工事を取り扱う業者の中には、作業状況をリアルタイムで管理したり、図面や工事工程を共有したり、工事に関する入出金管理をしたりと、工事管理システムを使って効率化を図る企業もいらっしゃるはずです。
一方、まだ工事管理システムを導入していない場合、システム導入にかかる初期コストやランニングコストなどを把握していないため、導入に踏み切りづらいと感じている方も多いでしょう。
そこで今回は、工事管理システムの導入から開発・構築・改修にかかるコストを知りたい方に向けて、工事別の費用相場や作業期間についてご紹介します。
目次
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工事管理システムは「導入」と「開発・構築・改修」で費用相場が異なる
工事管理システムはパッケージ化されたシステムを導入する方法と自社開発する方法のいずれかで導入できます。そして、システム導入後の開発・構築・改修は基本的にはすべて技術者に依頼し、対応してもらう形となります。そのため、工事管理システムの費用相場についても、「導入」と「開発・構築・改修」の2つのパターンに分けて解説していきます。
●導入
工事管理システムを導入する際には、パッケージ化されたシステムを契約するクラウド型、または自社サーバー上にシステムを構築し運用管理していくオンプレミス型の2種類の方法があります。クラウド型はクラウドサーバー上で利用できるシステムです。月額料金を支払うことでサービスを利用できる仕組みで、契約次第すぐにシステムを導入することが可能です。ただ、ある程度利用できる機能が決められているため、自社に合った機能を持った工事管理システムを探す必要があります。
一方、オンプレミス型は、自社にサーバーを設置するためセキュリティ性に優れていますが、サーバー設備を設置する必要があるため、初期コストがかかります。それぞれの特徴を理解したうえで、どちらの形が最適化か決めていきましょう。ちなみに、パッケージ化された工事管理システムの代表例として以下のものが挙げられます。
製品 | 初期・運用コスト | 提供形態 | 対象従業員規模 |
---|---|---|---|
ANDPAD | 初期コスト:10万円 運用コスト:月額3.6万円~ |
クラウド型 | すべての規模に対応 |
Qosmosレポート | 運用コスト:5万円~ | クラウド型 | すべての規模に対応 |
SITE | 初期コスト:20万円 運用コスト:年額10万円~ |
クラウド型 | すべての規模に対応 |
SMAC工事管理 | 初期コスト:15~35万円 運用コスト:8万円 |
オンプレミス型 | 100名未満 |
e2movE 販売 | 初期コスト:120万円 運用コスト:別途問い合わせ |
オンプレミス型 | 50名以上 |
クラウド型の工事管理システムの費用相場は、初期コストが0~20万円、運用コストが月1~5万円くらいです。一方で、オンプレミス型の工事管理システムの費用相場は、規模感によって大きく変わります。数十万円で導入できるものもあれば、数百万円もかかるものもあります。導入形態を決め、それからどのくらいの規模感で、どういった機能を持った工事管理システムを導入するか決めましょう。
●開発・構築・改修
工場管理システムを、開発・構築・改修していく際には、基本的に技術者に依頼して作業してもらう形となります。その際にかかるコストの計算方法は、「技術者の単価×作業日数+会社の固定費」です。固定費はさほど変わりませんが、人件費についてはどんな技術者に依頼するのかによって変わってきます。技術者ごとの単価の目安は以下の表の通りです。
技術者 | 1ヶ月あたりの費用相場 |
---|---|
上級システムエンジニア | 100~160万円程度 |
初級システムエンジニア | 60~100万円程度 |
大手企業所属のプログラマー | 50~100万円程度 |
下請け企業や個人事業主プログラマー | 40~60万円程度 |
外国籍プログラマー | 30~40万円程度 |
技術者の費用相場と自社での予算感を踏まえ、どんな技術者に依頼すべきか検討してみてください。工事管理システムについては、さらに詳しく以下のページで紹介しています。
開発・構築・改修の作業期間によっても費用は変わる
システムの開発・構築・改修はどんな技術者に依頼するかによって費用が異なるとお伝えしましたが、作業日数がどのくらいかかるのかによってもコストは変わってきます。ここからは、システムの開発・構築・改修のそれぞれにかかる期間の目安や費用相場について解説していきます。
●開発
システム開発は、システムの設計から完成したシステムのテスト作業までを指します。そして、各工程で必要な期間の目安は以下の表の通りです。
システム開発の各工程 | 必要な期間の目安 |
---|---|
要件定義 | 約2週間~1ヶ月 |
設計 | 約2週間~1ヶ月 |
プログラミング | 約1ヶ月~2ヶ月 |
単体テスト | 約2週間~1ヶ月 |
より具体的な期間は、システムの規模感やシステム開発手法によって異なります。システム開発にはウォーターフォールモデルとアジャイル開発モデルの2つの開発手法があります。
ウォーターフォールモデルは工程の上流から下流に向かって順番に開発を進めていく手法です。この手法は、開発スケジュールや工程などの全容を把握できる一方で、工程の途中で修正や仕様変更が難しいという側面もあります。
アジャイル開発モデルは、開発工程を小さい機能単位に分け、そのサイクルを繰り返して開発していく手法です。この手法は、全体のスケジュール管理が難しい特徴はありますが、不具合が発生しても修正工数を少なくできたり、仕様の変更や追加にも柔軟に対応できたりするメリットがあります。
例えば、2人の初級システムエンジニアに依頼し、単体テストまで5ヶ月かかると想定します。前述の技術者ごとの単価の目安で、1人の初級システムエンジニアの1ヵ月あたりにかかる費用が80万と想定した場合、単体テストまでかかるコストは800万円程度と算出することが可能です。
●構築
システム開発はプログラムの設計からテスト作業までのことと説明しましたが、システム構築は、テスト作業だけでなく、システムを構成するソフトウェアや機器といった各パートを組み立てて実際の現場で運用するまでのことを指しています。つまり、「システム構築=システム開発+各パートの組み立て+運用作業」ということです。各パートの組み立てから納品までにかかる期間の目安は以下の表の通りです。
単体テスト以降の各工程 | 必要な期間の目安 |
---|---|
結合テスト | 約2週間 |
システムテスト | 約1週間 |
運用テスト | 約1週間 |
単体テスト以降は、それぞれの工程で1〜2週間程度時間がかかります。そのため、納品までの処理の期間も含めると、システム構築には1ヶ月強は少なくともかかると考えておいたほうが良いでしょう。また、システム構築でも、先ほど解説したように開発方法の手法によってかかる日数が変わってきます。
ちなみに先ほど同様、1人の初級システムエンジニアの1ヵ月あたりにかかる費用が80万で、2名の初級システムエンジニアに依頼する場合、単体テスト以降でかかる費用は160万円程度となります。これにシステム開発でかかる費用を合わせると、システム開発~構築までにかかる合計費用は1,000万円程度となります。開発~構築まで依頼するにもこれだけの費用がかかるため、どのような技術者に依頼するかは慎重に吟味しましょう。
●改修
システム改修はその名の通り、すでに完成しているシステムに手を加える作業のことです。システム改修は、システム開発やシステム構築と同様、一時的な依頼になる場合がありますが、継続的にシステム改修をしてもらう契約を結ぶことも可能です。また、システム改修をどれだけの範囲まで対応してもらうのかはその都度異なるため、システム改修にかかる期間はまばらで、明確な費用相場というものもありません。一時的なシステム改修を依頼する場合は、「作業単価×作業にかかった期間」で1人あたりの人件費を算出すると良いでしょう。
一方、継続的にシステム改修をしてもらう場合は、顧問サービスの月額固定費がかかります。もし継続的にシステム改修を依頼する場合は、継続的な顧問サービス含めた、かかるコストがどのくらいになるか確認しておきましょう。
工事管理システムの費用は工事の種類によっても変わる
工事管理システムの費用相場は工事の種類によっても異なります。工事管理システムが導入される工事の種類として主に以下が挙げられます。
●建築工事
建築工事で工事管理システムを導入する場合、「現場ポケット GEMPO」というアプリの導入がおすすめです。こちらのアプリには以下のようなメリットがあります。
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現場の指示や報告がチャットで可能
-
写真のやり取りをスムーズに行える
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現場の情報がタイムリーに反映される
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現場の作業記録がすべて残る
-
報連相によるトラブルが減る
-
仕事とプライベートでアプリを分けることができる
スマホでアプリ操作できるため、作業が終わってから事務所で記録する必要がなくなって便利です。また、作業の状況を記録すれば、すぐに事務所側にも進捗状況が伝わります。そのため、事務所側の従業員もワンテンポ早く次の作業にとりかかることができるでしょう。ほかの施工管理アプリと現場ポケットの仕様の比較を以下の表にまとめました。
現場ポケット | 一般的な施工管理アプリ | |
---|---|---|
主な機能 | 現場管理に必要な機能に特化 | 見積・受発注・原価管理など |
使用人数 | 無制限 | 一部の管理者のみ |
かかるコスト | 月額8,800円 | 月額3~6万円 |
ほかのアプリとの併用 | 〇 | × |
現場ポケットは現場管理に必要な機能だけに特化したアプリです。使える機能が制限されている分、かかるコストが一般的なものと比べてリーズナブルな価格設定となっています。現場管理以外の機能が必要な場合は、ほかのアプリと併用して活用してみましょう。
●土木工事
土木工事で工事管理システムを導入する場合、「SiteBox」というアプリの導入がおすすめです。こちらのアプリには以下のようなメリットがあります。
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帳票の自動作成や工事写真の撮影が可能
-
電子小黒板の改ざん検知機能が搭載
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記録したデータや写真をクラウドに保管してくれる
データの処理から写真の撮影、それらのデータの管理まですべてこのアプリひとつで対応できます。そして、取得したデータや写真はすべてクラウド上で保管できるため、万が一データを紛失してしまってもデータ復旧等の対応をしやすいのがメリットです。また、電子小黒板の改ざん検知機能が搭載されているため、データの改ざんも防止可能です。費用についてはサービスを提供する株式会社建設システム(KENTEM)に直接お問い合わせする形になるため、導入を検討する際には、公式サイトの「お問い合わせ」から連絡してみてください。
●電気・設備工事
電気・設備工事で工事管理システムを導入する場合、「SPIDERPLUS」というアプリの導入がおすすめです。こちらのアプリには以下のようなメリットがあります。
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クラウド上で進捗・情報共有が可能
-
電子小黒板機能がデフォルト装備
-
1クリックで記録帳票が作成可能
主な特徴は現場ポケットやSiteBoxと似ています。クラウド上でのリアルタイムでのデータ管理・共有、記録帳票の高速処理、電子小黒板のデフォルト装備などが利用可能です。費用については、1つのIDにつき月額3,300円と、サーバー初期設定費用として44,000円かかります。また、サーバーの月額費用もかかり、容量によって毎月かかるコストが変わってきます。
自社に合う工場管理システムをしっかり見極めて効率化を
工事現場における人手不足は年々深刻化しつつあり、現場で業務効率化するための工夫が必要とされています。そのような現場の課題解決に有効なのが工事管理システムです。工事管理システムの費用相場は、システムを導入するか一から開発・構築するかによってかかるコストが変わります。システムを導入する場合、クラウド型とオンプレミス型のどちらが自社に合っているか考えて導入を進めてください。
また、システムを開発・構築する場合は、依頼する技術者の人件費で大きく変わるため、技術者の作業単価とかかる期間を踏まえて依頼先をじっくり検討しましょう。この考え方はシステムを改修してもらう場合も同じです。今回紹介した工事管理システムの費用相場を参考に、自社に合った形で導入・開発・構築・改修を行うようにしましょう。
どのような工事管理システムを選んだり、導入したりすれば良いかわからないという場合は、専門家に相談するという方法も検討しましょう。発注ナビでは、専門コンシェルジュによる丁寧なヒアリングで、開発会社とのマッチングをサポートします。
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