一般的に難易度の高い業務であるシステム開発においては、プロジェクトの難航が大きなトラブルに発展することも珍しくない。いつまで待っても思ったものが出来上がらず、コストばかり嵩んでしまう……そんな状況に、開発自体を諦めざるを得なかったケースもあるだろう。
こうした事態に陥りながら、何としても実現したいという想いで開発を仕切り直し、無事成功に漕ぎつけたのがレギュラス・ソリューションズ株式会社だ。同社は、仕切り直しにあたって利用した発注ナビで、後に『成功の立役者』となる株式会社Shared Valueと出会った。今回は、レギュラス・ソリューションズ株式会社代表取締役 柴田博氏と、株式会社Shared Value 代表取締役 石原振一郎氏、同社取締役CTO 矢野大輔氏に当時のプロジェクトについて詳しく伺った。
ECサイトの運営をより効率的にすべく、データ分析ツールの開発に着手するものの難航

レギュラス・ソリューションズ株式会社
代表取締役 柴田博氏
―― レギュラス・ソリューションズ様の事業について教えてください。
レギュラス・ソリューションズ株式会社 柴田氏:当社は2020年に設立した会社で、ECサイト運営のコンサルティングを手掛けています。Amazonや楽天など、どこか一つの販売チャネルに特化するのではなく、全方位をカバーできることを強みとしており、これまでさまざまなクライアントを支援してきました。複数ECチャネルのコンサルティングに加え、「自社ECサイトの調子が悪いから、見てもらえないか」など、お客様のあらゆるご要望を漏らさずに対応してきたことが、私たちの価値につながっていると思います。
―― 今回、発注ナビへご相談した内容についてお聞かせください。
柴田氏:「Amazonだけ」「楽天だけ」のように販売チャネルを一つしか使っていないクライアントはほぼおらず、いずれの方も複数チャネルを活用しています。そうすると日々の運用で、「ある商品が各チャネルでどれくらい売れているか」「チャネルごとの商品の売上増減」などを確認したい場面が出てくるのですが、それがパッと見られるツールはなかったため、それぞれの管理画面で調べて、Excelでまとめるしかありませんでした。
世の中のどこかにできるツールがあるのではと思って調べたのですが、探しても見つからず……。それがあれば、少なくともコンサルティングをしている自分たちは助かりますし、クライアントのニーズもあるはずだと、自分たちで開発しようと考えたのが始まりです。
―― その際は、開発がうまく進まなかったのですか。
柴田氏:当時も開発を外注したのですが、途中でシステムが要件に沿っておらず、到底実用できるものではないことが分かりました。本来ならそこから調整や再開発などに移ると思うのですが、諸事情でそれができず、未完成のまま開発が暗礁に乗り上げてしまったのです。
正直、「地獄のような状況だ」と感じていましたが、すでにそれなりの投資もしていたため、ここで開発を諦めたらすべて無駄になってしまうという想いもありました。行くも地獄、戻るも地獄ですが、それでもなんとかこのツールを完成させたいという想いが勝ち、開発を仕切り直して進めることにしました。
発注ナビを介して出会ったShared Valueは、説明が伝わった“手応え”がある
―― 本件を発注ナビにご相談した理由をお聞かせください。
柴田氏:開発を進めるといっても、当社にはエンジニアがおらず開発リソースもないため、まずは開発会社を探すところからスタートになります。そこで、インターネットで検索していたときに偶然発注ナビを見つけて、藁にもすがる思いで問い合わせました。
そもそも、自分たちが作ろうとしているツールをその会社が開発できるのかどうか、ホームページを見ただけでは分かりません。まずはこちらの要件や状況を伝えたうえで判断してもらう必要があります。しかし1社ずつ問い合わせフォームから入力していくのはとてもキリがなく、マッチングのプラットフォームを使った方が早いと考えました。
―― 今回、発注ナビからは3社ご紹介しました。
柴田氏:紹介いただいた会社の中で最も好印象だったのがShared Valueさんでした。石原さん・矢野さんと話したときに、私が伝えたことを一瞬で理解してくれて、こちらが伝えたいことを少しのずれもなく受け止めてくれた手応えをよく覚えています。その時点で技術レベルまで推し量ることはできなかったのですが、「ここに頼めば大丈夫だ」という確信と安心感がありました。
エントリー後すぐに打ち合わせ。提案、発注まで短期間で進んだ

株式会社Shared Value
代表取締役 石原振一郎氏(右)
取締役CTO 矢野大輔氏(左)
―― Shared Value様の事業について教えてください。
株式会社Shared Value 石原氏:当社はシステム受託開発のほか、発注・在庫管理システム「Ordira」、社内受発注システム「Ordira INSIDE」、不動産向けデジタルパンフレット「Galleria」というSaaSを開発・販売しています。受託開発では業務システムを得意としており、お客様と一緒に業務内容の整理から行ったうえでシステムに落とし込み、投資効果を最大化できるよう支援することが可能です。
また、プロジェクトには営業と技術のほか、業務内容の整理を担うコンサルタントも参加し、3つの視点をもって推進する体制をとることも特長です。お客様の課題を解決するために何が最適かをしっかり議論し、互いに補完しながらプロジェクトの成功を目指します。
―― 今回の案件にエントリーした理由をお聞かせください。
石原氏:発注ナビでは、「これまで培ってきた業務知識や技術力を活かせるかどうか」を基準にエントリーしています。レギュラス・ソリューションズ様の案件はその基準にマッチしていたこともありますが、公開された情報だけでも明確な課題があると判断でき、かつそれらを解決したいという強い想いが伝わってきたため、エントリーしました。
確か、エントリーしてからすぐに最初の打ち合わせをすることになったと記憶しています。「今日すぐに打ち合わせできないか」とのことで、ほかのメンバーの予定が合わず、初回は私一人で打ち合わせに臨みました。直接お話を伺い、本来やりたかったことの2~3割しかできていないようだという印象を持ちました。ただ、想定している画面なども共有いただいたので、すぐ当社内に展開し、できることを提案書にまとめました。
柴田氏:時間がなかったのもありますが、提案をもらって即決断しました。善は急げという言葉もありますが、Shared Valueさんなら大丈夫だろうと感じられたことが大きいです。
セキュリティや運用を考慮し、ゼロから作り直し。開発がスムーズに進むように
―― 実際の開発はいかがでしたか。
株式会社Shared Value 矢野氏:前の会社が開発したものを見せてもらったのですが、セキュリティ上の問題があり、そのまま流用はできない状態でした。特に今回はSaaSとして運用することもあり、セキュリティ上のリスクは見逃せません。運用効率を考えても、インフラから変えた方がよいと考え、ゼロから開発し直すことにしました。
ただ、柴田様がしっかり検討した仕様には、画面デザインも含まれていたため、全体像をすぐに把握できました。あとは細かな点を確認しながら進めるだけという状況でしたので、新規開発でも工数内で十分開発できると考えたところもあります。
開発を急いでいるというお話でしたから、認識齟齬がないように全体を通しての仕様を確認した後、すぐにフロントエンドの開発に入りました。ビジネスロジックが関わるような設計に重点を置き、バックエンドは、詳細設計を圧縮しながら開発を進めていきました。
柴田氏:開発は、とにかくすべてがスムーズでした。「こういうものが欲しい」という要望は明確に伝えたのですが、それをきちんと理解してもらえた手応えが随所にあると感じられ、詳細の確認も的を射たものでした。こちらが説明する前からどんどん確認が進んでいて、それが悉く正しいので、かなり早い段階から「これは大丈夫だ」と安心できました。
―― 特に工夫した点があれば教えてください。
矢野氏:着手前に完璧な仕様をいただいたので、その中でどう付加価値を出すかを考え、SaaSの運用面を考えた機能などを提案しました。当社の業務コンサルも含めて確認しながら、画面イメージや仕様など、より運用しやすい形を実現できたと思います。
柴田氏:うまくいかなかったとはいえ、前に1度開発に挑戦しているため、その時点であらかじめ仕様がブラッシュアップされていたのだと思います。加えて、今回のツールの仕様を「過度に複雑なものにしないこと」をコンセプトにしていた背景もあると考えています。
分析ツールは複雑で高度な機能を盛り込みがちですが、当社クライアントの担当者はどちらかというとデータ分析が苦手という方が多く、高度な機能があったとしても使いこなせないリスクが懸念されます。そのため、売上や在庫数などの情報をシンプルにまとめられるツールを目指していました。
ただ、SaaSの運用面までは考慮しきれておらず、提案はありがたかったです。Shared Valueさんから提案いただいて断ったものは、ほとんどなかったのではないでしょうか。
開発後、無事にリリースへ。今後は対応プラットフォームの追加、さらに海外展開も視野に
―― 今回開発したツールは、すでに完成しているのでしょうか。
柴田氏:はい。2025年3月7日、「CROSS ANALYTICS」として無事リリースしました。まずは内部での運用を中心に活用しており、これからユーザ獲得も積極的に進める予定です。
Shared Valueさんとの協働でなければ、ここまでたどり着けなかったと断言できます。発注ナビ経由でShared Valueさんと出会うことができて、本当に救われました。パートナー探しや発注先探しに困っている方がいるなら、発注ナビの利用をおすすめしたいですね。
―― それぞれの今後の予定をお聞かせください。
柴田氏:CROSS ANALYTICSは現在、Shopify、Amazon、楽天に対応しており、今後は対応プラットフォームを増やしていきたいと考えています。プラットフォームが増えれば、ターゲットユーザも増えるので、やらなければならない施策の一つです。
また、海外対応も進める予定です。たとえばアメリカではAmazonが強く、Shopifyも多く使われています。ヨーロッパも似た状況で、CROSS ANALYTICSはこの2つをカバーしているのでチャンスは十分あるはずです。決済基盤にはグローバルで対応するサービスを採用しているため、後は画面の英語化などのローカライズで対応できます。ぜひチャレンジしたいところですね。
矢野氏:プラットフォーム間はAPIで連携していますが、それぞれ仕様がまったく異なるため、考慮しながら進める必要があります。ただ、今回はサーバレスアーキテクチャで構成しているため、画面が増えても既存サービスを止めることなく追加できます。今回の開発では、そういった拡張性も考慮した構成を実現できました。
石原氏:プラットフォーム追加については、すでに相談いただいているので、順次進めていければと思います。また、今後もSaaSの状況や販売戦略などでお力になれればと思います。
―― ありがとうございました。
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