SMB(Small and Medium Business)とは?中小企業がIT化を進めるメリット

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SMBのイメージ図

SMBとは、中堅・中小企業のことを指します。近年SMBでは、人手不足の解消や働き方改革への対応などの課題をIT化によって解決していこうとする機運が高まっています。しかし、実際は「IT化を進めたいがどうやったらいいのかわからない」「IT化による効果について明確に理解していない」「コスト面に問題がある」など様々な理由から、IT化が進んでいない企業も少なくありません。
IT化を行うことで得られるメリットはたくさんあります。そこで、IT導入のメリットや成功するための4つのポイントについて詳しく説明します。後半では、SMBが利用できる補助金も紹介していますので、IT導入を検討中のSMBの方はぜひご覧ください。

 

目次

 

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SMBとは中堅・中小企業のこと

SMBとはSmall to Medium Business(スモールトゥミディアムビジネス)の略で、「中堅・中小企業」のことです。 SMBの最後の文字B(Business)を、企業を意味するEnterprisesに置き換えて「SME」と呼ぶこともあります。SMBの定義はITベンダーによって異なり、中には300人以上の大企業をSMBと見るITベンダーもいるほどです。アメリカでは、従業員の人数が10~500名の企業をSMBと定義しています。

■中小企業庁による中小企業の定義

業種分類 中小企業基本法の定義
製造業その他 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社
又は従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社
又は従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社
又は従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社
又は従業員の数が100人以下の会社及び個人

 

SMBがIT化する際の課題とは

SMBがIT化に時間がかかる理由として、以下の4つが挙げられます。

  • ITやセキュリティについての理解が薄い
  • コストがかかる
  • ITへの投資効果がわからない
  • 個人情報・機密情報の漏洩が心配

1つずつ、解説していきます。

 

●ITやセキュリティについての理解が薄い

IT化を検討する場合、ITやセキュリティに関してある程度の理解や知識は必要です。特に、経営者がIT化による効果やメリット・デメリットに関する知識が薄いと、IT化に対応することは難しいと言えるでしょう。

 

●コストがかかる

IT化を進めるためには、デジタル機器やツール、セキュリティソフトなどの購入や使いこなすための教育など、ある程度のコストも必要です。SMBでは、IT化のための資金不足という理由から、IT化が進まない・進めることができないというケースが見られます。新型コロナウイルスの影響により、Web会議やテレワークの導入を行った企業が多いものの、それ以上のIT化を進めることができないというケースは少なくありません。一番大きい理由は、コスト面であると考えられます。

 

●ITへの投資効果がわからない

IT化することで、業務効率化や長期的なコストの削減など数多くのメリットがあります。しかし、SMBはITへの投資効果を十分に理解していない場合があります。効果がすぐに発揮されるわけではないので、なかなか見えにくい部分ではあります。即効性のある施策を求めるあまり、IT化を先送りすることは少なくありません。

 

SMBがIT化を進めることのメリットとは

SMBがIT化を導入することは難しそうに思われるかもしれません。しかし、企業としての長期的な発展を考えると、IT化によるメリットは知っておいたほうが良いでしょう。ここでは、SMBがIT化を進めることのメリットを3つ、ご紹介します。

  • 利便性や生産性の向上

  • 情報共有の利便性向上

  • データの一元管理が可能

 

●利便性や生産性の向上

IT化を進めることのメリットとして最初に挙げられるのが、業務の効率化です。自社の業務に対応したシステム開発を行い、業務に対応したツールを導入することで業務の自動化を図ることができます。単純な事務手続きを省略することで、生産性が上がります。IT化によってアナログからデジタル化することは、利便性の向上、さらには長期的なコストの削減にもつながります。

 

●情報共有の利便性向上

IT化によって、情報共有が容易になります。必要な情報はデータ化し、新たな情報は随時入力することで、社内や部署内などで情報共有が簡単にできるようになります。情報を共有することによって、引継ぎや他業務に関する理解を深めることもできます。社内にいなくても情報を共有することができるようになり、いつでもどこでも対応ができるというメリットもあります。

 

●データの一元管理が可能

IT化によって、社内の他部門のデータとの一括管理も可能です。顧客データや商品情報などの一元管理が可能になれば、必要な情報をすぐに取り出すことができます。大きな業務効率化につながる可能性があるでしょう。

 

SMBのITシステムの例

ここでは、具体的にどのような形でIT化ができるのかを解説します。IT化により情報を効率良く活用する方法は、以下の4つが挙げられます。

  • コミュニケーション

  • バックオフィス

  • セールス

  • サプライチェーン

1つずつ解説します。

 

●コミュニケーション

社内・社外でのコミュニケーション不足を解消し、より円滑にするためのITシステムです。コミュニケーションツール・システムは、業務管理の円滑化を図るためにも活用されています。さらに、社員同士の交流が活発になることにより、ミスの予防につながります。行き違いが減ることで、的確に必要な情報を引き出すことができ、生産性の向上にも期待できます。コミュニケーションを目的として導入されるITツールやシステムとしては、以下の5つが挙げられます。

  • チャットツール

  • Web会議システム

  • 社内SNS

  • タスク、プロジェクト管理ツール

  • グループウェア

 

●バックオフィス

バックオフィスとは、「後方支援」という意味です。ここでのバックオフィスとは、直接利益を生まない業務のことを指しています。バックオフィスの反対の意味を持つ言葉に「フロントオフィス」があります。フロントオフィスは、営業や販売など直接利益を生み出す業務を指します。バックオフィスでは、利益を生むことはできません。しかし、会社運営を行う重要な役割を担っています。

バックオフィス業務を目的として導入されるITツールやシステムとしては、以下の3つが挙げられます。

  • 会計システム

  • 労務、勤怠管理システム

  • 電子契約システム

 

●セールス

セールスでは、営業活動や売り上げの向上を目的として活用します。例えば、顧客情報や販売管理システムを活用することで、顧客の必要な時に、必要と予想される商品を提供することができます。そのほかにも、営業支援システム、名刺管理ツール、ECサイトなどの活用で営業のフォローが見込めます。

 

●サプライチェーン

製品の原材料や部品などの調達から販売までの一連の流れを表すのが、サプライチェーンです。こちらもIT化することで、業務効率化やコスト削減に効果的です。在庫管理の情報の共有や在庫の適正化などにも有効でしょう。主なITツール・システムとしては、以下の6つが挙げられます。

  • 生産、在庫管理システム

  • 仕入、調達管理システム

  • 品質管理システム

  • 物流管理システム

  • 需要予測システム

  • 出荷状況管理システム

 

SMBがIT導入を成功するための4つのポイント

ここまでは、SMBがIT化を導入することで得られるメリットをご紹介してきました。IT導入は難しそうなイメージがありますが、成功すれば効率的に業務を行うことができます。ここでは、IT導入を成功させるための4つのポイントをご紹介します。

  • 既存業務の見直し

  • IT人材の確保

  • クラウド・Saas・ASPの活用

  • 補助金の活用

 

●既存業務の見直し

IT導入を成功させるためには、最初に既存業務の見直しから始めます。これは、SMBに限ったことではありません。IT導入が決まると、業務のシステム化をベンダーに丸投げで委託する企業ありますが、これは失敗する可能性が高いのです。IT化は自社の業務課題を解決するために行うもの。どこをIT化すべきなのか、どのような手段が必要なのかは、業務のことをわかっている発注側の企業でなければ決められません。自社の既存業務をベンダーに伝える際には、図にして見える化を図ると伝わりやすいでしょう。非効率的な業務や問題点が浮き彫りになります。発注側とITのプロであるベンダーが互いの意見や知見を出し合いながら完成を目指すことが成功の近道でしょう。

 

●IT人材の確保

SMBのIT化を成功させるために、IT人材の確保は必要不可欠です。ここではIT人材を確保する方法を2つ、ご紹介します。

 

従業員のIT教育の推進

IT導入に携わる従業員のIT教育を推進する必要があります。社内研修を行う、社外の講習会に参加するなどの方法でITリテラシーを高めます。最初は、特にIT導入にかかわりの深い従業員を対象に行いますが、最終的にはすべての従業員に対して教育を行う必要があります。社内全体でITリテラシーを身につけると良いでしょう。

 

外注・アウトソーシングを活用

従業員のITリテラシーが低い場合は、いきなり導入せず外注やアウトソージングを活用するという方法もあります。IT化のための新たな人材の採用という方法もありますが、外注やアウトソージング活用ですと短時間で人材を確保することが可能です。SMBで実際に行われている方法でもあり、高利益を生み出している企業も少なくありません。正社員で採用するよりもコストがかからないというメリットもあります。

 

●クラウド・Saas・ASPの活用

クラウド・Saas・ASP活用のメリットを生かすことで、IT導入を成功に導くことができます。サーバーやネットワークを利用するオンプレミス型だと、サーバーを管理する人材も必要になります。場合によっては、多額のコストがかかります。できることなら、少しでもコスト負担を減らしたいところです。クラウド・Saas・ASPを活用することは、初期投資コストの削減になります。

クラウド・Saas・ASP活用なら、運用したものの十分な効果が得られないといった場合に、いつでも使用を止めることができます。中には数ヶ月間無料のものもあるため、試験的に利用が可能です。クラウド・Saas・ASPサービスのメリットを生かして、自社に合ったシステムを探すのも1つの方法でしょう。SMBがIT導入を検討する際は、まずはクラウド・Saas・ASPを検討することがおすすめです。

 

●補助金の活用

IT導入は国が推進しているため、補助金が出る場合があります。ここでは、SMBがIT導入に利用できる補助金を3つ紹介します。

 

IT導入補助金

IT導入補助金は、IT導入支援事業者が販売する規定のITツールを導入する際に受けられる補助金です。規定のITツールには、業務効率化を目的としたソフトウェア製品やクラウドサービスなどがあります。導入するためのサポート費用や設定費用も補助の対象です。

補助金は、通常型(A類型・B類型)と低感染リスク型ビジネス枠(C・D類型)があります。通常型の場合、費用の1/2を補助してくれます。具体的な補助額は以下です。

  • A類型は30万円~150万円未満

  • B類型は150万円~450万円以下

低感染リスク型ビジネス枠とは、新型コロナウイルス感染症対策のために新たに設けられた補助金です。感染リスクを減らすため、新しいビジネスやサービスを導入する際にかかる費用に対する補助金です。低感染リスク型ビジネス枠の対象者は、提示されている7項目のすべてに該当しなければなりません。単なる感染防止対策に利用することはできませんので、事前にご確認ください。

 

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

SMBが認定支援機関との連携を図り、生産性を上げるために革新的なサービスの開発や試作品の開発、生産プロセスの改善のために設備投資を行う際利用できる補助金です。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の特徴の1つに、補助額が大きい点が挙げられます。資金不足によってIT化が難しかったSMBにとっては、検討を視野に入れたい補助金でしょう。補助金額は100万円〜1,000万円。補助率は1/2ですが、条件を満たしている場合は2/3になります。

 

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続か補助金は、従業員の人数が5名以下(業種によっては20名以下)の小規模事業者が利用できる補助金です。業種によって人数が異なります。卸売業・小売業・サービス業(宿泊業・娯楽業以外)の場合は5人以下、宿泊業・娯楽業・製造業などは20人以下が対象です。すでに法人として会社を設立している、個人事業主として税務署の開業届けを出している方が対象で、予定の方は応募できませんのでご注意ください。補助上限額は50万円、補助率は2/3です。

補助金を活用したい企業は、以下のページをご参照ください。

▷IT導入補助金を活用したシステム開発とは?申請方法や流れも

 

システム開発を依頼する際の注意点

自社に合ったシステム開発をするためには、システム開発会社選びが重要なポイントです。ここでは、システム開発を依頼する際の注意点を6つご紹介します。

  • システム開発会社の実績

  • システム開発会社の体制

  • 開発者のスキル

  • システム開発会社の安定性

  • 要求と妥協

  • 複数のシステム開発会社を選択

 

●システム開発会社の実績

1つ目は、システム開発の実績です。システム開発会社の多くは、自社のシステム開発事例をWebで紹介しています。実績が多く、特に大手企業の名前が挙がっていると信頼性が高いでしょう。

システム開発会社の中でも大手の場合、クライアントの要望にきちんと応えられるという点をアピールするケースが多く見られます。実績は企業価値を高めることにつながります。システム開発会社を選ぶ時のポイントにすると良いでしょう。開発事例をWebで公開していない場合は、直接ヒアリングする方法もあります。

 

●システム開発会社の体制

システム開発会社は、下請けなど複数の会社で分担して設計やプログラミングを行う場合があります。1社に集中するのではなく、派遣や請負などの形態で複数の開発会社がかかわってシステム開発をする方法です。できれば、かかわるのはシステム開発会社のみ、もしくはシステム開発会社の子会社までで、システム開発を行っている企業や企業グループを選ぶのがおすすめです。

親会社と子会社のみの場合は、親会社が責任を持って開発の管理を行っています。外注を行うと、開発会社と下請け会社の間でのコミュニケーション不足が発生したり、コストが増加したりするデメリットが生じる可能性があります。下請け会社を使用することでスキルの高いプログラマーを使用でき、逆にコスト削減になるケースももちろんあります。そうした実態は、実績を確認することでチェックすることができます。システム開発に携わる会社のやり方を事前に確認しておくと安心です。どのような会社が関係してシステム開発を行うのか、必ずチェックするようにしましょう。

 

●開発者のスキル

開発を依頼する際は、関連企業の一覧と担当メンバーの情報も入手しましょう。必要な情報は次の通りです。

  • 役職

  • 本案件の担当フェーズ

  • 資格(IT系、英語などの外国語に関するスキルなど)

  • 担当フェーズの経験年数

開発体制の提案段階まできたら、発注側の主要メンバーはシステム開発側のエンジニアと直接コミュニケーションをとる場を設けましょう。目的は、エンジニアの能力の見極めです。プロジェクトマネージャーにプロジェクト管理を任せることはできるのか、エンジニアはシステムに関する理解ができているのか、重要なポイントは直接会話をして確かめてください。もし、システム開発を依頼する側にITの知識がない場合には、ITコンサルタントに間に入ってもらうという方法があります。

 

●システム開発会社の安定性

受発注管理システムの開発を行った場合、一般的には10年程度使用することが予想されます。長い年月使用することになるため、保守体制に関する確認は重要です。保守レベルは、一般的に企業ポリシーとして決まっています。受発注管理システムの場合、営業時間中の稼働は必須です。さらに夜中にバッチ処理等の動作が発生することもあるため、夜間での障害発生時の対応も可能である開発会社を選ぶ必要があるでしょう。

企業自体の存続性や信頼性に関する調査も忘れずに行いましょう。開発したシステムの稼働中に企業が倒産してしまい、保守ができなくなることは避けたい問題です。上場企業を選ぶのであれば四季報やIR(インベスター・リレーションズ、投資家向け情報)を利用すると良いでしょう。非上場の中小企業を選ぶのであれば、帝国データバンクなどの調査会社に依頼して調査するという方法があります。長期的に安心して依頼できるシステム開発会社を選びましょう。

 

●要求と妥協

実績がありスキルにも問題なく、安定した信頼できるシステム開発会社であっても、価格や納期に関して要望と合わない場合があります。すべての条件に当てはまっている必要はありません。どうしても譲れないポイントを除いては、妥協点を見つけると良いでしょう。

 

●複数のシステム開発会社を選択

システム開発会社を選択する場合は、10社以上の候補を挙げるようにしましょう。その中から自社の要望に合うものを5社程度選択します。 選択のポイントとして、システム開発会社の所在地が挙げられます。所在地が離れていることはデメリットの1つとなりますが、地方の会社は都心部の会社と比較するとコストを抑えられるというメリットもあります。複数の候補の中から要望に合ったシステム開発会社を選ぶようにしましょう。

補助金を活用したい企業は、以下のページをご参照ください。

▷IT導入補助金を活用したシステム開発とは?申請方法や流れも

▷補助金を活用したシステム開発でおすすめの開発会社8社

 

まとめ

ITの導入を検討のSMBの多くは、IT人材の不足、従業員や経営者のITリテラシーの低さ、資金不足など様々な問題を抱えています。IT化を進めるためには、どうしてもコストが発生します。SMBが利用できる補助金によって、資金に関する問題をクリアできる可能性があります。補助金を上手に利用してIT化を進めることで、業務の効率化やペーパーレス化、人員削減などを図ることができます。長い目でみると、コスト削減にもつながるでしょう。

IT化のため補助金を利用し、開発会社を探しているSMBは少なくありません。しかし、開発会社をどうやって選んだら良いのかお困りの方も多いでしょう。自社に合った会社を1つ1つ探すのは、時間も手間もかかってしまいます。

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