IT系の新規開拓営業は、事前準備を行わないと失敗する可能性が高くなります。営業分野全体では、従来存在した押し売りのような企業ファーストの手法は鳴りを潜め、代わりに顧客ファーストの営業が主流となっています。このため、IT営業でも顧客ファーストで課題を解決できる営業を掛ける必要があるでしょう。今回は、ITの新規開拓営業を成功させるポイントを解説していきます。
目次
新規案件開拓の課題は「発注ナビ」で解決システム開発に特化したビジネスマッチング
情報収集は効率的なIT営業の第一歩!まずは準備から始めよう
新規開拓営業を成功させるには、ホットな顧客を見極められるように、何よりもデータ収集が必要です。
●顧客のリストアップ
顧客のリストアップには、「ペルソナ設計(仮定のターゲットユーザーを設定すること)」が有効です。ペルソナに合った顧客を選定すれば作業が楽になります。顧客名や住所、解決したい課題、達成したい目標などを可視化してペルソナ化していきましょう。また、販売する商品・サービスや目的なども決めておきましょう。ペルソナと組み合わせることで、営業すべき顧客が絞り込みやすくなります。事業規模や売上高など、企業選定の参考になります。
●役員の名前をリストアップ
例えば、「販売管理サービスの売り込みであったら、販売部門の最高責任者の情報をリストアップする」といった収集が重要です。各部門の最高責任者はサービス導入の決裁権を持っている可能性が高いからです。提供したいサービスに関連した業務を行っている役員については、ひと通り情報収集の対象にしておくと安心できるでしょう。
BtoCと違い、BtoBの取引はサービス導入決定者と決裁決定者が違うケースがあります。どちらとも関係を強めることでスムーズな導入を促せます。最終的には決裁権を持っている方と良い関係が築ければ、今後の営業の手間が減るでしょう。
自分の強みはどこにある?他社との差別化を図るには
同じドメインで競合している事業者と差別化するには、次の点を意識してみましょう。
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IT営業の顧客層は中小企業が中心
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同業他社も多く、厳しい競争が繰り広げられている
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特定の分野に特化した営業することが大切
大企業に営業を掛けるケースもあるでしょうが、国内の多くは中小企業です。このため、中小企業の課題がどこにあるのか考えた営業が重要です。
とりわけITにおいては、人材が不足している、DXが中途半端といった課題が考えられます。また同業他社も多いので、「こういった視点はどの企業にもない」というのを分析して可視化しておく必要があります。陳腐化しないスキルは差別化の上で重要です。特定の分野に特化して営業すれば、その分野での実績と信頼性を獲得しやすくなります。複数分野での営業は負担が掛かりやすいので、自社に合った分野を選定してから営業を行いましょう。
「特定の分野に特化した営業」とは
IT営業においては、営業の型も考える必要があります。下記の3種類が代表的な型になります。
●コンサルティング型
クライアントの上層部と良い関係を保ちながら顧客の課題を詳しく理解・中長期の経営戦略に対してIT戦略を立案・提案する営業タイプです。独立してIT営業を行っている方のほとんどが、このタイプへ分類されます。顧客と二人三脚で施策を進めていくのがポイントです。
大企業のIT営業などは、細かいフォローにまで手が回らないケースも多くなっています。規模の小さいIT営業ではクライアントの成功イメージなどを理解しながら施策を進め、フォローもしっかり行うのが差別化の上で重要です。細かいフォローで信頼感を構築して、長期的に仕事を依頼してもらえる関係を作れるのが、コンサルティング型の魅力となっています。
●管理・サポート型
企業のITサービス保守・管理をサポートするのがこのタイプです。定期的に訪問を行い、IT機器やネットワーク環境をチェック、問題がある場合は解決を行います。わかりやすくいえば、保守・管理のアウトソーシングをしている企業と同じようなことを行います。
営業を掛ける側としては、営業担当者を頻繁に変更しないことが重要です。これは、変更するたびにサービスの導入経緯や契約内容、使い方などを顧客側が説明する必要が出てくるからです。ただし営業ツールで事前共有ができている場合は、担当が変更になっても顧客の説明負担は減ります。競合の営業担当が頻繁に変更している場合、担当を変えずに営業すれば、強い信頼関係という差別ポイントを作りやすいでしょう。
●専門型
の業種や業務にも当てはまるようなサービスを、「ホリゾンタル」と呼ぶことがあります。対して特定の業種や業務に特化したサービスを「バーティカル」と呼ぶケースもあります。近年は、ホリゾンタルサービスが重複しているような状況であり、代わりに特定のターゲットへバーティカルサービスを構築して提供するパターンが人気です。IT営業においても、自身の専門性を活かしたバーティカルな営業を心掛ける必要があります。
専門型のIT営業には、以下のような種類があります。
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業種専門型:業種に関するIT機器やソフトウェアの営業に特化する
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業務専門型:業務に関するIT機器やソフトウェアの営業に特化する
どちらにしても、顧客に対して競合となっている企業の強み・弱みを把握、自信の強みをよりアピールできる体制を作るのが重要です。実績や資格といった情報を提示できるようにしておくことも重要になってきます。ホリゾンタルな営業よりも見込み顧客が減る可能性はありますが、その分長いパートナー関係を結びやすいメリットがあります。
積極的に顧客と接点を持つ
IT営業では、積極的に顧客と接点を持つのも重要です。そこで次のような方法でタッチポイントを作ってみてください。
●異業種交流会といったイベントへ参加する
IT営業を行う場合、サービス導入の決定権を持つ人物と直接交流を持っておきたいところです。下の従業員から上の従業員をたどって営業するのと、直接上層部へ営業するのとでは、後者の方がスピーディに契約に至る確率も高くなります。異業種交流会には中小企業の社長がよく参加しているので、イベントをチェックして営業目的で足を運ぶのも面白いでしょう。
また、IT展示会を利用する方法もあります。自社のサービスをアピールしながらブースへ集まった関係者と商談の機会を持てます。商談をスムーズに進められる仕組みを設けている展示会もあるので、展示会同士の違いを比較してみてください。
●SNSでノウハウや営業情報発信を行う
SNSベースで仕事のマッチングを行うサービスが登場するなど、現代は情報発信力のあるSNSへの注目度がビジネスでも高まっています。公式アカウントを作ってアピールする、インフルエンサーとタイアップして評判を上げる、といった施策を行う会社も増えてきました。
SNSでいきなり営業情報を流すのはよくないですが、例えば「最初は自社に関する知識やノウハウを役立つように説明する」「ファンを増やして少しずつ営業に関する紹介を行う」といった段階的な施策は有効です。「アカウント自体で役立つ情報を紹介しているので、営業の相談を受けてみたい」と思わせられれば、契約に至る可能性も高くなります。気になった企業とは、DMといった方法で直接クローズなやり取りができるのもポイントです。SNSごとの雰囲気や機能の違いを比較して、適切なサービスで発信を行いましょう。
●Webサイトを開設する
Webサイトは、企業にとって必須といえるほど、開設している企業が増えました。コーポレートサイトやECサイトなど、企業が運営するWebサイトはさまざまですが、クオリティの高いサイトほど、高い信頼性をアピールしやすくなります。Webサイト作成の際は、デザインや内容だけでなく、読み込み速度は高速かといった点も確認しましょう。
WebサイトにSEO施策を行うことで、特定のキーワードで上位掲載が狙えます。長期的な施策にはなりますが、長期的なIT営業へ活用するためにもSEOを考えてみてください。またSNSといったほかのツールとの連携も効果的なので、相乗効果でインターネット上での営業力を高めてみましょう。
●既存顧客から新規顧客を紹介してもらう
既存顧客がいれば、そこから新規顧客の紹介が行われるケースがあります。既存顧客と強い関係性を持ちながら、長期間サービス提供ができる環境をまずは構築してみましょう。顧客の紹介は、新規顧客が既存顧客から評判を聞いているので、商談を進めやすいのもメリットです。
セキュリティアクションを高めることも重要!メリットや種類を解説
ここでは、IT営業にかかわるセキュリティのアピールができる、「セキュリティアクション」について解説していきます。
●セキュリティアクションの概要
IT営業において、顧客からの信頼を得るためには、「自社ではセキュリティを重要視して対策をしている」というのをアピールする必要があります。近年は、標的型攻撃(特定の個人や組織を狙って攻撃すること)が脅威となっていますが、ターゲットは対策が済んだ大企業から中小企業へと移っています。中小企業ではセキュリティ対策が甘いところも多く、自社のセキュリティが万全だと主張した上でセキュリティ上の課題を指摘できれば信頼性も上がるでしょう。
ただし、セキュリティ関連の認定制度を取得するためには費用や審査が発生します。そこでおすすめしたいのが、セキュリティアクションです。ここでいうセキュリティアクションとは、情報処理に関する脅威の啓もうする「IPA」が公表している取り組みを指します。認定制度ではないので「IPAから認定を受けました」とは公表できませんが、「IPAが発表しているセキュリティ基準に合格しています」といった表現は可能です。
セキュリティアクションのメリットは、まず審査が必要ない点です。IPAが発表している基準をクリアしていれば誰でも自己宣言が可能になっています。さらに、ロゴマークを使用できるのもメリットになっています。ロゴマークの活用によってセキュリティ対策へ取り組んでいることを前面へ押し出せます。可能であれば、プライバシーマークといった認定制度を取得したほうが安心ですが、初心者の場合はセキュリティアクションを活用してアピール力を高めてみてください。
●セキュリティアクションのタイプ
セキュリティアクションには、一つ星と二つ星という種類があります。一つ星の基準は、以下のような基本的な項目になっています。
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OSやソフトウェアは常に最新へ
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セキュリティソフトを導入
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パスワードの認証強化
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共有設定を見直す
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セキュリティ脅威や攻撃に関して知識を身に付ける
個人でも対策ができる内容であり、すぐに実行できる内容です。「情報セキュリティ5か条」というIPA公式の情報を参考に対策を行いましょう。
一つ星に対して、二つ星の基準は以下の通りです。
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中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインの付録「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」を行う
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情報セキュリティ基本方針を決めて外部へ公開
基本方針の策定が少々大変ですが、こちらも時間があれば誰でもできます。できれば二つ星もクリアして、セキュリティ対策が盤石であることをアピールするのが理想です。
営業ツールを導入して業務を効率化しよう
IT営業を効率的に行うためには、ツールの導入および利活用も必要になってきます。ここでいう営業ツールとは、「営業活動に関係する業務プロセスを効率化して営業力を強化するツール」の総称で、以下のようなメリットがあります。
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営業活動を効率化できる
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営業情報を共有化してナレッジとして使える
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属人化を防止できる
営業活動は売上に影響するので、非効率になるのはよくありません。システム導入で、無駄をなくしてみましょう。また、情報を共有してナレッジ活用できるので、新人研修といった場面でも活用できます。属人化を防止して誰でもIT営業をこなせるようになるのもポイントです。代表的なツールとしては、以下のようなものが挙げられます。
●CRM
CRMは、顧客データを管理するためのシステムを指します。名刺をベースにデータを構築するシステムなども存在しますが、あれもCRM系ツールの一種です。既存顧客のデータリスト化、セグメントに分けた適切なメール配信、アンケートの配信・顧客情報の抽出などをサポートしてくれるのが特徴です。既存顧客のデータが複数収集できているのであれば、CRMツールは大きな効果を発揮します。ホットな顧客を抽出して商談を行い、効率の良い営業へつなげやすくなります。
●SFA
営業に関して総合的なサポートを行うシステムがSFAです。先に挙げた、CRMの機能を統合しているシステムも数多く存在しています。
商談からクロージングまでの可視化、既存顧客データの把握、集計レポートなどの作成などを自動化してくれるツールです。営業を行う際は、営業のトーク構築などへ時間を割きたい方が多いでしょう。SFAによって、定型的な営業活動が自動化されて本来集中すべき業務へと時間を割きやすくなります。営業ツールはパッケージとして販売されてもいますが、会社独自の機能が欲しい場合は開発会社へオリジナルシステムを開発してもらうのもおすすめです。ニッチな機能へも柔軟に対応してくれる外注なら、予算を確保する必要はありますが確実に活用できるシステムを用意できるでしょう。
新規開拓営業はマッチングシステムの利用も検討しよう
今回は、ITの新規開拓営業を成功させるポイントを解説してきました。
最後に、新規開拓が成功する確率についても触れておきましょう。結論からいえば、IT営業で新規開拓が成功する確率は、数パーセント程度です。もちろん、顧客の経営状況や営業力などの要因によって、成否の確率は左右されます。ですが、契約に至るには何度も繰り返し営業をし続けるのが理想です。成功確率を上げるには、自社とマッチしたクライアントを効率良く探す必要があります。
顧客の新規開拓や新規の案件受注数の増加を目指すなら、マッチングサイトの活用がおすすめです。マッチングサイトを使えば、クライアントや取引先を効率的に探すことができます。自社が所有していないノウハウを確保できるほか、協業した企業のブランド力を活かせるのもポイントです。「システム開発会社」に特化したマッチングサイトなら、最適なビジネスパートナーを見つけることができ、受注者と発注者でWin-Winの関係を構築しやすくなります。案件の受注数を増やしたい、新しい顧客を見つけたいという企業様はマッチングサイトのご利用を検討してみてください。
受託案件の新規開拓を効率的に行う方法
システム開発・WEB制作案件の新規顧客開拓でこんな課題はありませんか?
「営業リソースが不足している。」
「新規開拓のノウハウがない…。」
「1次請け案件を獲得したい…。」
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開発・制作ニーズが顕在化している案件をご紹介することにより、
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