
ビジネスの生産性を向上させるために、AIを導入する企業が急速に増えています。これまでは企業独自のAIを開発するには、プログラミングの専門知識とスキルが必要で、資金力に乏しい中小企業やスタートアップ企業にとっては、導入のハードルが高いものでした。
しかし、近年では専門的な知識がなくてもAI開発に取り組めるツールが次々と登場し、誰でも手軽にAIを活用できる環境が整いつつあります。
本記事では、AI開発ツールとはどのようなものなのか、開発ツールの効果的な選び方や導入方法を詳しく解説します。また、おすすめのAI開発ツールもピックアップして紹介しているため、AIの導入を検討している企業のご担当者様はぜひ参考にしてみてください。
目次
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AI開発ツールとは?

AI開発ツールは、専門知識がない人でも手軽にAI開発ができるように設計されたツールです。AI開発ツールには、AI開発で使用するさまざまな機能が搭載されており、企業独自のAI開発をサポートしてくれます。
ここでは、AI開発ツールの主な機能について詳しく解説します。
●AI開発ツールの主な機能
AI開発ツールは、主に以下の機能を提供しています。
- データ準備・分析機能
- モデル構築・学習機能
- 評価・改善機能
- デプロイ・運用機能
まず、「データ準備・分析機能」を使用して、AIモデルの学習に必要なデータを収集、整理、加工します。次に、「モデル構築・学習機能」を使用しAIモデルを構築します。ツールの中には、プログラミングコードを書かずに、ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作で構築可能なものも多く、開発期間の短縮が可能です。
AIモデルの開発が終わったら、「評価・改善機能」を活用し、AIモデルの性能評価と、精度の向上のための調整をしていきましょう。調整が完了したら、「デプロイ・運用機能」を使用し、開発したAIモデルを実際のシステムに組み込み、実際に運用するための環境を整えていきます。
これらの機能を活用することにより、開発プロセス全体を効率化し、専門知識がない方でもAIを開発・運用することが可能となります。
AI開発ツールを導入するメリット・デメリット

AI開発ツールは、開発プロセスを効率化する一方で、いくつかの注意点も存在します。導入を検討する際は、メリットとデメリットの両方を理解しておくことが重要です。
ここでは、主なメリットとデメリットについて詳しく解説します。
●AI開発ツールのメリット
AI開発ツールの中には、プログラミングの知識が少なくてもAIを開発できるものが多くあります。コードを一切書かない、もしくは必要最小限のコード記述だけで開発を進められるものもあり、プログラミング経験の少ない初心者でも手軽にAI開発に取り組めるのが大きなメリットです。
また、データ入力や設定をはじめ、結果の確認や運用環境への適用までの一連の流れをスムーズに進められるため、効率的にAIを開発できます。
専門のエンジニアを雇用する必要もないので、低コストかつスモールスタートでAI開発を進められる点も魅力です。
●AI開発ツールのデメリット
AI開発ツールは、既定の機能やテンプレートを活用して開発を進めるため、柔軟なカスタマイズが難しい場合があります。複雑な要件や独自のアルゴリズムを必要とするプロジェクトでは、十分な性能を発揮できないかもしれません。
また、オープンソースのライブラリやフレームワークに比べて、ツールの利用料が発生することもデメリットの1つです。ツールの種類によっては高額な費用がかかる場合もあるため、予算を事前に確認しておく必要があります。
AI開発ツールの効果的な選び方

AI開発ツールで満足いく結果を得るには、自社に合ったものを選ぶことが大切です。ここでは、ツールを選ぶ際に押さえておきたいポイントを5つ紹介します。
- 目的に合った機能があるか確認
- 操作のしやすさ
- 利用コストと予算
- サポート体制
- 環境構築のしやすさ
●目的に合った機能があるか確認
AI開発ツールは、それぞれ得意とする分野や強みが異なります。そのため、AIを開発する目的や解決したい課題を明確にしてから、それを実現できる機能を持つAI開発ツールを選びましょう。
例えば、製品の欠陥を自動検出するAIを開発したいのであれば、画像認識を得意とするAI開発ツールを検討しましょう。一方、顧客からのフィードバックを自動分析して製品やサービスの改善点を見つけたい場合は、自然言語処理の機能を備えたAI開発ツールを検討することになります。
AI開発の目的を明確にしておけば、実際にAIを導入した場合に期待できるコスト削減効果などを計算しやすくなるため、開発予算を算出する際にも役立ちます。
●操作のしやすさ
ツールの操作性は、開発の進行や生産性に大きく影響します。開発担当者の知識やスキルに見合ったツールを選ぶことが重要です。
開発チームに非技術者が多い場合は、専門知識がなくても直感的に操作できるツールを選ぶと、開発作業をスムーズに進められます。また、教育にかかるコストも抑えることができます。多くのツールで無料トライアルが提供されているので、実際に試して操作性を確認するのがおすすめです。
導入後のアップデートで使い勝手が変わることもあります。過去のアップデートでUI(ユーザーインターフェース)が不評だったことがないか確認することも大切です。
●利用コストと予算
まずは予算を明確に設定し、初期費用や運用コストも含めて、予算内に収まるかを総合的に判断します。初期費用が安くても、必要な機能を追加していくうちに高額になるケースもあるので注意が必要です。
また、高機能なツールは魅力的ですが、本当に必要な機能かどうかを判断しながら慎重に検討することが重要です。不要な機能が多いと、無駄な出費につながってしまいます。
予算と必要な機能を考慮して、コストパフォーマンスの高いツールを見極めましょう。
●サポート体制
AI開発ツールを長期的に運用するうえで、技術的なトラブルや操作方法の疑問に対する迅速かつ適切なサポートを受けられるかは重要なポイントです。
また、ユーザーコミュニティが充実しているツールもおすすめです。ユーザー同士で積極的に意見交換や情報共有が活発に行われていれば、ほかのユーザーの経験や知識から開発に役立つ情報を得られるメリットがあります。
初心者でも使いやすいAI開発ツールだとしても、利用していくうちにトラブルや不明点が発生することは考えられるため、サポート体制やコミュニティの充実度を確認しておくと安心です。
●環境構築のしやすさ
AI開発ツールの提供形態は、オンプレミスとクラウドベースの2種類に分けられます。
オンプレミスは、自社のサーバーを使ってAI開発環境を構築・運用する方法です。この方式では、高額な初期投資や維持管理の手間がかかりますが、自社で環境を管理するため、柔軟性が高く、サイバー攻撃や情報漏えいのリスクを低く抑えることが可能です。そのため、機密性の高いデータを取り扱う場合に適しています。
一方、クラウドベースは、他事業者が管理するサーバーやネットワークを使ってAI開発環境を構築する方法です。自社で高価なリソースを用意する必要がないため、オンプレミスに比べて初期費用や運用費用を抑えられるというメリットがあります。予算が限られるスタートアップ企業や中小企業には、コスト効率の良いクラウドベースのツールが適していると言えます。
ビジネスの規模やデータの機密性、予算などを総合的に考慮し、オンプレミスとクラウドベースのどちらが自社に適しているのかを検討していきましょう。
AI開発ツールを効果的に導入するための注意点

AI開発ツールの導入や活用を推進するためにも、効果的な導入方法について把握しておくことが大切です。ここでは、効果的に導入するための主な注意点について解説します。
- 目的に合った業務・対象範囲を検討
- 目標・指標(KPI)の設定
- 小規模な導入から始める
- 社内教育を強化する
- 継続的な改善とフィードバック
●目的に合った業務・対象範囲を検討
まず、AIを導入する目的を明確にし、どの業務や課題に活用するのかを具体的に検討します。漠然とした導入では期待する効果は得られにくいため、解決したい課題を明確にすることが重要です。
●目標・指標(KPI)の設定
AI導入の成果を測るための具体的な目標や指標(KPI)を設定します。これにより、導入効果を客観的に評価でき、その後の改善につなげることができます。
例えば、「顧客対応時間の20%削減」や「製品の不良品検知率95%達成」といった具体的な数値を設定することで、AI導入の成功を明確に判断できるでしょう。
●小規模な導入から始める
AIの効果的な導入方法としては、スモールスタートが推奨されています。スモールスタートとは、小規模なプロジェクトからはじめて徐々に導入範囲を拡大していく手法です。
限定的な導入でAIの効果を検証し、必要に応じて調整することで、初期投資のリスクを最小限に抑えられます。段階的な学習と改善が可能なので、業務改善の効果を最大化できるのもスモールスタートのメリットです。
小さなトライから成果を徐々に上げていき、他部署や他業務にも成功事例を共有することで社内でのAIへの関心や投資意欲が高まり、本格的な導入の推進力になります。
●社内教育を強化する
導入したAIツールを効果的に活用するには、従業員に対して継続的な教育とサポートが不可欠です。
定期的なトレーニングセッションの開催をはじめ、ヘルプデスクの設置、成功事例の共有などを通じて、AIが業務にもたらすメリットを従業員に理解してもらいましょう。これにより、AI導入に対する抵抗感や不安を和らげ、AIツールの活用を浸透させることができます。
●継続的な改善とフィードバック
AIの効果的な活用には、継続的な改善が必要です。システムの動作や効果をモニタリングしながらデータの精度や業務の効率向上などを定期的に評価し、システムの性能が十分か、課題点はないかを洗い出しましょう。
また、従業員からのフィードバックを収集し、改善策を検討するのも方法の1つです。継続的な運用と改善で最適化を図っていくことが、AIの恩恵を最大限に引き出すカギとなります。
おすすめのAI開発ツール8選
さまざまなAI開発ツールの中から、初心者からプロまで幅広いユーザーにおすすめできるAI開発ツールをピックアップして紹介します。
- DataRobot
- Azure Machine Learning
- Google Cloud AutoML
- Neural Network Console
- MatrixFlow
- IBM Watson
- Create ML
- Deep Analyzer
●1. DataRobot
DataRobotは、ノーコードでAIモデルを構築できるAI開発ツールです。コードを記述する必要がないため、プログラミング経験のない方でも利用できます。データサイエンス向けの高度な機能も有しているので、AI開発のプロにもおすすめです。
DataRobotの機能を使えばデータの前処理からAI予測モデルの作成、評価、改善までを自動化でき、AI開発をスムーズに進められるでしょう。また、企業のビジネス価値の創出をサポートする高度な監視機能や制御機能も搭載されています。
●2. Azure Machine Learning
Microsoftが提供するクラウドベースのAI開発ツールで、画像認識や自然言語処理、音声認識などのタスクに対応できるさまざまなアルゴリズムが搭載されています。
PythonやR言語を使って高度な開発ができるほか、ドラッグ&ドロップで視覚的に開発することも可能です。Microsoftが提供するほかのAzureサービスとも統合でき、データの管理やインフラストラクチャの構築、モデルの配信なども簡単に行えます。
●3. Google Cloud AutoML
Googleが提供するプラットフォームで、機械学習モデルの設計からトレーニング、評価、最適化までのプロセスを自動化することが可能です。画像認識や自然言語処理、音声認識などの機能がそろっており、専門知識がなくても高品質なモデルを構築できるのが強みです。
特に、写真や文章、表などのデータ分析を得意としています。X(旧:Twitter)のライブオーディオ会話ができる機能「スペース」にもGoogle Cloud AutoMLが導入されており、ユーザーが有意義なスペースを見つけるためのアルゴリズムの作成に活用されています。
●4. Neural Network Console
Neural Network ConsoleはSONYが提供しているディープラーニングのAI開発ツールです。ニューラルネットワークの設計から学習、推論までを一元管理できるGUIが搭載されています。
ドラッグ&ドロップで直感的に操作できるほか、テンプレートやチュートリアルも豊富に用意されているので、初心者でも高度な機械学習モデルを簡単に構築することが可能です。
また、学習済みのモデルを使用して推論を行えるライブラリも提供されているため、AIアプリやサービスの開発を効率的に進められます。
●5. MatrixFlow
MatrixFlowはAI開発に特化したプラットフォームで、コードを記述しない開発手法が採用されています。ドラッグ&ドロップの直感的な操作で機械学習モデルを作成できるため、AI開発に関する専門的な知識やスキルを持った人材がいない、もしくは人件費を抑えて開発したい企業におすすめです。
また、解決したい課題に応じたAIモデルのテンプレートが用意されているので、テンプレートを選んで操作するだけで売上予測や機械の異常検知、採用マッチングの最適化などの課題を解決することが可能です。データの収集や前処理、AIアルゴリズムの構築もMatrixFlow内で完結でき、スムーズなAI開発をサポートしてくれるプラットフォームです。
●6. IBM Watson
IBM WatsonはIBM社が開発したAI開発ツールです。画像解析をはじめ、ビッグデータ解析や自然言語処理など人間の五感による判断をサポートする豊富なAIサービスが搭載されており、人間の自然言語を用いた質問応答や、膨大な情報の中から必要な情報を提示する意思決定支援を得意としています。
課題解決を支援する企業向けソリューションとしての評価が高く、医療分野での診断支援をはじめ、コールセンター業務やカスタマーサポート、新卒採用でのエントリーシートの分析など幅広い分野で採用されています。
●7. Create ML
Appleが開発したMacユーザー向けのAI開発ツールです。Swift言語を使用しているCreate MLはAppleのエコシステムとの統合が強力なので、MacやiOSで動作する高精度の機械学習モデルを開発するのに適しています。
ドラッグ&ドロップの直感的な操作で画像認識や自然言語処理、音声認識などの機械学習タスクに対応できるため、プログラミング初心者でも高品質なモデルを構築することが可能です。
専門的な知識がなくても利用しやすいUIに設計されているので、AIモデルの開発をスムーズに進められます。
●8. Deep Analyzer
Deep Analyzerは、ディープラーニングを使って画像や動画などのデータの中から特徴を抽出・分類するAIプラットフォームです。画像認識や音声処理を得意としており、画像分類や画像生成、ペア画像生成、物体検出、音源分類、異常検知といったプリセットを利用できます。
ペア画像生成機能では、2つの関連する画像をセットで学習させ、1枚の画像から対応するもう一方の画像を自動的に作り出す仕組みです。Deep Analyzerのプリセットを活用することで、データ分析の精度を上げてより高品質なシステムを開発することが可能です。
AIモデルや自然言語処理のモデルを構築するためのライブラリも提供されています。
AI開発ツールの導入についてよくある質問

AI開発ツールの導入についてよくある2つの質問を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
- 操作に慣れていない社員でも使いこなせる?
- 導入効果が薄い場合の見直しや改善策は?
1.操作に慣れていない社員でも使いこなせる?
多くのAI開発ツールは、プログラミング知識がなくても使えるように設計されています。特に、ドラッグ&ドロップで直感的に操作できるノーコード・ローコードツールは、非技術者でも扱いやすいのが特徴です。
また、多くのツールがチュートリアルやテンプレートを提供しており、学習のサポートも充実しているので安心です。
2.導入効果が薄い場合の見直しや改善策は?
導入効果が薄いと感じる場合は、目的の再確認やデータの質と量、フィードバックの活用について見直すことをおすすめします。
最初に設定したAI導入の目的が、現在の業務課題と合っているか、データが不足していないか、ノイズが多くないかを確認してみましょう。また、実際にツールを使用している従業員からのフィードバックを積極的に収集し、使い勝手や機能面での課題を洗い出すことが重要です。
これらの見直しを通じて、AIツールを業務に最適化していくことで、効果を向上させることが期待できます。
自社に合ったAI開発ツールを選び、ビジネスの生産性を向上させる
AIを活用してビジネスの生産性を向上させるには、自社の課題や目的に合ったAI開発ツールを導入することが重要です。
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