テレワークやサテライトオフィスなど、働く場所を選ばない柔軟な働き方が広がる中、企業のIT環境には「安全性」と「運用効率」の両立が求められるようになっています。そんな課題を解決できる技術が「SBC(Server Based Computing)」です。SBCを活用することで、現場の管理負担を減らしながらセキュリティを強化し、社員がどこからでも安心して業務を行える環境を構築できます。この記事では、SBCの基本的な仕組みやメリット・デメリット、導入事例までをわかりやすく解説します。自社のIT基盤を見直したい方や、これから新しい働き方を推進したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
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SBC(Server Based Computing)の概要
現代のビジネス現場では、テレワークやサテライトオフィスなど柔軟な働き方が一般的になりつつあります。そうした新しい働き方を技術面で支えている中心が「デスクトップ仮想化」です。中でもSBC(Server Based Computing)は、企業のITインフラをシンプルかつ効率的に運用できる選択肢として注目されています。ここではSBCの仕組みや特徴、どんなときに選ばれているかを解説します。
●SBCの基本的な仕組み
SBCでは、業務に使うアプリケーションやデスクトップ環境をサーバに集約し、実際の処理はすべてサーバ側で行います。従業員は自分のパソコンやタブレットなどの端末からサーバへ接続し、サーバが処理した画面情報だけを受け取り、操作情報はサーバに送信する形です。
この仕組みにより、
- アプリケーションの実行やデータ管理はサーバが担当
- 端末側は画面の表示とキーボード・マウスなどの操作だけ
- クライアント端末にソフトウェアを個別インストールする必要がない
といったメリットがあります。
●どんなときに選ばれる?
SBCは、次のような場面で選ばれることが多いです。まず、テレワークやサテライトオフィスを推進している企業では、どこにいても社内の業務環境へ安全にアクセスできる基盤として活躍します。また、社内システムの管理を一元化したいときにも有効です。たとえば、何百台ものパソコンを個別に管理するのは大きな負担ですが、SBCを使えばサーバ側だけで一括管理ができます。
さらに、情報漏えいリスクや端末の故障対策が課題の企業にも向いています。クライアント端末には業務データが残らないため、万が一端末が紛失・盗難に遭っても、情報漏えいを最小限に抑えられます。
SBCとVDIの違い
デスクトップ仮想化の方式にはSBCのほかに「VDI(Virtual Desktop Infrastructure)」もあります。両者はよく比較される技術ですが、使い方や導入効果が大きく異なります。ここではSBCとVDIの違いを整理します。
比較項目 | SBC(Server Based Computing) | VDI(Virtual Desktop Infrastructure) |
---|---|---|
アーキテクチャ | 1台のサーバOSを複数ユーザーで共有 | ユーザーごとに仮想マシン・専用OSを割り当て |
リソース効率 | サーバのリソースを多人数で効率よく共有 | ユーザーごとに専用リソースが必要 |
導入コスト | 比較的低い | 高くなりやすい |
カスタマイズ性 | 標準化重視、個別カスタマイズは難しい | ユーザーごとに自由度が高い |
代表的な業務 | 定型作業、コールセンター、事務業務など | 開発・設計業務、専門職など |
●SBCは「みんなで一つのOSを使う」方式
SBCでは、一つのサーバOS(たとえばWindows Server)を複数ユーザーで同時に利用するスタイルです。全員が同じ標準化されたアプリケーションや設定を使うため、管理がシンプルで、効率的な運用ができます。ただし、一人の利用がサーバに負荷をかけると、他の利用者にも影響が及びやすくなります。
●VDIは「一人ひとつの仮想環境」方式
一方、VDIはサーバ上でユーザーごとに独立した仮想マシンを用意し、その中で専用OS(たとえばWindows 10や11)を動かします。これにより、各ユーザーは自分だけの環境を持ち、個別のアプリインストールやカスタマイズが可能です。その分、リソースやコストが多く必要になります。
SBC導入で得られるメリット
SBCを導入することで、企業や現場には多様なメリットがあります。ここでは主な5つのメリットについて具体的にご紹介します。
●管理コストを抑えられる
SBCの大きな特徴は、サーバでアプリケーションや設定を一元管理できる点です。各拠点や従業員のパソコンを個別に設定・更新する必要がなく、管理作業を大幅に効率化できます。新しいアプリの追加やアップデートも、サーバ側だけで済むため、展開が速くなります。
●セキュリティレベルを高められる
SBCは、業務データをサーバに集約して管理します。クライアント端末にはデータが残らないため、端末の紛失や盗難があっても、情報漏えいリスクを最小限に抑えられます。加えて、サーバ側で一括してセキュリティ対策を行うため、社内全体のポリシーを統一しやすく、管理の抜けや漏れが発生しにくくなります。
●端末の種類を問わず使える
SBCは、WindowsやMac、タブレット端末などさまざまなデバイスで利用できます。自宅のパソコンや社員の持ち帰り端末などからも、社内と同じ業務環境にアクセスできるため、柔軟な働き方を後押しします。
この多様な端末対応により、企業ではBYOD(Bring Your Own Device)の推進も容易になり、従業員の利便性を高めることができます。
●運用負担を軽減できる
全ユーザーが標準化されたデスクトップ環境を利用することで、トラブルの発生源や原因を特定しやすくなります。ITヘルプデスクも対応範囲を限定しやすく、サポート業務がシンプルになります。トラブル対応や問題解決も、迅速に進めやすくなるでしょう。
●短期間・低コストで導入できる
SBCは、専用ハードウェアや複雑なネットワーク構成を必要としないケースが多く、比較的短期間での導入が可能です。初期投資やランニングコストも抑えやすいため、中小企業やスモールスタートの現場にも適しています。
実際、MicrosoftのRDS CAL(クライアントアクセスライセンス)は、VDI向けライセンスよりも低価格で、コスト面でも有利な場合が多いです。
SBCの注意点とデメリット
多くのメリットがあるSBCですが、導入前に理解しておきたい注意点やデメリットもあります。導入に失敗しないためにも、以下のポイントはしっかりと確認してください。
●業務範囲が限定される場合がある
SBCは全員が同じサーバOS環境を使うため、共通の標準アプリケーションだけを利用する業務には最適です。ただし、専門職など個別にカスタマイズされたアプリケーションが必要な業務には不向きな場合があります。また、複数ユーザーの同時利用を想定していないアプリケーションは、正常に動作しない可能性があります。
●高負荷な作業には不向きな場合も
SBCはサーバリソースを共有するため、一部のユーザーが大量のCPUやメモリを消費する作業を行うと、他のユーザーにも影響が出やすくなります。例えば、画像編集や3D設計、大容量データの分析作業など高負荷な業務には向いていません。導入時には、リソースの使い方や運用ルールを事前に設計しておくことが重要です。
導入シーン別のSBC活用法
SBCは、さまざまな業種・業態で導入が進んでいます。ここでは、代表的な活用シーンを2つご紹介します。
●テレワークや在宅勤務への活用
SBCは、どこにいても社内の業務環境へ安全かつスムーズにアクセスできる仕組みを提供します。従業員が自宅のパソコンからSBCサーバに接続するだけで、普段と変わらない仕事が可能です。データはサーバに保管されるため、情報漏えいリスクも軽減できます。
●支店・拠点のIT標準化
本社だけでなく、支店や海外拠点を持つ企業では、各拠点のIT環境の標準化が大きな課題です。SBCを使えば、すべての拠点に同じデスクトップ環境やアプリケーションを展開できるため、拠点ごとの違いを減らし、ITサポートも効率化できます。新しい拠点の立ち上げもスピーディに進められるでしょう。
SBCを活用して、働き方改革とIT運用効率化を実現しよう
SBC(Server Based Computing)は、アプリケーションやデータをサーバに集約することで、管理や運用の効率化とセキュリティ強化を両立できる技術です。標準的な業務やリモートワークの基盤づくりにおいて、その効果は高く、多くの企業が活用しています。
ただし、自由度や個別カスタマイズが求められる場合や、高負荷な作業が多い現場では、他の選択肢(たとえばVDIやDaaS)と比較したうえで、自社の業務に合った仕組みを選ぶことが大切です。
まずは、現場の業務内容や従業員がどんな使い方をしているかをよく分析し、自社に最適なIT基盤を選んでみてください。SBCの特徴を活かして、働き方の柔軟性とIT運用の効率化を同時に目指しましょう。
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