システム開発を依頼する、または依頼を受ける方法として、「入札」という方法が存在します。入札という言葉自体は知っていても、詳しくはわからないという方も多いでしょう。そこで今回は、システム開発の入札の種類や入札案件の探し方、具体的な流れについて解説していきます。システム開発の入札の仕組みや方法等を知りたい企業担当者、入札に参加したいシステム会社の担当者であれば、当ページをぜひご参照ください。
目次
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入札の種類
システム開発の入札は、端的にいえば「特定の機関がシステム開発を発注する調達制度のこと」を指しています。
依頼候補の企業からプロジェクト内容や予算についての資料を出してもらい、最も好条件を示す企業へ発注を依頼します。入札案件は企業間同士の取引ではなく、「内閣府や最高裁判所などの中央省庁」「日本郵政グループなどの中央省庁外郭団体」「その他都道府県・市区町村」といった自治体がシステム開発企業に依頼する形です。
入札の方法としては、主に「指名競争入札」と「一般競争入札」の2つが挙げられます。以下では、システム開発の依頼を受けたい企業に向けて、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて確認していきます。
●指名競争入札
指名競争入札は、依頼する機関が特定の入札へ参加させるシステム開発企業を指名し、プロジェクト内容や予算を踏まえて依頼先を選ぶ方法です。この方法のメリットとしては、以下のものが挙げられます。
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過去の実績や技術の高さが保障されやすい
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指名基準がある分、コストやスケジュールの予想が立てやすい
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ライバルの事業者が少ない
参加可能な企業を実績や技術力のある企業だけに絞ることができるため、完成度の高いシステムが作りやすいでしょう。また、ライバルも少ないため、入札候補選びに参加することができれば入札のチャンスが来る可能性が高いです。加えて、指名基準が設けられている分、コストやスケジュールの予想が立てやすいため、計画的にシステム開発を進められます。
一方で、指名競争入札には「指名されないと参加できない」「新規企業だと指名されづらい」というデメリットがあります。実績や技術の高さがないと、まず指名されません。指名されないと入札の参加資格すらないため、参加できるように実績や技術の高さを作っていく必要があります。特に、新規参入の企業は実績が少ない分指名されにくいので注意してください。
●一般競争入札
一般競争入札は、不特定多数の希望者を参加させ、その中から発注機関にとって最も有利な条件を提示したところと契約を結ぶ方法です。この方法は誰でも参加できるため、参加したい企業に平等に参加権が与えられています。選ばれる企業が実績やスキルの高い企業とは限らない分、低価格で契約が結びやすいのが利点です。
一方で、一般競争入札は資料を作って説明会を実施する工程が入ってきます。その準備にかなり手間がかかってしまうため、効率良く準備を進めていかないとほかの業務に影響が出てしまいます。また、誰でも参加できる権利があるため、場合によっては質の悪いシステムが完成するリスクがある点に注意してください。
入札参加の流れ
ここからは、入札に参加したいシステム会社の担当者に向けてシステム開発の入札参加の流れについて解説しましょう。入札の具体的な手順は、以下の手順の通りです。
- 必要な資格の入手
- 入札案件を見つける
- 仕様書を受け取り説明会に参加
- 案件に入札
- 落札後に契約
●STEP1.必要な資格の入手
一般競争入札であっても、入札に参加するために求められる資格を入手する必要があります。資格の内容は以下の通りです。
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官公庁:全省庁統一資格、外郭団体の一部
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一部外郭団体:独自の入札資格
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地方自治体:独自の入札資格
依頼主に合った資格を入手してからでないと入札には参加できません。それぞれの資格の取得方法をチェックして、間違って違う資格の申請をしないように注意しましょう。例えば、全省庁統一資格の詳細であれば、以下のサイトで確認できます。
●STEP2.入札案件を見つける
資格を取得したら、入札案件を探していきましょう。入札案件の探し方としては、主に「地方自治体が募集している入札案件を探す」「入札情報サービスを導入する」の方法があります。自社で入札案件を探す方法だと、費用をかけずに入札案件が探せて、実際に依頼につながるかどうかはともかく、依頼先の機関とのつながりも作りやすいです。ただ、自力で入札案件を探そうとするとかなりの労力がかかります。
一方で入札情報サービスを契約して入札案件を探す方法だと、検索機能で入札案件を絞って探すことができるため、企業にとって都合の良い入札案件を探しやすいです。効率性を重視する場合は、入札情報サービスの利用をおすすめします。
●STEP3.仕様書を受け取り説明会に参加
案件を探して入札の参加を決めたら、案件の仕様書を受け取り、説明会に参加します。案件が出された官公庁で仕様書を受け取ることが可能です。案件によっては仕様書を受け取ってそのまま持ち帰ることもできますが、説明会の参加を必須としているケースもあります。説明会の参加が必要かどうかを事前に確認してから、案件の参加を決めましょう。
●STEP4.案件に入札
案件に入札する前に、仕様書を元に算出した見積書やそのほか必要書類を提出します。それから会場での入札、あるいは電子入札のどちらかで入札します。会場での入札の場合、入札書に金額や社名などの必要な情報を書いて箱に書類を入れてください。電子入札の場合、ICカードとカードリーダーの事前登録をしてからネット上で入札処理を行います。
●STEP5.落札後に契約
入札に参加した企業の入札額が発表され、最低価格で入札した企業が落札となります。落札が決まった企業と実際に契約を結ぶ形です。ちなみに、入札金額に関するデータが各機関のサイト内に残されています。その記録を元に落札金額を決めていくと契約の可能性が高くなるため参考にしてみてください。
入札に勝つためのポイント
案件の入札に勝つためには、以下のポイントを押さえて意識してください。
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入札仕様書に対する質問を積極的に行う
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入札価格を見極める
●入札仕様書に対する質問を積極的に行う
入札仕様書に書かれた内容について、積極的に質問しましょう。入札仕様書の中で気になる点を積極的に質問することで、落札する可能性を上げられるように自社に有利な仕様書に修正できます。落札の可能性が上がるような仕様書の修正をするだけで、周りに差を付けることが可能です。
●入札価格を見極める
落札してもらうために価格を落としすぎるのは危険です。きちんとどのくらいの入札価格ならちょうど良いのか見極めましょう。入札価格を見極めるために、以下の流れに沿って入札価格を決めるのがおすすめです。
- 予算を立てる
- 予定価格を予測する
- 最低制限価格を予測する
まずは、どこまで予算を落としても大丈夫なのかを判断し、それから予定価格を予測していきます。予定価格は先ほど説明したように、入札金額の過去のデータを参考に判断してみましょう。そして、最低制限価格を予測していきます。ある程度は同じようなやり方で最低制限価格を予測している相手もいるため、周りの予定価格を知る必要があります。少しでも情報が手に入るように、競争相手とのつながりを作っておくことをおすすめします。
入札の注意点
案件の入札時には、以下の点に注意しておくことが大切です。
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仕様書を確認する
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入札時間の確認を徹底する
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白紙入札書の複数枚持参する
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計算、転記ミスがないかよくチェックする
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電子入札時の方法をよく確認する
●仕様書を確認する
仕様書の確認不足は、入札時や落札してから実際にシステム開発を進めていく中でトラブルとして降りかかってきます。後で困ることがないように、仕様書をよく確認しておきましょう。
●入札時間の確認を徹底する
入札案件の入札時間は、それぞれで決められています。うっかり時間を間違えて入札できないとなってしまうと、また次のチャンスが来るまで待たなければならなくなります。ちょっとしたミスで案件の入札を取りこぼすことがないように、最低でも入札時間だけは徹底して確認してください。
●白紙入札書の複数枚持参する
案件の入札時は、白紙の入札書を複数枚持参しておくことをおすすめします。入札書を記入する際に、つい書き間違えてしまうこともあると思われます。予備を持っておけばすぐ書き直せるため、無駄な時間がなくなるでしょう。
●計算、転記ミスがないかよくチェックする
入札されるかどうかは、ほとんど価格の低さで決まってしまうといっても過言ではありません。そのため、計算をミスして本来ならもう少し安い価格で出せたところを不必要に高めの価格で算出してしまうとかなりの痛手となってしまいます。また、正確に算出した計算結果を正確に転記できてないと、せっかく計算して安い価格を算出した意味がなくなります。転記する際にも、注意して書き入れてください。
●電子入札時の方法をよく確認する
電子入札で入札をする場合は、その方法をよく確認しておいてください。電子入札だと会場での入札とはまた違った問題が発生します。例えば、会場での入札で起こり得る転記ミスが、電子入札だと入力ミスという形になります。また、操作手順をミスして処理が正常に行われない、疑問点があっても会場とは違ってスタッフがいないために質問ができないといった問題もあります。
入札は流れや方法をしっかり押さえて
今回は、システム開発における入札案件について詳しく紹介しました。
システム開発の入札案件での依頼は、あまり経験がない方も少ないかもしれません。もしも入札案件での依頼をする際は、入札方法や入札の流れをしっかり押さえて、システム開発の入札案件を落札できるように積極的な姿勢で臨んでいきましょう。
入札案件は、あくまでシステム開発を依頼する、または依頼を受けるための1つの方法に過ぎません。「システム会社に開発を依頼したい!」「システム開発の業務を受けたい!」というどちらの方であっても、効率性を重視するならぜひ発注ナビをご利用ください。
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