自社で開発環境やノウハウを持つ企業は少ないため、システム開発を依頼する際は、ITベンダーに依頼するのが一般的です。そして、ITベンダーにシステム開発などを依頼する際は、ベンダーが何なのかについて知っておくことが大切です。そこで今回は、ベンダーの意味やそれに関連する言葉との違いについて知りたい方に向けて、ベンダーの種類や、ITベンダーを選ぶ際のチェックポイントを解説していきます。
目次
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ベンダーとは
ベンダーは、販売会社や製品を提供する会社のことです。ベンダーという言葉はあらゆる業界で使われていて、IT業界でのベンダーの役割を担う会社のことをITベンダーといいます。一方で、システム開発などの分野も行う会社を開発ベンダーといいます。システム開発を依頼して、販売・提供まで行ってもらう際には、開発ベンダーに依頼する形となることを押さえておきましょう。
ITベンダーに関連する「サプライヤー」と「メーカー」
ITベンダーについて十分に知るためには、ITベンダーに関連する「サプライヤー」と「メーカー」というワードを知ることが重要です。
●サプライヤー
サプライヤーは、モノを供給する企業のことです。IT分野でたとえると、製造元が開発したシステムやアプリなどをベンダーに引き渡すのがサプライヤーの役割だといえます。そのため、サプライヤーが直接システム開発などをしてくれるわけではありません。
●メーカー
メーカーは製品を製造する企業のことです。システムやアプリなどを開発して、サプライヤーに引き渡すのがメーカーの役割です。ユーザーに製造物を渡すまでの一連のスタートがメーカーになるため、メーカーの納期が遅れてしまうと、すべての流れが遅れてしまいます。その点に注意しておくことが大事です。
ITベンダーの種類
ITベンダーは、大きく分けると以下の6つの種類が存在します。
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システムベンダー
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ハードウェアベンダー
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ソフトウェアベンダー
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シングルベンダー
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マルチベンダー
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システムインテグレーター
●システムベンダー
システムベンダーは、ユーザーが求めるシステムを販売する企業のことです。システム導入には、一からシステム開発をしてもらう方法とパッケージ化されたシステムを購入する方法の二通りの方法があります。システムベンダーは、後者の形でシステムを提供しています。多くの場合は月額課金制となっているため、ユーザーに継続的に安心して利用できるシステムを提供していく役割があります。
●ハードウェアベンダー
ハードウェアベンダーは、ハードウェアを販売する企業のことです。ここでいうハードウェアは、家電製品やパソコンなどといったIT製品そのものを指していて、一般消費者の立場として一番接することの多いITベンダーです。家電製品やパソコン以外にも、法人で使うサーバーなどの販売もハードウェアベンダーの役割の1つとなっています。システムを運用するためのパソコンはもちろん、設置するサーバーなどについては、ハードウェアベンダーから購入してください。
●ソフトウェアベンダー
ハードウェアに対して、ソフトウェアベンダーはソフトウェアを販売する企業のことです。ソフトウェアは、文書作成ソフトや会計ソフトなどのことを指していて、業務を効率良く進めていくのに必要なものとなっています。ハードウェアベンダーベンダーとは取り扱う製品の違いがあり、それ以外の面ではさほど大きな違いはありません。
●シングルベンダー
シングルベンダーは、扱う製品のメーカーが1ヶ所に固定化されている企業のことです。例えば、特定のメーカーの家電製品やパソコンの提供のみを行っている場合、ハードウェアベンダーであり、かつシングルベンダーでもあります。特定のメーカーのみしか対応していない分、製品同士の互換性があり、不具合が生じにくい特徴が見られています。
●マルチベンダー
マルチベンダーは、複数の企業の製品を取り扱う企業のことです。あらゆる製品を取り扱っているため、ユーザーとしては選べる製品の選択肢が増え、比較しながら自分に合ったものを探せます。ベンダー側としてもユーザーを囲い込みやすくてビジネス的に有利だといえます。ただ、製品同士の互換性がないのが弱点です。
●システムインテグレーター
システムインテグレーターは、システムの企画から保守までのすべての工程にかかわる業務を行う企業のことです。システムを開発した側ならともかく、そうでないユーザーだと運用の仕方や不具合が生じた際の対応の仕方がわからないこともしばしばです。システムインテグレーターは、システム導入後も安心してもらえるように、開発や販売だけでなく、運用・保守まで支援する役割を担っています。
ITベンダー以外のベンダー
ITベンダー以外にも、IT分野で必要となるベンダーがあります。それが以下の2つです。
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開発ベンダー
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セキュリティベンダー
●開発ベンダー
先ほども触れましたが、開発ベンダーは開発と販売の両方を扱うベンダーのことです。開発ベンダーもあらゆる業界で見られる形態の1つとされていますが、IT業界のベンダーは開発ベンダーであるケースが多いです。ちなみに、開発のみを扱う企業のことを開発会社といい、開発ベンダーとはまた別のものです。その違いを押さえて、システム開発の依頼先を間違えないように注意してください。
●セキュリティベンダー
セキュリティベンダーは、セキュリティ関連のソフトやサービスを開発・提供するベンダーのことです。例えば、トレンドマイクロやマカフィー、シマンテックなどの企業があげられます。IT技術の発展の裏では、セキュリティを突破する技術も進化してきています。ユーザーに安心してインターネットを楽しんでもらうためにも、セキュリティベンダーの存在は欠かせません。
ITベンダーを選ぶ時のチェックポイント
ITベンダーに依頼する際には、以下の点をチェックして依頼先を選ぶことが大事です。
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価格とスキル
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品質
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得意分野・技術力
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リソース
●価格とスキル
ITベンダーに依頼する際には、価格に見合ったスキルを依頼先の企業が持っているかどうかが大事です。システムなどの開発を依頼する際は、依頼先ごとに独自の基準と担当者の裁量で価格が決定します。しかし、提示された価格が安かったとしても、十分なスキルを持って開発に携わってくれるとは限りません。価格の安さは、依頼先を比較する上で必要な要素ではあります。ですが、ここで開発依頼をするものは、企業内の業務効率化や利益の獲得といった大きな役割を担うものです。金額の妥協はあまりせずに、無理のない範囲で高いスキルを持つところに依頼してより良いものを開発してもらうようにしましょう。
●品質
先ほどの内容にも似ていますが、成果物の品質も重要です。自社にフィットしているものであれば、高いスキルでより品質の高いものを開発してもらったほうが、導入後の効果は大きくなりやすいです。高い品質を確保するためには、自社が依頼したい内容の成果物と似たものを開発した経験があるかどうかをチェックすると良いでしょう。未経験で未知数のところに依頼するよりも安心して依頼できます。
●得意分野・技術力
自社が依頼する内容を満たすのに十分なスキルがあるかどうかも意識すると良いです。依頼先の持っているスキルに対して価格が見合っているとしても、そもそもそのスキルでは実現したい内容を形にできない可能性があります。なるべく自社で実現したいと考える機能は、どのようなスキルで形にすることが可能なのかを調べておきましょう。そして、必要とされるスキルを持っているところに依頼してみてください。
●リソース
システムなどの開発を依頼したい方の中には、なるべく早く完成させて導入したいと考えている方もいると思われます。そういった方は、作業人員やスケジュールなどのリソースを事前に確認したほうが良いです。自社の依頼に対応してくれる人員が少なくて、いつまで経っても完成に近づけないとなると、依頼先と衝突することになってしまいます。依頼するITベンダーに業務経歴書や人員計画書などを提出してもらって、作業に取りかかってくれる人員の数を確認してみてください。システムなどの導入が必要な日よりも前に、余裕を持って納品してもらえるところに依頼するのが望ましいです。
ITベンダーに仕事を依頼する前に準備しておくこと
ITベンダーに仕事を依頼する前に、依頼する側も以下のような準備をしておく必要があります。
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目的や課題を明確にし、依頼内容や予算を固める
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依頼候補の会社から見積書の作成を依頼する
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開発会社・ベンダーごとに得意分野、開発言語を調査・把握しておく
●目的や課題を明確にし、依頼内容や予算を固める
ITベンダーに仕事を依頼する前に、目的や課題、依頼内容、予算などをはっきりと決めておくことが大切です。なんとなくシステムなどの開発の依頼を持ちかけられても、依頼する側がどうしたいのかはっきりしていないとITベンダー側は対応に困ってしまいます。また、先ほど紹介した依頼先の選び方についてチェックするために、目的や課題、依頼内容、予算などを明確にする必要があります。無計画で始めるとそれだけ失敗しやすくなるため、必要最低限のことは自分たちで固めておきましょう。
具体的な中身が決めにくいという場合は、そのシステムを導入して「どういう効果を得られるようにしたいのか」だけでも決めておくと良いです。それから依頼先候補のITベンダーに相談しながら中身を固めてみてください。
●依頼候補の会社から見積書の作成を依頼する
依頼先を特定のITベンダーに絞って、いきなり依頼をするのは望ましくありません。まずは依頼候補をいくつかピックアップして、見積書の作成を依頼してから、見積書の内容を基に依頼先を決めていきましょう。
例えば、予算300万円としていて、必要な機能を持ったシステムをA社が250万円で受けてくれるとします。一方で、同じクオリティのシステムをB社が200万円で受けられるとすると、B社の存在を知らないままA社に依頼すると50万円の機会損失が発生します。見積書を作成して、比較するプロセスを踏んでいればコストカットできていた部分です。金額だけでなく、依頼先によって完成するシステムなどの仕様は異なってきます。さまざまな観点で比較するために、見積書の作成を依頼するのは重要です。
●開発会社・ベンダーごとに得意分野、開発言語を調査・把握しておく
システム開発などを依頼する候補をある程度絞るために、開発会社やベンダーごとに得意分野と開発言語を調べておきましょう。
よく調べないまま、畑違いの開発会社やベンダーに見積もりを出してもらっても、依頼が始まってから質の悪いものができあがる可能性が高いです。質の高いシステムなどを確保できるように、自社の扱う分野に強みを持つところに依頼するほうが良いです。また、再現したい内容によって適した開発言語が異なります。開発会社やベンダーごとに強みを持っている開発言語を調べて、自社の扱う分野と一致した開発言語に強みを持つところに依頼してみてください。
ベンダーマネジメントも重要
ベンダーマネジメントは、システム開発におけるプロジェクトに対して、必要となる開発者をまとめることです。簡単にまとめるとシステム開発側と依頼する側の間に立つ人のことで、依頼する側で用意するのが望ましいとされるポジションです。ベンダーマネジメントを設置することで、システム開発側に丸投げすることがなくなり、良好な関係を築きやすくなります。この関係を築くことがベンダーマネジメントの大きな役割です。ベンダーマネジメントの詳細は、以下のページで紹介しています。
ベンダーごとの特徴を見極めて依頼を
ベンダーはサプライヤーやメーカーなどと同じものに見られがちですが、その性質はまるで異なります。さらに、IT分野はサプライヤーの特徴とメーカーの特徴の両方を併せ持つベンダーが多い傾向にあります。システム開発などを依頼する際に、誤ったところに依頼することがないように、それぞれの役割を理解しておくことが大事です。
また、ITベンダーにシステム開発などを依頼する場合は丸投げせず、依頼内容や予算などを自分たちでしっかり固めておきましょう。その上で、依頼先を絞って見積書の作成を依頼し、希望に見合ったITベンダーに依頼を持ちかけてみてください。発注ナビでは、専門のコンシェルジュが丁寧に案件のヒアリングを行い、開発内容に最適な会社を紹介します。まずはお気軽にご相談ください。
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