JavaとJavaScriptの違いとは？用途や文法、動作環境の違いまで徹底解説！

プログラミング学習を始める際、「Java」と「JavaScript」という名前が似た2つの言語に戸惑った経験はありませんか？初心者の方にとっては、「何が違うの？」「使い分けはどうすればいい？」と疑問を持つことも多いかもしれません。

実際、JavaとJavaScriptは 全く異なるプログラミング言語であり、特徴と用途によって使い分ける必要がある点に注意が必要です。

本記事では、JavaとJavaScriptの基本的な知識や具体的な使い方、文法、動作環境の違いについて詳しく解説します。また、実際の開発現場でよく発生するトラブルや、どの言語を学ぶべきかの判断基準についても紹介しますので、参考にしてみてください。

 

目次

 

 

JavaとJavaScriptの基礎知識

「Java」と「JavaScript」は、どちらも有名なプログラミング言語です。名前こそ似ていますが、それぞれ異なった特徴を持ちます。

ここでは、JavaとJavaScriptの基礎知識と、なぜ似た名前が付けられているのかについて解説していきます。

• JavaとJavaScriptは全くの別物
• Javaのサーブレット・アプレットとは？
• JavaScriptは元々違う名前だった？

 

●JavaとJavaScriptは全くの別物

Java と JavaScript は名前こそ似ているものの、まったく異なるプログラミング言語です。これらの言語は、開発会社、目的、文法、利用分野において 大きな違いがあります。

Javaは、1996年にSun Microsystems社（現在はOracle社）が開発した言語であり、「Write Once, Run Anywhere（一度プログラムを書けば、どんなハードウェアでも動作する）」を目指して作られました。一方、JavaScriptは1995年にNetscape Communications社のブレンダン・アイク氏が開発した言語で、簡単に開発できる手軽さを求めて開発されています。

IT業界では、この両者の関係を「 メロンとメロンパン」のような違いと表現することがあるほど、全く異なる性質を持っている点に注意が必要です。

関連記事：Javaとは？世界中で利用されるプログラミング言語の人気の理由

 

●Javaのサーブレット・アプレットとは？

Javaの技術要素には、サーブレット（Servlet）とアプレット（Applet）というものがあります。

Javaサーブレットは、 Webサーバ上で動作するJavaプログラムのことです。クライアントからのHTTPリクエストを処理し、データベースと連携した動的なWebページを生成する役割を持ちます。サーブレットはサーバ側で実行されるため、クライアントの環境に依存せず、セキュリティの自由度が高いのが特徴です。

Javaアプレットは、1990年代に登場した ブラウザ上で動作する小規模なアプリケーションでした。主に、動的なWebコンテンツの作成に使われましたが、セキュリティに問題があるとされ、現在はほとんど使われなくなり、Java11において廃止となりました。現在では代替技術としてJavaScriptやHTML5が使われています。

関連記事：サーブレット(Java Servlet)とは？【概要を5分で把握】

 

●JavaScriptは元々違う名前だった？

JavaScript は開発当初「 LiveScript」と呼ばれていました。

しかし、「LiveScript」が登場した1995年当時は、Javaが大きく注目されていたため、その人気に便乗するため「JavaScript」という名前に変更されたのです。

この改名は純粋にマーケティングによる戦略であり、 技術的な関連性は全くありません。「JavaScript」の言語の内部構造や設計思想はJavaとは大きく異なっています。

 

JavaとJavaScriptの違い【用途・活用シーン編】

ここからは、JavaとJavaScriptの具体的な違いを「用途・活用シーン」の視点から詳しく解説します。

• Javaは大規模システムやアプリ開発におすすめ
• JavaScriptはWebサービスにおすすめ

 

●Javaは大規模システムやアプリ開発におすすめ

Javaは 大規模なシステム開発や企業向けアプリケーション開発におすすめです。金融機関や官公庁をはじめ、多くの企業の基幹システムなどで広く採用されています。

Javaは、オブジェクト指向の設計思想のため、コードを再利用しやすい仕組みを持っています。これにより、中～大規模なシステム開発でも、効率的に開発を進めることが可能です。また、セキュリティが高い言語であるため、金融機関や官公庁の大規模なシステムなど、高い信頼性が求められる開発でもJavaが用いられています。

さらに、Javaは保守的な案件のニーズも豊富です。多くの企業でJavaを活用したシステムが稼働しており、これらのシステムの保守・運用のためのプロジェクトも継続的に発生しています。しかし、Javaは開発に時間がかかるという特性があるため、小規模なWebアプリ開発には向いていないので注意が必要です。

Androidアプリ開発においても、Javaは重要な役割を果たしています。GoogleがAndroidの公式開発言語として採用していることから、スマートフォンアプリ開発の分野でもJavaのスキルは高く評価されています。

関連記事：
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WebアプリをJavaで開発する手順やポイントを解説！

 

●JavaScriptはWebサービスにおすすめ

JavaScriptは Webサービス開発において不可欠な存在となっています。最大の特徴は、Webブラウザ上で動作することであり、HTMLとCSSで構築されたWebサイトの動きを書き直すことが可能です。

現在の動くWebサイトの開発では、ほぼJavaScriptが使われています。

例えば、スマートフォンなどの表示領域が狭いデバイスでも、画像のスライド表示やお問合せフォームの入力チェック、ショッピングカートの機能などをJavaScriptで設計することで、快適なブラウジングを実現しています。

また、Webアプリケーション開発においても、JavaScriptは中心的な役割を担っており、React や Vue.js などのフレームワークを活用することで、開発を非常に効率的に進められるのが特徴です。

関連記事：
JavaScript開発でできることは？おすすめツールや勉強法を解説
WebアプリをJavaScriptで開発する流れや勉強方法を解説

 

JavaとJavaScriptの違い【文法・構文編】

JavaとJavaScriptの違いについて、「文法・構文」の視点から詳しく解説していきます。

• 型付けの違い
• 変数宣言・関数宣言の違い
• クラス・オブジェクト指向の違い

 

●型付けの違い

Java は 静的型付け言語で、JavaScript は 動的型付け言語という根本的な違いがあります。

Javaの「静的型付け」とは、変数のデータ型をコンパイル時（実行プログラム前）に決定する方法です。Javaでは、変数を宣言する際に、型をわかりやすく指定する必要があります。

また、コンパイル時に整合性チェックが行われるため、エラーを早期発見できるというのも大きなメリットです。

JavaScript の「動的型付け」とは、変数の型を実行時に決定する方法です。型を指定せずに変数を宣言でき、変数には後から異なる型のデータを入力することも可能となっています。整合性チェックは実行時に行われるため、エラーの発見がJavaよりも遅くなってしまう可能性があることに注意が必要です。

 

●変数宣言・関数宣言の違い

Javaでは変数を宣言するとき、例えば整数ならint、文字列ならStringなど、どの型のデータを扱うのかをプログラムの記述時点で明確に書く必要があります。関数を定義する場合も、どの型の値を返すのか（戻り値の型）や、受け取り数の型をすべて宣言する必要があります。

一方、JavaScriptでは変数を宣言する際に型を記述せず、letやconst、あるいはvarだけで値を定義できるため、同じ変数名に異なる種類のデータ（例えば数字や文字列）を代入することも可能です。関数宣言でも引数や戻り値の型を書く必要はないため、 開発を比較的早く進められます。

Javaでは、コンパイル時にエラーチェックも行うため 安全性に優れていますが、開発に時間がかかることがあります。しかし、JavaScriptは、開発の自由度や手軽さのメリットがある半面、想定外の動作やバグにつながる場合もあるため注意が必要です。

 

●クラス・オブジェクト指向の違い

JavaとJavaScriptにおけるクラス・オブジェクト指向の違いは、設計思想と実装方式において根本的に異なります。

Javaはクラスベースのオブジェクト指向を採用しており、オブジェクトを作成する前に必ずクラスという設計図を定義することが必要になります。このクラスでは、プロパティ（変数）やメソッド（関数）をあらかじめ決めて、そのクラスから実際のオブジェクト（インスタンス）の生成が必要です。

一方、JavaScriptはプロトタイプベースのオブジェクト指向を基盤としており、クラスがなくても、オブジェクトを直接作成することができます。既存のオブジェクトをプロトタイプ（原型）として新しいオブジェクトを作ったり、オブジェクトのプロパティやメソッドを実行時に動的に追加・変更することが可能です。

Javaでは事前の設計が重要で、 堅牢なシステムを構築しやすく、JavaScriptでは 迅速で柔軟な開発が可能になるという特徴があります。

 

JavaとJavaScriptの違い【実行環境・動作編】

JavaとJavaScriptの違いについて、「実行環境・動作」の視点から詳しく解説していきます。

• Javaは仮想マシン（JVM）上で動作
• JavaScriptはWebブラウザ上で動作

 

●Javaは仮想マシン（JVM）上で動作

Javaは、 Java仮想マシン（Java Virtual Machine：JVM）上で動作します。JVMは、Javaのプログラムを実行するために必要なソフトウェアです。

Javaのプログラムは、まずJavaコンパイラによって「バイトコード」という中間コードに変換されます。このバイトコードはそのまま実行することはできませんが、JVM がこのバイトコードを読み取り、各プラットフォーム（Windows、macOS、Linux など）に適した機械語に翻訳が可能です。

この仕組みの最大のメリットは、「Write Once, Run Anywhere」（一度書けばどこでも動く）特性にあります。同じJavaプログラムから生成されたバイトコードであれば、JVMがOSに合わせて適切な機械語を出力するため、プログラムを 各OS用に書き換える必要がありません。

例えば、従来のC言語やC++で書かれたプログラムは、WindowsとLinuxで動かすためには、それぞれ専用のコンパイルが必要でした。 ただし、Javaの場合は、WindowsにはWindows用のJVM、LinuxにはLinux用のJVMがインストールされていれば、同じプログラムがどのOSでも通常に機能するというメリットがあります。

 

●JavaScriptはWebブラウザ上で動作

JavaScriptは、Webブラウザ上で動作することを前提として設計されたプログラミング言語です。そのため、特別な開発環境を構築する必要がなく、ブラウザとテキストエディタがあれば開発できます。

JavaScriptの実行プロセスは比較的シンプルです。HTML ファイル内にJavaScriptのコードを認識させるか、外部の JavaScriptファイルを読み取ることで、ブラウザがそのコードを解釈・実行します。これはインタープリタ型言語の特徴となっており、別途コンパイルを行う必要がなく、コードを 1行ずつ翻訳しながら実行可能です。

JavaScriptを、ブラウザの外でも動作するようにするために「Node.js」という環境も登場しました。これは、GoogleのV8 JavaScriptエンジンを基盤にして開発実行された環境で、サーバサイドでもJavaScriptを使用できるようになり、フロントエンドとバックエンドの両方で使えるようになったことで、 開発効率の向上が期待されています。

 

JavaとJavaScriptの違いについてよくあるトラブル3選

実際にJavaとJavaScriptの違いによって起こる可能性のあるトラブルを3つまとめました。解決方法についても詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 要件のズレ
2. ベンダーロックイン
3. コストの増加

 

●1.要件のズレ

プログラミング初心者や発注者によくあるトラブルの1つが、JavaとJavaScriptの混合による 要件のズレです。このトラブルは、名前の類似性から両言語を同じものとして開発を行うことで発生します。

例えば、「Webサイトに動きを付けたいのでJavaでお願いします」という依頼を受けた場合、実際に必要なのはJavaScriptであることが多いのにも関わらず、発注者がJavaと混同してしまい、誤った指定してしまうケースがあります。

開発が始まると、エンジニアは要件定義に従って作業を行うため、最初の段階での認識のズレは後々大きな問題となる可能性が高まるため注意が必要です。要件定義や基本設計など、上流工程での作業不備が発生すると、工期の遅れや開発コストの増大、運用後のシステムトラブルなどが起こることもあります。

特に発注者側と開発側の認識にズレがあると、開発途中で仕様変更や手戻りが頻繁に発生し、コスト増加や納期遅延を招いてしまいます。要件のズレによるトラブルを防ぐためにも、プロジェクト開始前に十分な要件確認を行うことが重要です。

 

●2.ベンダーロックイン

ベンダーロックインのトラブルは、Javaや周辺技術による大規模システム構築でもよく問題になります。例えば、Javaで開発されたシステムでは、特定のフレームワークやライブラリに強く依存している場合があります。 その結果、システムの保守・運用を他のベンダーに移管することが困難となり、 開発・保守運用の費用が高額になりがちです。

ベンダーロックインの状態では、保守・管理などの価格交渉力が低下しやすく、ランニングコストや改修コストがベンダーの言い値になってしまったり、追加開発やサポート費用も高額になりやすかったりするのが現実です。

ベンダーロックインに陥った場合、完全な解決は難しいものの、設計図の整備やデータの標準化、段階的な個別計画などが現実的な対応策とされており、独自技術への依存を最低限に押さえることが推奨されています。

 

●3.コストの増加

JavaとJavaScriptの特性を理解せずに言語選択を行うと、 予想以上のコスト増加が発生する可能性があります。

Javaは大規模開発に適していますが、小規模なプロジェクトには向いていません。逆に、大規模なエンタープライズシステムでJavaScriptのみを使用しようとすると、保守性などの面で問題が発生することもあるため注意しましょう。

開発途中で仕様変更や手戻りが頻繁に発生してしまうと、コスト増加や納期遅延を招きます。特にシステム開発の費用は、人件費が大きな割合を占めるため、適切な言語選択はもちろん、要件や将来の拡張性などを十分に検討してから開発に取り掛かることが大切です。開発効率を向上し、長期的なコスト削減につなげていきましょう。

 

JavaとJavaScriptどちらを学ぶべき？選び方のポイント3選

「Java」と「JavaScript」の違いやよくあるトラブルについて解説してきましたが、どちらを学ぶべきなのか判断に迷う方もいるのではないでしょうか。ここでは、どちらの言語を学ぶのか迷った場合の、選び方のポイントを3つ紹介します。

自身にあった言語選びの参考にしてみてください。

1. 目指すキャリア・開発分野で選ぶ
2. 学習難易度・習得コストで選ぶ
3. 将来性・需要・年収で選ぶ
4. 両方学ぶ選択肢もある

 

●1.目指すキャリア・開発分野で選ぶ

プログラミング言語の選択に関して最も重要な要素は、自分が目指す キャリアパスと開発分野です。

企業の基幹システム開発に取り組みたい方や、金融機関や官公庁のシステムに関わりたい方、Androidアプリ開発を目指す方は「Java」を学んでいくのがおすすめです。また、大規模なWebアプリケーションの開発に興味がある方も、Javaから取り組むと良いでしょう。

Webサイト制作・Web開発に興味がある方や、クリエイティブな表現を重視したい方は「JavaScript」がおすすめです。

 

●2.学習難易度・習得コストで選ぶ

Javaはプログラミング言語として「難しい」と表現されることが多くあります。その理由としては、オブジェクト指向や型の概念などをしっかりと理解し、記述に関するルールや環境構築まで習得する必要があるためです。特にIT初心者では、 学習期間が長期になりやすいため、必然的に習得までのコストが増えてしまう可能性も考慮しましょう。

JavaScriptは他のプログラミング言語と比較して、 学習難易度は低いとされています。その理由としては、構文がシンプルでわかりやすい、環境構築のコストがかからない（ブラウザとテキストエディタがあれば開始可能）、資料や情報源が豊富などがあります。しかし、JavaScriptの実践レベルとしては、設計の自由度が高いため、設計力やデザインの理解を深める必要があるでしょう。

 

●3.将来性・需要・年収で選ぶ

Javaは、世界中で 最も使用されているプログラミング言語の1つであり、現在でも保守的なプロジェクトのニーズが継続的に発生しているため、将来的にも安定しています。システムエンジニア（SE）として活動するのはもちろんですが、Javaスペシャリスト（テックリード・アーキテクト）としての専門性指標もあるのが特徴です。正社員として安定した就労を目指す方は、Javaが向いているという意見もあるため参考にしてみてください。

JavaScriptは現在の求人数が非常に多く、ニーズが高いのが特徴です。UI・UXの向上が重要視される中で、JavaScriptによる開発ができるエンジニアは複数社で取り合いになっている状況となっています。正社員としての就労はもちろんですが、現在はフリーランスとして活動する方も多くなっており、ライフワークバランスの向上を図りたい方には、JavaScriptがおすすめです。

年収に関しては、どちらも正社員で600万円程度ですが、 Javaの方が比較的高収入の求人が多くなっています。

 

●両方学ぶ選択肢もある

現代のWebアプリケーション開発では、 両方の言語を扱えることが大きなアドバンテージとなります。初心者はJavaScriptから開始し、基礎を固めた後にJavaに挑戦すると、スムーズに学習が進められるためおすすめです。

両方学ぶメリットとしては、フロントエンドからバックエンドまで対応可能なことや、キャリアの選択肢が大きく広がることなどがあります。

最終的には、自身の興味と目標に最も合う言語から始めることがおすすめです。プログラミング言語の習得は、長期間に渡ることが多いため、モチベーションを維持しながら段階的に取り組んでいきましょう。

 

JavaとJavaScriptの違いを理解し、自分にあった言語を選ぼう！

JavaとJavaScriptは名前が似ていますが、開発目的、文法、動作環境が全く異なる言語です。Javaは 堅牢性と安定性を重視し、大規模システムや企業の基幹システム、Androidアプリ開発などで広く利用されています。コンパイルが必要な静的型付け言語で、JVM上で動作し「一度書けばどこでも動く」という特徴があります。

一方、JavaScriptはWebブラウザでの動作を前提とし、Webサイトの動的な機能やWebアプリケーション開発に不可欠です。 柔軟な動的型付け言語で、ブラウザがあればすぐに開発を始められる手軽さが魅力です。

どちらを選ぶかは、目指すキャリアや学習難易度、将来性などを考慮しましょう。両方を学ぶことで、開発の幅が広がり、キャリアアップにもつながります。自身の興味と目標に合わせ、 最適な言語を選択していきましょう。

 

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