OpenPNEというオープンソースソフトウェアを使うと簡単にコミュニティサービスを作ることができます。しかし、OpenPNEというソフトウェアでどのような事ができるのかわからない方も多いかと思います。この記事では、そういった方々に向けてOpenPNEの概要と構築手順について詳しく解説していきます。OpenPNEに興味がある方や導入を考えている方はぜひご覧ください。
目次
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OpenPNE(オープンピーネ)とは?
OpenPNEとは、OpenPNE(オープンピーネ)とは、誰でも設置や運営ができるSNSをつくれるオープンソースソフトウェアです。無償で自由に利用することができます。OpenPNEは「SNSは1つでは足りない」というコンセプトをもとに2004年に株式会社手嶋屋が中心となって開発が始められ、現在でも多くの企業などに利用されています。
OpenPNEはPCやフィーチャーフォン(ガラケー)やスマートフォンなど様々な環境で利用できるのも大きな特徴的です。PCやスマートフォンなどのデバイスごとに開発しなくて良いため、開発コストを削減でき、企業にとっても手軽に使いやすいサービスといえます。
「オープンSNS」と「クローズドSNS」の違いと特徴
OpenPNEは誰でも設置・運営することができるSNSを構築することができ、豊富な機能を用いて用途に合わせたカスタマイズを自由に行えることが大きな特徴です。また、OpenPNEでは「オープンSNS」と「クローズドSNS」を構築することができるため、まずは、その違いを理解しておく必要があります。
●オープンSNSの活用例と特徴
オープンSNSは誰でも自由に参加できるSNSで、名前やハンドルネームなどの必要項目の登録をするだけで参加できます。誰でも自由に参加できるためコミュニティの規模が大きくなりやすいという特徴があります。仮に、ユーザーが多くの情報を発信できるような形に作るのであれば、オープンSNSが向いています。
例えば、よく用いられるケースとしてゲームやライブなどのファンサイトSNSが挙げられます。ゲームやライブなどの情報は共有することで新たな楽しみの発掘にも繋がるため、オープンSNSにすることでファンへの情報提供やサービスの認知ができます。また、特定のイベントなどのコミュニティを作成したりすることも可能なため、「不特定多数」対「運営者」というようなサービスの提供形態に適しているといえます。
●クローズドSNSの活用例と特徴
参加するためにはSNS内部からの招待が必要なタイプをクローズドSNSといいます。誰が参加しているかなどの把握がしやすく、参加者同士のつながりが近くなりやすいといった特徴があります。そのため、SNS内部の参加者同士の結束を深めるようなサービスを提供する場合は、クローズドSNSが向いています。
例としては、企業での社内SNSやオンラインサロンなどが挙げられます。社内SNSでは、社内の方のみSNS上で連絡を取ることができるため、チャットでスムーズにコミュニケーションを取ることができます。大学などの場合は、サークルなどでのコミュニティ運営などでも利用することができます。また、近年盛んに行われているオンラインサロンでは、SNS等を使ったクローズドコミュニティの形成が必要となります。
OpenPNEの機能は盛りだくさん
OpenPNEには、コミュニケーションとしての機能だけでなく、SNSを運営・管理するための機能、外部連携のための機能など、機能が豊富に揃っています。OpenPNEの豊富な機能を「基本機能」と「管理機能」と「外部連携機能」の3つに分けて解説していきます。
●主な基本機能
コミュニティ | 同じ部署や大学のサークルなどのようなコミュニティを作ることができます。OpenPNEでは「トピック」という話題を作成することができ、コミュニティ内でそのトピックについて話すことができます。コミュニティ内のメンバーで何か催しを開催したい場合は「イベント」を作成することもできます。 |
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日記 | 個人的な日常などを書き込むことができます。日記は公開する範囲を設定できるため、プライベートな日記なども書くことができます。OpenPNEの日記は、文章だけでなく写真も投稿することができます。 |
メッセージ | メッセージを使うと、SNSのダイレクトメッセージのように特定の方と連絡を取り合うことができます。OpenPNEのメッセージには下書きボックスがあり、相手に送るメッセージの内容を一旦保存することもできます。 |
●主な管理機能
メンバー管理 | SNSに参加している全ユーザーを確認することができます。ユーザーのパスワードをリセットしたり、悪質なユーザーをブロックしたりすることができます。 |
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SNS設定 | 作成しているSNSを「オープンSNS」にするか「クローズドSNS」にするかを選択できます。ほかにも、送信できる画像の容量などもここで設定できます。 |
デザイン | SNSのデザイン変更ができます。既存のスキン(※1)だけでなく、自分が作成したCSSを利用してデザインすることもできます。 |
画像・書き込み管理 | SNSに書き込まれている画像や書き込みなどを管理することができます。特定の書き込みや画像などを削除する際はここから行います。 |
※1.スキンとは、アプリケーションなどでユーザインタフェースの外観表示を変更できる機能のことです。OpenPNEに搭載されているスキンチェンジャー機能では、あらかじめサーバーにアップロードしたスキンを選択・決定するだけで簡単にSNSの外観を変更できます。
●外部連携機能
小窓機能 | Amazonの商品やYouTubeの動画などをSNS内に埋め込むことができる機能です。AmazonやYouTubeのリンクを入力するだけで、埋め込むことができます。 |
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OpenID(ID連携認証) | OpenIDに対応しているため、他社サービスのアカウントで共通してSNSにログインすることができます。 |
MasterSlavePNE | MasterPNEとSlavePNEの機能を使って連携を設定することができます。例えばMasterPNEでは、OpenPNEを親として、ほかのアプリケーションを連携させることができます。SlavePNEでは、ほかサービスのアカウントを親に、OpenPNEを連携させることができます。 |
OpenSocial | OpenSocialはGoogleが提供するSNS向けAPIで、SNSの中にWebアプリを埋め込むことができます。 |
OpenPNEの導入事例からわかる利用シーン
OpenPNEは企業や大学など様々なところで活用されており、特色を生かしたコミュニティサイトが運用されています。ここからは、オープンSNSとクローズドSNSのそれぞれの導入事例をOpenPNEの公式サイトより、ご紹介します。
●オープンSNSの導入事例 〜NHK出版〜
OpenPNEは、EテレNHK教育テレビの「趣味の園芸」と連動した「みんなの趣味の園芸」というSNSに導入された実績があります。このSNSでは、OpenPNEの日記機能を用いることで様々な植物の写真や日記などで交流が可能になりました。無料でありながら十分な機能とカスタマイズの自由度を持っているOpenPNEの特徴が、運営者側の目的と一致して導入に至った事例です。
参照:OpenPNE(株式会社NHK出版の導入事例)
http://www.openpne.jp/jirei/nhkshuppan/
●オープンSNSの導入事例 〜ゲームのSNS〜
OpenPNEは、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社が運営するSNSにも導入された実績があります。同社では、導入当初にSNSでゲーム連動機能の実装を想定しており、OpenPNEの導入のしやすさやオープンソースのため機能拡張が手軽に行える特徴が導入理由の一つになっています。SNSでは、ゲームデータ連動機能としてゲームにログインしなくてもキャラクターの状態が確認したり、毎週行われるゲームイベントの結果や履歴を閲覧したりすることに役立てられました。
参照:OpenPNE(ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社の導入事例)
http://www.openpne.jp/jirei/gungho/
●クローズドSNSの導入事例 〜社内SNS〜
OpenPNEは、スマホアプリ、web、ソフトウェアの開発事業を行っている株式会社アイ・エンターの社内SNSとしても導入された実績があります。オープンソースのため無料で使えるうえ、カスタマイズ性が高いことが導入理由に挙げられています。同社は、SNSを社内のコミュニケーション活性化を目的として使っており、OpenPNEが導入されたSNSは、社員プロフィールやコミュニティ日記など、会社全体でのコミュニケーションツールとして活用されています。
参照:OpenPNE(株式会社アイ・エンターの導入事例)
http://www.openpne.jp/jirei/i-enter/
●クローズドSNSの導入事例 〜学校のコミュニケーションツール〜
OpenPNEは、札幌学院大学のSNSにされました。オープンソースとしての実績が豊富であり、カスタマイズ性が高いという特徴から、コミュニティ機能を用いて、大学生活に関する情報交換などに利用しているようです。また、新入生に向けた自動招待状発行システムをカスタマイズで追加するなど、オープンソースを活かした方法で使われています。
参照:OpenPNE(札幌学院大学の導入事例)
http://www.openpne.jp/jirei/sgu/
ここまで4つの導入事例をご紹介しましたが、オープンソースのソフトウェアだからといった理由でOpenPNEを導入されている企業が多く見られますね。加えて、自由にカスタマイズして機能を追加できるというのが大きな魅力となっています。
OpenPNEの構築手順(バージョン3.10)
OpenPNEを導入するには「Webサーバーの構築」と「OpenPNE本体」が必要になります。
●OpenPNEの動作環境
OpenPNEを導入する際は以下のようなスペックのサーバーを用意する必要があります。オンプレミスで用意するのが難しい場合は、レンタルサーバーやVPSなどを用いて用意することもできます。
小窓機能 | Amazonの商品やYouTubeの動画などをSNS内に埋め込むことができる機能です。AmazonやYouTubeのリンクを入力するだけで、埋め込むことができます。 |
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OpenID(ID連携認証) | OpenIDに対応しているため、他社サービスのアカウントで共通してSNSにログインすることができます。 |
MasterSlavePNE | MasterPNEとSlavePNEの機能を使って連携を設定することができます。例えばMasterPNEでは、OpenPNEを親として、ほかのアプリケーションを連携させることができます。SlavePNEでは、ほかサービスのアカウントを親に、OpenPNEを連携させることができます。 |
OpenSocial | OpenSocialはGoogleが提供するSNS向けAPIで、SNSの中にWebアプリを埋め込むことができます。 |
●Webサーバー(Apache+PHP)の構築
Webサーバーとは、WebブラウザからWebページを閲覧できるようにするためのサーバーであり、今回はWebサーバーとして著名である「Apache」を使用してWebサーバーを構築します。
1. ApacheとPHPをインストールします
yum -y install httpd php php-mbstring
※インストール時に管理者権限が求められる場合はパスワードを入力してください。
2.Vi(エディタ)を使ってApacheの設定ファイルを編集します
vi /etc/httpd/conf/httpd.conf
3. サーバー名を変更します
#ServerName www.example.com:80の#を外し、www.example.comを設定したいドメイン名に変更します
4. オプションを編集し、CGIを許可します
Options Indexes FollowSymLinks
↓
Options Includes ExecCGI FollowSymLinks
5. .htaccessを許可します
AllowOverride None
↓
AllowOverride All
6. 文字化け対応をします
AddDefaultCharset UTF-8
↓
#AddDefaultCharset UTF-8
7. Plを追加します
#AddHandler cgi-script .cgi
↓
AddHandler cgi-script .cgi .pl
8. Perlコマンドへシンボリックリンクをはります
ln -s /usr/bin/perl /usr/local/bin/perl
9. ドキュメントルートの所有権を変更します
chown centos. /var/www/html/
10. Apacheを起動します
systemctl start httpd
11. Apacheを自動起動するように設定します
Systemctl enable httpd
これで、ApacheとPHPのインストールが完了しました。このままでは、Webサーバー間の通信内容が暗号化されていないため、Let’s Encryptなどを用いてSSL証明書をインストールすることが推奨されます。
●データベースサーバーの構築
1. MySQL公式のyumリポジトリを追加します
yum localinstall
以下コマンドで、MySQLのリポジトリを有効にします
yum -y install yum-utils
yum-config-manager –disable mysql57-community
yum-config-manager –enable mysql56-community
2. MySQLをインストールします
yum -y install mysql-community-server
3. MySQLを起動し、自動で起動するように設定します
systemctl start mysqld
systemctl enable mysqld
これでMySQLのインストールが完了しました。
●OpenPNEのインストール
公式サイトから、使用したいバージョンを選んでOpenPNEをダウンロードしてください。OpenPNEをダウンロードすると、セットアップガイドが同梱されているため、それに従ってOpnePNEをインストールしてください。
OpenPNEの概要から導入方法までご紹介しました。OpenPNEはオープンソースで使えて、便利な機能を兼ね備えているため、ぜひ導入してみてください。企業内SNSのようなサービスや、システム開発を任せられるような開発会社を探す際は発注ナビがおすすめです。発注ナビでは、ITに詳しい専門家が在籍しているため、技術力がある開発会社を提案してくれます。発注をお考えの企業担当者の方はぜひ発注ナビをお使いください。
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