企業運営を行う中で、顧客や取引先をExcelまたは紙媒体で管理する企業は少なくありません。しかし、この方法だと顧客情報の管理はできても、それを活用するまでの効率が悪くなりがちです。業務の効率化のためにも、顧客管理システムの導入をおすすめします。そこで今回は顧客管理システムの導入を検討している方に向け、顧客管理システムのメリットや導入方法、顧客管理システムの選び方を中心に解説していきます。
目次
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顧客管理システムを導入するメリット
顧客管理システムは、既存顧客から見込顧客まで商品・サービスの購入についての情報を一元管理するシステムのことです。顧客管理システムでは、主に取引履歴や購入動向、アフターサービスの履歴情報などが管理できます。顧客管理システムを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
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詳細な商品・サービスの購入についての分析が可能
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リアルタイムに情報が更新できる
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別部署との情報連携がしやすくなる
単に顧客情報が管理できるだけでなく、顧客1人1人の潜在的なニーズまで分析することが可能です。そして、そのニーズに合わせた商品・サービスをおすすめしやすくなります。また、顧客情報をリアルタイムで更新できるようになるため、情報の正確性が高くなります。情報の正確性が高くなると販売戦略が改善しやすくなり、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。ほかにも、別部署との情報連携がしやすくなるため、業務効率化にも貢献します。業務が効率化すると利益が増えるため、新しい事業の展開にも踏み出しやすくなります。
顧客管理システムを導入する前に、まずはこれらのメリットを理解するのが重要です。
顧客管理システムを導入すべきタイミング例
顧客管理システムは、明確な課題がないまま導入を進めても高い効果を実感できません。そのため、顧客管理システムを導入するのに適切なタイミングというものがあります。主に、以下のようなタイミングで顧客管理システムを導入するのが理想です。
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長期契約の顧客を管理したい場合
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「ご提案」が必要、または欲している顧客を管理したい場合
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顧客とのコミュニケーションに役立てたい場合
●長期契約の顧客を管理したい場合
長期契約の顧客を管理したいケースにおいて、顧客管理システムは高い効果を発揮します。例えば、保険商品のように顧客と長期的な契約を結んでいる業種、あるいはカーディーラーのように「次の買い替え時期」がそのまま商機に直結しているような業種では、過去の履歴を管理するだけでなく、将来のスケジューリングまで管理できるような顧客情報が必要です。
保険商品の場合は、顧客のライフステージの変化が保険見直しの商機となります。お子さんが生まれたという情報を入手したら、その時点で死亡保険額の見直しなどをご提案しますが、その6年後の小学校入学時、9年後の中学校入学時にあわせて学資保険をおすすめするなど、将来を見越してのスケジューリング機能が必要となるでしょう。
同様にカーディーラーの場合は新車の購入後、一定期後に訪れる車検のタイミングは絶好の商機となります。このような商機のタイミングを教えてくれるリマインダー機能だけでなく、当該タイミングの半年前、3ヶ月前、1ヶ月前に行うべき「カタログ郵送」「電話」「ご訪問」などのスケジューリングも自動的に行ってくれる顧客管理システムがあれば効率的な営業アプローチができるのではないでしょうか。
●「ご提案」が必要、または欲している顧客を管理したい場合
上記の保険商品を別の例に挙げれば、「現在の契約内容をどう変えれば保険料はどのように変更されるか?」「従来の契約にない特約はどのようにあるか?」など、顧客への「ご提案」をするためのヒントを、顧客情報と商品情報を照会することによって洗い出すこともできます。コンピューターの利点である、「記憶・整理・計算」をフル活用できる顧客管理システムが理想です。
●コミュニケーションに役立てたい場合
顧客管理システムはコミュニケーションに役立てたい場合にもおすすめできます。顧客によっては「将来こんな商品が出たら教えて欲しい」「2年後に退職を迎えるから、その頃に老後の生活を充実させるような保険商品への見直しをしたい」などと、担当者に口約束程度の要望を伝えていることもあるはずです。そうした情報も顧客情報システムに登録しておき、また同僚や別部署の社内関係者に情報を共有しておくことで、仮にその営業担当者が異動・退職した場合でもスムーズな顧客の引き継ぎができます。
「今度の新製品はあのお客様におすすめするべきでは?」「半年後に退職を迎えるあのお客様に、年金型の保険をおすすめしてみては?」といったアイディアが誰かからもたらされるかもしれません。また、それをお客様にご提案すれば「あの約束を覚えていてくれたのか」と喜ばれる可能性も高いでしょう。少なくとも訪問のチャンスを1回逃さずに済みます。
顧客の管理をする中で、新たなビジネスチャンスを見つけやすくなるのも、顧客管理システムの特徴といえるでしょう。上記のようなタイミングにおいては、顧客管理システムの導入や検討をおすすめします。
導入するならパッケージソフト?自社独自のシステム?
システムを導入する際には、大きく分けてパッケージソフトと独自開発の2つの方法があります。これら2つの導入方法の費用相場や特徴、メリットなどを以下の表にまとめました。
パッケージソフト | 自社独自のシステム | |
---|---|---|
相場費用 | <クラウド型> 初期費用:無料~5万円程度 月額料金:500~1,000円程度 <オンプレミス型> 初期費用:50万~215万円 |
100万円程度 |
特徴 | スタンダードな機能が備わっているソフトを購入する方法 | ゼロから自社専用のシステムを開発してもらう方法 |
メリット | ・すぐに導入しやすい | ・自社の業務に合ったシステムが導入できる |
・クラウド型だと安いコストで導入しやすい | ・システムの運用・管理までしてもらえる | |
・オンプレミス型だとカスタマイズもしやすい | ・機能のカスタマイズも可能 |
こちらの表をもとに、パッケージソフトと独自開発のそれぞれの詳細について解説していきます。
●パッケージソフトを購入する
端的にいえば、パッケージソフトとはスタンダードな機能を備えたシステムのことです。このパッケージソフトは大きく分けるとクラウド型とオンプレミス型の2種類に分けられます。クラウド型はクラウド上にあるシステムのことで、オンプレミス型は社内にサーバーやシステムを用意して自社で運用するシステムです。どちらのシステムにも、業種ごとに一般的に必要とされる機能が備わっている特徴が見られます。また、すでに形になっているシステムであるため、すぐに導入しやすいというメリットがあります。
それに加え、クラウド型だと月額課金制になっている分、初期費用を安く抑えることが可能です。オンプレミス型になると、ある程度機能のカスタマイズもしやすくなります。肝心の顧客管理システムの費用相場ですが、クラウド型なら初期費用5万円以内、月額料金1,000円以内が目安です。
このくらいの安さで導入できるなら、コストを抑えたい中小企業でも導入しやすいです。オンプレミス型だと、サーバーの設置などにコストがかかるため、100万円以上かかることも珍しくありません。コスト面を意識するならクラウド型、ある程度機能のカスタマイズ性をもたせるならオンプレミス型という選び方がおすすめです。
●自社独自のシステムを使う
自社独自のシステムは、その名の通り自社専用のシステムを開発することです。ゼロから作る分、自社の業務に合ったシステムを開発できる特徴があります。パッケージソフトだとある程度機能が決まっているため、慎重に選ばないと機能面でのミスマッチが発生しやすくなります。そうなると、システムにかけたコストが無駄になりがちです。しかし、自社開発のシステムだと確実に欲しい機能だけを搭載したシステムが導入できます。その分コストがかかってしまいますが、無駄なコストになってしまうリスクを抑えられるため、おすすめの方法です。ただし、ノープランでシステム開発をすると失敗のリスクが高くなります。後述するシステムの選び方を参考に、失敗しないシステム選びを意識してみましょう。
顧客管理システムの相場費用などについての詳細は以下のページで紹介しています。
▶ 顧客管理システム(CRM)の相場費用と導入における見積もりのポイント
また、自社独自のシステムを導入したいけど、構築するノウハウなどがないという方も多いでしょう。そういった方はシステム開発会社に外注するのがおすすめです。以下のページでは「発注ナビ」が取り扱っているシステム開発会社を紹介しています。
失敗しない顧客管理システムの選び方
失敗しない顧客管理システムを選ぶ際には、以下の項目を基準にするのがおすすめです。
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自社に合ったシステム導入方法か
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パソコンとスマホのどちらをメインに使うか
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操作性や使いやすさに優れているか
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導入時やその後の運用のサポートが充実しているか
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費用対効果に見合うコストで導入できるか
まずは、システム導入の方法や使うデバイスを決めていきましょう。それからシステムの操作性や使いやすさを意識してみてください。また、システム開発は導入したらそれで良いわけではありません。導入後もしっかりと使い続けていくために、導入や運用のサポートの充実感、費用対効果も気にしておきましょう。
●業務に必要な機能があるかも要チェック
システムを選ぶ際には、業務に必要な機能があるかどうかもチェックする必要があります。顧客管理システムだと、業種問わず以下の機能があると便利です。これらの機能があるかどうかもチェックして、システムを選んでください。
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顧客情報の一元管理
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メールマガジンの配信
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取引などの行動履歴の記録、管理
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名刺情報の記録、社内共有
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蓄積されたデータの分析、レポート
顧客管理システムを導入する時の注意点
顧客管理システムを導入する際は、以下の3点に注意してください。
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セキュリティ対策が必要
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現場の作業内容が変わる
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操作権限を設定しておく必要がある
●セキュリティ対策が必要
顧客情報は、企業にとって秘匿性の高い重要な情報です。もし漏洩することがあれば、企業の信頼失墜は避けられません。そうならないためにも、セキュリティ対策を入念に行うことが大事です。独自のシステムを導入するなら、セキュリティ対策も独自でできます。ただ、パッケージソフトはセキュリティソフトの中身も決まっているため、ソフトのセキュリティ性をよく確認しておきましょう。
●現場の作業内容が変わる
新しくシステムを導入すると、それに合わせて現場では新しい作業も発生します。そのため、うまくシステムを活用しないとかえって業務効率を悪化させる可能性もあります。現場の社員がシステムを少しでもうまく使えるように、研修を実施することが大切です。また、すでに導入されているシステムで業務がこなせる部分は、新しいシステムを導入すると同じ作業を繰り返してしまいます。そうならないように、既存のシステムと連携させられるシステムかどうかも意識してみてください。
●操作権限を設定しておく必要がある
新しいシステムの操作権限を一部の従業員に絞っておくことも大事です。誰でも顧客情報の参照や編集ができてしまうと、誤って情報が上書きされてしまうこともあります。顧客情報を多くの従業員が見られると業務が楽になりますが、編集権限まで許可するのはリスクが高いです。現場でシステムを導入する前に、操作権限を設定しておきましょう。
今のままでも大丈夫?従来の顧客管理方法のメリット・デメリット
ここで、紙とExcelで顧客管理する際のメリット・デメリットについて紹介します。顧客管理を紙やExcelで管理している企業は、参考にしつつシステムの導入を検討してください。
●紙での管理
紙での顧客管理のメリットとして、以下のものが挙げられます。
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誰でも低コストで使える
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形式や場所を選ばず使える
紙での顧客情報の管理なら、形や場所にとらわれず、誰でも自由に使えます。そのため、気軽に導入している企業も少なくありません。
一方で、紙での顧客管理のデメリットとして、以下のものが挙げられます。
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修正が面倒
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保管するのに場所を取る
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顧客情報の共有が難しい
紙媒体だと、パソコンのようなデジタル機器と違ってコピーペーストなどの操作ができません。すべて手書きのため、記入に手間がかかってしまいます。また、データのように形のないものとして管理できないため、保管場所が必要です。ほかにも、顧客情報を共有するのが難しく、顧客管理の業務が属人化してしまいがちです。
●Excelでの管理
Excelでの顧客管理のメリットとして、以下のものが挙げられます。
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追加費用がかからない
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教育コストを抑えやすい
Excelは、デフォルトでWindowsに搭載されているソフトです。そのため、わざわざソフトの導入がいらず、追加費用がかかりません。また、Excelは扱える人が多いため、教育にかかるコストも抑えやすい利点もあります。
一方で、Excelでの顧客管理のデメリットとして、以下のものが挙げられます。
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複数人での作業ができない
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スマホからの操作が不便
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データが増えるほど重くなる
Excelはクラウド型ではないため、複数人で操作してリアルタイムで共有することができません。また、スマホからの操作が不便で使いづらいです。そのため、外出先での操作には向いていません。ほかにも、データが増えるほど重たくなって処理しづらくなってしまいます。結論として、紙やExcelでも管理できますが、データが膨大になってくると物理的に管理が困難になってきます。そのため、顧客管理システムの導入がおすすめです。
しっかりと導入ポイントを把握して業務の効率化をはかろう
顧客管理システムは、これまで紙やExcelでしてきた顧客管理を効率良く行うためのシステムです。
紙やExcelでも管理できなくはないですが、データ量が増えると管理が行き届かなくなります。また、データの管理はできても、データの活用が難しいです。膨大なデータを管理・活用するために、顧客管理システムの導入を進めてください。顧客管理システムを導入する際には、パッケージソフトあるいは独自システムの導入の方法があります。それぞれにメリットやデメリットがあり、自社に合う形で導入しないと無駄なコストになってしまいます。今回ご紹介したシステムの選び方を参考に、きちんと課題を解消できるようなシステムを導入してみましょう。
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