通信技術や通信機器が発達した情報社会においては、「人の好み」も多様化が進んでいます。
あらゆる需要に対応するため、お店では豊富な商品を取り揃えていますが、「何がどれだけ売れたか」を管理するのは容易ではありません。
そんな煩雑化した販売管理を楽にする仕組みとして普及している、「POS」というシステムをご存知でしょうか?
スーパーやコンビニエンスストアのレジで多く利用されているPOSシステムは、単純に商品の売り上げを計算しているだけではありません。
POSを使うことで、販売実績を品物ごとに集計し、そのデータをマーケティングや在庫管理に活用したり、消費者の傾向や天候との関係など売り上げ以外のデータも同時に集計したりすることができます。
今回は、高性能化が進み、幅広い業種に導入されつつあるPOSシステムについて、基礎知識からPOSシステムの種類、導入のメリットなどをご紹介します。
目次
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POSシステムとは?
POSシステムは「Point of Sale(販売時点情報管理)」の略で、日々の売り上げを商品の種類ごとに集計・分析して、そのデータを経営に活かすためのシステムや手法を指します。
●商品管理の仕組み
商品の情報は、会計時にレジのスキャナーでバーコードを読み取ることで、登録・収集されます。集計されたデータは本部でも共有され、在庫管理や売り上げ分析、売れ筋商品の調査が行われます。
商品を識別するためのバーコードは、国際的な共通商品コードです。日本では「JANコード」と呼ばれていますが、海外では「EANコード」や「GTIN-13」「GTIN-8」などと呼ばれています。商品コード、品名、価格などいろいろな情報が保存され、販売だけでなく管理業務にも活かされています。
■店舗運営に必要となる情報
- 商品がいつ売れたか
- 商品がどこのお店で売れたか
- 商品の在庫はどのくらいか
- 最も人気の高い商品は何か
上記のような把握しやすくなるのです。多くのチェーン店を抱える企業にとって、POSシステムは顧客や商品データの一元管理を行うために必要不可欠のシステムといえるでしょう。昨今は、多くの電機メーカーからPOSシステムを導入した機器が販売されており、その種類は様々です。用途やお店の規模に応じて、導入する機器を自由に選ぶことができます。
●導入例
POSシステムは、コンビニやスーパーマーケット、ドラッグストア、アパレルショップなど身近なところで目にすることができます。飲食店ではオーダーの管理だけでなく、テーブルで会計をするときのクレジット決済にも使われており、宿泊施設など最終日にまとめて利用代を支払うタイプの取引とも相性が良いシステムです。導入は小売りのチェーン店から進みましたが、現在は、価格が下がったこととレジ一体型など種類が増えたこともあり、個人商店にも広がりつつあります。
POSシステムとPOSレジの違い
POSシステムによく似た「POSレジ」という言葉も存在しますが、両者に違いはあるのでしょうか。先に挙げた通り、POSシステムは「小売店にあるレジ」を指す言葉として使われることが多くなっています。ただ、POSシステムはいわば「データを管理または分析するためのシステム」を指し、小売業界だけに限らず様々な業界で使用されています。
- 売り上げ情報の管理
- 在庫状況の管理
- 従業員の勤怠管理
- 売り上げ分析
より具体的に挙げれば、上記のような販売管理や分析のための機能やシステムを総称してPOSシステムと呼ぶのです。そのため、小売店にあるレジのことを指す言葉としては、「POSシステムが搭載されたレジ」という意味を持つ「POSレジ」の方が正しいでしょう。ただし、露店や個人商店にある「POSシステムを搭載していないレジ」は、語弊のないように、そのままレジ(またはレジスター)と呼んだ方が良いでしょう。
POSシステムの種類
POSシステムはレジ型やハンディ端末型のPOS専用端末を使用するもの、スマートフォンやタブレットにシステムをインストールして使用するタイプのものなど、さまざまな種類が存在します。
●ターミナル型POSシステム
POSシステム専用の機器を導入するタイプのPOSシステムです。
<専用端末・一体型>
コンビニやスーパーマーケットのレジなどで使われている、レジ一体型のPOSシステムです。導入数が最も多いタイプで、カウンターと一体化した大きなものから、レジ型やデスクサイズの小型機もあります。POS端末として特化しているので、クレッジットカード払いやポイント機能、非接触ICカード払いといった決済システムとの連携や、自動釣り銭機能の付属など、高機能かつ使いやすく耐久性がある点が売りです。しかし、その分、導入費用が高額になるため、大規模チェーン店で多く導入されています。
<PC型>
PCにPOSシステムをインストールして使用します。PCを使うので、本来のPOSシステムの用途以外にもメールや顧客分析、勤怠管理などさまざまな機能が利用できます。
設置にはデスクトップPCよりも少し大きい程度のスペースが必要で、初期費用もPC代とインストール代がかかります。店内ではハンディ型端末を使用し、事務所ではPC型で店内の端末からのデータを集計・分析するという使い方もあります。多店舗の展開を予定している企業や中規模以上のチェーン店に向いています。
<ハンディ型>
持ち運びできるタイプのPOSシステム端末です。店内の席で注文するときや宅配便の集荷のときなど、移動が多い場合に持ち運んで操作することができます。端末から情報を直接データベースに登録でき、長時間バッテリー駆動が可能です。
導入コストも比較的低く、個人商店や小規模の店舗だけでなく、宅配便など移動が多い作業や、催事など出張販売時の作業にも使われます。
●タブレット型POSシステム
タブレットやスマートフォンにPOSシステムのアプリをインストールしてPOS端末として利用します。売り上げデータはクラウドを活用して本部のPCに送られます。
一般的なタブレットやスマートフォンを利用するので導入コストが低く、スペースも取りません。注文や会計システムに特化したものなど、小さな単位でもPOSシステムを導入できますが、他のシステムと統合することが難しいなどの課題があります。個人商店や小規模の店舗に向いています。
POSシステムで管理できる情報
POSシステムで管理できる情報は、売り上げだけではありません。メーカーや機器によっても異なりますが、一般的なPOSシステムで管理できる情報についてご紹介します。
●売り上げ情報
「いつ」「何が売れたのか」「決済方法は何か」など売り上げに関する情報を管理し、データベースに記録します。顧客リストがあれば、顧客ごとの売り上げも管理できます。
決済時にはレシートを発行し、店舗によっては顧客ごとに割引券やクーポン、チラシを発行します。
●商品情報
商品コード、名称、単価など、商品情報をPOSシステムに登録します。売り上げが発生する前に商品のバーコードと情報をPOSシステムに記録することで、その商品がPOSシステムで扱えるようになります。
●在庫情報
売り上げ登録と同時に、在庫数を更新することで在庫情報を管理できます。リアルタイムで在庫状況がわかり、在庫が規定値以下に減ると自動的に発注依頼をするものもあります。
●顧客情報
購入した顧客に関する情報を管理できます。顧客の年齢、性別、来店日時など顧客の行動を分析し、次回来店時の接客に活かします。また、顧客の持っているポイントや、ポイントシステムに登録した個人情報を売り上げ情報と紐付けて管理することも可能です。
●売り上げ分析
売り上げを集計し、分析します。データベースや在庫管理とも連動し、売り上げ管理だけでなく、発注管理や商品企画などのマーケティングにも活用できます。複数店舗の管理や分析も行えます。
また、売り上げジャーナルを参照・発行することもできます。レシートと同じ内容のデータをデータベースに保存しているため、必要があれば印刷も可能です。売り上げジャーナルは、経理処理や税務署からの問い合わせ、商品の返品、レジの入力ミスがあった場合に参照するのに必要です。
●勤怠管理機能
従業員やパート、アルバイトなどシフト制のメンバーの出退勤管理や、シフトの作成・管理ができます。また、スタッフごとの売り上げ成績を集計して、モチベーションアップに活用する使い方もあります。
POSシステム導入のメリットとは?
POSシステムを導入すると業務の効率化が期待できます。もちろん小規模な店舗でも有効ですが、会社の規模が大きくなるほど業務効率化によるコスト削減効果が上がり、メリットが大きくなります。便利なPOSシステムについて、具体的にメリットを見ていきましょう。
●販売実績が把握しやすい
POSシステムは、売り上げがそのままデータ化されているので、販売実績が簡単に把握できます。複数の実店舗がある場合や、ネットショップと実店舗の両方がある場合でも、本店で一元的に売り上げやコストを管理でき、経営分析がしやすくなります。
●売れ行きの動向を知る
読み取った商品情報は直接データベースに登録されるため、売れ行きの動向をリアルタイムで知ることができます。在庫不足にも素早く対応し、品切れの前に商品を補充できるので販売機会を逃しません。
また、サーバにはPOSシステム導入以降のデータがすべて残っています。このデータを地域、時間帯、天候などほかの要因と組み合わせることで、「どういうときにどの商品が売れるのか」という精度の高い予測を立てながら商品戦略を練ることができます。
●業務効率の向上
会計時にバーコードを読み込むだけで売り上げが登録されます。数字を打ち込む必要がないためスピードアップするだけでなく、入力時のミスもありません。
データベースに登録された売り上げ情報が自動的に集計されるので、レジ締め業務は現金の照合をするだけで済みます。会計システムと連動することで毎期の会計処理も簡略化され、業務が大きく効率化されます。
POSシステムの導入にデメリットはある?
業務効率の改善やマーケティングへの活用など、多くのメリットを得られるPOSシステムですが、導入や稼働にあたってはデメリットも存在します。
●導入費用の発生
POSシステムを搭載したレジやパソコンの導入には費用がかかります。また、システムのアップデートや改修をする際にも、相応の費用が発生することも多く、店舗の規模が大きくなるほどコスト面の負担が発生します。
●緊急事態によるリスク
データ管理や業務の効率化に役立つPOSシステムですが、停電や不具合によってシステムが使えなくなると、会計や在庫管理ができなくなるリスクがあります。店舗でレジが使えなければ、システムが復旧するまで商品を販売できません。
最適なPOSシステムを導入する方法
POSシステムを導入するメリットとデメリットは、先に挙げた通りですが、サービスとしてPOSシステムやPOSレジを扱う企業は多く、値段や機能はそれぞれで異なります。POSシステムを導入する場合、企業担当者はどのような点に注意すべきなのでしょうか。
●POSシステムに求める機能を決めておく
POSシステムを導入する前は、重視する要素や求める機能などをあらかじめ決めておきましょう。目的がはっきりしていれば、最適なPOSシステムを見つけやすくなります。例えば「タブレット端末で使えるPOSシステムが良い」、「釣り銭を自動で払い出す機能が欲しい」など、業種や企業ごとにPOSシステムの導入目的は異なります。中には「飲食店向け」や「アパレル向け」のように、業種ごとに最適化されたPOSシステムもリリースされているので、選ぶ際の参考にするのも手です。
●初期費用や運用費用を知っておく
POSシステムごとに導入や運用にかかる費用が異なるため、具体的な金額は事前に知っておきましょう。中には、基本的なシステムこそ安価でも、周辺機器の追加やサポートの依頼で費用がかさみ、支出額が多くなるケースもしばしばです。導入で得られるメリットと、かかるコストを計算したうえでPOSシステムを選択してください。
●使いやすさを重視する
どんなに優れたPOSシステムでも、機能そのものが扱いにくければ意味がありませんし、社員に使い方を周知させる労力も発生してしまいます。使い勝手の良いシステムを選択するため、可能であれば導入前にシステムを使ってみることをおすすめします。試験的にシステムを使うには、POSシステムを扱う企業のショールームや展示会を通じて体験することが可能です。また、スマートフォンやタブレットにインストールするPOSシステムの中には、お試し版をリリースしているケースも多く、使い勝手を確かめたうえで導入できます。
なおPOSシステムは、システム開発を担う企業に依頼をする形で、自社に最適なPOSシステムを設計開発することも可能です。既存のPOSシステムの中に、求める機能が備わっていない場合は、POSシステムの開発を一から依頼をするのも手でしょう。POSシステムの開発企業を探す場合は「POSシステム開発でおすすめの開発会社7社 【最新版】」をご参照ください。
商品情報管理以外でも活躍するPOSシステム
近年は、現金やクレジットカードだけでなく、電子マネーや携帯での支払いなど、決済方法も多様化しています。
また、個人商店でも外国人観光客向けの免税処理などの対応が必要となる場合があります。
POSシステムは、それらのサービスについても対応し、販売実績の管理や売れ行き動向の確認、業務効率のアップといった点でも有効に活用することができます。
POSシステムといえば大規模チェーン店のためのものというイメージがあるかもしれませんが、小規模店舗や個人商店向きの、低価格で導入が簡単なPOSシステムもあります。
企業の規模や目的に適したPOSシステムを選んで、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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