AI開発というと、「高度なプログラミングスキルが必要」「専門のエンジニアが不可欠」というイメージがあるかもしれません。しかし、近年注目されている「ノーコード」という手法であれば、開発のハードルは大きく下がります。ノーコードでの開発なら、複雑なコードを書かずに簡単な操作だけでAIツールを構築できるためです。ノーコードでAIを開発するメリットやデメリット、「ローコード」との違い、ノーコードには向かないケースなどを紹介します。
目次
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ノーコードAI開発とは? ローコードと何が違うの?
ノーコード(NoCode)とは、その名のとおりコードを書かなくても簡単にアプリやWebサイトを作成できるツールやプラットフォームのことです。従来、アプリやサイトの開発にはコードを使ったプログラミングのスキルが必要でしたが、ノーコードではその必要がありません。ツールやプラットフォームの画面上で、用意されているパーツや機能をドラッグ&ドロップして組み合わせるだけで作業を進められます。専門的な知識を持たない方でも直感的にシステム開発が行えるのが特徴です。
そして、ノーコードAIは、特にAIを使ったアプリやシステムの開発がノーコードで行えることを指します。ほかシステムのノーコード開発と同様に、ツールやプラットフォームを利用して、直感的な操作で画像認識AIや自然言語処理AIなどを搭載したシステムが作れるのがメリットです。
●ローコードとは?
ローコードとは、コードをほぼ書かずにアプリケーションやシステムが作れる開発手法です。通常の開発では、一からプログラミングコードを書く必要があります。対して、ローコードではあらかじめ用意されたパーツをドラッグ・ドロップするだけでシステムを組み立てられます。ノーコードと同様に開発の負担を軽減する手法ですが、ある程度のコーディングが必要です。
●ノーコードとローコードの違い
ローコードとノーコードの違いは、プログラミングやコーディングスキルの必要性、カスタマイズ性にあります。
ノーコードは、コードを書く必要が全くない開発手法です。ただし、提供されているテンプレートや機能に依存するため、柔軟性には限界があります。そのため、複雑なカスタマイズには適していません。
一方で、ローコードは、基本的にはプログラムの知識がなくても開発できるものの、特定のカスタマイズや高度な機能を実装する際には少しプログラミングが必要です。そのため、プログラミング言語やコーディングの知識がある程度求められます。ノーコードと比べて柔軟性が高く、複雑なシステムやアプリケーションを構築する際に役立ちます。
簡単に言うと、ノーコードは「完全にプログラミングなし」で、ローコードは「少しのプログラミング」で、どちらも従来よりも手軽にアプリケーションを開発できる手法です。プロジェクトの規模や目的に応じて使い分けるのが良いでしょう。
項目 | ノーコード | ローコード |
---|---|---|
プログラミング・コーディングのスキル | 不要 | 高度な機能を追加する際は必要 |
カスタマイズ性 | 低い | 高い |
対応範囲 | シンプルなWebサイト・簡単なアプリなど | ノーコードよりも高度で規模の広いプロジェクト |
ノーコードでのAI開発のメリット
ノーコードでAIを開発する際のメリットを3つ紹介します。
●1. プログラミング不要で迅速な開発が可能
ノーコードの最大のメリットは、なんといっても「プログラミングの知識が不要」なことです。通常、AIを作るには複雑なプログラムを書く必要がありますが、ノーコードツールを使えばその心配はいりません。ノーコードツールでは、ドラッグ&ドロップといった簡単な操作でAIモデルを構築できるためです。
専門的な技術用語を理解する必要もなく、直感的に使えるため、AIに対するハードルを下げられます。「AIを活用したいけれど、プログラミングの知識がないからできない」と感じていた方にとっては、非常に便利な手法です。
●2. コスト削減
AI開発においては、コスト面も大きな課題です。通常、プログラマーやAIエンジニアを雇ってAIを開発する場合、専門知識を持つ人材は限られているため、市場での競争が激しい状況もあり、人件費は高額になるでしょう。
しかし、ノーコード開発で対応できる範囲であれば、その分の人材を雇う必要がなくなります。プログラミングの知識がなくてもツールを操作できるため、社内のIT担当者やプロジェクトマネージャーでもAIを開発できます。もちろん、ノーコードツール自体にも料金が発生することはありますが、専門のエンジニアを雇うよりも低コストです。さらに、コードを書かなくて良い分だけ開発期間の短縮にもなるため、プロジェクト全体のコストも削減できるでしょう。
●3. バグの発生が少ない
プログラミングしてAIを開発する際、しばしば問題となるのが「バグ」です。バグとは、プログラムに潜む誤りや不具合のことです。これが原因でシステムが正しく動かないことは、開発環境ではよくあることです。また、AIのような複雑なシステムでは、軽微なバグが大きな問題を引き起こすリスクがあります。
一方、ノーコードであればバグの発生が少ないというメリットがあります。ノーコードツールでは、あらかじめ検証されたテンプレートを使用するため、自分で一からコードを書く必要がなく、結果としてバグのリスクが減少します。もちろん、すべてのバグがなくなるわけではありませんが、特にプログラミングに不慣れな方にとって、ノーコードはありがたいツールと言えるでしょう。
ノーコードでのAI開発の限界とデメリット
ノーコードでAIを開発する際に、知っておきたい3つのデメリットについて解説します。
●1. カスタマイズ性の制限
ノーコードツールは基本的にプログラミングを必要としないので、簡単に使えるというメリットがあります。しかし、その反面、ツールが提供する機能や使用できるテンプレートが限られます。作れるAIの範囲が決まっているため、複雑で独自の仕様を持つAIを作ろうとすると、ノーコードでは限界にぶつかることもあります。
そのため、業務ニーズに合わせて「もっと細かいデータ分析をしたい」「特定のアルゴリズムを使いたい」といった場合、ノーコードツールでは対応できないかもしれません。また、ツールに組み込まれている機能を自由にアレンジすることもできないため、自社だけのオリジナルなAIを作りたい場合には、思うようにいかないことが多いでしょう。
ただし、シンプルな機能や短期間での開発が目的であればノーコードツールは十分に役立ちます。カスタマイズ性にこだわらないプロジェクトや、短期的な解決策を求める場合には、問題なく活用できるでしょう。
●2. セキュリティの懸念
ノーコードツールの多くは、インターネットを通じてクラウド上で動作します。どこからでもアクセスできるというメリットがある一方で、データを社外のクラウドサーバに送ることでセキュリティのリスクが発生するというデメリットもあります。
特に、AIを開発する際には大量のデータを扱いますが、そのデータの中には個人情報や機密情報が含まれていることもあるでしょう。そうした重要なデータがクラウドに保存されることで、サイバー攻撃や情報漏えいのリスクが高まります。基本的に通信は暗号化で保護されていますが、ツールの提供元がどのようなセキュリティ対策を施しているかを確認して、信頼性の高いプラットフォームを選ぶことが大切です。
●3. プラットフォームに依存してしまう
ノーコードツールの使用は、特定のプラットフォームに依存することと同義です。つまり、開発したAIは、そのプラットフォームの制約やルールに従わなければならないということです。プラットフォームが突然サービスを停止したり、仕様を大幅に変更したりといった場合、それに伴って自分が作ったAIも使えなくなるリスクがあります。
こうしたプラットフォームへの依存は、長期的なAIプロジェクトを進める際に懸念点になります。ツール自体の寿命やサービスの存続に左右されるため、安定してAIを運用するためにはこの依存性の高さをどう克服するかが課題と言えるでしょう。ただし、短期間のプロジェクトや用途においては、この依存の影響を受けにくいため有効活用できます。
ノーコードAI開発の次のステップとして外注を検討すべき理由
ノーコードツールを使えば、プログラミングの知識がなくてもAI開発ができます。しかし、AI開発の規模や要求が複雑になると、知識や経験がない状態では対応が難しいこともあるでしょう。このような場合、開発を外注するという選択肢も存在します。AI開発で外注を考えるべき4つの理由を紹介します。
●1. 高度なカスタマイズが必要な場合
ノーコードツールは、あらかじめ用意されたテンプレートや機能を使ってAIを簡単に開発できるのが魅力です。しかし、ビジネスのニーズは千差万別であり、業務フローに合ったAIを作るには、ツールの標準機能では限界を感じることがあるでしょう。例えば、顧客データを特定の条件でフィルタリングしたり、独自のアルゴリズムを組み込んだりする必要がある場合、ノーコードでは対応できないことが多いのが一般的です。
ここで外注を選ぶと、専門家がプログラミングの知識を活かして、業務フローや要件定義に合わせてカスタマイズしてくれます。自社独自の要件が多ければ多いほど、外注による柔軟な対応が価値を発揮すると言えるでしょう。
●2. セキュリティを重視する場合
AIシステムには、大量のデータを扱うことが求められますが、そのデータの中には個人情報やビジネスの機密情報が含まれることが多々あります。ノーコードツールは基本的なセキュリティ機能を備えています。しかし、医療や金融など特定の業界や規制に対応した高度なセキュリティを求める場合、より強固なセキュリティが必要です。外注であれば、業界のニーズに合わせて、外部・内部からの攻撃を防ぐための強力なセキュリティ対策を施してくれます。
●3. 長期的な運用とサポートが欲しい場合
開発したAIシステムは、導入後も継続的に運用し、メンテナンスを行う必要があります。ノーコードで開発されたシステムは、最初のうちは問題なく動作しますが、時間が経ってビジネス環境やデータ量が変わる場合は、システムメンテナンスをしなくてはいけません。また、新しいデータを取り込むためにAIモデルの調整が必要になることもあります。
外注先がサポートサービスを用意している場合、こうしたメンテナンスや運用、トラブル時の対応などを任せられます。データを新たに入れたら回答がループしてしまった、動作しなくなってしまったといったトラブルが起こった場合、ノーコード開発で知識のない方が担当していた場合、原因の特定や改善に時間がかかります。外注することで、専門知識を持った担当者が迅速に対応してくれるため、仕事への影響を最小限に抑えられるでしょう。
●4. 大規模なプロジェクトに対応する場合
ノーコードツールは短期間で成果を出すのに向いていますが、大規模なプロジェクトに対応するには限界があります。数千以上のデータを扱うAIや、多くの部門にまたがる複雑なプロジェクトを進める場合、ノーコードツールが提供している機能では十分に対応できない可能性が高いためです。
しかし、外注することで大規模なプロジェクトにも対応できるようなAIを開発してもらえます。データの処理速度を上げるための最適化や、大量のデータを効率的に管理するためのシステム設計など、ノーコード開発では開発が難しい機能も搭載できるため、大規模なプロジェクトに対応できるAIを導入できるでしょう。
ノーコードでのAI開発に限界を感じたら外注を検討しましょう
ノーコードツールはプログラミングが不要のため、手軽にAI開発に取り組める便利なツールです。しかし、すべてのケースでノーコードが最適とは限りません。特に、より高度な機能が必要な場合や独自の要件に合わせたAI開発が求められる際には、ノーコードでは対応しきれないケースがあります。そんな時には、専門的な知識と技術を持った開発会社に外注することをおすすめします。
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