営業車、運搬用トラック、送迎車などを保有する企業にとって、社用車は動く資産。万が一社用車が事故を起こすと、運転していた従業員と企業に責任が発生するリスクも伴うので、企業にとって車両管理は重要課題の一つです。
これまでの車両管理は、車の登録番号、車検日、保険加入状況などを台帳で管理したり、車両の使用状況を運転日報で報告したりするのが一般的でした。それは管理する車両が多いと業務負担も大きくなります。その業務負担の悩みを解決する手段として注目を集めているのが車両管理システムです。
今回は、車両管理システムの機能、車両管理システムを導入するメリットやシステムを導入する時に考えておきたいことなどについて解説します。
目次
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「車両管理システム」ってどんなシステム?
「車両管理システム」とは、企業の社用車の車両情報・ドライバー情報を一元管理できるシステムです。車両の位置・速度・加速・アイドリングなどの運行情報を把握します。車両管理システムを利用すると、管理者がPCで車両の動向をリアルタイムで記録・管理でき、指示をすることも可能です。運行時間や速度を記録するのに、従来はコストがかかるタコグラフ(運行記録計)の搭載が必要でしたが、現在は、アプリをインストールしただけで利用できる車両管理システムがあるため、どこからでも簡単に安価に車両の稼働状況を把握することが可能です。
車両管理システムの主な機能には、以下のようなものがあります。
●位置情報の取得機能
「位置情報の取得機能」で車両の位置情報を地図上に表示できます。緊急時には近くの車を見つけ指示を出すことも可能です。
●走行記録の取得機能
「走行記録の取得機能」で社用車の軌跡を管理できます。ルートの把握や日報作成などの業務の効率化にもつながるでしょう。
●到着時刻の予想機能
「到着時刻の予想機能」で設定した目的地の到着時刻を予測でき、効率的な配車・配送計画ができます。
●危険運転アラート通知機能
「危険運転アラート通知機能」は、事前に設定した速度を超過したり急ブレーキをかけたりすると、管理者に自動通知する仕組みです。運転状況の可視化によりドライバーの意識も向上し、安全な運転操作につながるでしょう。
●運転傾向分析機能
「運転傾向分析機能」で、安全評価・エコドライブ評価などでドライバーの運転傾向を分析できます。そのため、適切なセルフチェック・運転指導ができます。
●運転成績評価機能
「運転成績評価機能」で従業員の運転技術にスコアをつけることが可能です。人事評価にも活用でき、従業員のモチベーションアップも期待できるでしょう。
●車両稼働管理機能
「車両稼働管理機能」は、社用車の稼働状況を画面に一覧表示します。適切な車両台数の検証により減車・駐車場縮小などの経費削減にもつながるでしょう。
●日報自動作成機能
「日報自動作成機能」は、車両・ドライバー別の走行記録より日報・月報を自動生成できる機能です。事務作業や帳票管理の効率化につながります。
●配送ルートの最適化機能
「配送ルートの最適化機能」は、訪問先を入力することでAIが最適なルートを教えてくれる機能です。
車両管理システムに対応している業種とは
車両管理システムは、業種別に目的・用途・管理体制が異なります。
対応しているのは以下の業種です。
●交通・運輸業
バス・トラック・タクシーなどを利用する交通・運輸業向けの車両管理システムがあります。車両管理システムの導入により、車両の現在地をパソコン・スマホアプリの地図上で確認が可能です。特定の場所への接近・到着もわかるため、業務の効率化につながります。
交通・運輸業向けの車両管理システムの特徴は以下の通りです。
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車両の稼働状況を共有できる
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監査に必要な書類を電子化できる
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中継・乗り継ぎ・複数台での運行・出荷・集配などに対応できる
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すべてのパターンの運送情報を登録できる
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車検・定期点検期日や車両の入出庫状況・整備の実施状況を管理できる
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運送業界の請求処理をサポートできる
●建設業
建設業は時期や時間によって現場が変わり、場所によってはムダな移動が発生します。また、管理部門についてもドライバーごとの運転日報をまとめなくてはなりません。車両システムはこのような建設業の問題を解決できます。訪問記録の自動化により、現場への直行直帰を可能にし稼働のムダを削減できるのです。
建設業向けの車両管理システムの特徴は以下の通りです。
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稼働の可視化で働く環境を改善できる
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日報機能によりドライバーの手書き記入・管理部門の帳票集計作業の削減
●社用車を利用する業種
社用車を利用するそのほかの業種は「医療・介護業界」「自治体」です。
医療・介護業界では訪問診療・訪問介護のニーズが高まっています。車両管理システムの導入により「追加診療」「医師に電話できるタイミング」などを確認し、判断することが可能です。介護施設への送迎や医師の労務管理などにも車両管理システムを活かせます。
また、自治体がごみ収集・除雪作業などを民間の委託業者に委託する場合も車両管理システムを利用できます。システムの機能により、ブラックボックス化を防ぎ透明性の高い健全な運営を行うことができます。
車両管理システムを導入するメリット
車両管理システムを導入するメリットは下記の通りです。
●安全性を高められる
車両管理システム導入により効果的な安全運転指導ができます。
危険運転が起こりやすい場所を把握し、地図上でマークして周知徹底することで、事故を未然に防ぐことが可能です。事故後に活躍できるドライブレコーダーとは異なり、車両管理システムは「仕組み」としてより安全な運転指導ができ、事故を未然に防げます。
●生産性アップ・コスト削減につながる
車両管理システムの「目的地までのルート最適化」などの機能を利用することで、車両・従業員の生産性アップにつながります。
顧客からの「まだ来ないけどどうなっているのか?」「今どこにいるのか?」などの問い合わせも減らせるでしょう。また、「日報作成機能」の活用により事務作業を軽減できるため、人件費の削減も期待できるでしょう。
●業務量のカットにつながる
車両管理システムによりムダのない効率的な配送・送迎ができるだけではなく、日報の自動作成機能により残業時間の削減が可能です。その結果、従業員の長時間労働の改善にもつながり業務効率アップや定着率アップが期待できます。
システムを導入する時に考えておくべきこと
車両管理システムを導入する場合、気になるのは「コストをかけても導入する必要があるのか」などの費用対効果の点です。
システムを導入する時に考えておくべきことは以下の4点です。
●導入する目的を明確にする
車両管理システムを導入する場合、以下のように目的を明確にして自社に適したシステムを選びましょう。
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管理業務の効率化
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車両運用コスト・車両管理コストの削減
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ドライバーの負担軽減
●導入することでコストが削減されるのか考える
車両管理システムを導入してもすぐにコスト削減につながるわけではありません。コスト削減に関係するのは「事故にかかる費用」「残業削減」「燃費や保険料」となります。
事故にかかる費用
社用車で事故が発生した場合100万円以上の損害になりますが、事故発生時にかかるコストは下記の通りです。
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事故処理手続き
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車両の修理手続き
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保険請求手続き
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人件費など
ただし数十台社用車を保有している会社の場合、年1回分の事故が減ると「システム利用のコスト」「事故によるコスト」はプラスマイナスでゼロになる可能性があります。
残業削減
車両管理システムの日報自動作成機能による残業削減効果もプラスマイナスでゼロになる可能性があります。
1台あたりの残業削減時間は下記の通りです。
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30分~1時間/週
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2~4時間/月
燃費や保険料
車両管理システムで燃費や保険料は削減できます。ただし、燃費や保険料は大きなコスト削減にはつながらず、結果が出るまで時間がかかるでしょう。
●自社に合う設置デバイスは何か検討する
車両管理システムには以下のように様々な種類があります。「自社に合う設置デバイスは何か検討する」ことが重要です。
ここからデバイスをタイプごとにみていきます。自社にふさわしいデバイスはどのタイプなのか検討していきましょう。
OBD-IIポート型
「OBD-IIポート型」は、SIMカードを装着した車載機をOBD-IIの差し込みポートに設置するタイプです。専門的な工事・配線が不要なため誰でも簡単に設置できます。
シガーソケット型
「シガーソケット型」は、車のアクセサリーソケットに挿すだけのタイプです。OBD-IIポート型同様に、専門的な工事・配線が不要なため、誰でも簡単に設置できます。
アプリ型
「アプリ型」は、スマホやタブレットにインストールして利用するタイプです。
安価で手軽な半面、充電切れやドライバーがGPSの設定をオフにしているなど誤操作するリスクもあります。また、ドライバー個人のスマホを利用する場合、曜日・時間を限定し仕事とプライベートの切り分けへの配慮が必要です。
デジタルタコグラフ搭載型
「デジタルタコグラフ搭載型」は、速度・時間・距離情報や位置情報・走行記録をリアルタイムで取得できるタイプです。高度な記録ができますが、コストがかかり配線工事も必要になります。
●利用するドライバーに考慮する
車両管理システムを導入した場合、一番投資効果が高いのが利用するドライバーです。運送・物流業界では、事故防止対策や労働時間を適正に保つよう管理している企業は応募者が増え、就労後の定着率も高くなります。
運送・物流業界以外の場合、社用車を利用するのは営業スタッフやフィールドエンジニアです。車両管理システムを導入すると、安全運転や日報作成の負担削減につながります。本来の業務に集中できるため業績アップにもつながるでしょう。
また、ドライバー目線での使いやすさやサポート機能が充実しているのも注意すべきポイントです。使い勝手が悪いシステムを導入した場合効果は期待できないでしょう。
車両管理システムの費用相場はどれくらい?
車両管理システムの費用相場はどれくらいなのでしょうか?
車両管理システムには初期費用と月額費用が必要です。車両管理システムを選ぶ場合、導入コストを上回る効果が見込めるシステムを選ぶことをおすすめします。主な車両管理システムの費用相場は下記の通りです。
システム名 | 費用相場 |
---|---|
Comtruck | 初期費用:無料 月額費用:11,000円(税込) |
Good Truck | 初期費用:無料 月額費用:11,000円(税込) |
そらうど | 初期費用:11,000円(税込) 月額費用:13,200円(税込) |
docoですcar | 初期費用:無料 月額費用:6,200円~ ※標準プラン レンタルの場合 |
Cariot | 初期費用:無料 月額費用: 車載デバイス 1,200円~/台 車両ライセンス 2,980円/台 管理者ライセンス 2,000円/人 ※レンタルの場合 |
くるまぶり | 初期費用:無料 月額費用: ドライバー 5,000円~/10ユーザー 管理者 1,000円~/1ユーザー |
Vehicle ManagerⓇ | 初期費用:35,000円/台 月額費用:15,000円/台 |
※金額には導入指導料などの費用が含まれていません。料金が加算される場合もあります。
導入前に従業員を説得することも重要
車両管理システムを導入する場合「会社と従業員両方にメリットがある」と事前に従業員を説得することが重要です。「リアルタイムで会社が車両の位置を把握できる」ことに抵抗感を抱く従業員もいるでしょう。従業員には導入するメリットを伝え、納得してもらうことが必要です。
車両管理システムは使い勝手を重視して
車両管理システムは、企業の社用車の車両情報・ドライバー情報を一元管理できるシステムです。
位置情報の取得機能、走行記録の取得機能、日報自動作成機能など様々な機能があります。導入するメリットは「安全性を高められる」「生産性アップやコスト削減につながる」などです。
車両管理システムの導入は生産性を高め業務の効率化につながります。導入する目的、費用対効果、ドライバーの使い勝手などをふまえて後悔のない車両管理システムを選びましょう。
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