AI利用が活発になり、ビジネスの分野においても重要なポイントとして扱われるようになったデータマイニング。しかし、聞いたことはあってもよくわからない、どう実行すれば良いかわからないという声は多く、データマイニングについて広く理解している方はまだ少ないようです。
ここでは、データマイニングの概要や重要性、メリットを解説しながら、データマイニングに用いられる分析方法をまとめました。データマイニングの手順や上手く進めるためのポイントもご紹介していますので、これを機にぜひ知識を深めてみてください。
目次
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データマイニングとは
データマイニングとは、大量にあるデータの中に眠っている、これまで見過ごされていた情報や有益な情報を掘り起こす作業のことです。マイニングは、日本語で「発掘」という意味を持ちます。
膨大なデータを「鉱山」に見立て、有益な情報という「鉱物」を発掘するイメージに例えるとわかりやすいでしょう。
●データマイニングの概要
蓄積された膨大なデータから有用な情報やパターンを見つけ出し、それを分析する技術がデータマイニングです。効果的な意思決定を目的に、統計学や機械学習、人工知能などによってデータの予測や分類、関係性を見つけていきます。
データマイニングの考え方は、今にはじまったことではありません。コンピューターを使ったデータ解析は1960年代からはじまり、1990年代にはデータマイニングという言葉がすでに使われていました。
近年、データマイニングが改めて注目されるようになった背景には、コンピューター機能の向上やクラウドサービスの発展、IoTや人工知能(AI)の発展が挙げられます。
これら技術の発展によって、多種多様なデータの取得や分析ができるようになりました。さらに、リアルタイムな大量分析ができるようになったため、あわせてデータマイニングが行われることも増えてきています。
●データマイニングの重要性
ネットワークの拡大やマシンパワーの増大により、企業や個人がビッグデータを収集・保持しやすい社会になりました。しかし、扱える情報が多くなったからといって、必ずしも便利になるわけではありません。情報の重要度や有益度には違いがあり、中には情報の「ノイズ」が含まれることもあるからです。
データ量の増加に対応するため
コンピューターやIoT、クラウドやAIなど、技術の進歩に伴い収集されるデータ量は増える一方です。このようなデジタルデータの急速な増加に対応するため、有用な情報を抽出する手段としてデータマイニングが必要になってきました。
情報の精度を高めて活用するため
収集した膨大な情報を上手く活用するためには、まずノイズを取り除かなくてはなりません。ノイズを取り除き、目的に応じた重要な情報を抽出できれば、精度の高い情報だけを効果的に活用できます。
意思決定を改善するため
データマイニングを行えば、確かな情報に基づいて迅速で正確な意思決定ができるようになります。企業や組織の意思決定を後押しし、戦略的な運営の強化を目的にデータマイニングが重視されています。
データマイニングのメリット
膨大なデータの中から価値ある情報を見つけられるデータマイニング。幅広い産業で活用されているのは、以下のようなメリットがあるからです。
●顧客満足度の向上
データマイニングをもとに商品・サービスを提供することで、顧客満足度の向上に役立ちます。
例えば、顧客がどんな商品を購入したかを分類すれば売れ筋の商品がわかりますし、いつ売れるか、どこで売れるかを分析すれば需要予測や適切なチャネルの選択が可能です。リピート率の高い顧客と利用が少ない顧客の特徴を比較すれば、より顧客のニーズに沿ったサービス展開や戦略を策定できるようになります。
●品質向上
例えば製造業の場合、故障が起きやすい箇所や条件などを把握することで不良の発生を予防。精度の高いデータをもとに商品やサービスを組み立てれば、品質向上にも役立ちます。製造プロセスにおいては、工程内の改善点や新たな手法の発見にもつながります。
●スムーズな意思決定
企業の経営・販売などの戦略を立てる際にもデータマイニングが重要な役割を果たします。需要予測から在庫計画、販売データから陳列のアイディア出しといったような戦略を事前に立てておくことが可能です。過去のデータから未来について予測し、経営や方針の意思決定がしやすくなるのもデータマイニングのメリットといえます。
データマイニングの方法
データマイニングを行う方法は複数あります。代表的な分析手法は「クラスター分析」「マーケット・バスケット分析」「ロジスティック回帰分析」です。また、AIなどの機械学習にもデータマイニングの手法が応用されています。
●クラスター分析
クラスター分析とは、データを類似性に基づいてグループ分けし、分類する統計的な手法です。似た特性を持つデータ同士を同じ「クラスター」に配置することで、基準がはっきりしていないデータを分類できるようになります。
●マーケット・バスケット分析
マーケット・バスケット分析とは、顧客が一緒に購入する商品のパターンを特定するために使用される手法です。一見関連性のないように見える別々の商品を同時に購入した顧客について分析することで、クロスセリングの機会を見つけるのに役立ちます。コンビニのPOSデータに多く用いられているほか、ECサイトのレコメンド機能などにも応用されています。
●ロジスティック回帰分析
特定の事象が発生する確率の分析を行いたい時に用いる分析方法です。例えば、見込み客による特定商品の購入を「事象」と設定して、商品の購入確率などを予測するといったことを行います。マーケティングだけでなく幅広い分野で応用されている分析で、医療分野では病気の発症原因の予測、気象分野では土砂災害の発生予測など、問題を事前に防ぎたい際にも役立てられています。
●機械学習との関連性
データマイニングは、AIの機械学習にもつながりがあります。機械学習は、大量のデータセットからパターンやルールを発見して識別するデータマイニングのプロセスが応用されています。データのどの要素が結果に影響しているかを導いて、判断や認識、予測などをしているのです。データマイニングが情報の抽出に注力しているのに対し、機械学習はその情報を基に学習し、具体的な問題解決や予測モデリングを行っています。
データマイニングの手順
データマイニングを上手く実行するには、目的を理解したうえで、データの収集から解析までステップを踏んで実践することが大切です。データマイニングがはじめての方や実施方法がわからない方は、以下の解説に沿って進めてみてください。
- ビジネスの理解
- データの理解
- データの準備
- データモデリング
- 評価
- 実装
1.ビジネスの理解
まず、プロジェクトの目標と範囲を定めます。データマイニングが解決すべきビジネス上の問題や課題を洗い出し、目標を達成するにはどのようなデータが必要か、どんな制約があるかを検討します。
2.データの理解
データマイニングの精度を高めるには、目的に応じた適切なデータ収集が必要です。社内のデータだけでなく、外部も含めてさまざまなデータソースから情報を集めます。データを収集したらデータの質や問題点を評価し、プロジェクトに不要な情報は取捨選択します。
3.データの準備
収集したデータをそのままデータマイニングに使うことはできません。分析に適したデータセットの作成が必要です。必要な数値とは関係のないノイズが含まれている場合は除去し、欠損値や外れ値などデータにばらつきがあれば修正します。データの修正とノイズ除去ができたら、適切なフォーマットに変換します。
4.データモデリング
正規化したデータを準備できたら、実際にデータモデルを構築してデータからパターンを抽出します。クラスター分析やロジスティック回帰分析など、さまざまな統計的手法や機械学習アルゴリズムを用いてデータの法則性を探し、分類して最適なモデルを選定します。
5.評価
モデリングが完了したら、効果を検証してビジネスの目標に合っているかを確認します。モデルの結果をビジネスの要件と照らし合わせ、期待される成果を満たしているかを評価することで、データマイニングが効果的に行われたかを確認できます。
6.実装
評価が完了したら、モデルを実際のビジネスプロセスに組み込みます。ビジネス運用に展開し、継続的な監視と必要に応じて調整や更新を行います。
データマイニングを実施する3つのポイント
データマイニングを上手く実施するためには、準備段階で必要なデータクレンジングやデータマイニングの工程を、いかに迅速かつ正確に行えるかが重要です。
●データクレンジングの重要性とその手段の提案
不備があるデータを分析に使うことはできないため、データのクレンジングが必須です。しかし、個々のデータを手作業で整えていくには大きな工数を要しますし、スキルを持った人材を確保するにもコストや時間がかかります。
そこで効果的なのが、データクレンジングの専用ソフトウェアの活用です。ソフトウェアを活用してデータクレンジングを行うことで、不正確な分析結果のリスクや人的ミスを減らし、計算処理の正確性が保たれます。
●データマイニングツールの選定とその活用
データマイニングツールを導入すると、正確な分析を効率的に行えます。数多くのデータマイニングツールがリリースされていますが、ここで大切なのが適切なツールの選定です。なぜデータマイニングを行うのか、データマイニングによってどのような知見やアイディアを得たいのか、目的や目標を明確にしたうえで選びましょう。クラスタリングや回帰分析など、さまざまな分析手法に対応しているか、目的に沿った機能があるかを確認するのも大切です。クラウドサービスのツールを使用する場合は、機密データを保護したまま安全にデータ解析ができるかもチェックしてください。
●データウェアハウスの整備の重要性
より多くのデータを蓄積するために、データウェアハウスの整備も重要です。データウェアハウスとはAIによる分析やデータマイニングができる形にデータを最適化して保管できるもので、集積した大量のデータを効率的に管理できます。データウェアハウスの多くには、外部からの攻撃を防御する仕組みやデータの暗号化など、セキュリティを強化する機能が備わっています。データマイニングを活用する際は、データウェアハウスもあわせて整備しましょう。
実際どのように活用されている?
ここからは、データマイニングがどのように活用されているか、代表的なシーンを業界別に紹介します。
1.金融業
金融業界では、顧客のニーズに合わせた金融商品の提供やローンの与信審査、クレジットカードの不正利用検出などにデータマイニングが利用されています。分析されたデータをもとに顧客サービスの向上やリスク管理につなげ、新たな契約の獲得やトラブルの防止を実現しています。
2.製造業
一見、問題なく稼働しているように見える設備や機械も、異常な音や動きを検出してそのデータを分析すれば、故障しやすい箇所や時期を予測できるようになります。このように、製造業では故障リスクの低減やメンテナンスの効率化にデータマイニングが活用されています。
3.医療業
医療分野では、診療データの分析を通じて病気の早期発見や診断の精度向上が図られています。データマイニングは治療方法の改善や新たな医療知見の発見にもつながるため、医学の進歩に役立つとして期待されています。
4.教育業
生徒1人ひとりの学習データを分析し、個々の学習ニーズに合わせた指導がデータマイニングによって可能になりました。さらに、生徒の成績を予測できるようになり、不得手な教科の対策も行えるようになっています。学習塾などの現場で教育の質の向上と生徒の成績改善が期待されています。
5.小売業
小売業では、販売データや顧客データを分析することで、在庫管理や売上予測、陳列の仕方などさまざまなマーケティング戦略がデータマイニングによって行われています。顧客の購買傾向や売れ筋商品の把握、需要予測に基づいた商品の仕入れや最適化された在庫計画によって、利益向上にもつながっています。
データマイニングは、大量のデータから新たな知識や戦略を取り出す技術で、すでに幅広い分野で活用されています。統計学や機械学習を用いる方法など取り入れ方はさまざまですが、専門ツールを使う方法もあります。
データマイニングツールを導入する際には、データマイニングを行う目的や課題、目標に合わせ、自社に適したシステムを選ぶようにしましょう。ビジネスに合わせてより確度の高いデータマイニングを実現したいなら、独自のシステムを開発するのも一つの手です。導入検討にあたり、データマイニングに関するシステム開発や導入のナレッジがあるベンダー・コンサルティング会社に相談してみるのはいかがでしょうか。
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