海外オフショア開発のコストメリットを最大化するには、いかに日本国内でのコストを抑えるかが重要だ。ベトナムで海外オフショア開発を行うHeligate Japan株式会社では、国内に数名のスタッフを置き、ベトナムのエンジニア100名を支えている。同社の営業責任者でもあるジェネラルマネージャーの和知義夫氏によれば、数あるサービスを使っていく中で、最後まで残ったのが発注ナビだったという。評価のポイントはどこだったのか、詳しくお話を伺った。
社名 | Heligate Japan株式会社 |
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所在地 | 東京都千代田区岩本町3丁目5-14 リベラ岩本町901号室 |
従業員数 | 51 – 100名 |
事業内容 | ベトナムオフショア開発事業 |
掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
コンサル業で築いたベトナムでのコネクションを活かして海外オフショア開発をスタート。専任の営業担当者がいない状況で、ベトナム本社100名の体制を維持していくには、ホームページでの集客や展示会出展以外にも、何らかの効率的な営業支援策が必要だった。
- 導入後の効果
約100件近くの紹介を受け、4件の受注に成功。トータル売上は2500万円超。また失注から学ぶことも多く、兼務ながら営業を担当するメンバーの情報収集や営業スキルの向上にも大いに役立っているほか、AI学習データの作成など新たな需要の発見にもつながった。
専任営業スタッフ不在でエンジニア100名体制を支えるには?
Heligate Japan株式会社は、ベトナムにおける海外オフショア開発を行う開発会社として2018年に設立された。Webアプリケーションやモバイルアプリ開発はもちろん、AIやブロックチェーン技術を使った最先端のシステムソフトウェア開発も手掛けるなど、幅広い領域で力を発揮している。
「当社は現在日本国内に数名、ベトナム本社には約100名という体制で開発を行っています。国内のスタッフは私とブリッジSE数名という少数精鋭の構成です。海外オフショア開発ではアジア圏を中心に、さまざまな国で展開している企業がある中、当社の強みはベトナムの地で開発を行っているという点です。よく『ベトナム人は勤勉』と言われますが、実際その通りで、技術力はもちろんですが、現地には英語や日本語が堪能なスタッフも控えており、海外での開発とは思えない、タイムラグのない質の高い開発成果をご提供させていただいております」(和知氏)
ベトナムで海外オフショア開発を行う他社と比べてみても「プロセスがきちんとしていて、事前にシステムの仕様書やテスト仕様書などもしっかりと作り込み、各フェーズに担当責任者を置き、システマチックに開発を行っている」点が、顧客からも高く評価されているという。
ベトナム国内向けの開発実績やドイツをはじめとした欧米企業からの受注実績も多数あるという同社だが、やはり同じアジア圏である日本からの受注は欠かすことができない。しかし、ベトナムの100名近いエンジニアたちを支えるには、並々ならぬ努力が必要だった。
「日本国内のメンバーに営業専任担当はいません。私が営業を担当していますが、会社運営のための人事や法務等の仕事も担当しています。他のメンバーもブリッジSEと兼務していますので、受注のための営業活動に時間を割けず、まして大手のように組織立って動くようなことはできませんでした」
こうしたことから同社では、各メンバーの営業活動を支援する何等かの施策を導入せざるを得なかった。
お客様の発注意思の高さや費用対効果で発注ナビを継続
同社はこれまでにも営業活動に、個人のネットワーク、メール、各種の展示会、自社ホームページからの集客、そして各種マッチングサービスなど、さまざまな手法を利用してきた。
「マッチングサービスについては、当初から発注ナビを含め、いくつかのサービスを小刻みに契約更新しながら使ってきました」
そのような中で、発注ナビは年間契約に変更し、現在に至るまで利用を続けている。その理由は「発注ナビから紹介されるお客様は高い確率で発注しようという意識を持っている」ことだという。
「発注ナビから紹介されるお客様は、高い確率で、オンラインの打合せをし、見積書を提出する段階まで漕ぎつけます。そこから先は当社の営業力にかかっていますが、まずはこのスタートラインに立てるということが重要です」
発注ナビでは、すべての加盟企業に専任アドバイザーが付き、発注ナビの活用をサポートする「カスタマーサクセス」というサービスがある。その一環として、定期的にミーティングを行い、受注に向けたさまざまなアドバイスを行っているが、その際、発注ナビから紹介した案件については、競合他社の商談状況についてもご案内している。
「当社が選ばれなかったケースでも、競合他社のいずれかが選ばれていたので、最終的に発注されているということがよく分かりました。ところが、他のマッチングサービスでは、当社が失注してしまうと、そのお客様が最終的に発注したのかどうかまでは分かりませんでした」
また、サービス利用における費用対効果の面も気になったという。
「他のサービスでは、コンタクトしても返事がなかったり、技術資料まとめてお送りしても返事がなかったりして、なかなか打合せにこぎつけないということが珍しくありませんでした」
発注ナビは定額制のため、紹介件数で費用が発生することがない。利用月にどれだけ多くの案件にエントリーし、どれだけ紹介を受けても、料金は変わらない。和知氏によれば、その点が大きな評価ポイントだったという。
「海外オフショア開発はコストメリットがすべて。そういう意味で発注ナビは当社にとっても欠かせない存在といえます」
500件以上のエントリーで4件受注。中には1000万円超の案件も!
発注ナビの普段の利用状況や受注率はどうだろうか。
「新着案件へのエントリーは月平均で20件程度。これまでに500件以上エントリーして、そこから100件近く件のご紹介をいただいています」
同社が選んだのは発注ナビのセレクトプラン。これは発注ナビを利用する月を、契約期間内で任意に選べるというもので、たとえば24カ月中6カ月というような契約となる。同プランならば、受注が決まって開発を行っている期間は案件獲得の活動を行わないという場合も、利用料が無駄になることがない。なお、契約期間中毎月利用することを前提としたベーシックプランもある。
同社は、これまでに4件の受注に成功している。
「提案にまで進めた案件数をもとに考えると、受注率は10%前後でしょうか。ただし、お客様サイドの補助金待ちの案件もいくつかあるので、最終的な数字はもう少し上積みされるかもしれません」
この4件の受注で2500万円ほど売り上げているという。
「お蔭様で、2021年11月に受注したお客様は、いまだにお付き合いが続いていて、トータルで2000万円近い売上になっています」
また、たとえ失注した場合も「そこから学んでいける」という。
「前述のように、発注ナビのお客様からは何らかの発注をする意思が感じられます。そうしたお客様との商談は、結果によらず大きな意義があります。そのため、時間をかけて資料や見積書を作成しても無駄になりません。商談を通じてお客様の考えをお聞きし、世の中のニーズを把握できるなど、営業的な学びもあります。選ばれなかった理由も反省材料として、次回の営業時に活かせます」
お客様との商談を重ねることで見えてくる今後の課題と新たな強み
いろいろなお客様と商談をしていく中で、同社では、新たな課題も認識しているという。
「海外オフショア開発ということで、リソースがすべて海外だとリスクが大きいと感じられるお客様もいらっしゃいます」
ベトナム人技術者のスキルについては理解してもらえても「日本にいるベトナム人技術者に頼みたい」と言われてしまうことがあるのだという。
「技術者を日本に呼ぶと平均単価が上がってしまいます。たとえば、スマートフォン用アプリの開発技術者を、現地でなら28万円程度でアサインできますが、日本に呼ぶとなると60万~70万円に跳ね上がってします。それでは海外オフショア開発のメリットを打ち出すことができません」
それでも、顧客ニーズに応えるため、今後は人数を絞った上で、日本に開発技術者をおくことも検討中だという。
和知氏はこれまでに、米国のコンピュータメーカー、日本の光学機器メーカー、同じく日本の公共交通経路検索サービス企業、韓国の電機メーカーなどを渡り歩いてきた経歴を持つ。そんな同氏に、同社の今後の取り組みをうかがった。
「Webシステムにおいては、ECサイトや各種の予約システム、eラーニング関係の開発に多数の実績があります。また、オープンソースを利用して自社で開発したCMS(コンテンツ管理システム)を数種類保有しているため、お客様のニーズに応じて、開発費と期間を最適化することも可能です。市場で需要の高いNode.jsやReact.js、.Netに精通したエンジニアが揃ってきたため、そうした技術領域での開発ニーズにも柔軟にお応えできるでしょう。アプリ開発では、各端末に特化したネイティブアプリだけでなく、FlutterやReactNative等の技術を使ったクロスプラットフォームでの開発も得意としています。さらに現在は、AI関連の研究開発にも注力しています。AI分野における「学習データの作成」「データアノテーション」をはじめ、コンピュータービジョンにある光学文字認識(OCR)や画像認識、顔認識の開発にも自信があります。Webシステム、アプリ開発、そしてAIへの取り組み、今後は、この3つの領域を当社の柱にしていきたいと考えています」
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