従業員があらゆる情報を速やかに共有し、業務を円滑に進めるためには社内ネットワークの構築が重要です。近年は、テレワークを導入する企業が増えており、社内ネットワークの見直しをする企業が急増しています。そんな中、社内ネットワークの見直しを命じられたけど、何から手をつければ良いかとお困りではありませんか?今回はそんな方を対象に、社内ネットワークを安全かつ適正に構築するためには、仕組みや手順を紹介します。
本記事では、社内ネットワークの構築に焦点を当てて、手順やポイント、仕組みなどを詳しく解説します。
目次
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社内ネットワークの仕組みと種類
社内ネットワークには「無線LAN」「有線LAN」「WAN(VPN)」「リモートアクセス」の4種類の仕組みがあります。
これらのネットワークの仕組みは、それぞれに規格や接続方法、周囲から受ける影響などの特徴が異なります。安全で利便性が良い環境にするには、自社にマッチする規格でネットワークを構築しなければなりません。社内ネットワークの4つの仕組みについてそれぞれ詳しく解説します。
●無線LAN
無線LANの主な特徴は以下のとおりです。
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無線ルーターとアクセスポイント(無線LANの中継機)を経由して無線通信を行う仕組み
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Wi-Fiは無線LANの一般的な規格
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場所を問わず接続可能
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障害物や電波干渉などの影響を受けやすい
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情報漏洩や無断利用などの対策が欠かせない
無線LANは、LANケーブルを使う必要がなく、パソコンやスマートフォンなど様々な端末につなぐことができます。フリーアドレスを導入している企業やタブレットを使った業務を行う際に適しています。部外者も利用することができるため、しっかりとしたセキュリティ対策が必要です。
●有線LAN
有線LANの特徴は以下のとおりです。
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LANケーブルを使ってルーターと各端末をつなげる仕組み
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イーサネットに分類される規格
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電波干渉を受けないため通信が安定している
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容量の大きいデータの送受信に適している
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セキュリティ対策が取りやすい
大容量の情報をやり取りする企業では、有線LANが活躍します。また、セキュリティ面においても無線LANより対策を講じやすいことから、機密情報を扱う企業でも重宝します。LANケーブルによってつなぐ必要があるため、ケーブルが届かなければネットワークを使用できません。
●WAN(VPN)
WANの特徴は以下のとおりです。
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距離のある拠点同士を接続できる仕組み
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WANのうち、特に利用されているのが仮想のプライベートネットワークを構築する
同一の建物、敷地内であれば、無線LANもしくは有線LANでネットワーク構築ができます。しかし、本拠地とは別に拠点がある場合、これらのネットワークは活用できません。そこで役立つのが、WANというネットワークの規格です。中でも一般的に使われているVPNは安全性が高く、本社と支社の管理を一括して行う場合や、テレワークにおける遠隔アクセスに役立ちます。
●リモートアクセス
リモートアクセスの特徴は以下のとおりです。
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遠隔地にある端末から社内ネットワークにつなぐ仕組み
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VPNやVDI(デスクトップ仮想化)に代表される技術
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業務効率アップに役立つ
リモートワークの普及により、近年よく利用されるようになったネットワーク構築の方法です。社内外問わず、同じように業務が行えるため、時間の有効活用ができ、業務効率アップにつながります。
社内ネットワーク構築に必要なものとは?
社内ネットワーク構築に使う機器は多岐にわたります。企業の規模や用途によって活用する機器が異なるため、それぞれの特徴や役割を理解しておきましょう。ネットワーク構築に不可欠な機器のうち、メインとなる以下の4つについて詳しく解説します。
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ルーター
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LANケーブル
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LANスイッチ
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NIC
●ルーター
パソコンやスマートフォンなど、複数の端末にインターネットをつなぐ装置をルーターといいます。無線、有線問わずどちらのネットワークにおいても、複数の端末につなぐ場合はルーターが必要です。ルーターには、下記の4種類があります。
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有線LANルーター
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無線LANルーター
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モバイルWi-Fiルーター
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ホームルーター
このうち無線LANルーターは、Wi-Fiルーターと呼ばれる機器であり、ネットワーク回線を無線化することができます。またモバイルWi-Fiルーターやホームルーターは、モバイル回線をWi-Fiに変える機器です。後述のLANスイッチもルーターにつないで使用します。
●LANケーブル
有線LANでネットワークを構築する際には、LANケーブルが必要です。近年は無線LANが主流になりつつありますが、大容量の情報を通信する際には、LANケーブルを使った有線LANのネットワークが向いています。なおLANケーブルは以下に挙げる7つのカテゴリに分類されており、種類によって通信速度が変わります。
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CAT5/CAT5e
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CAT6/CAT6A
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CAT7/CAT7A
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CAT8
数値が大きくなるほど通信速度が速いです。使用環境と異なる通信速度を選ぶと、使用できなくなるケースがあります。LANケーブルは長さも様々なため、端末の位置によって合わせることも大切です。
●LANスイッチ
複数の端末をネットワークにつなぐ際に分岐させる機器をLANスイッチといいます。ハブと呼ばれることもあり、前述のとおりルーターとセットで使うのが特徴です。コンセントの口数を増やす電源タップをイメージするとわかりやすいでしょう。LANスイッチにはルーターとつなぐポートがあり、ポート数は製品によって異なります。接続したい端末の数に合わせて選ぶ必要があるでしょう。
●NIC
有線でネットワークを構築する際に使う、カードタイプの拡張機器をNIC(Network Interface Card)といいます。ネットワークインターフェースカードとも呼ばれ、パソコンの筐体にある拡張スロットに挿入して使うのが一般的です。従来は後付けするケースも見られましたが、近年は最初からNICが搭載されているマシンが多いです。
実装前に押さえておきたいネットワーク構築のポイント
社内におけるネットワーク構築を速やかに実装するためには、事前に要点を押さえておくことがポイントです。ネットワーク構築のポイントを3つ解説します。
●接続が必要な端末数を把握する
社内ネットワークを構築する際にまず確認しておかなければならないことが、接続をする端末数です。パソコンやスマートフォンなど、ネットワークに接続されている機器はすべてIPアドレスが割り振られています。IPアドレスは、ネットワーク上の住所としての役割を担っています。接続台数によってIPアドレスのクラスが変わる点に注意が必要です。
IPアドレスは「192.◯◯◯.◯.◯」といった、数字の羅列で成り立っています。クラスは以下のように最初の数値によって分類され、最大接続台数が異なります。
クラスA(1~126) | 最大約1,600万台 |
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クラスB(128~191) | 最大約6.5万台 |
クラスC(192~223) | 最大約254台 |
●拠点数を把握する
接続台数とあわせて確認する必要があることが、拠点数です。例えば、本社以外に支社や営業所が複数ある場合は、接続を行うすべての拠点を洗い出しておく必要があります。一般的には、各拠点のネットワークを本拠点にて一元管理します。拠点数によって費用やネットワーク構成が変わるということを覚えておきましょう。
●自社に合った規格を選ぶ
ネットワークには様々な種類があります。大きく分けると以下の2パターンに分けられるため、自社にあった規格を選ぶことが大切です。
無線LAN | スマートフォンやタブレットを使う機会が多い |
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ノートパソコンを活用し社内を移動する機会が多い | |
フリーアドレス制を導入している | |
有線LAN | 容量の大きいファイルを共有する機会が多い |
オンライン会議をすることが多く通信をスムーズにしたい |
上記のようにそれぞれ向いている企業が異なりますが、両方を活用して使い分けている企業も少なくありません。
社内ネットワークは方針を決める工程まで自社で行い、構築は外注する企業が多いです。一方で、社内にエンジニアが在籍していないのであれば、セキュリティや管理の面で不安が残りやすいといえます。こういった場合は、プロに相談しながら適切な方針を立てることが大切です。
発注ナビではシステム開発に詳しいスタッフが、要望を叶えられる外注先をご提案します。相談から見積もりまで完全無料でご利用いただけるため、ぜひお気軽にご相談ください。
社内ネットワーク構築の手順
社内ネットワーク構築の手順を3つのステップで解説します。速やかにネットワーク構築をするためにはプロに相談することをおすすめしますが、その場合も知識を持って依頼すると外注先に要望を伝えやすくなるでしょう。
●1.現状を調査し問題点を洗い出す
以下のことを行いましょう。
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現状を調査する
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問題点を洗い出す
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現場の意見を聞く
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改善点をまとめる
社内ネットワークの構築は手間や時間がかかるため、頻繁に行えるものではありません。そのため、一度の作業で適切なネットワーク構築ができるよう、しっかりと準備をすることが大切です。まずは自社のネットワークにおける現状をリサーチし、問題点を洗い出しましょう。また、現場の意見を聞くことも非常に大切です。実際に利用するスタッフがどのような点にやりにくさを感じているかを把握することで、改善点がまとめやすくなるでしょう。よくある問題点としては、以下の3点が挙げられます。
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支社から本社のファイルサーバーにアクセスしにくい
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トラブル発生時の復旧に時間がかかり業務に影響が出る
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始業時や終業前などアクセスしにくい時間帯がある
これらは一例です。企業によって課題や問題点は異なるため、十分に調査しましょう。
●2.方針を決めて設計を作る
現状調査が完了したら、「調査結果をもとにネットワーク構築の方針を決める」「シンプルな設計を心がける」という2点を重視して進めていきます。ネットワーク構築の土台となるのが、調査結果をもとにした設計です。複雑な設計にしてしまうとトラブルが発生した際の原因究明に手間取ってしまいます。そのため、シンプルな設計を意識しておくと良いでしょう。セキュリティ対策に関しても、設計の段階で考えておく必要があります。
●3.運用管理に関するマニュアルを作る
設計が完了した後は、マニュアルを作成します。流れや注意点は以下のとおりです。
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運用管理を記録する
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管理部署や責任者を明確にする
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誰もが理解できるマニュアルを意識する
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完成したマニュアルを使って社内研修を行う
問題が起きた時に迅速な対応ができるよう、管理部署や責任者を明確にしておきましょう。誰もが理解できる内容を意識してマニュアルを作ることが大切です。マニュアルが完成したら、全社員に対して社内研修を行うことをおすすめします。
社内ネットワークの構築例
最後に、一般的な社内ネットワークの構築例を紹介します。これから社内ネットワークの構築を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
●1フロア・1拠点の構築例
- ルーターを1つ用意する
- ハブを端末の台数に合わせて用意する
- ハブを使って各端末をネットワークにつなぐ
最もシンプルな社内ネットワークの構築例です。1つのルーターと必要数のハブで完結するため、コストを抑えられます。
●複数フロア・1拠点の構築例
- ルーターを1つ用意する
- ルーターを設置したフロア以外にスイッチングハブを置く
- スイッチングハブとハブをつなぐ
- ハブと端末をつなぐ
複数のフロアがある企業でも1拠点であれば、1つのルーターで十分といえます。ルーターがないフロアにはスイッチングハブやハブが必要です。
スイッチングハブとは、通信を行う機器同士の速度や方向性を自動的に判別し、適切な通信を行うための装置のことです。普通のハブは、1つのポートから受信したパケットはすべてのポートに通信されるので、複数のポート間を同時に通信することができませんでした。スイッチングハブに変わることで、同時通信が可能となります。
●複数フロア・複数拠点の構築例
- 各拠点に1つずつルーターを設置する
- ルーターを設置したフロア以外にスイッチングハブを置く
- 電話回線もしくはWANを活用して本拠地のLANとつなぐ
複数の拠点があり、かつ各拠点が複数フロアあったとしても、基本的な構築方法は1拠点で複数フロアある場合と変わりません。異なる点は、離れた拠点同士をつなぐための仕組みが必要になる点です。
このように、社内ネットワークの構築は、現状を踏まえたうえで課題や問題点を洗い出し、的確な改善策をまとめることが大切です。準備が不十分だと、せっかく構築したネットワークが十分な効果を発揮しません。ネットワークの構築には時間や手間がかかるため、1回の作業でスムーズに仕上げる必要があります。
社内ネットワークの構築をする際は専門知識が必要になるため、外注がおすすめです。発注ナビではシステム開発に詳しいスタッフが、要望を叶えられる外注先をご提案します。相談から見積もりまで完全無料でご利用いただけるため、ぜひお気軽にご相談ください。
システム開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国4000社以上からご提案
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