C言語とは、1972年に開発された、歴史の深いプログラミング言語の一つです。C言語を用いることによって、ハードウェアの制御からシステムの開発といった、IT分野で行われていることの大半が可能になります。そのため、汎用性の高い言語だといわれています。また、プログラミングの基礎知識から、実用性の高い応用力まで幅広く習得できるため、プログラミングを学ぶうえで、最初にC言語を選択する方も少なくありません。
本記事では、C言語の特徴やC言語でできること、使うメリットやデメリットまで幅広くご紹介します。
目次
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C言語とは?
C言語とは、1972年に開発された歴史の深いプログラミング言語の一つです。アメリカ、AT&T社ベル研究所のDennis.M. Ritchie(デニス・M・リッチー)氏とBrian.W.Kernighan(ブライアン・W・カーニハン)氏によって開発されました。
現在は、開発元であるアメリカ国内のみならず世界中に普及しているほか、「C++」や「C#」のようにC言語から発展したプログラミング言語も数多く存在します。プログラミングの基礎知識から、実用性の高い応用力まで幅広く習得できることから、プログラミングを学ぶうえで、最初にC言語を選択する方も少なくありません。
C言語はプログラミング言語の中でも人気!
近年、アメリカのApple社が開発したSwiftや、Facebook社のHackといった新しいプログラミング言語が次々と登場しています。数多く存在しているプログラミング言語において、エンジニアに最も使用されている言語はどの言語なのでしょうか。オランダの「TIOBE Software」が発表する、人気プログラミング言語ランキング「TIOBE Index」の2024年8月時点では以下のような結果となっています。
参照元:TIOBE Index for August 2024
上記の結果からもわかる通り、C言語は9.17%を占めており、1位のPython、2位のC++に次いで3位と根強い人気を誇っていることがわかります。多くのエンジニアに利用されているC言語とは、一体どのような言語なのでしょうか。
C言語を使うメリット
長い歴史を持つC言語がさまざまな分野・業界で活用されている理由は、以下のようなメリットがあるためです。
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開発の自由度が高い
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異なるOSやハードウェアへの移植も簡単
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C++や Objective-Cと互換性がある
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汎用性が高い
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プログラミングの実行速度が速い
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メモリ効率が良い
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フレームワークが豊富にある
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ライブラリが豊富にある
詳しく紹介していきます。
●開発の自由度が高い
まず、C言語の最大の特徴である、開発の自由度が高い点がメリットとして挙げられます。C言語は、組み込み機器のソフトウェアやOS、ゲーム、業務システムなど、幅広いソフトウェアの開発に活用されています。JavaやRuby、Python、PHPなどといった、ほかのプログラミング言語の動作環境もC言語で書かれているため、C言語を使いこなすことができれば、同時にOSや言語の仕組みがわかるようにもなります。
●異なるOSやハードウェアへの移植も簡単
C言語は、標準規格がANSI(米国国家規格協会)によって制定されています。ANSIの標準規格に則って書かれたプログラムは、さまざまなハードウェアやOS上で動作するため、異なるOS間やハードウェア間でのプログラム移植が簡単に行えます。また、C言語は長い歴史を持つ言語であるため、移植のノウハウが豊富にある点もメリットです。
例えば、Windowsで書いたC言語のコードをLinuxでコンパイルして動作させることが可能です。そのため、クロスプラットフォーム対応のシステム構築に向いている言語といえます。複数のプラットフォームで動作する汎用的なアプリケーションやライブラリの開発に便利です。
C言語はOSだけでなくプロセッサにも依存しないため、Intel、AMD、ARMなどの主要メーカー製のプロセッサのいずれにも対応できます。特定の環境に限定されずに開発できることもメリットといえます。
●C++やObjective-Cと互換性がある
前項で紹介したようにPythonに次ぐ人気となったC++やObjective-Cは、C言語から発展した言語です。C++やObjective-Cは、C言語にオブジェクト指向を取り入れる形で作られた言語のため、C言語で身につけた多くのノウハウを応用して発展させることができます。このように、C++やObjective-Cと互換性があるという点もメリットです。
●汎用性が高い
C言語はその汎用性の高さから、アマチュアからプロのエンジニアまで幅広く利用されています。もともとC言語は、UNIXと呼ばれるコンピュータのOSの移植を容易にする目的で作られた言語で、メモリ領域の管理や、ポインタ演算、ビット毎の論理演算など、ハードウェアに密着した処理がしやすいのが特徴です。しかし、後述する組み込みソフトやスマホのアプリケーション、ゲーム開発といったソフトウェア開発の分野においても、C言語は利用されています。何にでも対応できる自由度の高さこそが、古くからエンジニアの間でC言語が使用され続けている理由の一つです。
●プログラミングの実行速度が速い
プログラミングの実行速度が速いという点も、C言語の特徴の一つとして挙げられます。人間によって入力されたプログラムは、あくまで人間にしか理解できず、そのままでは動作しません。そのため、プログラムをコンピュータが理解できる言葉(機械語)に翻訳する必要があります。しかし、プログラムを実行しながら翻訳を行うと、同時に処理を行うために実行速度が低下してしまいます。
この、プログラムを実行しながら翻訳を行う方式を「インタープリタ方式」といい、BASICやPerlなどのプログラミング言語で使用されています。このインタープリタ方式に対し、プログラムの実行前に全体を翻訳して、実行速度を速くする方式のことを「コンパイル方式」といいます。プログラムを完成させて実行する必要がある分、万が一不具合があってもすぐに確認できないという欠点はありますが、C言語はこのコンパイル方式を使用しているため、プログラムを高速で動作させることができます。インタープリタ言語であるPythonやJavaScriptなどと比べて、数十倍から数百倍程度速い場合があるといわれます。C言語は処理速度が非常に速いため、CGや動画のレンダリングなどのリアルタイム処理や、工業用ロボットの精密な動作制御のように正確なタイミングと高速レスポンスが重要な用途に向いています。また、並列計算に強いため、スパコンや量子コンピュータなどでの計算処理でも威力を発揮します。
●メモリ効率が良い
C言語はメモリの使用効率が高いため、ハードウェアリソースの制約が厳しい組み込みシステムなどに向いています。例えば、自動車や家電、産業機器などでは小容量のROMとRAMしか搭載できなかったり、バッテリ駆動で長時間駆動が必要になったりすることがあるため、こうした用途に適しているのです。また、手動でメモリの割り当てや開放を制御でき、変数のデータ型も細かく指定できるため、必要以上にメモリを消費せずに済みます。
●フレームワークが豊富にある
フレームワークとは、開発を効率よく進められる機能をあらかじめ備えている枠組のことを指します。フレームワークを使用することで、開発を効率よく進めるだけでなく、開発の幅を広げることもできます。C言語のフレームワークは、主にテスティングフレームワークという種類のものです。テスティングフレームワークとは、ソフトウェアテストの自動実行プログラムの作成や、テスト結果の自動判定や自動集計などの機能を提供するソフトウェアフレームワークのことを指します。C言語は、このテスティングフレームワークが豊富な点も特徴の一つとして挙げられます。C言語におけるフレームワークは以下のとおりです。
Unity
C言語におけるUnityは、組み込みシステムを含む、ユニットテスティングフレームワークのことを指します。プログラムの単体テストを行うためのフレームワークである「xUnit」の名前が名称の由来になっています。知名度が高い、C#をサポートする同じ名称のゲーム用のフレームワークとは異なるため、注意が必要です。Unityは、C言語用に作られた軽量なテスト用フレームワークで、実践的なテストにおいて必要とされる各種機能を搭載しています。また、標準で自動テストディスカバリ機能がついています。
CppUTest
CppUTestは、単体テスト用のフレームワークです。単体テスト用のフレームワークとは、プログラムの機能単位での小さな要素を取り出して、要素ごとに整合性が取れているかテストするフレームワークのことを指します。C言語だけでなく、C++にも対応しており、xUnitの仲間です。CppUTestの特徴は簡潔なプラットフォームで、大まかな機能についてはほかの単体テスト用のフレームワークと同様です。しかし、メモリリークを検出する機能があり、シェルスクリプトで書かれたツール群もついています。
Cutter
Cutterも単体テスト用のフレームワークであり、C言語とC++のフレームワークです。単体テスト用のフレームワークとしての一般的機能を備えており、ほかにもデバッグに適した出力結果やテストの共有ライブラリ化などの機能があります。また、テスト記述が簡単なため、使いやすいフレームワークだといえます。
●ライブラリが豊富にある
プログラミングにおいて重要な役割を担っているライブラリが豊富な点も、C言語の特徴として挙げられます。ライブラリとは、特定の機能を持ったコードの集まりであり、プログラマーが簡単に再利用することができるように部品化したもののことを指します。ライブラリを活用することによって、プログラマーはゼロからコードを書く手間を省くことができるため、開発の効率化につながります。C言語において、「.h」という拡張子を持つ「ヘッダファイル」を取り込むことによって、標準搭載されているライブラリを簡単に活用できます。C言語における標準ライブラリの例は、以下のとおりです。
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sys/socket.h
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stdio.h
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math.h
上記以外にも、C言語には数多くのライブラリがあります。C言語は歴史が深いため、先人が開発してきた独自のライブラリもWeb上にたくさん公開されています。ライブラリを活用することによって、プログラミングの負担を軽減し、開発の効率化だけでなく、開発の幅を広げることにも役立ちます。
sys/socket.h
sys/socket.hはソケットを作成するヘッダファイルで、C言語においてソケットを用いた「ソケット通信」を行う際に利用します。ほかのプログラムとの通信を行うことができます。
stdio.h
stdio.hは、ライブラリのうち、キーボードからの入力やファイル操作、ディスプレイへのデータ出力など、標準入出力関係の関数群を記録した「標準入出力ライブラリ」に対応するヘッダファイルのことを指します。ファイル名の「stdio」は、「standard input/output(標準入出力)」の略称です。
math.h
math.hは、C言語の数学的演算を行うヘッダファイルです。数学的な演算を行うための関数、マクロ、型が宣言、定義されており、三角関数などの数学的な処理を行うことができます。
C言語を使うデメリット
C言語を使うメリットが数多くある一方で、もちろんデメリットもあります。C言語を使うデメリットは、以下の6つが挙げられます。
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習得難易度が比較的高い
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作業が煩雑になりやすい
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デバッグが難しい
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メモリ管理の手間がかかる
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セキュリティの脆弱性がある
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コーディングミスの影響が大きい
それぞれ詳しくご紹介します。
●習得難易度が比較的高い
まず、C言語のデメリットとして、習得難易度が高い点が挙げられます。C言語にハードウェアを制御する要素があるため、メモリやCPUなどの知識が必須となったり、他の言語で]自動的に実行される処理でもコーディングが必要となったりすることもあることが原因とされています。また、C言語の「ポインタ」や「配列」、「構造体」の概念を理解することが難しく、多くの初心者の方がつまずいてしまうことも原因といえます。ポインタやメモリ操作だけでなく、プロジェクトごとに必要となるライブラリや開発手法など、学習しなければならないことが多岐にわたることも習得の難易度が高い理由の一つです。
ただし、古くから存在するプログラミング言語のため、書籍やWebサイトが充実しているため、学習自体は進めやすいのも特徴です。C言語を学べば、JavaやObjective-Cなど、C言語の影響を受けた言語も習得しやすくなります。
●作業が煩雑になりやすい
開発の際、オブジェクト指向で開発すると、開発作業を分担しやすくなったり、セキュリティーを強化させやすくなったりします。
しかしC言語は、C++やJavaのようなオブジェクト指向の概念が適用できないため、複数人での開発において煩雑になる傾向にあります。そのため、大規模なチーム開発の場合は不便に感じることもあるでしょう。
C言語は汎用性が高く、実行速度も速いのですが、そのメリットと引き換えに、ハードウェアやOSに近いレベルでコードを書く必要があるため、コードの量や複雑さは増えてしまう側面があるのです。
●デバッグが難しい
C言語はバグの原因特定が難しく、デバッグに時間がかかりやすい傾向があります。これは、C言語のハードウェアに近い処理を記述できるメリットと合わせ鏡の関係で、実行時のプログラム内部の動作がわかりにくくなるためです。特に初心者にとっては、デバッグのハードルは高く、開発効率低下の一因にもなります。
●メモリ管理の手間がかかる
C言語はメモリ操作を自分でコード制御しなければなりません。そのため、メモリ解放のミスなどにより、メモリリークを引き起こすリスクがあります。メモリ資源が枯渇してしまうとアプリケーションが動作不能に陥ります。メモリ操作は細心の注意を払って行いましょう。
●セキュリティ面の脆弱性がある
C言語のプログラムには、セキュリティ脆弱性が生じやすく、安全性を確保するためにセキュアコーディングなどの対策が必要です。悪意のある第三者に脆弱性を突かれると、情報漏洩やサービス停止などにつながりかねないため、必ずセキュリティ対策を取りましょう。
●コーディングミスの影響が大きい
これまでも述べてきたように、メモリ操作のミスやポインタの誤操作などが原因で、エラーを引き起こす可能性があります。デバッグも難しく、原因特定も容易ではないため、正確なコーディングを行うことが重要です。C++やJavaなど他の言語なら「例外処理」の仕組みを利用できますが、C言語にはこの標準的な仕組みがないため、最初から問題発生を防ぐしかありません。そのためにも、C言語の開発現場ではコーディング規約の徹底やコードレビューの励行、静的コード解析ツールの利用など、品質管理の対策が必須といえます。
C言語でできること
前項で触れたとおり、C言語は汎用性が高いプログラミング言語です。そのため、既存のシステムの保守運用だけでなく、広範囲な最先端分野においても採用されています。C言語の具体的な用途は、以下の5つが挙げられます。
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OSの開発
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組み込みソフト開発
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ソフトウェア開発
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基幹システム開発
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ゲーム開発
●OSの開発
C言語は、PCやスマートフォンの動作において欠かせないOSの開発が可能です。システムの根幹部にあたる部分の開発に優れているため、OSやデバイスドライバなどの、ハードウェアの制御をするプログラムを設計する際にも利用されています。また、描画に役立つライブラリが豊富な点もOS開発に適している理由です。実際にC言語で開発されたOSとして、「MacOS Xカーネル」や「Linuxカーネル」などが挙げられます。
●組み込みソフト開発
C言語の用途として特に需要が高いものは、組み込みソフトの開発です。組み込みソフトとは、家電製品や産業機器に組み込まれたプログラムのことで、エンベデッドシステムと呼ばれることもあります。車のカーナビを例に挙げると、「現在位置を表示する」「目的地までの最短ルートを割り出す」といったように、特定の機能を提供するのに必要になります。C言語では、これらを制御するプログラムを開発することが可能です。電子機器を動かすためのプログラムには、使えるメモリに限りがある中、高い速度性能が求められます。C言語は、メモリを管理しながら高速で軽量なプログラムを作ることができるため、組み込みシステム開発に最適です。
●ソフトウェア開発
「Windows」「Mac」「Linux」などのPCで普段使用しているようなソフトウェアにおいてもC言語が活用されています。例えば、Windowsの「メモ帳」、「Chrome」「Safari」などのブラウザが挙げられます。「MySQL」「PostgreSQL」のようなデータベース管理システムや、「Nginx」「Apache」などのWebサーバなどもC言語によって作られています。
また、C言語の高い処理速度を活かして、企業の人事や売り上げを管理する大規模な業務用のソフトウェアにおいても、C言語やC++で作られているケースは少なくありません。ただし、C言語単体ではリッチユーザーインターフェイスを作ることには適していないため、ソフトウェアを開発する際にはほかのプログラミング言語と組み合せて用いることもあります。
●基幹システム開発
C言語は、企業の基幹業務、根幹業務を管理するシステムである、基幹システムの開発も可能です。基幹システムは、それぞれの業務プロセスを効率化することが目的とされており、業界や企業の業務内容によって、どのシステムが基幹システムにあたるかは異なります。
万が一基幹システムに障害が発生すると、膨大な損害を被ることになります。そのため長い歴史を持つC言語は、その安定性と高速な処理速度といった特徴を活かし、基幹システムの開発にも活用されています。基幹システムは、処理が集中することがあるため、特に処理速度が重要視されます。C言語は処理速度が高速なため、基幹システム開発に適しているといえます。
●ゲーム開発
ゲームの開発にも、C言語が用いられています。人気があるゲームの一つでもある「スーパーマリオブラザーズ」シリーズでも、初期においてC言語で開発されています。元々主流だった「コンシューマーゲーム」は、データの容量がシビアであるという特徴があり、プログラムを軽量化することが特に重要なポイントでした。C言語は軽量で高速なプログラムを作ることができるため、さまざまなゲームの開発に用いられてきました。最近のゲームの開発においては、高度な演出やグラフィックが求められる傾向にあり、ゲーム開発に特化した「ゲームエンジン」の代表格である「Unity」や「Unreal Engine」で使えるC#やC++が主流となっています。
C言語とPythonの違い
C言語とPythonは、いずれも人気の高い言語ですが、文法や記述方法、特徴などが大きく異なります。そのため、どちらが良いかなどを単純に比較することはできません。PythonのほうがC言語よりも開発効率や生産性は非常に高いのですが、処理速度などはC言語の方が圧倒的に速いといえます。
Pythonはスクリプト言語に分類され、動的型付けで生産性重視の言語です。そのため、Webアプリケーションや機械学習、データ分析といった開発生産性を重視する領域で広く使われています。一方、C言語は静的型付けで実行速度優先のコンパイル言語で、数値計算や組み込み系開発などの高速処理が必要な領域でよく使われます。
C言語と関連言語の違い
現在、数多くのプログラミング言語が存在していますが、それぞれの言語は互いに影響を与え合っています。先述のとおり、C言語は長い歴史を持つプログラミング言語であるため、C言語から発展した言語もあります。C言語から発展した、代表的なプログラミング言語は以下の3つが挙げられます。
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C++
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C#
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Objective-C
一つずつ、詳しくご紹介します。
●C++との違い
C++は、C言語の開発から約10年後の1983年に作られたプログラム言語です。「シープラスプラス」と読みますが、日本国内においては縮めて「シープラ」と呼ばれることもあります。C++という名称には、「C言語よりも前進した言語」という意味が込められています。C言語と同じく、OSやメモリといったハードウェアを制御できるプログラム言語で、C言語の機能を拡張し「オブジェクト指向」という概念を取り入れる形で作られています。オブジェクト指向とは、オブジェクト(モノ)を組み立てるように表現して、コンピューターに動作をさせるプログラミングのことです。C言語と互換性があり、C言語とC++を併用することで、開発効率の優れたプログラムを作成することが可能です。
C言語とC++は、プログラムの書き方が大きく異なります。C言語はコンピューターに実行すべき命令を順序立てて記述する「手続き型言語」ですが、C++は、プログラム内の要素の「ひな形」を作ると、そのひな形から「オブジェクト」と呼ばれる実体が生成され、これを操作する形式です。ひな形を変更すれば良いので、C言語よりも開発効率は向上します。
C++でできること
C++はC言語の拡張版であるため、基本的にはC言語で開発できるものはC++でも開発が可能です。C言語よりもさらにスピーディーな開発ができる点がメリットだともいえます。C++を利用することでできることとして、まず大規模業務システムや公共機関のシステムの開発が挙げられます。C++は、プログラムの実行速度が速く、OSの制御が可能なため、多くの業務システムに用いられています。そのほか、人工知能(AI)の開発やロボットの制御技術にも活用されています。C++はロボットに対して複雑な命令をプログラミングすることが可能なため、特にロボットなどの最先端の制御技術の開発にも役立っています。近年発達している、これまでインターネットにつながっていなかったあらゆる「モノ」をインターネットに接続する技術である「IoTシステム」や、各種機械の制御技術、組み込みシステムなども、C++言語によって開発できます。
●C#との違い
C#とは、2000年にMicrosoft社によって開発された「.NET」というフレームワークを扱うためのプログラミング言語です。C++にJAVAというプログラミング言語の概念を踏襲する形で作られています。C♯は、C++のようにC言語との互換性はなく、まったく別のプログラミング言語といえます。C言語やC++のように、ハードウェアの制御には適していないものの、C♯は開発元がMicrosoft社であることから、Windowsアプリケーションなどのソフトウェア開発や、Webアプリ開発に向いているプログラミング言語です。検索エンジンの「Bing」や、Microsoft社の公式サイトは、実際にC#を使って開発されています。C++やC#も、名前にCが入っているという点は同様ですが、特徴や用途に関しては大きく異なります。
C言語やC++ではプログラマーが直接メモリを管理しますが、C#は Javaのように「ガベージコレクション」という自動メモリ管理機能を有しています。これによりメモリは自動管理されるため、メモリ管理に関する負担を軽減できるのが特徴です。
C#でできること
先ほども触れましたが、C#はMicrosoft社によって作られた言語のため、Windowsアプリケーションの開発を得意としています。例えば、Microsoft OfficeのExcelやPowerPointなどの、日常生活において身近な存在であるアプリケーションにもC#言語が活用されています。「Xamarin」という開発環境を使うことで、Androidのアプリケーションも開発できます。また、Visual Studioという開発環境を使うことによって、TwitterやFacebookなどといったWeb上で動かすことができるアプリケーションの開発も可能です。また、C#はゲーム専門の開発環境である「Unity」を扱うことができる唯一の言語です。Unityは、PS4やNintendo Switchなどのゲームを開発できます。
●Objective-Cとの違い
Objective-Cとは、C言語にSmalltalkのオブジェクト指向の機能を融合させた言語のことを指します。C言語からの派生言語ではありますが、独自の言語構文を持っているのが特徴の一つです。従来はMac OS用のアプリケーションを開発する言語として用いられていましたが、iOSアプリの開発言語としても活用されることによって急速に普及しました。ただし、近年はSwiftが登場したことによって開発環境の移行が進み、Objective-Cの需要は徐々に減少傾向にあります。
Objective-Cでできること
先述のとおり、Objective-Cを活用してできることとして、iOSアプリの開発が挙げられます。主にアプリの保守やアップデートに、Objective-Cを用いている企業が多くあります。ほかにも、Webアプリ開発やシステム開発でも活用されています。Webアプリ開発では、主にサーバサイドの開発で利用される傾向にあります。システム開発においては、主にバックエンド開発やAPIの開発で用いられています。
C言語とJava、JavaScriptの違い
続いて、よく聞くJavaやJavaScriptとC言語の違いについても解説します。
●Javaとの違い
C言語は1972年に誕生したハードウェアに近いレベルでの操作が可能な手続き型言語で、メモリ管理を開発者が直接行う必要があります。一方、Javaは1995年に誕生したオブジェクト指向プログラミング言語で、「ガベージコレクション」という自動メモリ管理機能があるため、開発者がメモリ管理を行わずに済みます。
Javaにも豊富なライブラリがあり、生産性は高いといえますが、C言語ほどの汎用性と実行速度はないため、単純な性能比較は難しく、併用されることが多くあります。
●JavaScriptとの違い
JavaScriptもオブジェクト指向のスクリプト言語ですが、主にクライアント側のWebブラウザ上で実行するWeb用途に特化しています。一方、C言語は汎用のコンパイル言語で、高速処理に向いている手続き型言語です。用途の面で大きく違いがあり、例えばWebアプリケーション開発においてはUI(ユーザーインターフェース)をJavaScriptで行い、サーバサイドのデータ処理ではC言語が利用されるケースが多いといえます。
C言語の基本構文
ここでは「Hello, World!」と画面に出力する基本的な構文を紹介します。以下がそのコードです。
#include
int main() {
printf(“Hello, World!\n”);
return 0;
}
プログラムの先頭部分の「#include」でヘッダファイルを読み込みます。「stdio.h」はC言語の標準ライブラリであり、文字を出力する「printf関数」を使用するために必要です。
次に「main関数」を記述しています。C言語のプログラムはmain関数から実行を開始しますが、今回はprintf関数を使って「Hello, World!」というメッセージを表示するようにコーディングしています。
「return 0;」は、一般的な慣習でプログラムの最後に記述するもので、そこで関数の処理が終了となります。
C言語の学習方法
最後にC言語の学習方法について、主な種類と学習の流れについて説明します。
●学習方法の主な種類
C言語の学習方法は大きく分けて3つあります。具体的に挙げると、「Webサイトでの独学」「書籍による独学」「プログラミングスクールでの学習」です。
C言語を始め、インターネット上にはさまざまなプログラミング言語を学習するためのWebサイトが存在します。無料で利用できるものからサブスクなど有料のものまで幅広くあるので、自分の習熟度・理解度に合わせてコンテンツを選択するようにしましょう。
また、書籍による独学もおすすめです。C言語は歴史のある言語のため出版点数が多いのが特徴です。まずは初心者向けのものから読み始め、理解度に応じて他の書籍にも挑戦しましょう。
費用は他の方法よりもかかりますが、プログラミングスクールに通うのもおすすめです。最近ではオンラインで完結するスクールもあります。サイトや書籍の独学と異なり、不明点を直接質問できるのがスクールの良いところです。上手に活用してC言語を効率良く習得しましょう。
●効率的な学習の流れ
C言語の効率的な学ぶには、正しい順序で学習することが重要です。まずは、C言語の基礎となる文法を理解しましょう。int,やdouble、charなどの基本データ型、変数の定義、四則演算などの使い方を押さえた後、if文やfor文などの制御文を学び、基本操作のイメージをつかみましょう。
基本構文や関数をある程度学んだら、簡単なプログラムのコーディングを行って実践を繰り返してスキルを磨いていきます。この時、例題のコードを読むだけでなく、実際に手を動かして入力することが大切です。簡単なプログラム例題のコーディングにチャレンジしてもよいでしょう。
その後、C言語に用意されている標準ライブラリの活用方法を学びましょう。ライブラリをうまく活用することで、コードを最初から書かなくても欲しい機能を実装できるようになります。C言語には入力や出力、文字列操作、数学関数、メモリ管理などの標準ライブラリが用意されており、基本的な機能のコードは自作不要です。ライブラリの活用方法を覚えたら、後は実践を繰り返して応用力を身に付け、スキルを磨いていきましょう。
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