システム開発をおこなう際には設計という工程があります。この設計の工程というのは、これからシステム開発をしていくに当たって重要になる計画を立てる工程のことです。
その際に作成されるのが設計書(設計ドキュメント)です。
これは「システムをどのように作るか」という点について書かれた資料になります。本記事では、そんな設計書について解説していきます。
目次
■設計書には基本設計書と詳細設計書がある
まず、設計書の作成はシステム開発においてどの段階でおこなうのか見ていきます。
一般的なシステム開発は、「要件定義 → 設計(外部・内部) → 開発 → テスト → 納品」という工程で進行します。この工程の中で外部設計の作業をおこなう際には「基本設計書」が必要になり、内部設計の作業をおこなう際には「詳細設計書」が必要になります。
基本設計書:システムを外から見たときにどういう動きをするかを決めた資料
詳細設計書:基本設計で決定した動きを、どのように実現するかを決めた資料
基本設計よりもこまかい情報が記載しているものを詳細設計書と考えている方も少なくありませんが、あくまでも「ユーザーに見える部分」と「システムにおける処理」に分けて考えるとよいでしょう。
参考記事:「『外部設計』と『内部設計』とは?それぞれの違いと作業内容を解説」
●設計書と仕様書は異なる
設計書と混同されがちなものとして仕様書があります。仕様書は「何を構築するか説明した資料」です。設計書はあくまでも構築方法を文章化した資料になりますので、目的が大きく異なります。つまり、仕様書を見ただけではシステム開発における結果は見えても過程は見えないというわけです。
■設計書に書かれている項目について
設計書はExcelなどにまとめて作成するケースが多いです。それでは、一般的な設計書の内容について見ていきましょう。
(※プロジェクトなどによって内容は異なります)
■システム概要
■システムの構成図
■ネットワーク構成図
■業務フロー
■機能一覧
■各機能詳細
■テーブル定義
■ER図
■画面レイアウト(画面イメージ)
■開発体制
■開発スケジュール
上記が設計書の項目になります。基本設計書と詳細設計書を分類していないのは、詳細設計書のベースが基本設計書になるためです。詳細設計のフローでは、発注者に見えない内部について考える作業になりますので、プログラムの構造やデータの流れなどの詳細まで文章化します。例えば、基本設計書で「この機能はこういう動きをします」と伝え、詳細設計書で「その動きを実現するためにはこうします」と伝えるわけです。
■設計書におけるチェックポイントについて
システム開発の業務で作成された設計書のチェックポイントについても知っておくとよいでしょう。「エンジニアやプログラマーに任せておけばいいんじゃないの?」と考えている方もいるかもしれませんが、発注者側もチェックするべきポイントをおさえておけば、システム開発会社とより密度の濃いコミュニケーションがとれるはずです。
システムに詳しくなくてもチェックできる2つの項目を以下にまとめました。
●ポイント1:優先度を決めてチェックする
チェックする際に忘れてはいけないのは、優先度です。見逃してしまうと修正に大きな工数が発生するものを優先的に確認するようにしましょう。至極当然のことなのですが、これが意外と抜けてしまうこともあるのです。
例えば、設計書を確認しているときに誤字脱字が気になるケースがあるかもしれません。もちろん、その誤字脱字がシステム開発において大きな悪影響をおよぼすケースであれば早急に指摘をする必要がありますが、そうではない場合も多いでしょう。そういった項目を中心にチェックし始めてしまうと、本当に重要なチェック項目が漏れてしまう可能性があるかもしれません。無意識的に誤字脱字に注意の目が向いてしまうかもしれませんが、それをグッとこらえて、プログラムの大幅な修正やテストのやり直しに影響する箇所から優先的にチェックするようにしましょう。
●ポイント2:数字やデータが具体的になっているかをチェックする
設計書の数字やデータが具体的であるかチェックしましょう。あいまいな表現があった場合、システムのバグに影響してしまうケースもあります。
例えば、「100より少ない」という表現であれば100以下なのか、100未満なのか解釈が分かれます。こまかい点にはなりますが、こういった項目は徹底的にチェックして明確にする必要があるのです。重要なことは誰が見ても同じ意味に解釈できる文章になっていることです。
ここまでシステム開発における設計書について見てきました。設計書についてはエンジニアやプログラマーに丸投げしてしまうのは好ましくありません。システムに詳しくないとしても、発注者としてもチェックできるところはしっかりとチェックしておきましょう。ここで紹介した内容を参考にしてシステム開発を進めてみてはいかがでしょうか。
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