クラウドコンピューティング市場において、高いシェア率を誇る「Salesforce(セールスフォース)」。
今回は、顧客管理や営業管理など、さまざまな情報管理で活用できるSalesforce導入のメリットや製品内容、より快適にSalesforceを使うためのポイントをご紹介します。
目次
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Salesforce(セールスフォース)とは?
Salesforceとは、企業とその顧客を繋ぐ「顧客管理ソリューションシステム」です。
営業活動をはじめ、問合せ対応やマーケティングなど、さまざまな場面における顧客情報をまとめて管理できる特徴があります。わかりやすく言えば「クラウドタイプの顧客管理ツール」だと考えると良いでしょう。クラウド型の顧客管理ツールの種類は多種多様ですが、Salesforceは全世界で15万社以上(2020年時点)の企業で導入されています。日本国内でも有名企業が導入するケースも多く、国内外を問わず人気のツールです。
クラウドサービスとはどんなサービス?
Salesforceのサービスについて紹介する前に、「そもそもクラウドって何なの?」という疑問を持つ方に向け、ITにおけるクラウドの基本情報について簡単に紹介しましょう。
クラウドとは、「インターネット経由で利用するアプリケーション(またはサービス)」を指す言葉です。システムやデータの管理をすべてネット上で行うため、サービスの利用場所に制限されないという特徴があります。クラウド型のサービスであるSalesforceは、PCやスマートフォンなどの端末へアプリをダウンロードする必要がありません。インターネット環境があればどの端末からでもアクセスでき、必要な情報を閲覧したり保管したりできます。サーバ構築などの作業も不要です。
このクラウドにはSaaS(サース)、PaaS(パース)、IaaS(イアース)の3つの種類が存在します。それぞれの特徴は以下の通りです。
クラウドの種類 | 概要 | 代表的なサービス |
---|---|---|
SaaS(Software as a Service) | インターネット上で利用できるソフトウェア | Salesforce(セールスフォース) |
PaaS(Platform as a Service) | インターネット上で利用できる開発環境 アプリの稼働に必要なプラットフォーム |
Microsoft Azure(マイクロソフト・アジュール) Google App Engine |
IaaS(Infrastructure as a Service) | インターネット上で利用できる仮想サーバや ファイアウォールといったインフラ |
AWS Google Cloud |
中でもSalesforceは、クラウドの中でも「SaaS」というサービス形態で成り立っています。
SaaSとは「Software as a Service」の略語で、ソフトウェアをWebサービスとして提供する形態を指します。SaaSが普及するまでは、PC1台1台にパッケージとしてのソフトウェアをインストールする方法が主流でした。PCの数によってはコスト負担が大きくなったり、必要・不要な機能の選び分けが難しかったりといった問題があったのも事実です。
SaaSであれば、必要利用状況や選択した機能に応じた料金を支払えばそれでOK。コストを最小限に抑えられるのに加え、不要な機能を省いて操作性や処理能力を高めることも可能です。SalesforceはそんなSaaS機能の魅力を十分に反映させています。必要な機能だけを選択、料金は機能を使った分だけ支払う従量課金制なので、事業規模や業種、部署に合わせて活用できます。
このほか、企業におけるクラウドサービスのメリットや、クラウドを使ってできることなどを知りたい方であれば、下記のページをご参照ください。以下の項からは、Salesforceの具体的な製品やサービスについて詳しく解説します。
IT業界で使われる「クラウド」とはどういう意味?どんなことができるの?
Salesforceの製品・サービス
Salesforceは、「営業」や「マーケティング」など業務別で使えるさまざまな製品・サービスを提供しています。以下では、シチュエーションを分けたうえで、Salesforceの製品やサービスを紹介しましょう。
●営業(Sales Cloud)
Salesforce製品のひとつ「Sales Cloud」は、顧客管理ツール(CRM)と営業効率化ツール(SFA)をパッケージ化した製品です。クラウド型CRM・SFAツールでは世界でもトップクラスのシェア率を誇り、さまざまな企業で採用されています。同製品では、顧客情報や商談内容を管理・記録できるのが特徴。これらの情報を基に、営業効率のアップを見込めます。
ユーザーが広告をクリックしてから成約に至るまでの過程を追跡できる「見込み客管理機能」も備わっているため、見込み客の開拓や囲い込みにも役立てられるでしょう。売上予測や分析結果の共有、営業活動のレポート作成も可能です。TwitterやFacebookなどのSNSと紐付けられるため、顧客調査の視点や選択肢も広がります。紐付け機能から得られた情報は、備え付けの社内SNSツール「Chatter」で共有できます。
●サービス(Service Cloud)
ひとつの画面で、顧客情報や問合わせ情報を管理できる製品です。同製品には、「ナレッジマネージメント」というFAQや知識データベースを構築する機能が搭載されています。この機能によって、専用の問題解決コミュニティが公開され、ユーザーがわざわざコンタクトセンターへ問合わせなくても問題解決ができる仕組みになっているのです。これにより、ユーザーだけでなくオペレーターの負荷を軽減できます。
専用プラットフォームでは、コールセンターの顧客対応やフィールド作業の一元管理でき、作業効率のアップが見込めます。加えてオペレーターによる対応履歴は過去の事例と自動的に紐づけられ、今後のナレッジとして保管されるのも特徴です。
●マーケティング(Marketing Cloud)
メールマーケティングに特化しているのが「Marketing Cloud」です。一括メール配信やソーシャルキャンペーンの管理などを使い分けることで、ユーザー一人ひとりに合ったマーケティングを展開する「One to Oneマーケティング」を実現できます。メールマーケティングで使用するコンテンツは、画面上でドラッグ&ドロップで作成できるのが特徴。ユーザーの行動傾向を分析・トラッキングしたうえで、ベストタイミングでメールマーケティングのコンテンツを送信できます。
●コミュニティ(Experience Cloud)
コミュニティは、顧客やビジネスパートナーとのコミュニティを築けます。ファイル共有機能やモバイル対応機能、CSSによるカスタマイズ機能などを搭載しているのが特徴です。端的に言えば、コミュニティは「交流場所を作る機能」という認識でも良いでしょう。人事担当者が従業員に情報を伝達したり、顧客同士が情報交換する場を提供したり、機能や目的は多岐にわたります。コミュニティは、顧客と販売代理店、従業員を繋げるための製品という認識でも良いでしょう。
●分析(Tableau CRM)
Tableau CRMを使えば、データ一覧表やグラフへアクセスすることで、さまざまな情報を分析できます。Salesforce全体のデータに基づいて情報が分析され、最適なアクションを提案されるのが特徴。このほか、データソースが複数あっても1ヶ所にインポートして融合できるので、まとめてデータを分析したいケースにおいては重宝します。
●アプリケーション(Salesforce Platform)
Salesforceに搭載されている「Salesforce Platform」は、モバイルアプリを開発できる開発プラットフォームです。このプラットフォームで開発できるモバイルアプリはさまざま。作成したアプリは、業務管理やプロジェクト管理など、幅広い業務で活用できます。「Microsoft」や「Oracle」「SAP」などの外部システムと連携できるAPI(アプリを開発するためのインターフェース)が用意されており、デバイスやアプリを超えた連携が可能です。
●コマース(Salesforce Einstein)
「Salesforce Einstein」というAI(人工知能)を導入することにより、顧客一人ひとりに対応した商品を予測し、レコメンドしてくれるサービスです。Einsteinは、Salesforceに蓄積されているデータを学習し、顧客対応に役立つコンテンツを提供してくれます。商品の受注、入金管理、注文管理に至るまで、オンラインショッピングをあらゆる面で管理することができます。
●プロダクティビティ(Quip)
Salesforceには、タスクやドキュメントを管理・編集できる「Quip」ツールが搭載されています。スムーズに情報共有できるほか、コメント機能やチャット機能を活用してチームディスカッションに役立てたり、タスク・ドキュメントの作業をひとつのプラットフォームに一元化できたり、離れた場所同士で行う共同作業をアシストします。
Salesforceのメリット
Salesforceのメリットとデメリット | |
---|---|
メリット | ハードウェアが不要 |
高度なセキュリティ | |
仕様変更や修正の見積調整が不要 | |
効果測定機能を搭載している | |
営業活動を効率化・ノウハウ共有できる | |
デメリット | 多機能のため使いこなすが難しい |
製品によっては割高 |
Salesforceの魅力は「ハードの構築が不要」「コストがかからない」など、さまざまなメリットがあります。以下では、Salesforceが持つ魅力の一部を、いくつかご紹介します。
●ハードウェアが不要
Salesforceはクラウド型のソリューションシステムです。ネット環境さえあればどんなデバイスからでも使用できるうえ、専用プラットフォームも構築されているのが特徴。したがって、ハードウェアの構築が不要です。
●高度なセキュリティ
Salesforceは、高度なセキュリティを保つため第三者機関によるセキュリティ評価を導入しています。Salesforceのセキュリティ管理を行うデータセンターは、世界中に計10ヶ所配置されているのが特徴です。バックアップされたデータは二重保護されており、データの消失リスクにも対応しています。
●サーバを構築する費用がかからない
サーバやハードウェアを構築する必要がないため、その分のコストがかかりません。必要な機能のみを選択して搭載できる従量課金制のシステムであるため、初期費用を抑えることもできます。
●効果測定機能を搭載している
Salesforceは、カスタマイズ可能なレポート機能を搭載しています。パートナーとなっている他社製品と連携させることで、複数の効果測定ツールのデータを照合させたり、情報を一元管理したりできるのが特徴です。
●営業活動を効率化・ノウハウ共有できる
進捗や売上予算の確認をしたり、競合他社の情報など他社に対する情報を管理したりできるのもSalesforceの魅力です。人工知能とセールスアナリティクス機能が、顧客の最新動向をデータ化してくれるため、顧客へのアプローチがよりスムーズになります。
Salesforceのデメリットとは
一方、Salesforceにはデメリットも存在するため、導入の前に把握しておくことをおすすめします。
Salesforceはさまざまなサービスを複合した製品ですが、機能性と自由度が高い分「使いこなすが難しい」という欠点があります。使用方法を記したマニュアルはオフィシャルサイトで確認できるため、Salesforceを使うと「何ができるのか」「どうやって使うのか」をきちんと把握しておくことを推奨します。企業で導入する場合においては、使用者である「従業員をどう教育していくか」という点にも考慮しましょう。
このほか、Salesforceのコストは製品やサービスによって異なるため、ほかのシステムと比較をすると割高と感じるケースもしばしばです。必要なサービスをすべてSalesforceで賄うのも手ですが、コストを抑える目的であれば、Salesforce以外のシステムを検討しても良いでしょう。
Salesforceを導入するポイント
Salesforceをより便利に使いこなすためには、以下のポイントを意識することが大切です。
●導入目的を明確にする
「顧客データや必要な情報をスムーズに共有したい」「チャネル流入率が成約率に直結していない」など、Salesforceで解決したい課題や導入目的を明確にしておきましょう。その点があいまいなまま導入に踏み切ってしまうと、機能が上手くマッチしなかったり機能の利便性の恩恵を十分に受けられなかったりするため要注意です。
●管理分野を増やし過ぎない
Salesforceを導入したら、まず最小限の機能から導入しましょう。導入初期の段階で管理部門を増やし過ぎると、システム全体に大きな負荷がかかってしまい本末転倒です。「一つひとつの機能をパッケージとして使える」という点が、Salesforceの大きな特徴となるため、導入初期は最小限の機能・管理部門で運用をスタートし、状況を見て必要な機能を追加していくという運用方法が効率的だといえます。
●データをしっかり活用する
Salesforceでは顧客情報管理をはじめ、顧客行動のトラッキングやニーズ解析などさまざまな営業活動が可能です。各部署や部門では、これらのデータをしっかり活用できるよう、導入前・導入初期の運用トレーニングをしておきましょう。
Salesforce一体型のクラウドサービスでさらに便利に!
Salesforceの魅力は、「バラバラに管理していたデータや情報を一元管理できる」という点にあります。具体的には、Salesforceの機能とパートナーとなっている他社製品と連携させ、電子メールやスケジュール管理ツールを連携させられるのが特徴です。たとえば「Salesforce for Google Apps」では、GmailやGoogle calendarなどのGoogle AppをSalesforceと連携させることができ、SalesforceからGoogle Appを利用できるようになります。
●rakumoソーシャルスケジューラー(Salesforce版)
社内のスケジュールや設備予約の情報を一元管理できる機能です。UIやUXにこだわったデザインで、メンバーや社内全体のスケジュールが一目で把握できるのがポイント。Salesforceを導入していない部門・分野ともスケジュールが共有できます。加えて、業務内容を登録できるのも魅力です。業務にかかる時間やタスクを完了させるまでの時間を把握できるようになり、業務改善に役立てることができます。
●スマートビスカ
Salesforceのクラウド上で、取引先の情報を管理できる名刺管理サービスです。紙の名刺とオンライン名刺を組み合わせることで、顧客の情報をしっかりと登録。担当者のデータ入力の手間や負担を減らし、情報共有がスムーズになります。
Salesforceでビジネスをさらに効率的に!
Salesforceは、ハードウェアやサーバ構築が不要で簡単に導入できます。必要な機能を必要なだけ導入でき、料金体系が従量課金制なのもポイントです。部署・部門ごとに業務内容が大きく異なっていても、必要な機能だけを導入できるため無駄が発生しにくいのも魅力だといえます。
Salesforceの機能性は、「SFAツール」としての側面が担っています。「SFAツール」とは営業支援ツールのことで、営業データ分析や顧客情報管理、メール配信などの機能を備えているのが一般的。こうしたSFAツールとしての機能とスケジュール・タスク管理機能、アプリケーション連携機能が加わることで、より多面的に活用できるのがSalesforceの強みです。
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