Webサイト、データベース、メールなど、インターネットサービスを提供する際に欠かせないのがサーバです。あらゆる業界、職種で必要とされるサーバを構築するには、専門家による構築作業が必要となり、費用もそれ相応となります。
ここでは、サーバ構築の費用についての費用と、物理サーバと仮想サーバとの違いなどを解説します。
目次
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サーバ構築の費用について
サーバ構築の費用の内訳は、「サーバ全体」、「周辺機器」と「ネットワークの配線」、「運用保守」などと各工程にかかる人件費によって費用が大きく変わります。特に、大規模なサーバ構築や複雑なネットワーク配線になるほど、開発サイドの工数は増えるため、人件費が高くなります。
さらに、使用するサーバ本体の価格も、スペック(サーバ本体のメモリ・CPU、ルーターの転送速度など)によって変動します。高スペックな機器を選ぶと、トータルの費用が数百万、数千万円になることもしばしばです。自社のサーバ構築を行う際に、実際にどれくらいになるかを知るためにも、構築にかかわる項目の費用相場を理解しましょう。
サーバ構築にかかわる項目と費用相場
サーバ構築にかかわる項目として、以下が挙げられます。それぞれの説明と費用相場を紹介しますので参考にしてください。
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サーバ本体の価格
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周辺機器の価格
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ソフトウェア関連の価格
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ネットワークの設計・構築費用
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運用保守費用
●サーバ本体の価格
一般的に「サーバを構築する」という場合、まずハードウェアとしてのサーバを購入・準備します。ハードウェアとしてのサーバ本体の価格は、法人向けの小型エントリーモデルで10万円前後です。次に、エントリーモデルと比べてハイスペックなラック型サーバで20万円~30万円前後。さらに、高スペックなサーバを選べば、本体価格が100万円を超えるものもあります。
基本的に、オフィスでの利用(データ共有、社内システムの利用など)の場合は、数10万円のハードウェアで問題ないことがほとんどです。ただし、特殊な利用がある場合や、複数台必要になる場合には、数100万円になることもあります。
●周辺機器の価格
サーバを稼働させるためには周辺機器も欠かせません。具体的には、ルーター(複数のネットワーク同士を中継する通信機器)やUPS(無停電電源装置。災害時などのバックアップ用電源)、サーバ設定用のPC・モバイル端末などが挙げられます。
価格はそれぞれの機器のスペックやネットワークに接続する端末の台数などによって異なります。例えば、中小規模のオフィスで利用する場合であれば、ルーターは1万円~5万円前後。UPSが3万円~8万円前後、パソコンやモバイル端末は5万円~15万円前後が相場です。パソコンやモバイル端末に関しては、すでに使用している手持ちの機器があれば代用できますので、その分の購入代金は省けます。
●OSやソフトウェアのインストール
ハードウェアとしてのサーバにOSやソフトウェア、Windowsの共有サービスなどをインストールし、Webサーバやメールサーバとして構築する際にも費用がかかります。サーバの用途によって金額に幅差があり、一般的な相場としては、ファイルサーバやプリンタサーバの構築が3万円~6万円前後、メールサーバ、Webサーバの構築が5万円~10万円前後。複数の端末を一元管理するセキュリティ対策用のサーバを構築する場合は、25万円~30万円前後の費用がかかります。また、サーバの用途によっては、構築の段階でSSL(暗号化通信の設定)やドメインの設定、OSのインストール・環境設定にコストがかかることもあります。
●ネットワークの設計・構築費用
サーバに接続する端末の台数やオフィスの規模などにあわせて、ネットワークを設計・構築する際にかかる費用です。
パソコン端末15台~25台前後の中小企業系オフィスの場合、一般的な相場は10万円~20万円前後。有線のネットワークを構築する際は、これにLANの配線やハブ設置の料金(15万円~20万円前後)が加わります。
ネットワークの設計は開発会社によって対応範囲の違いがあり、LANの配線費用と別にケーブル本体の実費がかかる、端末側のネットワーク設定に別料金が発生することも少なくないようです。サーバの構築費用と同様、事前にしっかりトータルコストを確認しておきましょう。
●運用保守費用
サーバにかかる負荷を監視するほか、災害・停電などで起きたトラブルに対処する際にかかる費用です。毎月定額の月額制が一般的です。仮にサーバ構築費が30万円なら、月額3万円~5万円前後が相場となります。データセンターにサーバを置く場合は、データセンター自体の利用料金と運用保守費がセットになっていることが多いようです。
ちなみに、サーバの運用保守は自社で対応することもできますが、基本的に24時間体制での監視が必要になる上、影響範囲が大きいWebサーバなどの場合、トラブル時には迅速な対処が求められます。サーバ構築を担当した開発会社が運用保守まで請け負ってくれる場合は、まとめて任せるのがおすすめです
物理サーバと仮想サーバの違いとメリット・デメリット
サーバを構築する場合、最初に選択するのは「物理サーバ」または「仮想サーバ」です。
物理サーバとは、物理機器としてのサーバを購入するものです。初期コストは高価ですがパフォーマンスが良く、インターネット環境がなくても利用できます。サーバ機器を自社の建物内に設置する方法で、昔から企業が取り入れてきた設置方法です。各サーバを自社内で置く場合には、サーバ本体、周辺機器のハードウェアを設置するための空間が必要になります。
一方、仮想サーバは、1台の物理サーバに仮想的なサーバを構築して稼働させる仕組みです。専用のソフトウェアを使い、複数のサーバでOSやアプリケーションを動かすことが可能となっています。仮想サーバを活用することで、ハードウェアの台数を増やすことなく新しいサーバを構築できるため、多くの企業で導入がされています。
●物理サーバ(オンプレミス型)のメリット・デメリット
自社に設置するオンプレミス型のサーバのメリットは、「セキュリティが高い」、「システム構築を行いやすい」ことが挙げられます。自社でサーバを構築すれば、社内ネットワークのみで管理できるため、セキュリティが高くなります。また、システム構築も行いやすく、運用に応じたカスタマイズも自由にできます。自社内に技術系のスタッフ、エンジニアを抱えている企業の場合は活用の幅が拡がります。
一方、オンプレミス型のサーバのデメリットとして「初期費用が大きくなる」や「自社内で行う作業が多くなる」などが挙げられます。オンプレミス型の場合は、物理的なリソース(サーバ本体、サーバ周辺機器、設置場所など)が必須になります。そのため、サーバを設置する場所の確保や機器の購入費用などで初期コストは大きくなります。また、自由度は高いものの、管理や運用を行うのでエンジニアなどのスタッフの配備(人件費)も考えなければなりません。
●仮想サーバのメリット・デメリット
仮想サーバのメリットは、「初期費用を抑えられる」や「管理する労力が少ない」などです。物理的リソースの準備が不要なので、初期費用が安く済みます。また、頻繁な保守管理は必要ないので、ある程度は放置したままでもOK。人件費も節約することができます。
一方のデメリットは、「仮想空間で管理される」や「自由度が下がること」です。接続パフォーマンスが落ちる可能性があります。クラウド型サーバは仮想空間を借りている状態なので、自分からはハードウェアそのものに触れることができません。また、自社管理するサーバに比べると、カスタマイズ性が落ちるので自由度はやや低くなります。契約する条件によっては、ほかのサーバとネットワークを共用するケースがあり、パフォーマンスの低下につながる可能性があります。
サーバ構築を失敗させないポイント
最後は失敗しないシステム会社選びのポイントについて、実際にサーバ構築の依頼先を決める際はどんな点に気を配るべきか紹介します。
●自社の規模感に合わせて選ぶ
用途・目的によってサーバのスペックが変わってくるように、開発会社もそれぞれ得意な開発規模・分野があります。
例えば、社員十数名程度の開発会社にとって、利用ユーザーが1,000人を超えるような大規模なサーバ構築はなかなか難しいもの。逆に大手ベンダーの場合、セキュリティ面も含めて成果物には高い期待が持てますが、大手ゆえに常に複数の大型案件を抱えており、少額予算の依頼はなかなか受け付けてくれません。依頼先を選ぶ際は、サーバを構築する目的、利用人数、予算などを念頭に置き、規模感にマッチする業者を絞り込んでいくことが大切です。
●稼働後の運用に目を向ける
サーバに障害が発生すると、Webサイトが閲覧できなくなる、メールの送受信が止まるなど、業務に大きな支障をもたらします。加えて一定規模以上のサーバになると、外部からハッカーなどの攻撃を受けて乗っ取られ、サイバーテロの基点として利用されてしまう可能性もゼロではありません。
そういった意味では稼働後の運用に目を向けて依頼先を選ぶのも大事なポイントの1つ。専任のエンジニアがサーバの監視やメンテナンスまで請け負ってくれる会社、あるいはISO認証やプライバシーマークを取得済みの会社なら、安心して任せられるのではないでしょうか。一度、構築してしまうと後戻りすることは難しくなります。失敗しないためにも、次のことを検討しておくと良いです。
●試験的にサーバを借りて運営してみる
まずはレンタルサーバ(エックスサーバやミックスホスト、ヘテムルなど)を借りて、期限付きでシミュレーションすることを推奨します。すでにレンタルサーバを使っている場合は、プランを上げてみたり、別のサーバへ乗り換えてみたりすることで、あなたのビジネスの要求を満たしてくれるかもしれません。もし、自社サーバを構築する場合は、はじめから1社に絞らずに複数社から見積もりを取るようにしましょう。そうすることで、適正な価格が判断しやすくなります。
●サーバを管理する人材をたてる
サーバ構築を行った後は、定期的なサーバの保守管理が必要になります。サーバを作ってもらえれば、放置して良いというわけにはいきません。定期的なサーバ保守は、行った方が安心です。サーバの構築後はそのままWeb制作会社に保守もお願いする、あるいは別の専門業者に代行してもらう方法があります。
サーバ構築の外注先を選ぶコツ
サーバ構築を自社ではなく外注に依頼する場合、以下のようなポイントを押さえて依頼をしましょう。
●保守も任せられる開発会社を選ぶ
サーバ構築は、作ったら終わりではありません。サーバを使い、様々なサービス展開をしていくようになるため、その後も問題なく使い続けられるように保守管理が必要です。自社に、サーバを管理する人材がいれば問題ありませんが、そうした専門的なスタッフがいる企業は少ないです。
そうした際に、サーバ構築だけを外注に依頼するのではなく、その後の保守管理をしてくれるところを選ぶと安心です。とはいえ、外注先によっては保守を受け付けていない場合もあります。こうなると、サーバ構築をした企業以外と、再度契約することになるために二度手間になりますので、注意が必要です。
保守まで任せることになれば、長期的な契約になります。だからこそ、信頼できる企業でないと後々後悔することになることも考えられますので、最初の外注選定で、しっかりと先を見据えて選びましょう。
●見積もり費用だけではなく、提案力で選ぶ
サーバ構築を請け負っている開発会社は多数あります。どちらも同じような料金、内容であれば、プラスαの部分で選びましょう。それが、提案力です。開発をする際に、要望を聞くヒアリングを行い、それに合わせてサーバ構築を進めることになります。しかし、こちら側がまだ定まっていない場合もあります。そんな時に、こちら側に寄り添って提案をしてくれるようであれば、安心です。
万が一、ヒアリングをした後の提案がイマイチであれば、考え直した方が良いかもしれません。しっかりと提案してくれる外注先がほかにもあるかもしれませんので、そうしたプロの仕事として安心して依頼できる外注先を探してみてください。
サーバ構築を可能な限り安くしたいと考える担当者も多いはずです。その際に、クラウドソーシングサービスを使って、個人に依頼することを検討することもあるかもしれません。確かに個人に依頼すること自体はできますが、個人に依頼する場合、きちんとしたサーバが構築できる保証もありません。また、かなりの時間を要する可能性もあり、途中で投げ出されてしまうリスクもあります。こうしたことから、どんなに費用を抑えるためとはいえ、個人に依頼するのはおすすめしません。
●実績・事例がある開発会社を選ぶ
サーバ構築の外注先を探す際は、必ず実績や実例を公開している開発会社を選びましょう。というのも、実際にどんな業界の、どんな企業のサーバを構築したことがあるかで、その企業のレベル感がわかります。
実績や実例がない場合、思わぬトラブルが発生する可能性があり、リスクがあります。Webサイトに公開していなくても、質問した際にどんなサーバを構築したことがあるかを教えてくれれば問題ありませんが、ないようであれば要注意です。
しっかり、実績・実例を公開していることで、安心して依頼できるようになります。それが、同じ業界や同じ規模であれば、なおのこと安心です。ビジネスを成功させるためにも、サーバ構築に強いおすすめ企業が以下のページにまとめてありますので、参考にしてみてください。
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