自のシステムを提供・定着させられれば安心できます。自社で在庫を用意する必要がないので、在庫仕入れや調整に伴う負担がないのもメリットです。ただし、売り手の在庫数を反映して買い手へ適切に提示できる環境を構築する必要はあります。
代表的なCtoC事業
代表的なCtoC事業としては次のようなものが挙げられます。
●メルカリ
メルカリは、CtoC事業の中でも認知度の高い人気サービスです。Amazonといった総合モールのCtoC版ともいえるサービスであり、洋服や食品などさまざまな商品が販売されています。専用の配達サービスも用意されており、キャンペーンの開催も多いので注目が頻繁に集まります。このメルカリは、決済分野にも力を入れており、「メルペイ」というサービスで加盟店を増やしながら収益を得ているビジネスモデルです。
●Uber
都市部を中心に、自動車のシェアリングエコノミーを展開しているのが「Uber」です。消費者が別の消費者向けに自家用車を提供して利益を得られるサービスになっています。自家用車は使わない場面も多い一方、そういった無駄な時間を利益にできるのがUberの特徴です。Uberでは消費者が配達人として商品を運ぶ「Uber Eats」も提供しており、こちらも注目が集まっています。
CtoC事業参入にはプラットフォームが必要?
CtoC事業は基本的にプラットフォームを介して行われます。直接取引にせずプラットフォームを挟むことで、以下のようなメリットがあるからです。
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トラブル時のサポートを受けられる
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各機能を利用してスムーズに取引できる
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さまざまな利用者とコンタクトが取れる
CtoC事業に事業者が参入する際は、このプラットフォームを構築して売り手と買い手となる消費者へ提供する必要があります。ただし、プラットフォームの構築以外にも以下のような項目を決める必要があり、時間をある程度掛けて事業参入していく努力が必要です。
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ターゲットユーザーを誰にするか
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Webサイトとアプリのどちらで、あるいは両方で提供するのか
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手数料やプランといった料金体系をどうやって整備するか
●利用ユーザーを増やすWebサイト・アプリを制作する方法
Webサイト・アプリを制作するには、自社制作と外注(アウトソーシング)の2つの方法が考えられます。
小規模なサービスなら自社制作でも開発がしやすい一方、複雑で大規模なシステムを開発する場合は、開発に長けている開発会社へ依頼する方法がおすすめです。開発会社は各言語に精通しており、販売分野のトレンドにも詳しいのがポイントになってきます。開発ノウハウや工数を確保できない企業におすすめで、SEOといった関連分野でのサポートを受けられるケースもあります。単にCtoCサービスを制作しただけでは効果が得られないので、心配な場合はマーケティング関係のサポートまで受けられる会社を用意しましょう。
CtoC事業を立ち上げる前に対策しておきたいこと
ここからは、CtoC事業立ち上げ前に対策しておきたいポイントを解説していきます。
●売り手・買い手
売り手と買い手の目線では、次のような点に注意する必要があります。
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トラブル発生時の責任の所在
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決済時の補償の問題
取引時にトラブルが発生した際、知識がないとうまく解決ができず損をしてしまうケースもあります。事前にプラットフォーム規約を確認して適切に対応する必要があるでしょう。事業主側でも、わかりやすい規約策定に努めてください。また、決済時といったタイミングで補償がどうなるかもカギになってきます。商品がうまく送られてこない場合はどうするのか、決済トラブルがあった際はどうやって返金対応などを行うのかといった点は取引する消費者にとって重要です。事前に補償内容を考えて提示する準備をしておきましょう。
●事業主
事業主目線では、以下のような観点が重要です。
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利用ユーザーを増やす施策を考える
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プロモーション戦略を継続的に行える体制を作る
利用ユーザーを初期から増やすには、ポイントといった制度を用意してキャンペーンを行う、全消費者が使えるクーポンを用意するといった施策を準備する必要があります。また、新規顧客獲得だけでなく、リピーター創出に関する施策も練っておく必要があるでしょう。このほか、継続的なプロモーション施策が回せる体制構築も重要です。不足している場合は、人材を集めてCtoCへ対応できるようにしましょう。
注目度の高いCtoC事業は外注での開発も視野に
今回はCtoC向け事業の利点や事例、事業参入のためのサイト・アプリを制作する方法などをご紹介してきました。
CtoCは事業者目線でいうと、プラットフォーム提供者として参入することで利益が得られる取引形式です。シェアリングエコノミーへの注目度が増している今だからこそ、参入の魅力が大きい取引形式となっています。ただし、補償内容を考えるといった点から安心に使えるプラットフォームを提供する必要があります。プラットフォームやシステムの開発会社探しは、「発注ナビ」にご相談ください。
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