システム開発やソフトウェア開発において、エンジニアの開発作業を支えるフレームワークが数多く存在します。Javaの開発環境に最適な「Spring Framework」や、Pythonにおける「Flask」など、その数はプログラミング言語の数だけ無数に存在するといっても過言ではありません。
「Laravel(ララベル)」は、数多いフレームワークの中でも、PHPの開発環境で使用できる代表的なフレームワークです。Laravelという言葉を耳にしたことはあるけれど、どのような用途で使うのかなどといった詳細についてわからないという方へ向けて、本記事ではLaravelの基本情報や特徴、メリットなどについて詳しく解説します。
開発を検討している企業担当者の方は、当コンテンツをぜひご参照ください。
目次
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Laravelが使えるPHPとはどんなプログラミング言語?
Laravelについてご紹介する前に、プログラミング言語の1つであるPHPについて簡単に解説しておきましょう。PHPは、数ある言語の中でもWeb開発に特化しているのが特徴です。テキストベースで簡単に開発が可能という特性から、IT初心者の方でも扱いやすい言語として人気を博しています。
特にPHPは、「動的なWebページ(アクセスした状況によって異なる情報が表示されるページ)」の作成に最適で、ECサイトやSNSなどの設計に用いられるケースも少なくありません。このほかPHPの特徴については、以下のページをご参照ください。PHPの基本情報やメリットなどを詳しく解説しています。
プログラミングにおけるフレームワークとは
プログラミングにおけるフレームワークとは、「Webアプリケーションやシステム開発を行う際に必要となる機能や、基本的な骨組みをまとめたもの」のことを指します。共通する処理部分のプログラムを自動的に作成できるため、システムに必要な固有処理を追記するのみでアプリケーションやシステムの構築が可能になります。そのため、フレームワークを使うことによって、ゼロから開発に必要な機能を用意する必要がなくなり、作業の効率化につながります。フレームワークに類似しているものとして「ライブラリ」が挙げられますが、ライブラリはシステム内で頻繁に使用する特定の機能を集めたものを指します。
●「Laravel」とはどんなフレームワーク?
「Laravel」は、PHPのフレームワークとして高い知名度を誇っています。2011年にリリースされた比較的新しいフレームワークながら、PHPにおけるフレームワークの中では、世界的に普及しています。主に「Webアプリケーション」の作成に用いられるフレームワークですが、開発できるシステムやアプリの幅は広く、PHPを扱うシステム会社が開発業務にLaravelを用いるケースも少なくありません。PHPを用いて企業のショッピングサイトや予約サイトなどを設計開発する際に、重宝するフレームワークといえます。このLaravelは、Symphony(シンフォニー)と呼ばれる別のフレームワークを踏襲する形で設計開発された、という経緯があります。基となったSymphonyは「大規模な開発に向いている」特徴を有していましたが、進化系とも言えるLaravelにもその特徴は色濃く受け継がれています。
主に「Webアプリケーション」の作成に用いられるフレームワークですが、開発できるシステムやアプリの幅は広く、PHPを扱うシステム会社が開発業務にLaravelを用いるケースも少なくありません。PHPを用いて企業のショッピングサイトや予約サイトなどを設計開発する際に、重宝するフレームワークといえます。このLaravelは、Symphony(シンフォニー)と呼ばれる別のフレームワークを踏襲する形で設計開発された、という経緯があります。基となったSymphonyは「大規模な開発に向いている」特徴を有していましたが、進化系とも言えるLaravelにもその特徴は色濃く受け継がれています。
Laravelを使うと何ができるの?
Laravelを使って、具体的にできることは主に以下の7点が挙げられます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
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業務システム
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企業が運営するショッピングサイト
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交通機関や宿泊施設の予約サイト
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掲示板や口コミサイト
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SNSサービス
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ブログサービス
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チャットアプリ
●業務システム
Laravelを用いて、企業が利用する業務システムの開発を行えます。
代表的なものとして、従業員の勤怠を管理する業務システムが挙げられますが、ほかにも以下の業務システムの開発が可能です。
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在庫管理システム
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商品管理システム
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顧客管理システム
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営業支援システム
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会計管理システム
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給与計算システム
上記のような業務システムは、販売や営業、人事、経理など幅広い分野で業務効率の改善を図れます。
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ブランドサイト
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コーポレートサイト
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サービスサイト
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プロモーションサイト
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ランディングページ
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リクルートサイト
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オウンドメディア
Laravelを使うことによって、ゼロからPHPで構築する必要がなくなるため、Webサイトの制作も効率良く行えます。
●交通機関や宿泊施設の予約サイト
Laravelは、Webブラウザで動くシステムであればほとんどのものを作成できるフレームワークです。そのため、Webサイトよりも多くの機能が必要な交通機関や宿泊施設の予約サイトのようなWebアプリケーションも作成できます。例えば、グルメサイトの「ぐるなび」はLaravelで作られています。また、予約サイトだけでなく、マッチングサイトのようなWebアプリケーションも作成できます。
●掲示板や口コミサイト
多くの方がリアルタイムでアクセスして書き込みを行う掲示板や、ユーザーが口コミを書き込むことで商品やサービスの評価を確認できる口コミサイトもLaravelによって作成できます。
掲示板や口コミサイトを作成するためには、名前やコメントの入力、掲示板表示、蓄積されたデータを集計してわかりやすく表示することなどが必要となるため、文字数チェックや同時書き込み処理、セキュリティ対策などが求められます。
上記の機能を実装する場合は、HTML/CSS・PHP・JavaScriptが必要となりますが、Laravelを用いることによって容易に行えます。
●SNSサービス
Laravelは、X(旧Twitter)、InstagramなどのようなSNSサービスの開発を行うこともできます。SNSサービスを開発するために必要な主な機能としては、以下の5つが挙げられます。
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アカウント作成
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ログイン・ログアウト
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テキストや画像の投稿
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お気に入り機能
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登録機能
SNSサービスの開発に用いられるプログラミング言語としては、PythonやRuby、Scalaなど挙げられますが、フレームワークとしては、LaravelやRuby on Rails、Djangoなどが用いられるケースが多いです。
●ブログサービス
ブログサービスの構築には、主に以下のような機能が必要です。
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アカウント作成
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ログイン・ログアウト
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記事の投稿機能
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記事の編集機能
Laravelを用いることで、ブログサービスの作成に必要な機能を容易に実装できます。
●チャットアプリ
インターネットを通じてリアルタイムでテキスト会話できるチャットアプリも、Laravelで開発できます。
チャットアプリを構築するためには、主に以下のような機能や画面が必要です。
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ユーザー登録画面
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ユーザー登録
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チャット画面
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メッセージの登録
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メッセージのイベント発行機能
Laravelを用いてチャットアプリを作成する場合は、「Pusher」というサービスを使用してリアルタイム通信機能を実装するケースが多いです。
Laravelの特徴やメリット
Laravelを用いることで得られる具体的なメリットとして、以下の8つが挙げられます。
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分業開発がしやすい
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コードがわかりやすく学習コストが低い
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プログラムの拡張性が高い
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将来性が高い
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人気のフレームワークであるため情報が豊富
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MVCモデルを採用している
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コマンドで簡単に設定や更新を行える
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コンポーザーで管理できるためライブラリの利便性も高まる
●分業開発がしやすい
Laravelは、MVCというアーキテクチャを採用しているフレームワークです。
MVCは、データベースとの連携を担うModel(モデル)、ブラウザへの表示を司るView(ビュー)、指令や指示を司るController(コントローラ)の3つで構成されている特徴があります。LaravelのMVCには、通常のMVCに加えてコントローラを制御する「ルーティング」という概念が加わりますが、上図では省略しています。
●コードがわかりやすく学習コストが低い
Laravelは、クセの少ないシンプルなコードで記述できるため、「コーディングのしやすさ」や「学習のしやすさ」に定評があります。Laravelを構成するPHP自体が「初心者に最適な言語」という理由もありますが、Laravelにはさらに「開発の効率化を推し進める多くの機能」が搭載されています。例えば、入力値のチェック(バリデーション)を自動化、データ操作を簡易化するMigration(マイグレーション)など、その種類は様々です。また、Laravelは簡単なコードであれば自動で作成してくれるため、システムやアプリの開発の効率化にもつながります。「開発期間を短縮しやすい」というメリットを有することから、開発業務にLaravelを愛用するエンジニアも珍しくありません。
●プログラムの拡張性が高い
Pythonにおける「Django」のように、コードやフォームの入力を自動で行ってくれるフレームワークは、Laravel以外にもあります。この入力を自動で行ってくれるフレームワークは、開発効率に優れる一方で、「作成したコードをカスタマイズしにくい」ということも起こり得ます。しかし、コードがわかりやすい特徴を持つLaravelは、自動生成したコードのカスタマイズも容易に行えます。アジャイル型開発のように、細かい改修を行うことが前提の開発においても、Laravelは力を発揮しやすいフレームワークです。
●将来性が高い
その人気の高さから、Laravelは令和の現代においても細かいアップデートやプラグインの開発などが行われています。開発をサポートする機能が年々追加されている点を鑑みても、Laravelは将来性の高いフレームワークといえます。PHPのフレームワークの中でも、Laravelが世界的に人気なのは、前項で挙げた優れたメリットによるものといっても過言ではありません。
●人気のフレームワークであるため情報が豊富
前述のとおり、Laravelは世界的に人気が高いフレームワークであるため、情報が豊富な点もメリットとして挙げられます。システムやWebアプリケーションの開発の際にマイナーなフレームワークを用いると、不明点が生じた際に調べても情報が出てこない、ということが起こり得ます。Laravelは利用しているエンジニアが多いため、インターネットで検索することによって不明点を解決するために必要な情報を比較的容易に発見できます。インターネットで多くの情報を集められるだけでなく、多くの書籍も出版されていたり、学習コンテンツも豊富だったりするため、初心者の方でも学習しやすいという点もメリットの1つです。
●MVCモデルを採用している
前項でも触れましたが、LaravelはMVCモデルを採用しています。MVCモデルは、Model、View、Controllerの3つの要素に分かれており、この要素ごとに開発を行えます。コードが役割ごとに独立しているため、例えばViewでバグが発生した場合でもControllerやModelに影響はなく、全体に及ぼす影響範囲を少なくすることが可能です。また、迅速に原因を特定できるため、保守性が向上します。開発工程を分業で対応できることもあり、開発の速度とクオリティも向上するといったメリットも得られます。
●コマンドで簡単に設定や更新を行える
Laravelには、「Artisan」というコマンドラインインターフェース(コマンド)が搭載されています。そもそもコマンドとは、コンピュータに指示を出すことを指します。コマンドを実行することによって、モデルやコントローラの作成やサーバの起動など、設定や更新を容易に行えます。手間がかかる作業をコマンドで簡単に実行できるため、作業の効率化につながります。作業の効率化はシステムやWebアプリケーションの開発において重要な要素の1つです。Laravelのコマンドを使うことで作業効率を向上できる点は大きなメリットだといえます。
●コンポーザーで管理できるためライブラリの利便性も高まる
Laravelは、コンポーザーというPHPの依存関係を管理するツールを使用しています。ライブラリの依存関係を管理できるため、必要なライブラリを簡単に自動でインストールできます。このように、ライブラリの利便性も高まる点がメリットです。
Laravelにもデメリットはある?
Laravelを活用することによって数多くのメリットが得られる一方で、デメリットも生じるため、導入や開発の際には注意が必要です。Laravelを用いることで生じるデメリットとして、以下の2つが挙げられます。
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処理速度に劣る面もある
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コードが煩雑になりやすい
●処理速度に劣る面もある
Laravelは情報量が多く豊富な機能を搭載していることから、処理速度に劣る面があることがまずデメリットとして挙げられます。特に速度を重視するシステム開発においては、Laravel以外のシンプルなフレームワークを検討しましょう。Laravelの採用前に性能や適合性の確認を十分に行い、処理能力を確認するのがおすすめです。
●コードが煩雑になりやすい
Laravelのメリットとして自由度が高いという点が挙げられますが、自由度の高さゆえにコードが煩雑化しやすい点もデメリットになります。分業した場合にエンジニアが各自の裁量で自由にコードを記述してしまうと、どうしても複雑・煩雑化しやすい傾向にあります。複雑なコードはバグの原因になりやすいため、注意が必要です。分業でシステム開発を進める場合は、あらかじめコーディングルールを設けるなどの対策をしましょう。
上記で挙げたデメリットは、将来的なアップデートに伴い解消される可能性もありますが、すべての開発案件で「オールマイティに使用できるわけではない」という点について留意しましょう。
●コードが煩雑になりやすい
Laravelのメリットとして自由度が高いという点が挙げられますが、自由度の高さゆえにコードが煩雑化しやすい点もデメリットになります。分業した場合にエンジニアが各自の裁量で自由にコードを記述してしまうと、どうしても複雑・煩雑化しやすい傾向にあります。複雑なコードはバグの原因になりやすいため、注意が必要です。分業でシステム開発を進める場合は、あらかじめコーディングルールを設けるなどの対策をしましょう。
上記で挙げたデメリットは、将来的なアップデートに伴い解消される可能性もありますが、すべての開発案件で「オールマイティに使用できるわけではない」という点について留意しましょう。
LaravelとCakePHPは何が違う?
Laravel以外のPHPの代表的なフレームワークとして、「CakePHP」が挙げられます。CakePHPは、Laravelと同じくMVCモデルを採用しているコードです。CakePHPはオープンライセンスで、MITライセンスとして提供されており、ソースコードを自由にカスタマイズして利用できます。LaravelとCakePHPの具体的な違いは、以下の表のとおりです。
Laravel | CakePHP | |
---|---|---|
難易度 | IT初心者でもコードを記述しやすい | |
処理速度 | CakePHPよりもやや遅い | Laravelよりもやや速い |
コードの書き方 | 自由な形で記述しやすい | 一貫性を持たせやすい |
運用の柔軟性 | 高い | 低い |
LaravelとCakePHPの大きな違いとして、コードの書き方が挙げられます。Laravelは自由度の高いコードを書きやすいという特徴がある一方で、CakePHPは一貫性を持たせやすい特徴があるため、大きく異なります。カスタマイズ性においては、CakePHPは柔軟性のあるコードを書きにくいため、Laravelよりも劣るといえます。また、CakePHPは、コミュニティが活発なことも特徴の1つです。不具合やコードの記述の際に問題が生じた場合でも、コミュニティを通じることによって問題を解決しやすい点もメリットだといえます。
●大規模な開発に向いているのはLaravel
Laravelの元になっている「Symfony」は、大規模なWebアプリケーションの開発に特化したPHPフレームワークです。そのため、Laravelも大規模な開発に対応できます。Symfonyの後発であるため、Symfony以外のフレームワークが有している良い点も取り入れられています。また、様々な機能や豊富なプラグインを搭載していたり、自由度の高さから時代に合わせて機能を拡張できたりするという観点からも、大規模な開発に向いているフレームワークです。柔軟性が高いため、システムの継続的な運用が可能です。
●コードの質を安定させやすいのはCakePHP
先ほども触れたとおり、CakePHPは規約が基本になるため柔軟性のあるコードが記述しにくい一方で、統一性のあるコードを記述しやすいという特徴があります。規約が厳しいため、誰がプログラミングしても規約のとおりにコーディングされ、Laravelと比べるとコードの質を安定しやすいといえます。一貫性を持たせやすいため、可読性もその分向上し、初心者でも利用しやすい点も特徴の1つです。
●需要の高さはLaravelに軍配
アメリカのユーザー評価サイトである「PeerSpot」が発表している人気なPHPフレームワークの調査によると、以下のような結果となっています。
1位:Laravel
2位:Zend Framework
3位:CakePHP
4位:Symfony
5位:Yii FrameWork
上記の結果を踏まえると、需要の高さという観点ではLaravelに軍配が上がるといえます。
LaravelとCakePHPは、どちらも人気のあるフレームワークです。「大規模な開発にはLaravel」、「コードの統一性を重視したいのであればCakePHP」など、目的に合わせてフレームワークを選ぶのがおすすめです。
Laravelを導入して開発をするには?
最後に、Laravelを用いた開発方法について簡単に言及しておきましょう。繰り返しになりますが、Laravelは学習コストが低く、企業のエンジニアにも習得させやすいフレームワークです。そのため、Laravelの扱いを得意とするシステム会社は数が多く、目的に合わせて様々なものを開発できます。もちろん自社のエンジニアに習得させて、内製のシステム開発を目指すことも可能ですが、難しい場合はLaravelを使った開発に優れるシステム会社へ発注を検討するのも1つの手です。素早い開発を実現しやすいLaravelを使うことによって、業務管理システムから企業向けのECサイトに至るまで効率的な作成が可能です。
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