ITに関する課題は『新規システムの開発』など一様に明確な要件ばかりではない。困っていることや解決したい課題はあるが、説明しづらいというケースも多いだろう。ナインシグマ・ホールディングス株式会社はまさにその状況だった。
同社はkintoneを活用していたものの、アプリケーションの複雑化により、適切な運用保守ができない状況に陥っていた。「まずは現状を紐解いたうえで、運用保守体制を整えたい」と考えたが、開発会社を探す段階で大きく戸惑うことになる。「kintone」という検索キーワードでは範囲が広すぎるが、かといってどんなキーワードを追加すれば開発会社へ相談できるのか分からない。悩んだ同社が頼ったのが発注ナビだった。CTOとしてIT・システム関連を統括する三浦克浩氏にその経緯を詳しく伺った。
重要度が高いのに、適切に運用できていない。kintoneアプリケーションが課題に
ナインシグマ・ホールディングス株式会社
CTO システム開発部長 三浦克浩氏
―― ナインシグマ・ホールディングス様の事業について教えてください。
ナインシグマ・ホールディングス株式会社 三浦氏：当社は研究開発に関する技術コンサルティングを行っており、大手メーカーなどを中心として研究開発の加速を支援しています。特に、言葉があまり浸透していないころから手掛けている「オープンイノベーション」を強みとしており、多くの企業様から高く評価いただいています。
今ではオープンイノベーションも一般的になりましたが、その分、企業の悩みは「そもそも未来を見据えてどのようなテーマに注力して研究すべきか」「事業化までの道筋をどう描くか」など、より深いものになっています。最近は、これらの悩みにも一歩踏み込んだ支援を提供しています。
―― 発注ナビに依頼した当時、どんな課題がありましたか。
三浦氏：当社は情報システム部の体制が薄いのですが、理系の社員が多いこともあり、現場社員がそれぞれ対応することでカバーしてきた側面があります。今回の課題だったkintoneについても、導入当初から部門ごとにアプリケーションを構築していました。しかし、案件管理や売上、請求書発行など業務プロセスにおける重要性が高いものが多いにもかかわらず、各部門でカスタマイズを重ねてきたため、結果、誰もシステムの全体像を把握していない状態となってしまったのです。「案件管理をしていて、請求書も発行したいのでアドオンした」といったその時のニーズに合わせて機能を追加してきたところがあり、当然、きちんとシステム設計をしているわけでもなかったため、いよいよ複雑化していました。ノーコードで手軽にカスタマイズできるのはkintoneのメリットですが、それが裏目に出てしまった状態です。
―― 確かに、そのまま運用するのはリスクがありそうです。
三浦氏：当初のシステムを構築した社員はすでに退職しており、このままでは適切なメンテナンスもできません。監査でも「会社の業務プロセス上、重要なアプリケーションにもかかわらず、メンテナンスされていない。アプリケーションが停止したときに業務が止まるリスクがある」と指摘され、何かしら対策を考える必要がありました。
「困りごとに合った検索ワードが分からない」人がマッチングしてくれる発注ナビの利用へ
―― それで外注先を探すことになったのですね。
三浦氏：はい。お願いしたかったのは、「現状のアプリケーションがどうなっているかを紐解くこと」と、「そのうえで保守・メンテナンスを行い、トラブル時に対応できる体制を整えること」の2つです。
最初は、個人的なつながりから依頼できる開発会社を探していたのですが、「得意分野はほかのソリューションですが、kintone“も”できます」という会社が多く、いずれの会社からも、複雑なkintoneアプリケーションを紐解くとなると難しいと言われました。
kintoneパートナーもチェックはしましたが、多くのパートナーからどう探せば良いか分からず、インターネットで検索しようにも、SEO対策に注力している企業が上位に掲載されるため今回の要件に合った会社にたどり着けませんでした。そもそも、自分の困りごとにあった検索ワードが分からないのです。「kintone」というキーワードでは範囲が広すぎますし、かといって業務サービス、業務フローと言っても違和感があります。どう絞り込めば良いのかと悩む中で、発注ナビを利用しました。
―― 発注ナビはどこで知ったのでしょうか。
三浦氏：以前から発注ナビの存在は知っていました。ネットニュースや広告を見て、「ヒアリングしたうえで、窓口の方が人力で要件にマッチする会社をピックアップしてくれるサービス」と把握していて、現状の悩みを解決できそうだと考えました。知り合いや既存の取引先に相談するにも、毎回同じ説明をしなければならず負担に感じていたところで、発注ナビなら一度の説明で済むこともメリットを感じました。
丁寧なヒアリングでイレギュラーな要望もきちんと理解。マッチする会社と出会えた
―― 実際に発注ナビを利用した印象はいかがでしたか。
三浦氏：最初のヒアリングからすごく丁寧で好印象でした。営業などの担当者は技術用語が分からず、うまく伝わらないこともよくあるのですが、発注ナビの利用時はそういったことがなく、こちらの要望を的確に汲んでもらえた感覚がありました。
「既存アプリケーションを紐解いたうえで、運用保守」という一般的な開発やオペレーション業務ではないイレギュラーな要望でしたが、システム開発と情シス業務の間のようなニーズをきちんと理解してもらえてよかったです。
―― 今回の案件では、発注ナビから5社ご紹介しました。
三浦氏：辞退された会社もあり、残った2～3社と面談し、人の派遣や会社としての支援など、体制含めて提案してほしいと依頼しました。提案内容はどこも的外れということがなく、こちらの意図に沿ったものでした。最終的に、そのうちの1社への依頼を決めました。
―― 選定の決め手を教えてください。
三浦氏：営業の方だけでなくエンジニアの方とも話す機会があったのですが、kintoneの内部構造もよく把握していて、パラメータ設定などの質問にも的確な回答がありました。最終的な決め手は予算感が合ったことですが、価格だけでなく、対応に安心感があったところが大きいです。その時に依頼して以降、継続して保守をお任せしています。
自社サービス開発でも発注ナビを利用。さらなるサービス拡張を目指す
―― 今後の予定をお聞かせください。
三浦氏：今ちょうど、別の案件も発注ナビにお願いしています。当社ではコンサルティングのほかWebサービスも提供しているのですが、ベータ版としてリリースした技術・商材の事業化支援サービス「AKCELI」が好評で、会社としても注力したいと考えています。2025年4月に正式リリースし、その後も追加機能を積極的に開発したいのですが、社内リソースが不足しているため、選択肢のひとつとして発注ナビに依頼しました。
―― 発注ナビに期待することがあればお聞かせください。
三浦氏：開発会社の選定は、一般的な商品と違って最終的なアウトプットを見てから判断することができません。どう開発会社を探し、絞り込んでいけば良いのか悩む中で、発注ナビは大きな助けになりました。
発注ナビでは、システム開発以外にSaaSのマッチングも行っていますが、さらにその前の段階となる「こういう状況で、こういうことに困っている。そもそも製品やサービスを選べば良いのか、パートナーを探すのが良いのか」といったラフなところから気軽に相談できると嬉しいです。
――ありがとうございました。
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