支社や系列企業を多く抱える企業の場合「複数の会社で合同の会議を行いたい」、「グループ会社の役員同士で会議を開催したい」と考えるケースも少なくありません。
ちょっとした打ち合わせや会議を行うため、オフィスに会議室を備えている企業は数多く存在しますが、参加者のスケジュール調整や、物理的な集合が難しい場面も多いのではないでしょうか。
複数人同士が離れた場所から会議を開催できる「ビデオ会議」システムは、こうした課題を解決する有力な手段として注目されています。 本記事では、ビデオ会議の基礎知識から具体的な導入方法に至るまで、詳しくご紹介します。
目次
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ビデオ会議(テレビ会議)とは?基礎知識と必要機材を詳しく解説!
ビデオ会議とは、室内に設置したカメラやディスプレイを使い、遠隔地同士をつないで映像と音声をリアルタイムでやり取りできる会議方式です。
カメラで撮影した映像やマイクで拾った音声は、コーデックと呼ばれる装置によって圧縮・変換された後、専用の回線(LAN回線やISDN回線など)を通じて送受信されます。この仕組みにより、離れた拠点にいる参加者同士が、まるで同じ部屋にいるかのように会議を進めることが可能となります。
令和の時代においては、「G7」の首脳同士がビデオ会議を通じて意見交換などを行う機会もあるほど、世界規模でも使用されている会議システムと言えるでしょう。会議室や役員室といった、ある程度の広さを備えた部屋さえあれば、企業でもビデオ会議の導入が可能です。本社と支社の役員同士で行う経営会議や、複数の店舗責任者を交えた製品開発会議など、様々な用途としてビデオ会議を活用していきましょう。
ちなみにモニターを通じて会議を行うという特性から、企業によってはビデオ会議のことを「テレビ会議」と呼ぶ場合もありますが、ここではビデオ会議とテレビ会議を同義のものとして扱います。
●Web会議や電話会議との違いはある?
項目 | ビデオ会議(テレビ会議) | Web会議 | 電話会議 |
---|---|---|---|
使用回線 | 専用回線(LAN/ISDNなど) | インターネット回線 | 電話回線 |
必要な機材 | 専用カメラ モニター マイク等 | PC/スマートデバイス マイク等 | 電話機 スマートフォン |
コスト | 専用機材・回線の初期費用が高い | 月額制・専用機材は不要で安価 | 通話料のみ(安価) |
会議の参加場所 | 会議室など専用スペース | インターネット環境ならどこでも可能 | 電話ができればどこでも可能 |
参加人数目安 | 会議室の規模により大人数も可 | 2人〜20人程度が目安 | 2〜6人程度 |
映像・音声 | 高品質の映像・音声を双方向で共有 | 音声・映像、資料や画面も共有可能 | 音声のみ |
特長 | セキュリティ性・通信安定性重視 | 柔軟・手軽・拡張性が高い | 手軽で操作が簡単 |
ビデオ会議は、専用機器と専用回線を利用することで高品質な映像と音声、そして高いセキュリティ性を実現している点が特徴です。一方、Web会議はパソコンやスマートフォンなどの一般的なデバイスとインターネット回線を利用するため手軽に始められますが、通信環境やセキュリティ面でビデオ会議ほどの安定性は望めないことが多いです。
また、電話会議は音声のみのやりとりとなり、ビデオ会議のように資料や表情の共有はできません。参加人数もビデオ会議やWeb会議に比べて小規模になってしまうことも多いですが、電話回線さえあればすぐに始められるという手軽さと、必要な機材がなく、主なコストは通話料のみという点が魅力です。
関連記事:Web会議ってどんな会議?メリットや導入方法を詳しく紹介!
●ビデオ会議に必要な機材とは?
- ビデオ会議専用カメラ
- ビデオ会議専用モニター
- マイクスピーカー
- LAN回線やISDN回線など
ビデオ会議を導入するうえで、必要な機材は上記の通りですが、「どのような機材やシステムを選べば良い?」と疑問を持つ人も少なくありません。実際、ビデオ会議の機材やシステムは、種類によって性能や機能、価格設定が異なります。
会議システムの総合メーカーとして高いシェアを誇る「Poly(ポリー)」や、リーズナブルな価格設定に定評のある「AVer(アバー)」など、さまざまなメーカーが製品を提供しています。性能や機能に加え、サポート体制などを比較検討したうえで、機材やシステムを選ぶと良いでしょう。
企業でビデオ会議を導入するメリット
企業でビデオ会議を導入する場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、ビデオ会議の導入で得られる主な4つのメリットについて紹介します。
- 映像や音声の品質が高い
- 通信のセキュリティ性にも優れる
- 移動コスト・時間の削減
- 意志決定のスピードアップ
●映像や音声の品質が高い
遠くにいる相手と映像や音声でコミュニケーションを取る手段としては、「テレビ電話」や「Zoom」などもあります。これらは、端末の性能や電波状況のような外的要因に影響されやすく、映像や音質の低下が発生しがちです。
その点、ビデオ会議は専用の端末と回線を利用するため、高品質な映像と音声を保ちやすくなっています。映像や音声の品質が高いことでモニター越しでも場の雰囲気や参加者の表情を把握しやすく、離れていても臨場感のある会議を実現できます。
●通信のセキュリティ性にも優れる
ビデオ会議は、インターネット接続を行わずに、専用回線を介して映像と音声の通信を行うため、ウイルスや不正アクセスに対して高い堅牢性があります。ネットワーク自体が閉じているため、機密情報を扱う会議でも安心して利用できるのが特長です。
さらに、ビデオ会議は多くの場合、会議室や応接室という室内に限定されている分、会議の内容や漏洩してしまうリスクも少なくなっています。特にコンプライアンスやセキュリティ要件が厳しい企業や、個人情報・営業機密を取り扱う部署には、こうした高い安全性とプライバシーが非常に重要な評価ポイントとなるでしょう。
●移動コスト・時間の削減
従来、拠点間の会議や商談のために移動が必要な場合、交通費や宿泊費、不在時の業務調整など多くのコストや手間がかかっていました。ビデオ会議を導入することで、そのような物理的な移動をほぼゼロにできます。
国内外複数拠点、グループ会社、離れた店舗スタッフを一堂に集める必要がなく、各拠点からそのまま会議に参加できるため、移動時間の大幅短縮が可能です。また、空いた時間を本来の業務に充てられるようになり、生産性の向上やワークライフバランスの改善にもつながる可能性があります。
大人数の会議や頻繁に出張する必要がある企業ほど、このメリットは大きな効果を発揮するでしょう。
●意志決定のスピードアップ
会議開催のための移動や日程調整が不要になることで、緊急事態や新たな課題が発生した際にも、即座に関係者を集めて討議できるようになります。これにより、状況に応じて迅速かつ柔軟に問題解決や方針決定を進めることが可能です。意思決定のプロセスが短縮されることで、市場や競合を意識したスピード経営、現場の迅速な判断を促進しやすくなるでしょう。
また、定例会議や経営会議以外でも、現場スタッフからの報告や相談をタイムリーに受け取ることで、トップダウン・ボトムアップ両方の情報の流れがスムーズになるのも嬉しいポイントです。これらの点は、業務の効率化だけでなく組織全体の競争力向上にも大きく貢献します。
ビデオ会議におけるデメリット
ビデオ会議を導入する場合、メリットだけでなくデメリットにも目を向けることが大切です。ここでは、ビデオ会議におけるデメリットを4つ紹介します。
- 導入コストが高い
- データの送受信ができない
- 利用場所が限定される
- 導入時のルール策定などが必要
●導入コストが高い
企業でビデオ会議を導入するには、ビデオ会議を行う場所に専用のカメラやマイクを設置する必要があります。機材の設置には工事が必要となるうえ、既存のモバイル機器やネット回線ではなく、専用回線を設置する必要があるため、ビデオ会議の導入コストはどうしても高くなってしまうのです。
また、拠点ごとに設備を整えなければならないため、拠点数が増えるほどトータルコストも上昇してしまう点に注意が必要です。
この導入コストに加え、設置した機材の点検やメンテナンスを行う分、ビデオ会議には「運用コストも負担になりやすい」という欠点があります。こうした初期の投資負担や維持費の面から、中小企業や導入規模の小さい組織にはハードルが高いケースも少なくありません。
●データの送受信ができない
ビデオ会議は、高品質の映像や音声の共有には優れているものの、インターネットを用いたデータファイルや資料の送信には基本的に対応していません。資料の共有が必要な場合は、別途メールやオンラインストレージなど他の手段を併用しなければなりません。そのため、議論の途中で最新資料を配布したり、即時に参加者へデータを送信したいケースではやや利便性が劣ります。
●利用場所が限定される
ビデオ会議システムは、機材や専用回線を設置した特定の会議室・応接室でのみ利用できるケースが一般的です。つまり、個人のデスクや自宅、出張先から気軽に参加できるWeb会議と違い、会議実施には事前に会議室を予約するなどの調整が不可欠になります。
そのため、急きょ設定された少人数の打ち合わせや、在宅勤務中のスタッフとのミーティングなど、多様なワークスタイルにはすぐに対応できません。
また、機材の設置場所が限られることで同時に複数会議を開く場合や、利用頻度が高い場合、場所の確保や運用面で制約が生まれることもあるため注意が必要です。
●導入時のルール策定などが必要
専用機材を使った本格的なビデオ会議では、マイクの使い方や会議進行の手順など、予め社内でしっかりルールを決めておくことが大切です。例えば参加者全員が映像に映る位置を意識する、会議の冒頭に音声や機材チェックを行う、資料配付の方法等、通常の会議とは異なる配慮が求められます。
また、新しく導入されたシステムに慣れるための研修や、定期的な運用ルールの見直しも不可欠になります。これらの社内教育やマナーの周知を怠ると、せっかくの高性能なシステムも十分に活用できず、会議品質の低下やトラブルを招く可能性があるため注意が必要です。
ビデオ会議を企業へ導入するには?システムを選ぶ5つのポイント
ビデオ会議を企業へ導入する場合、どのシステムを選べば良いか悩まれる方も多いのではないでしょうか。ここでは、システム選びで大切な5つのポイントを詳しく紹介します。
自社に最適なシステムを選ぶための参考にしてみてください。
- ビデオ会議の用途
- 予算・運用体制
- 利用人数
- サポート体制や拡張性
- 期待する効果
●ビデオ会議の用途
まず、ビデオ会議をどのような業務や場面で活用するのか、具体的な用途を定めましょう。たとえば経営会議、複数拠点の打ち合わせ、採用面接、顧客対応など、目的により必要なシステムや機能は大きく異なります。
利用シーンや頻度、参加者の属性なども整理しておくことで、最適な製品を見つけやすくなるため、具体的に用途を設定しておいた方が良いでしょう。用途が明確である程、機能の過不足を避けられるため、適切な設備選定につながります。
●予算・運用体制
導入にあたっての予算や運用体制についてしっかり検討することが必要です。システム導入には初期費用と月額利用料、機器メンテナンス費、拡張時のコストなど複数の費用が発生します。導入から運用までのトータルコストを比較することが大切です。
また、運用後にどの部署が管理・保守を担当するか、担当者の教育や運用マニュアルの整備まで見据えることで、導入後のトラブルを防ぐことができます。予算と運用体制のバランスを考えたうえで、無理のない導入計画を立てましょう。
●利用人数
ビデオ会議を利用する人数や会議の規模により、必要なシステムの性能や機材の数も変わってきます。少人数のミーティングから大人数が集まる全社会議まで、想定する最大参加人数を把握することが重要です。
利用人数によっては拡張性のあるシステムや、スペースに応じたカメラ・マイクの選定が必要です。最初に利用規模を明確にしておけば、無駄な投資を避け、必要十分な設備を効率よく導入できます。
●サポート体制や拡張性
導入後にトラブルが発生した場合や、システム増設を行う場合に、メーカーや販売代理店のサポートがしっかりしているかどうかは、非常に重要なポイントです。
機器の修理やメンテナンス体制、ユーザーからの問い合わせへの対応スピード、導入後のトレーニング提供なども比較検討すると安心です。また、将来的な増設やシステム拡張がしやすいタイプを選べば、会社の規模拡大や活用範囲の広がりにも柔軟に対応可能です。
●期待する効果
ビデオ会議の導入によって何を実現したいのか、期待する効果を明確にしましょう。たとえば「出張コストの削減」「会議の効率化」「意思決定の迅速化」など、導入により得たい成果を具体的に設定します。
効果目標がクリアになれば、導入後の運用成果も評価しやすくなりますし、ベンダーへの要望や現場への周知も的確に進められるでしょう。
ビデオ会議に向いている業務を詳しく紹介!
ビデオ会議はさまざまな場面で活用できますが、とくにメリットを最大限に活かせる業務があります。ここでは、ビデオ会議に適している具体的な業務やシーンを分かりやすく紹介します。
また、用途に応じた会議システムの使い分けについても触れていますので、参考にしてみてください。
- 重要度の高い打ち合わせ
- 多拠点・大人数での会議
- 採用・人事関連
- 教育・研修
- 社内外イベント
- 緊急時の情報共有
ビデオ会議(テレビ会議) | Web会議 | 電話会議 | |
---|---|---|---|
適した用途 | ・経営会議 ・フォーラムの開催 ・役員会議、定例会議 ・遠隔授業や遠隔医療など |
・オンラインの採用面接 ・セミナーや講義の開催 ・顧客との商談、打ち合わせ ・在宅勤務やリモートワーク、など |
・フォローアップ会議 ・短時間のミーティングなど |
メリット | ・映像や音声が高品質 ・通信の安定性に優れる ・セキリュティ性が高い |
・導入コストが安い ・データ送信が自由に行える ・場所を選ばずに参加可能 |
・導入コストがとても安い ・通信の安定性に優れる ・使用方法が簡単 |
デメリット | ・導入コストが高い ・データ送信ができない ・参加は機材設置場所のみ |
・セキュリティ性に劣る ・通信トラブルに苛まれやすい ・場の雰囲気を把握しにくい |
・参加者の表情を確認できない ・データ送信ができない ・規模の大きい会議に不向き |
●重要度の高い打ち合わせ
経営会議や役員会議など、組織の意思決定に関わる重要な打ち合わせにはビデオ会議が非常に効果的です。高品質な映像と音声で、参加者の表情や雰囲気までしっかりと共有できるため、遠隔地にいても対面さながらの臨場感が得られます。
ビデオ会議は高いセキュリティを誇るため、会議内容の機密性を重視する場合でも、安心して利用できます。
●多拠点・大人数での会議
全国に支店や拠点がある場合や、複数の部署やグループ企業をまたぐ大規模な会議にもビデオ会議はおすすめです。物理的な移動を伴わないため、スケジュール調整が比較的容易で、移動コストも押さえられます。
また、通信が安定しているため、参加者が増えてもスムーズな進行が行えるのも嬉しいポイントです。一斉に意思統一を図りたい時や全社的な発表・説明が必要なシーンにも適しています。
●採用・人事関連
集団面接や役員による最終面接など、複数人が関わる採用プロセスにもビデオ会議が活躍します。応募者と担当者が遠隔地にいても、表情や反応を確認しながら面接や選考を進めることが可能です。
また、配属前の適性検査や入社オリエンテーションなど、人事業務全般にも幅広く応用されています。効率的な進行に加え、移動コストや日程調整の負担を軽減できる点も魅力です。
●教育・研修
専門家による社内講座や、拠点を超えた集合研修、外部講師を招いたセミナーの配信など、教育や研修分野でもビデオ会議は定着しつつあります。
映像と音声を通じて臨場感ある授業や講義を実施できるだけでなく、参加者が双方向で意見交換を行ったり、その場で質問を投げかけたりできるのが特長です。
●社内外イベント
社内表彰式や周年イベント、製品発表会など、複数拠点をつなぐ大規模イベントにもビデオ会議システムの活用が進んでいます。遠隔地の従業員や取引先も同時にイベントへ参加できるため、組織の一体感向上や情報共有にも効果を発揮するでしょう。
また、イベント当日の記録やアーカイブ配信にも対応可能なため、イベントへの利用が増えています。
●緊急時の情報共有
災害発生時や危機対応が必要なときにも、ビデオ会議は迅速で的確な情報共有ツールとして注目されています。全国の拠点・部門と即時に映像・音声を共有できるため、現場の状況確認や支援体制の指示が速やかに行えるのがポイントです。
特に緊急度の高い連絡や決定を要する場面では、安定した通信と高いセキュリティが求められるため、ビデオ会議の強みが発揮されるでしょう。
ここまで、ビデオ会議におすすめの業務を紹介してきましたが、「離れているもの同士で会議を行う方法」は、ビデオ会議だけに限りません。このほかにも、インターネット回線を通じて会議を行う「Web会議」や、電話回線を介して音声だけの会議を行う「電話会議」など、様々な方法が存在します。
たとえビデオ会議には不向きな用途だったとしても、Web会議や電話会議で賄えるケースもあるため、ビデオ会議だけにこだわらずに、目的や用途によっては「導入する会議システムを変更する」ことも検討しましょう。
関連記事:Web会議ってどんな会議?メリットや導入方法を詳しく紹介!
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