同じオフィス内であっても、役職や部署によって入退室に制限を設けたい場合があるでしょう。オフィス内のセキュリティ強化をするうえで役立つのが、入退室管理システムです。一口に入退室管理システムといっても使用方法が様々で、費用も一概にはいえません。そこで今回は、入退室管理システムの費用について詳しく解説します。
目次
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入退室管理システムとは
入退室管理システムは、その名の通り入退室を管理し記録するシステムです。誰がいつ該当箇所へ入退室したのかを把握することは、企業の極秘情報や社員の個人情報を守ることにつながります。
入退室管理システムには様々なパターンがあり、ICカードやテンキー認証のほか、顔認証や指紋認証などの生体認証もあります。システム化することにより、入退室の記録だけでなく制限をかけることも可能です。
●入退室管理システムを導入したほうが良い理由
入退室管理システムは、従来の管理方法と比べて多くのメリットがありますが、特にセキュリティ能力の強化が挙げられます。入退室管理システムであれば防犯カメラとの連携も図れるほか、生体認証を使えば本人確認も容易です。
万が一、入退室を許可していない人物が入室しようとしても、警告メッセージの表示により回避できます。2名以上が入室する場合でも防犯カメラで確認できるため、外部・内部ともにセキュリティが強化されます。
入退室管理システムを人事管理システムと連携すると、勤怠管理も併せて正確に行うことが可能です。タイムカードの押し忘れや計算間違えなどの人為的なミスを避けるうえでも役立ちます。
さらに、システム上で管理することで、労務管理にかかる負担が大幅に削減できます。そのため、事務処理にかかる人件費の削減にもつながります。
詳しくは「入退室管理システムとは?導入で万全の勤怠管理とセキュリティ対策を」で解説していますので、こちらもご覧ください。
7種類の入退室管理システムの特徴
入退室管理システムには7パターンもの認証方法があり、それぞれ特徴やメリットが異なります。
これから入退室管理システムを導入予定の方は、製品を選ぶ時の判断材料にしてください。
●ICカード方式
部屋の前に設置されたカードリーダーにICカードをかざすと、入口の鍵が開くタイプの認証方法です。鍵を使って入室するよりもスムーズに解錠できます。一方で、カードの紛失や盗難、無断貸し借りのリスクも考えられるため、セキュリティレベルの維持や向上が課題です。
●テンキー認証方式
テンキー認証とは、テンキーに暗証番号を入力して入室するタイプの認証方法です。テンキーとは、0〜9までの数字が並んだキーパッド状の仕組みで、前もって設定した数字の並びが暗証番号です。
テンキーさえ導入すればICカードや鍵を用意する必要がないため、比較的リーズナブルに利用でき、紛失や盗難のリスクも避けられます。
デメリットとしては、暗証番号を共用する時に個々に入退室の管理ができない点が挙げられます。また、番号が外部に漏れれば、部外者が入室するリスクもあります。
●指紋認証方式
近年は、スマートフォンにも実装されている指紋認証ですが、入退室管理システムでも使われています。事前に入室許可のある個人の指紋を登録し、入口に設置されたセンサーに指を当てて一致すればロックが解錠される仕組みです。
カードや鍵の紛失、パスワード漏えいの危険がなく、なりすましも不可能なため、よりセキュリティレベルが高くなります。しかし、接触性の認証方式のため、衛生面で不安があります。
また、手が乾燥していたり濡れていたりすると、正しく認証されないケースもあるため注意が必要です。
●静脈認証方式
指紋認証よりもキュリティレベルが高いのが静脈認証です。体内にある静脈に赤外線を照射して、事前に登録したデータと読み込ませた静脈の形状パターンを照合させて解錠します。表面からは認識不可能な静脈を使った認証方法で、偽造される心配はありません。
さらに、非接触タイプもあるため、衛生面も安心でしょう。
一方で、血流の状態や手の置き方によっては反応しないこともあります。
●虹彩認証方式
指紋認証や静脈認証は、年齢によって変化する可能性があります。また、気温や湿度によっても影響しやすいのが難点です。より高精度な認証方法を望む場合は、虹彩認証が向いています。
虹彩とは瞳の周囲にある部分のことを指し、年齢による変化がありません。双子でも虹彩は違うため、なりすましや不正の心配がない点がメリットです。
しかし、認証リーダーに近寄って認識させる必要があるため、スムーズな入室がしにくい点はデメリットです。
●スマートロック方式
スマートロックとは、スマートフォンのアプリやICカードをリーダーにかざすことで解錠する方法です。基本的に工事が不要で、機器をドアに取り付けるだけで使えるため、賃貸オフィスでも気兼ねなく利用できます。
しかし、内蔵の電池で稼働するタイプが多く、電池が切れてしまうと解錠できなくなるため注意が必要です。
●顔認証方式
指紋認証や静脈認証と同じく、生体認証技術の1つとして顔認証があります。事前に登録した顔のデータから目や鼻、輪郭などの位置を照らし合わせて本人を特定する方法です。近年は読み取る性能が向上しており、セキュリティ面を強化するうえでも役立ちます。
また、ICカードや鍵は不要のため、紛失や盗難の心配もありません。さらに、非接触で解錠できる点も衛生的に安心できるポイントです。
対してデメリットは、顔認証の精度が端末に依存することです。顔認証の精度が低い端末を導入してしまうと、室内外の行き来に手間がかかってしまいます。
入退室管理システムにかかる費用の内訳とは
続いては、入退室管理システムに必要な費用について見ていきます。入退室管理システムには初期費用とランニングコストの両方がかかるため、導入前には両方をしっかりと検討しなければなりません。想定より実際のランニングコストが多くかかれば、運用に影響が出ることもあるため注意しましょう。
また、初期費用とランニングコストは、システムの形式がオンプレミス型かクラウド型かで、導入費用が変わります。
それぞれのメリットについては「オンプレミスとクラウドのメリットを比較!自社に合うのはどっち?」で詳しく解説していますので、こちらもご覧ください。
●導入にかかる初期費用
入退室管理システムを導入するためには、端末やコントローラーなどの機器にかかる費用、サーバー費用、工事費用の3つが必要です。ここで、コントローラーとは端末で読み取った情報を管理し、解錠信号を電気錠に送信する設備のことを指します。
いずれの手段を利用するにしても端末やセンサー、リーダーがなければ管理ができません。そのため、設置する部屋の数だけ用意しなければならない点も、念頭に置いておきましょう。
入退室管理システムの設置にかかる工事費用は、導入する認証方式によって異なります。端末を設置するフロアや扉の種類も費用に影響するため、事前にシステム提供会社に見積もりを取ることが大切です。
クラウド型の初期費用の中にサーバー費用は含まれませんが、オンプレミス型はサーバー費用が含まれます。初期費用にサーバー費用が加算されることで、費用が高額になるため、しっかりと見積もりを取る必要があります。
●運用にかかるランニングコスト
入退室管理システムのランニングコストに該当するのは、サーバーの保守費用もしくはサービスの月額利用料です。こちらもオンプレミス型とクラウド型によって、それぞれランニングコストが異なります。
オンプレミス型はサーバーの保守費用が発生します。保守費用はサービスを提供する会社で異なるため、必ず問い合わせて確認を取りましょう。
一方クラウド型は、サービスを利用するための月額料金が発生します。内訳は提供会社によって変わりますが、基本的にシステム利⽤料とドア管理費用で構成されています。
入退室管理システムを導入する企業の多くは、既製品を選んでいます。既製品の中にも、システムの導入やサポートが受けられるタイプがあるため、自社で使いやすいシステムを導入することが大切です。これから、入退室管理システムの導入や開発を考えている方は、ぜひ発注ナビの利用をご検討ください。
【方式別】入退室管理システムにかかる費用相場
入退室管理システムを導入するうえで気になるのが、どれくらいの予算を考えておけば良いかという点です。前章で触れた入退室管理システムにかかる費用の内訳を踏まえて、承認方法ごとに費用相場を解説します。
どのタイプの入退室管理システムにするか悩んでいる方は、判断材料としてお使いください。
ただし、サーバー費用と保守・サポート費用はオンプレミス型のみ、月額利用料はクラウド型のみに含まれます。
●ICカード方式
ICカード方式にかかる費用は以下の通りです。
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端末費用(ICカードリーダー):約5万円前後/台
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コントローラー費用:約20~40万円前後
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サーバー費用:約20~50万円前後
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ICカード費用:1枚あたり数千円程度
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月額利用料:数千~数万円
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保守・サポート費用:システム提供会社による
自社でサーバーを導入する場合は、サーバー代がかかります。全体的な予算は規模によって異なりますが、数十〜100万円程度です。ICカードに関しては、紛失した場合に再発行手数料が必要となるため注意しましょう。
●テンキー認証方式
テンキー認証方式にかかる費用は以下の通りです。
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端末費用(テンキー):約数~10万円前後/台
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コントローラー費用:約20~40万円前後
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サーバー費用:約20~50万円前後
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月額利用料:数千~数万円
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保守・サポート費用:システム提供会社による
テンキー認証は、ICカードが必要ないため、テンキー代さえあればすぐに利用可能です。ほかの入退室管理システムと比較すると、リーズナブルに導入できるのが魅力です。なお、テンキーの場合も、設置する部屋数に応じてコストが増える点は、念頭に置いておく必要があります。
●指紋認証方式
指紋認証方式の入退室管理システムにかかる費用は、以下の通りです。
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端末費用(認証機器):約10~20万円前後/台
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コントローラー費用:約20~40万円前後
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サーバー費用:約20~50万円前後
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月額利用料:数千~数万円
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保守・サポート費用:システム提供会社による
ICカード方式・テンキー方式よりも割高になっています。
●静脈認証方式
静脈認証方式の入退室管理システムにかかる費用は、以下の通りです。
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端末費用(認証機器):約50万円前後/台
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コントローラー費用:約20~40万円前後
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サーバー費用:約20~50万円前後/台
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月額利用料:数千~数万円
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保守・サポート費用:システム提供会社による
合計で90~140万円程度になるため、指紋認証より少し高めです。
●虹彩認証方式
最先端の機能ともいえる虹彩認証は、そのほかの生体認証と比べて高額になります。一般的な費用相場は以下の通りです。
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端末費用(認証機器):約40万円~70万円前後/台
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コントローラー費用:約20~40万円前後
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サーバー費用:約20~50万円前後/台
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月額利用料:数千~数万円
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保守・サポート費用:システム提供会社による
合計で100万円を超えるケースが多いため、ある程度予算に余裕がないと導入しづらいでしょう。
●スマートロック方式
スマートロックタイプの入退室管理システムにかかる費用は、以下の通りです。
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端末費用(認証機器):無料~約6万円前後/台
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コントローラー費用:端末費用に含む
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サーバー費用:端末費用に含む
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ICカード費用:1枚あたり数千円程度 (ICカード利用の場合)
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月額利用料:数千~数万円
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保守・サポート費用:システム提供会社による
高くても10万円以下で収まり、比較的リーズナブルな方式といえます。中には、初期費用がかからないケースもありますが、その分月額サービス利用料が高めの設定になっている可能性があるため、事前に確認しておかなければなりません。
●顔認証方式
顔認証システムにかかる費用は、以下の通りです。
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端末費用(認証機器):約20万円前後/台
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コントローラー費用:約20~40万円前後
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サーバー費用:数百万円前後/台
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月額利用料:数千~数万円
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保守・サポート費用:システム提供会社による
自社にサーバーを導入するオンプレミス型は、サーバー代だけでも数百万円以上になることもあり、予算に余裕がなければ導入は困難です。また、運用費として、サーバーの保守費用やバージョンアップをする時にかかる費用も必要となるため、事前に計算しておかなければなりません。
一方、クラウド型の場合はサービス提供会社のサーバーを利用するため、サーバーの導入費用がかかりません。必要となる初期費用は端末代と工事代に限られるため、気軽に導入しやすいです。
入退室管理システムの費用の簡単な求め方
入退室管理システムの中から、ICカード方式を採用した場合を例にして費用の計算方法を解説します。あくまでも大まかな計算のため、実際に導入する場合は工事会社から正確な見積もりを取るようにしましょう。
今回の例では、社員数は50名程度を想定しています。高めの見積もりで計算していることを念頭においてご覧ください。
●初期費用
必要となるのが端末やコントローラー、サーバーを導入する初期費用とICカード費用です。加えて、扉にかかる実費や工事費を踏まえて計算しなければなりません。項目ごとに分けて費用例を見ていきましょう。
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端末費用(ICカードリーダー):5万円×2箇所(入口+出口)
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コントローラー費用:40万円
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サーバー費用:50万円
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ICカード費用(50枚1セット):1,050円
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扉:3万円
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工事費用:30万円
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合計:132,501,050~133,001,050円
●月額費用
クラウド型を導入する場合、初期費用とは別に、月額費用がかかることも忘れてはいけません。ICカードを導入した場合にかかる費用は、システム利用料とドア管理費が一般的です。
具体的な料金は以下の通りです。
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システム利用料:月額8,000円
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ドア管理費:月額2,000円
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合計:月額10,000円
入退室管理システムを比較する時の4つのポイント
多岐にわたる入退室管理システムの中から、自社に適した製品を選ぶためには、複数の製品を比較しなければなりません。次に挙げる4つのポイントを押さえて検討すると、より適した製品を判断しやすいです。
これから入退室管理システムを導入する予定のある方は、ぜひ参考になさってください。
●導入目的を明確にする
入退室管理システムの導入目的は、企業によって様々です。セキュリティを強化したい企業もあれば、勤怠管理に活用したいケースもあるでしょう。目的によって導入するサービスも変わってくるため、導入前にしっかりと把握しておかなければなりません。
導入目的が曖昧だと、いくら機能が良くても効果を上げることはできません。
●鍵を後付けするか交換するか
入退室管理システムは、鍵を後付けするタイプと交換するタイプの2パターンがあります。
交換タイプは鍵自体を入れ替えなければならないため、どうしても費用がかさんでしまう点がデメリットです。しかし、長期にわたって使用できるため、長い目で見れば費用対効果を得られます。
一方、後付けタイプは初期費用が抑えられ、すぐにでも使えるため、急いで導入したい方に向いています。しかし、耐久年数は交換タイプより短いため、その都度交換費用がかかります。
例えば賃貸物件の場合、交換することが難しいケースが多いため、後付けタイプが重宝されるでしょう。
●取り付け工事の有無
入退室管理システムによっては、取り付け工事が必要なケースもあります。まだ、企業を立ち上げたばかりの場合やベンチャー企業は、短期間でオフィスを移転する可能性があるため、取り付け工事が必要なタイプを選ぶと、頻繁に工事が発生してしまうため要注意です。
勤怠管理をする目的だけであれば、取り付け工事不要のタイプを選んだほうが得策です。
●ほかのシステムと連携の有無
入退室管理システムには、監視カメラや火災報知器などと連携を取れるタイプがあります。このように、すでに導入しているシステムと連携を取ると、さらに防犯対策を強化できます。
将来、営業所を増やしたり自社ビルを持ったりする計画がある場合は、ほかのシステムとの連携ができるタイプの入退室管理システムを選ぶのがおすすめです。
一般的に入退室管理システムは、既製品を導入するケースが多いですが、システム会社の中にはシステム導入や構築をサポートする会社もあります。そのため、自社に合わせた機能を開発するのも1つの手段です。入退室管理システムの導入や構築のサポート、開発をお考えの場合は、発注ナビの利用をご検討ください。
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