システム開発やインフラ構築をはじめ、システム監視、プロダクト販売といった領域まで幅広い事業を展開する株式会社タカインフォテクノ。同社は1979年設立の会社だが、実はシステムの受託開発に本格的に取り組んだのはここ数年のことで、発注ナビの利用を開始したのも1年余り前だ。それにもかかわらず既に3件、総額数千万円規模の新規開発案件の受注に成功している。その成功の裏には、どのような工夫があったのだろうか。同社の儘田 竜氏にお話を伺った。
社名 | 株式会社タカインフォテクノ |
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所在地 | 埼玉県川越市脇田本町1番地3 グランベル川越ビル4F |
従業員数 | 101 – 300名 |
事業内容 | システム開発、インフラシステム運用、インフラシステム構築、ヘルプデスク/サポートデスク |
掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
中堅・中小企業のビジネスを支援する事業を展開してきたが、自社にマッチしたシステム開発の要望を受け、受託開発事業を本格的に開始。当初は紹介(リファラル)や人脈で案件を獲得していたが、事業拡大のためには新規顧客の開拓が必須に。受託開発の営業経験者がおらず、インサイドセールスやテレアポ代行では新規開拓が難しいと判断し、効果的に新規案件を獲得するための方法を模索していた。
- 導入後の効果
発注ナビの案件情報を毎日しっかりチェックして、予算感や案件内容などで絞り込み、厳選した案件に積極的にエントリー。スピード感ある初動対応や対面を重視する商談、顧客の課題を解決するための幅広い提案を強みとし、約1年の間に3件の大規模案件の受注に成功。その後も確度の高い商談が3件続くなど、新規案件を継続的かつ効率的に獲得するための仕組みを整えることができた。
システムの受託開発事業に本格的に注力するにあたり新規顧客の開拓が必須に
株式会社タカインフォテクノは、埼玉県川越市に本社を置くシステム開発会社だ。システム開発をはじめ、インフラ構築、インフラ運用、技術者育成のためのエデュケーション、ヘルプデスク・サポートデスク、システム監視、プロダクト販売、プロダクト導入支援など、幅広く事業を展開している。同社の強みは、システムを作るだけではなく、開発したシステムをしっかりと使ってもらうための社内への定着化まで一貫して対応できるところだ。
同社の設立は1979年。半世紀近い歴史を持つ企業ではあるが、儘田氏曰く、システムの受託開発に本格的に開始したのはここ数年のことなのだという。それまでは、パッケージシステムなどプロダクトの販売・導入支援、ヘルプデスクやサポートデスクなど、中堅・中小企業の顧客のビジネスをICTの側面から支援することに注力してきた。
いわば、ICTに関わるサービス全般を幅広く提供してきた同社だが、かねてより『自社のビジネスにマッチしたシステムを作るところから支援してくれないか』という要望を顧客からもらうことが多かったのだという。そうした顧客ニーズへの対応と、これまでに培ってきた実績と経験をフルに活かすことを考えて、本格的に受託開発に乗り出したのだ。
ところが、受託開発事業を本格的に始めてからしばらくすると壁にぶつかった。スタート当初は、これまでの事業の中で培ってきた人脈やコネクションを基にした紹介(リファラル)を中心に案件を獲得できていた。しかしさらなる事業拡大を見据えたときには、リファラル案件だけでは先細りになりかねない。儘田氏は、自ら新規顧客を開拓していく必要性を強く感じたのだという。
それではどうやって新規顧客を開拓するか。受託開発の営業は、パッケージシステムやSaaSなどの営業とは根本的に異なる。「こういうシステムです」、「こういうサービスです」と具体的に示しながら顧客に導入の可否を判断してもらうのではなく、まずは顧客の困りごと(課題)やシステム導入の目的をヒアリングするところから始まる。これは、蓄積された経験や知見、ノウハウが物をいう場面だ。
ところが同社には、こうした受託開発の営業経験者がいなかった。一方、だからといってインサイドセールス代行やテレアポ代行を外注したとしても、目には見えない『受託開発のシステム』の新規顧客を獲得できるとは、儘田氏にはどうしても思えなかったのだ。
そこで儘田氏は、以前に勤務していたシステム開発会社で発注ナビを利用していたことから、社内に発注ナビの利用を掛け合った。これが同社の発注ナビ利用のきっかけとなった。
利用開始から約1年間で3件、数千万円規模の大規模案件受注に成功
儘田氏の発注ナビ利用歴は長く、発注ナビがサービスを開始した頃からトータルで「10年以上のお付き合いになります」という。儘田氏は他社のマッチングサービスも利用経験があるが、いずれも「初期費用を含めて費用が高い」、「成約すると手数料を取られる」、「追加発注を受注しても手数料を取られ続ける」といった点に不満を感じることがあったという。特に「紹介されて発注者に連絡すると『何の話ですか?』となるなど、発注者が本気でシステムを導入しようとは考えていない案件が多くありました。案件の質が良いとは思えないサービスもありましたね」。
それに対し、発注ナビについては、紹介される開発案件の質が良いという印象を持っているとのことだった。成功報酬型ではないので最初に決められた費用を払えば、その後に手数料などを取られることもなく、費用体系が明朗なところも良い、という評価だ。
さらに儘田氏は、発注ナビの構造についても気に入っていると話す。「どの案件を受注したいか、自分たちで選んでエントリーすれば、そのうち一定の割合が紹介案件となって発注者との商談につながる、あとは自分たちのプレゼン能力次第で新規案件を獲得できるかどうか決まります」。このフローがシンプルで分かりやすく、同社のようなシステム開発会社にとってのメリットが大きいと感じているのだそうだ。これらのポイントを総合的に考えると、これまでに利用したマッチングサービスの中で、発注ナビが一番バランスが取れているベストなサービスだと、太鼓判を押している。
こうして同社は2023年4月から発注ナビの利用を開始し、その後、約1年間で3件の新規案件を獲得している。しかも、3件全てがいわゆる大規模案件だ。うち一つは、社内システムのクラウド移行の案件で2026年までの継続発注も含めると数千万円規模にもなる。そのほかのインフラ移行の案件、受発注システムの案件は、追加発注なども含めるとそれぞれが数百万円規模になる。
さらに、儘田氏曰くこれら以外にも現在商談中の案件が3件あり、いずれも受注確度が高く、金額的にも良い案件なのでぜひ受注できるように、と尽力している最中なのだそうだ。「発注ナビから紹介される案件は、質が良いことはもちろんですが、次につながる案件が多いと感じています。中長期的に考えると費用対効果が抜群だなと思っています」。
エントリーを厳選、初動を早く、対面重視、が案件獲得の鍵
さて、同社のように発注ナビの利用開始から約1年という期間の中で大規模案件を続けて獲得するのは、そう簡単なことではない。なぜ、ここまで成果を上げられたのだろうか。儘田氏はまず、「エントリーの仕方を工夫しました」と話す。「発注ナビでは当社がエントリーした案件の中から、一定の割合で発注者を紹介してくれると聞いています。ということは、紹介案件が何件か続いたら、少し間を置いてから次の紹介になるのではないかと考えました」。そこで儘田氏は、そろそろ紹介案件が来る頃だというタイミングを考えながら案件を厳選するようにして、乱れ撃ちのようにエントリーしないようにしたのだ。
具体的に同社が狙ったのは、予算が1000万円から2000万円規模の案件だったという。ただし予算はあくまでも目安で、予算規模が500万円くらいの案件でも、内容をじっくり確認すると、将来的なシステム拡張などで追加案件がありそうだと読み解けるものもあった。同社は、そういった期待感の持てる案件も含めて狙っていった。
さらに、エントリーする案件を厳選しただけではなく、実際にエントリーするときの文面にも工夫をしたという。
「当社に限らず、多くのシステム開発会社は日々の仕事の合間を縫ってエントリーをしなくてはならないと思います。エントリーの文面では、テンプレートを活用するケースが多くなると思いますが、当社はそこでも、ひと手間をかけています」。具体的には、お客様が抱えている課題とはこういうもので、それを解決する「このようなシステムをお望みですよね」と、発注者から相談を受けた案件の内容をきちんと把握できていることが発注者に伝わるような一言を必ず書き添えるようにしているのだ。
商談が進み、発注ナビからの正式な紹介案件となってからも、同社はさまざまな工夫をしている。まずは『初動をとにかく早く』だ。「紹介されたら、すぐに連絡するようにしています。メールだけではなく、電話がNGでないお客様であれば電話もかけます。とにかく早く、初動が重要だと思います」(儘田氏)。
さらに、紹介を受けて発注者との商談を終えた後にも成約に向けて手を緩めることはない。「発注ナビはフォローが手厚く、初回の商談で発注者が当社に対しどんな感想を持ったか、競合他社との商談の状況はどうかといった情報を可能な範囲で提供してもらえます。その情報を参考に、当社としてはどうすべきかをきちんと考えて次のアクションを起こすようにしていました」。
そして、儘田氏は「当たり前のことかもしれませんが」と前置きしたうえで、「商談では、できる限り対面を重視しています」と話してくれた。
コロナ禍以降、商談をリモートで済ませるケースも多いと聞くが、それでも同社は対面を重視している。「地方のお客様、遠方のお客様であればあるほど対面で実際にお会いすることの重要性が高まりますし、喜ばれます。直接会って話すと、お客様の困りごとは資料に書いてあることだけではなく、お客様から『実は、こういったこともお願いしたい』と切り出されることも、とても多いのです。資料だけでは汲み取れないことを、対面で吸収し、感じ取ることが大切だと思っています」。
新規顧客を既存顧客に。そのきっかけ作りに発注ナビを活用
また、同社が発注ナビのさまざまな機能も使いこなしている点にも注目だ。例えば、発注ナビのシステムでは、加盟社がシステムを使うときに開く管理画面上で「これはぜひ当社でやりたい」という案件に星印を付けることができる、スター機能がある。
開発チームの複数のメンバーで発注ナビを利用しているときにスター機能を使うと、メンバー内に知らせて、「今度はこの案件の受注を狙ってみよう」というように情報共有できる。儘田氏は、星印を付けることで、同社にとって魅力的な案件をチームで共有でき、取りこぼしを減らせると感じていると話しており、社内で上手く活用しているそうだ。
さらに同社は、発注者との商談や打ち合わせの日程調整を管理画面上からできる機能も活用しているという。以前はメールでやり取りしないと日程調整ができなかったものの、この機能を使えば簡単に日程を決めることができるため、便利に感じているとのことだ。「成約率アップにはとにかく早く動くことが大切だと考えているので、この機能はとても便利です。メールでのやり取りの回数が減るので発注者にとってもメリットがある機能だと思います」。
同社は、今後の発注ナビの活用について、案件情報の分析と戦略立案に取り組みたいという。全案件のCSV出力ができる機能が備わったので、そのデータを活用してさまざまな分析をしていきたいと考えているのだそうだ。「例えば、予算額を軸に分析するとこういった傾向がある、地域や時期を軸に分析するとこういった傾向が見えてくるなど、これまでは漠然と眺めていただけの案件情報から何かしらの気付きを得られるかもしれません。それを基に当社の戦略を立てて、さらに受託開発事業を拡大していきたいと考えています」。
そのうえで、今後重視することとしては、新規顧客を新規のままで終わらせないことと儘田氏はいう。「せっかく新規のお客様のシステムを構築したのだから、それきりで関係性が終わってしまうことがないように心掛けます。信頼を得られれば、リピートの発注が必ず来ると信じ、新規顧客が自然と既存顧客となっていくように取り組んでいきます。そのきっかけ作りが発注ナビだと思っています」。
活用の方向性はすでに定まっているようだ。
新規案件開拓の課題は「発注ナビ」で解決!システム開発に特化したビジネスマッチング
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