本来、「ビーコン」とは何かを誘導したり、信号を送ったりするものを指す言葉です。
灯台や狼煙(のろし)という意味がありますが、現在はBluetoothを使った情報収集・発信サービスの意味でよく使われています。
特に「iBeacon」が発表されてから、ビーコンという言葉が広く知られるようになりました。
スマートフォンが普及してビーコンの信号を受け取れる端末が増えたことによって、ビーコンの機能やサービスが拡大しているためです。
今回は、ビーコンについて基本的な知識や種類、ビーコンを活用した集客サービスをご紹介します。
目次
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ビーコンとは?
Bluetoothの信号を使って情報を発信する端末やその通信方法を「ビーコン」といいます。スマートフォンが普及してBluetoothの信号を受信できる端末が増えたため、ビーコンが活用される場面が増えてきています。
●ビーコンの活用法
ビーコンは、無線技術を利用した情報の伝達手段です。数秒に1回、無線で半径数メートルから数十メートルの範囲に信号を発信します。範囲内にビーコンの信号を受け取れる受信端末があると、感知して位置情報をサーバーに送信します。また、サーバーから受信端末に情報を送信することもできます。
ビーコンは信号送信範囲が比較的狭いので、ピンポイントに情報を送信したり、複数のビーコン端末でユーザーの行動を記録したりすることが可能です。そのため、ビーコンは位置情報を使った情報発信サービスに利用されています。観光地や建物内で道案内のナビゲーションに使われたり、美術館や博物館では作品ごとの音声ガイドとして利用されたりします。催事場やイベント会場ではブースごとに異なる情報を送信することができます。
また、位置情報を利用して従業員の勤怠管理や、車やバスの現在位置を知るためにも活用されています。
スマートフォン以外でもBluetoothの受信機能がある端末なら、ビーコンを利用できます。例えば「Pokémon GO Plus」というデバイスは、スマートフォンと連携してPokémon GOのゲームができる専用端末です。このように、特定の目的のためだけのビーコン受信端末も登場しています。
●ビーコンの種類と価格
ビーコンの端末には、機械に組み込む大きなものやボタン型の小さなもの、インテリアにもなる据え置き型、防水防塵タイプやソーラー電池利用タイプ、屋外に設置可能な全天候型など、さまざまな形状・大きさのものがあります。価格が比較的安価なため、手軽に利用できるのも特徴です。
特に、BLE(Bluetooth Low Energy)対応の端末は、省電力でボタン電池でも駆動可能な小さなタイプが多く、数百円ほどで販売されています。大きいものや全天候型など特殊な機能が付いたタイプでも数千円程度で、複数個セットで利用されるケースも多いため5個や10個単位で売られていることもあります。
ビーコンと他の通信機器の違い
位置情報を含む無線通信の方法は、Bluetoothの信号を利用したビーコンの他にも、「GPS」や「Wi-Fi」などがあります。ビーコンと他の無線通信機器との違いは何なのでしょうか。
●ビーコンの特徴
ビーコンは、他の無線通信方法より信号の送信範囲が狭くなっています。そのため、数センチメートルから数十センチメートルという高い精度で位置を測定することが可能です。
また、ビーコンの信号は、それぞれの端末の個別信号を識別して通信するため、屋内や地下でも利用できます。電池の消費が少ないのも特徴です。複数の端末を同時に利用しても信号同士が干渉することはありません。
●GPSとビーコンの違い
GPSは人工衛星を利用した位置測位システムです。地球規模の広い範囲で信号を利用できますが、範囲が広すぎるため位置測定の精度はあまり高くありません。衛星からの電波が届かない地下街では、利用できないこともあります。また、GPSは電池消費が大きく長時間利用しにくいため、ビーコンのように手軽に活用するのは難しいでしょう。
●Wi-Fiとビーコンの違い
Wi-Fiは、アクセスポイントごとに端末情報を収集して通信しているため、位置測定の精度はあまり高くありません。電池の消費は少ないです。屋内でも通信できますが、電波の強弱を調節することができないため、複数のアクセスポイントが近くにあると信号同士が干渉し合ってしまいます。信号が干渉し合うと通信が不安定になるため、ビーコンほど安定した情報送信はできないでしょう。
身近にあるビーコンの種類
ビーコンは、身近な場所で活用されています。代表的な利用方法を見てみましょう。
●VICS(道路交通情報通信システム)
VICSのビーコン端末は道路に設置されており、渋滞の状況や目的地までの所要時間、通行止めの情報などを走行中の車に送るためのシステムです。高速道路で使われている電波を利用する「電波ビーコン」と、一般道で使われている赤外線を利用する「光ビーコン」の2種類があります。VICSが送信した情報はカーナビの画面に表示され、ドライバーは常に最新の情報を知ることができます。
●雪崩ビーコン
雪崩ビーコンは雪山を登るときに使用します。遭難したときや雪崩で雪の下に埋まったとき、ビーコンの信号をたどって遭難者の位置を特定し、救助することができます。雪の中からでも電波が届くように、通常のビーコン端末やスマートフォンよりも信号の周波数が低く設定されています。広い範囲に送信でき、電池が長く持つのが特徴です。
●Webビーコン
Webページに埋め込まれたごく小さな画像や、その画像ファイルから呼び出されるプログラムのことをWebビーコンといいます。見ただけでは存在がわからないほど、とても小さな画像です。Webビーコンから呼び出されるプログラムでは、Webページを閲覧しているユーザーの情報を収集してアクセス解析を行っています。
●iBeacon
iBeaconはビーコンの一種で、Apple社が発表した独自の規格です。受信側のアプリは、iOS7以降のiPhoneに標準搭載されています。
ビーコンの機能自体は新しいものではありませんが、iPhoneユーザーが多い日本では、iBeacon搭載のiPhoneの登場により、ビーコンを利用できる人が増加しました。
一般的に、ビーコンを利用する際は受信するための専用アプリが必要になりますが、iBeaconは専用アプリを開発することなくビーコンを利用できるので、情報を発信する側にも使いやすいのが大きなメリットです。iPhoneだけでなく、Android端末やWindows Phoneでもアプリがあれば利用可能です。
ビーコンを活用した集客支援サービス
ビーコンを利用した集客を支援するサービスや業者も出てきています。店舗運営のための集客支援サービスについてご紹介します。
●ビーコンを活用した集客支援サービスの仕組み
ビーコンを活用した集客支援とは、店舗にビーコン端末を設置して来店客や店舗の近くにいる人のスマートフォンに位置情報と連動させた情報を発信し、集客や購買行動につなげる方法を指します。受信可能な範囲に入ってきたユーザーを検知し、店舗情報や商品情報、クーポンを送信したり、来店回数によってポイントを付与したりすることができます。
店舗集客支援サービスは、「ビーコンを活用して集客したい」と考えていても、自分の店舗だけでシステムを導入するのはハードルが高いと考えている中小規模の店舗を支援するサービスです。
●集客支援サービスの特徴・メリット
iOSやTwitter、Facebookなど多くのユーザーを抱える既存のサービスを利用したビーコンの場合、専用アプリの開発やシステムの設定・管理をする必要がありません。送信されるコンテンツも既存の公式サイトやメールマガジン、Facebookページなどを利用すれば、店舗側で新しくコンテンツを作成する手間もなく手軽に利用を開始することができます。
また、ビーコン端末からの距離に合わせて売り場ごとに情報を発信したり、近隣店舗にいるユーザーに自店の店舗情報を送信したりすることも可能です。発信する情報は自動翻訳もできるので、外国人観光客にも店舗をアピールすることができます。
販売促進サービスに活用できるビーコンの今後の課題
スマートフォンの普及とiBeaconの登場で、ビーコンの利用は格段に広がりました。
現在は、商品情報やセールの情報を送信するなど販売促進に多く使われています。
しかし、ターゲットを選ばずに情報を送るため、時にはユーザーに嫌悪感を抱かれてしまうのも事実です。
ターゲットを絞り適切な情報を発信することや、独自のコンテンツを送信することが可能になり、受け取ったユーザーにも喜ばれる内容になれば、ビーコンの活用はさらに広がると期待されています。
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