「配車管理システム」とは、GPS・地図を使い配車計画・運行計画を管理できるシステムです。経験の浅いドライバーでも正確な配車計画を組むことができ、距離・時間・人件費などの配車コストを計算し最適な配車計画を作成できます。
今回は車両管理システムの機能、車両管理システムを導入するメリット、システムを導入する時に考えておくべきことなどについて解説します。
目次
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配車管理システムの主な機能とは
「配車管理システム」とは、配車・運行計画の作成、配送ルートの管理をサポートするシステムです。スマホやパソコンを使い、配車管理を自動化できるため、配車業務を効率的にできます。
従来の配車業務は「伝票の仕分け」→「物流センターの配車状況のチェック」→「顧客の住所・配送ルートごとに配車」の手順で行っていました。そのため、物流現場の労務管理が複雑になるだけではなく、配送コストが増えるといった問題もあったのです。配車管理システムは「最短ルートの作成」「車両台数・種類の見積もり」「担当ドライバーの動態・実績の把握」を自動化します。
配車管理システムには用途別に下記の機能があります。
●配車・運行管理機能
「位置情報の取得機能配車・運行管理機能」とは、地図・GPSなどを使い車両ごとの業務計画を「1日・週・月単位」などで管理できる機能です。車両と配送ルートについて計画を立案し、効率的な業務ができます。配送計画は地図上の配送先と配送車両を見ながら作成可能です。
これまでは、Excelなどを使い主導で計画を立案していました。しかし、Excelでの管理は効率が悪く手作業での入力ミスも発生します。また道路交通事情は変化するため、遅延がないように積み荷を届けるには、状況を先読みできるスキルも必要でした。そのため、経験豊富なドライバーのみが配送計画を立案できたのです。
配車管理システムの導入により、誰でも簡単に配送計画を立てられ、経験の浅い担当者でもベテラン社員のような配車計画を組むことができます。配車・運行管理機能は輸送・運輸会社向けの機能です。
●配車ルート作成機能
「配車ルート作成機能」は「ルート最適化アプリ」とも呼ばれ、配送ルートをAIやアルゴリズムで自動作成できる機能です。「どの配送先と一緒に配送すべきか」「時間内に配送できるのか」などを確認できます。「配車・運行管理機能」と似ていますが、「配車・運行管理機能」が実作業は配車担当者であるのに対し、「配車ルート作成機能」はAIによる自動化が可能です。
配車ルート作成機能には下記の特徴があります。
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稼働時間・終了時間・荷降ろし時間などの条件設定により最適なルートを自動で作成できる
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地図上のルートを色分けで判別し配送順情報を地図に表示できる
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地図上で配送先の位置を直感的に把握できる
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配送先の時間指定・停車可能位置・渋滞情報を把握できる
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ルートの地図・配送先一覧表・ピッキングリストを印刷できる
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ドライバーがスマホで動態管理できる
●車両管理機能
「車両管理機能」は「動態管理システム」「GPS運行管理システム」ともいいます。「到着時刻の予想機能」で設定した目的地の到着時刻を予測でき、効率的な配車・配送計画が可能です。管理者が走行している車両の位置情報を管理・記録ができます。位置情報により日報を自動で作成できるほか、事故防止のための安全運転指導もできるのが特徴です。
道路事情・交通ルール・積載量・稼働時間により効率的で無駄のない配送ルートを作成できるでしょう。そのため、新人ドライバーでも配車に悩まずに即戦力になれます。車両管理機能は、複数台の車両を持つ一般企業と輸送・運輸企業に向いた機能です。
配車管理システムを導入するメリット
配車管理システムを導入するメリットは以下の3点です。
●リアルタイムで配車を管理できる
配車管理システムの導入によりリアルタイムで配車を管理できます。AIが効率的な配送ルートを提案してくれるため、配送業務の効率化が可能です。配送ルートで渋滞が発生した場合でも周辺の道路状況から新たなルートの設定ができます。荷物の割り当ての自動化もできるため業務を大幅に減らせます。
また、待機中の車両や配送中の車両、帰路についている車両の情報をリアルタイムで把握できるので、事故やトラブル時もスムーズな配車変更が可能です。
●業務の効率化につながる
配車管理システムを導入すると、業務の効率化につながります。配車管理システムは、「配車計画の作成」「最適な配送計画の立案」などができるため、業務負担を減らすことが可能です。
これまでは、配送先に合わせて費用・時間を計算し配送ルートを作る必要があるため、経験豊富なベテランドライバーが配車計画を立てていました。そのため担当者が休みを取った場合、状況の把握が難しかったり、引き継ぎに時間がかかったりなどの問題があったのです。
配車管理システムは、ベテランドライバーの知識・ノウハウを活かせ、経験が浅いドライバーでも配送計画を立てることができます。配車業務をシステムに代替できるため、スタッフは本来の運送業務に集中でき、会社の業績アップにもつなげることも可能です。
●コストの削減ができる
配車管理システムでは効率的な配送ルートを設定できるため、走行時間や燃料を削減し、大幅なコスト削減が可能になっています。ドライバーの業務が効率的になると、車両・人材のコストを削減できるだけではなく、業務・時間の無駄も省けます。
また、従来の手作業で発生していた誤配送・誤納品による再配送も減らすことが可能です。燃費効率の無駄がなくなり人件費も削減できるため、大幅なコスト削減が期待できるでしょう。
配車管理システムは「2024年問題」を解決するカギにもなる
2024年問題とは「働き方改革関連法」の施行にともない、時間外労働の上限規制など物流業界で生じる様々な問題を指す言葉です。
物流業界では、2024年に「物流会社の売上・利益の減少」「ドライバーの収入の減少」「荷主が支払う運賃の上昇」などが発生することが想定されます。
上記の影響が起こる原因として挙げられるのが下記の問題です。
●時間外労働時間の規制
2024年4月1日より、物流業事業者の時間外労働時間は、年間「960時間」まで規制されます。月20日出勤の物流ドライバーの場合、残業できるのは1日4時間までです。現在、物流ドライバーは以下の業務を行っています。
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人員・物資の運搬
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運行日誌の記入
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配送物資の積み下ろし
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車両の整備・清掃
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新人ドライバーの育成・教育
上記のように物流ドライバーは様々な業務を行っているため、4時間の残業では足りないでしょう。実際に厚生労働省が公表している資料によると、時間外労働時間は「大型トラックドライバー:35時間/月」「中小型トラックドライバー:31時間/月」です。そのため物流業界はほかの業種と異なり、規制開始まで5年間猶予されていました。しかし、2024年には時間外労働の規制が始まるため、物流業界はこの問題に対応しなくてはなりません。
出典:厚生労働省「参考資料1 改善基準告示見直しについて」
時間外労働の上限規制とは以下の通りです。
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年720時間以内
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月100時間未満(休日労働を含む)
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複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
2024年には、時間外労働時間に上限がかかるためドライバーの収入が減少する可能性があります。
●時間外割増賃金引上げ
2023年4月より時間外割増賃金は25%から50%に引き上げられます。その結果、物流会社の人件費も大幅に増加するでしょう。
規制強化によって経営が圧迫されるのは中小の物流会社です。人件費は削減できますが、オフィスの賃料・減価償却費などの固定費は減少しません。そのため、物流会社は売上だけではなく利益も減少するリスクがあるでしょう。
●同一労働同一賃金
2020年4月より正社員と非正規社員の「同一労働同一賃金」のルール整備が始まりました。このルールは賃金や手当などの格差をなくすことを企業に義務づけたものです。しかし、物流業界では業務内容が「車の運転」「人・物資の輸送」であるため、正社員と非正規社員の仕事にほとんど差はありません。そのため、ほかの業界と比較し評価がつけづらいのが物流業界の課題です。
上述の2024年問題を解決するカギとなるのが配車管理システムです。配車管理システムは、配送先・荷物情報・車両・車庫情報・ドライバー情報を入力することで、最適な配車・配送計画を作れます。配車業務にかかる手間や時間が大幅に削減でき、空いた時間を営業・ミーティングなどにあてられるでしょう。その結果業務の効率化にもつながります。
配車管理システムを選ぶ時のポイント
配車管理システムを選ぶ時のポイントは下記の3点です。
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活用したい機能があるかチェックする
-
GPSの方式を基準に考える
-
システムの操作性・使いやすさを重視する
●活用したい機能があるかチェックする
配車管理システムを選ぶ場合、自社が活用したい機能があるかどうかチェックする必要があります。
機能 | 実現したい内容 |
---|---|
配車管理システム |
|
AIによる自動配車システム |
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車両管理システム |
|
対応範囲を超えたシステム | ・例)車両管理システムの機能を持った自動配車システム |
GPSによる位置情報の確認 |
|
●GPSの方式を基準に考える
配車管理システムを選ぶ場合、GPSの方式を基準に考えます。車載デバイスを搭載する場合、様々なデバイスで簡単に設置できると導入費用が安く済むでしょう。一方設置工事が必要なタイプは取り付けやメンテナンスがかかるため、初期費用が高くなります。
機能 | 実現したい内容 |
---|---|
配車管理システム |
|
AIによる自動配車システム |
|
車両管理システム |
|
対応範囲を超えたシステム | ・例)車両管理システムの機能を持った自動配車システム |
GPSによる位置情報の確認 |
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●システムの操作性・使いやすさを重視する
配車管理システムは、ドライバーにとって使いやすいものを選びましょう。
運行管理者には操作になれるまで時間をかけられますが、ドライバーは時間をかけることができません。「直感的に操作できる」「簡単に日報を作成できる」「燃費が見やすい」などのポイントから選ぶことが重要です。
導入する時に注意したいこと
配車管理システムを導入する場合、注意すべき点は以下の2つです。
-
社内のネットワーク環境を整備する必要がある
-
社員によっては監視されている印象を持ってしまう
●社内のネットワーク環境を整備する必要がある
配車管理システムを導入する場合、社内のネットワーク環境の整備が必要です。また、使いこなせるまで時間がかかる場合もあるので、事前にメーカーサポートを受けることをおすすめします。
●社員によっては監視されている印象を持ってしまう
配車管理システムはリアルタイムで配車の状況を確認できます。そのため、社員によっては監視されている印象を持ってしまう場合もあります。
システム導入の目的を社員に理解してもらうことが重要です。
何が違う?配車管理システムと車両管理システムの違い
配車管理システムと車両管理システムは何が違うのでしょうか?両者の違いは下記の通りです。
システム名 | 特徴 |
---|---|
配車管理システム |
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車両管理システム |
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車両管理システムについては、以下のページでご紹介しています。
「車両管理システムで業務が改善できる?導入するメリットとは」
導入の目的をしっかり共有して皆が使いやすいシステムを
配車管理システムとは、配車・運行計画の作成、配送ルートの管理をサポートするシステムです。経験豊富なベテランドライバーが行っていた配送計画立案を配車管理システムで簡単に作成できるようにしました。経験の浅いドライバーでも地図上の配送先と配送車両を見ながら簡単に配送計画が立てられます。
「最短ルートの作成」「車両台数・種類の見積もり」「担当ドライバーの動態・実績の把握」などの自動化により業務の効率化につながるのがメリットです。配車管理システムを選ぶ場合、自社が活用したい機能があるかどうかチェックし、ドライバーにとって使いやすいシステムを選びましょう。
配車管理システムの導入について、自社だけで対応するのが不安という場合は、外注での導入も検討してみてください。
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