客先常駐は、慢性的な人不足に悩まされるIT業界において頻繁に採用される働き方ですが、あまり良い印象を持たない方も多いのが現実です。「慣れない場所での仕事であり、現場との相性が悪ければつらいだけではないか」と思う方もいるでしょう。
採用数を伸ばすためには、客先常駐に対するマイナスなイメージを払拭して、印象アップを図る必要があります。その前に、現在の客先常駐の印象を把握できなければ改善はできません。まずは、客先常駐の印象に関する現状を確認しておきましょう。
今回は、客先常駐の印象を踏まえて、改善するための施策を解説します。
目次
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「客先常駐」ってどのような印象なのだろう?
自分が所属する会社ではなく、クライアントの会社や現場に出向いて作業する働き方を「客先常駐」といいます。基本的に、毎日クライアントの会社で作業するため、所属する会社にはほとんど出社しません。そのため、休暇の連絡は所属先の会社だけではなく、クライアントにも報告する必要があります。
よくある働き方ではありますが、特殊な形態からマイナスなイメージを持つ方も少なくありません。続いては、客先常駐に対して多くの方が持っている印象を解説します。
●上流工程にかかわれない
システム開発の初期段階である構想や企画、設計の作業を上流工程といいます。システム開発の土台となる工程であり、エンジニアがステップアップするためにも大切な作業です。しかし、上流工程は基本的にクライアントが行うため、客先常駐ではかかわれません。
客先常駐は、プログラミングやテスト等の下流工程を主に行うのが一般的です。エンジニアとして、やりがいを感じられる上流工程に参加できないことで、客先常駐にマイナスな印象を持つ方も多いでしょう。
●将来性が見込めない
客先常駐は案件が終われば、次のクライアントに出向くのが一般的です。しかも、基本的にクライアントを自分で選べるわけではありません。また、作業内容は下流工程が多いことから、スキルアップができないという悩みを抱えている方も多いでしょう。スキルアップが望めなければ、自分が目指すキャリアに到達できない可能性もあります。客先常駐として転々とクライアントを巡っていても、将来性は見込めないだろうと感じるのも無理はありません。
●ストレスを感じやすい職種
日常的に通っているクライアント先だとしても、お客様と受託業者であることには変わりありません。自社での作業とは異なり、クライアントの目が気になることも多いでしょう。また、必ずしもクライアント先と相性が良いとは限りません。クライアントによって社内ルールも異なるため、自分のリズムと合わずストレスを感じる方もいます。
●仕事量と給与が釣り合わない
客先常駐は、下請け業者であり、クライアント先のスタッフと比較するとどうしても給与が安くなる傾向にあります。また、客先常駐の報酬は、労働時間に対して支払われる形態が一般的で、仕事量に比例していません。そのため、いくら頑張って働いても、給与が上がらないという印象を持たれやすいでしょう。
悪い印象を持たれるのは働き方のせい?
そもそも、客先常駐はどんな働き方なのでしょうか。前章でも触れたように、客先常駐は自社ではなくクライアント先で日常的に作業を行います。ほとんどのケースで、雇用先に出向くことはなく、クライアントに直行し仕事が終われば直帰する働き方です。また、客先常駐は、正社員や派遣社員等の勤務形態は関係ありません。客先常駐はクライアント先が職場となる特殊な働き方であり、マイナスな印象を持たれる要因でもあります。
●社内システムエンジニアとの違い
客先常駐が、クライアント先に出向く働き方である一方、雇用先の企業でシステムにかかわる方が社内システムエンジニアです。客先常駐と社内システムエンジニアは、働く場所だけではなく勤務形態も異なります。
社内システムエンジニアは、所属先の社員として契約し、会社から指示を受けて働くのが一般的です。一方、客先常駐は所属先とクライアントの間で契約が交わされます。主な形態は以下の3つです。
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請負契約
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準委任契約
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派遣契約
請負契約と準委任契約であれば、所属先の会社が指示を出しますが、派遣契約を交わしていた場合は、クライアントが指示を出します。
客先常駐で働くメリット・デメリット
マイナスなイメージを持たれやすい客先常駐ですが、考え方によってはメリットもたくさんあります。一方で、デメリットもあるため両方をしっかりと把握しておくと、より働きやすい環境を作れるでしょう。続いては、客先常駐で働くメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
●メリット
客先常駐について耳にした情報だけで、マイナスなイメージを持っている場合は、メリットを知ることが大切です。メリットがわかれば、意外と自分に見合っている仕事だと気づく可能性もあるでしょう。客先常駐で働くメリットは以下の4つです。
業務経験を積める
客先常駐では、案件が終わると別のクライアントに移動して仕事をするのが特徴です。クライアントによって、プロジェクト内容が異なるだけではなく、開発環境や考え方も違うため大変勉強になるでしょう。場数を踏むごとに業務経験を積める点は、社内システムエンジニアでは得られないメリットといえます。
未経験でも入社しやすい
客先常駐の仕事内容は、下流工程が多いため高いスキルが必要ないケースがほとんどです。そのため、未経験でも採用されやすいメリットがあります。一般的に、エンジニアを募集している企業の多くは、高いスキルや経験値を求める傾向にあるため、これからエンジニアとして働きたい方にとっては、チャレンジしやすい環境といえるでしょう。
●残業が少ない
客先常駐の報酬は、勤務した時間に対して支払われるケースが多く、残業になると超過料金が発生します。こうした報酬形態から、客先常駐にはできるだけ残業が発生しないような業務を与えられるのが特徴です。契約内容やプロジェクトの進度に合わせて残業をすることもありますが、一般的な社内システムエンジニアと比べると、残業が少ない点はメリットといえるでしょう。
人脈を広げられる
客先常駐の多くは、数ヶ月~数年の長いスパンでクライアント先に出向きます。そのため、行く先々のスタッフとの交流が深めやすい点もメリットです。同じようなスパンで、各クライアントを回るため、一定の職場で働く方と比較すると、非常に人脈が広がります。
●デメリット
客先常駐には、メリットもあればデメリットもあります。デメリットもしっかりと把握しておくと、採用をする際にも大変役立つでしょう。続いては、客先常駐のデメリットを4つ紹介します。
上流工程にかかわれない
一般的な客先常駐の印象にもあるように、上流工程にかかわれない点は大きなデメリットです。基本的に、客先常駐はクライアントから見ると外部の人間であり、上流工程の重要なポイントを任せられないと考えるケースが多いでしょう。エンジニアの醍醐味ともいえる上流工程にかかわれないことは、やりがいを失うきっかけにもなりかねません。
技術・マネジメント等のスキルが身につかない
客先常駐が任される仕事は、下流工程が多く簡単な作業です。また、クライアントから支持された通りに作業する必要があり、業務に主体性を持てません。そのため、技術的なスキルが身につかない上に、マネジメント力の向上が期待できない可能性が高いです。独自に方向性を定め自身のスキルを発揮したい方や、目標を立ててスキルアップを望んでいる方にとっては、客先常駐の仕事にやりがいを感じにくいでしょう。
給料が上がりにくい
客先常駐として働いていると、所属先の上司が勤務状況を逐一把握できません。仕事に関する評価は、クライアントから所属先に報告されるケースがほとんどです。所属先であれば、評価され給料に影響する内容でも、クライアントから見れば評価に値しないことも考えられます。
また、客先常駐の報酬は、基本的に時間計算されるため、どんなに良い仕事をしても給料に反映されません。これらの理由から、客先常駐は給料が上がりにくいといわれています。
将来性が見込めない
スキルアップや給料アップが望めない点と併せて、将来性が見込めないのも客先常駐のデメリットです。各社を転々としながら、現場での経験を積めるメリットもありますが、一貫した作業を担当するケースが少なく、現場が変わればまたゼロからスタートします。
社内システムエンジニアであれば、着実にステップアップしながら、独立やキャリアアップを狙う方もいるでしょう。しかし、仕事をしながらスキルを磨きにくい客先常駐は、将来の展開に悩む方も多く見られます。
メリット・デメリットから考える求職者の傾向
客先常駐のメリットとデメリット踏まえると、客先常駐を望む求職者は、以下の傾向があると考えられます。
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エンジニアとしての経験を積んでいきたい方
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安定して働ける正社員として働きたい方
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フリーランスとして活躍したいと考えている方
客先常駐は、未経験者でも可能な業務内容が多く、これからエンジニアとして頑張りたい求職者にとっては最適な働き方です。現場経験を積みながら、様々なスタイルを知ることができます。また、客先常駐は正社員として雇用されることが一般的です。未経験でありながら正社員として安定して働ける点も魅力でしょう。
そのほか、場数が踏めるうえに人脈が広がるため、将来フリーランスとして独立したい方にも向いています。
●求職者が企業選びで意識していること
情報が気軽に手に入る昨今、求職者も企業を選ぶ際にしっかりとポイント押さえています。求職者がどんなことに意識して企業選びをしているかを知ると、人材を募集する際のヒントになるでしょう。
志望企業を吟味している
求職者が、志望企業を吟味する際のポイントの1つが「スキルアップ」です。客先常駐は、下流工程を担うことが多く、スキルアップを望めないデメリットがあります。しかし、上流工程を担当するケースもゼロではないため、スキルアップできる環境を吟味している求職者が多いでしょう。
また、評価制度も大切です。客先常駐の多くは、仕事量に対して給与が見合っていません。このように評価体制が整っていない状態では、働きたくてもストレスが溜まるばかりで、応募されない可能性が高いでしょう。
そのほか、残業代や交通費についても明確にしておく必要があります。特に、常駐先ではなく帰社日を設けている場合の交通費や、所属先にて働く場合の残業等が支払われないとなれば、候補から外されかねません。
経験を積めたら転職することを前提にしているケースもある
客先常駐に応募する求職者の中には、初めから経験を積むことだけに集中している方もいます。ある程度経験を積んで、転職することを前提にしているためです。こうした求職者に長く勤めてもらうためには、しっかりと働きやすい環境整備をする必要があります。
スキルアップ・キャリアップを常に意識している
エンジニアになった方のほとんどは、スキルアップやキャリアアップを望んでいます。客先常駐だとしても、上流工程にかかわれる仕事であれば、やりがいを感じてもらえるでしょう。反対に、下流工程ばかりを任され、スキルアップにならないと感じれば、ほかの企業に転職される可能性も高いでしょう。
求職者の印象を変える施策とは
どうしてもマイナスなイメージを持たれやすい客先常駐ですが、環境を整えると印象を変えられます。求職者の印象が変われば、客先常駐でもやりがいを感じてもらえるでしょう。続いては、求職者の印象を変える施策を3つ解説します。
●社員が定着する環境を作る
求職者から見て「働きやすい会社」は、30代・40代のスタッフが多くいる会社といわれています。その理由は、社員が定着している印象を受けるからです。反対に、社員の出入りが激しい会社は志望先から外されるでしょう。これは、客先常駐に限ったことではありません。
まず、求職者に働いてみたいと思ってもらうためには、在籍している社員が定着しやすい環境を作る必要があります。例えば給与や福利厚生面の配慮、労働環境や人間関係を整えることも大切です。
●元請け・2次請けプロジェクト案件の営業を行う
システムエンジニアを含むIT業界は、ピラミッド構造になっています。例えば大手IT企業が元請けになり、そこから発注を2次請け企業に発注し、さらに3次請け・4次請けと下がっていくのが特徴です。当然、階層が下がれば下がるほど報酬が低くなります。
報酬を上げるためには、元請けや2次請けプロジェクト案件を得なければなりません。新たに営業をするのであれば、元請けや2次請け案件を狙い、求職者の客先常駐に対するマイナスな印象を払拭しましょう。
●評価制度とキャリアパスを明確にする制度を設ける
評価制度やキャリアパスを整えることも、求職者の客先常駐に対する印象を変えるために必要なことです。曖昧な評価をしてしまうと、社員のモチベーションが下がります。客先常駐であっても、明確な評価をしてもらえることがわかると、安心して応募してもらえるでしょう。
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