今回は、「オムニチャネル化」について。
ユーザーが消費手段によらず均質なサービスを受けられるよう配慮する
完全導入には会社組織全体の見直しが必要
中小規模のECサイトもオムニチャンネルへの第一歩を踏み出すべき
オムニチャネルとは
業界最大手であるイオンやセブン&アイ ホールディングスが施策を打ち出したことで注目を集めている「オムニチャネル」をご存知でしょうか。オムニチャネルとは、オンラインショップと実店舗の垣根をなくす取り組みを指す語です。これによってユーザーは、消費手段によって損得が変化しない均一なサービスを受けることができ、運営側は商品販売の促進によって売上の向上を期待することができます。
類似する語に、ECサイトでクーポンを配布するなどして実店舗への送客を促す「O2O(Online to Offline)」、そして実店舗で現物を確認し、ECサイトで購入してもらう「ショールーミング」というものがあります。日本国内においては、この3つをひっくるめてオムニチャネルと呼ばれることがほとんどです。
オムニチャネル対応の大手事例
このオムニチャネル戦略が成功をおさめた最たる例として、米国のMacy’s百貨店があげられます。
実店舗を訪れた消費者の求める商品が欠品している場合、スタッフはモバイル機器を使って他店舗やECサイト用のストック倉庫に在庫確認をし、その場で決済・配送まで手続きすることができます。
また、同機器を利用して商品の詳細情報や競合店の価格を調べることもできるので、店を訪れた消費者を在庫不足により逃すリスクを免れることができます。
このような実施例を受けて、イオンは昨年12月千葉県にオープンしたばかりの店舗から本格的なオムニチャネル化に乗り出しました。
ただしGMSだけでも611の店舗を展開する企業にとって、膨大な量の在庫管理や顧客管理、物流網の整理はそう容易いことではなく、全計画の完遂にはもう少し時間がかかりそうです。大手の小売業がこのシステムを構築するには会社組織を見直さなければなりません。イオンにおいては鈴木敏文会長兼最高経営責任者が先頭に立ち、トップダウン方式にてプロジェクト遂行を目指している段階です。
中小規模のサイトが考えるべきオムニチャネルとは
一見オムニチャネルは中小規模のECサイトと直接関わりのないものに見えますが、今後この取り組みが浸透すれば多大な影響を与えることになるでしょう。
オムニチャネル化は、従来ユーザー1人1人が担っていた手間をサービス提供側が負担することになるので、会社規模が大きければ大きいほど実現には多大な時間と労力がかかります。ただしこの先に生まれる企業の利益は未知数といえるでしょう。実店舗を有するECサイトの場合、サイト上でのクーポン配布やお得情報の配信がオムニチャネル化への第一歩になるのではないでしょうか。
実店舗を持たないECサイトが今後この煽りをはねのけるには、ユーザーの消費行動を分析したうえで自らの強みを生かしたマーケティング戦略を構築していく必要があります。
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