仮想マシンとは、ソフトウェアを使って1台のコンピューター内に疑似的に再現したコンピューターを作る技術のことです。
仮想マシンという言葉は、近年様々な場所で使われており、聞いたことはあっても意味は良く分からないという人も多いのではないでしょうか。
インターネットが普及し、パソコンやスマートフォンの利用が当たり前となった現在だからこそ、仮想マシンについても理解しておきたいところです。
この記事では、仮想マシンとは一体なんなのか、どんな特徴があるのか、メリットやデメリットなど、今さら人には聞けない仮想マシンの基本情報を解説します。ぜひ最後まで読んで、仮想マシンについて理解を深めてください。
目次
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仮想マシンとは?
仮想マシンとは、仮想化技術を利用して、コンピューター内にもうひとつのコンピューターを再現する技術のことです。これだけでは、なかなか理解が難しいと思いますので、仮想化マシンの詳しい説明の前に、そもそもの「仮想化」について解説します。
仮想化とは、物理的な環境にとらわれることなく、ハードウェアに含まれるCPU、メモリ、ストレージなどのリソースなどを論理的に分割・統合する技術のことです。これにより、仮想化されるものには、仮想マシン以外にも、仮想サーバー、仮想ストレージ、仮想ネットワーク、仮想メモリなどがあります。
では本題の仮想マシンについては、冒頭でも述べている通り、仮想化の技術を用いて疑似的なコンピューターを再現し、動作させる技術のことを指します。そのため、1台のコンピューターを複数あるように分割し、動作させることが可能です。また、仮想マシンを使うことで、複数の異なるオペレーティングシステムを、たった1台のコンピューター上で同時に実行できるようになります。物理マシンでは、難しかったことも仮想マシンの登場によって可能になったのです。
ちなみに仮想化の技術は、近年でも特に発展し、実用化も進んでいる技術です。昨今の新型ウイルスの流行により、在宅勤務やテレワークが日本国内の企業でも普及しつつあります。そうした新しい生活様式によって、仮想マシンのニーズも広がっているのです。
●仮想マシンでよく聞く「ホストOS」と「ゲストOS」の違い
仮想マシンや仮想化を説明する中で、度々登場するのが「ホストOS」と「ゲストOS」です。ホストOSとは、仮想マシンにおいてベースとなるコンピューターに搭載されているOSのことで、ゲストOSとは仮想マシン環境にインストールして稼働するOSのことです。
例えば、Macのコンピューターを使って仮想マシン環境を用意し、Windowsをインストールしたとします。この場合、基盤となるのはMacになるため、Mac側が「ホストOS」となり、Windowsが「ゲストOS」となるのです。このホストOSとゲストOSは仮想マシンの説明の中でも良く登場しますので、覚えておくと内容をより理解しやすくなります。
仮想マシンの歴史は古い
仮想マシンの歴史は、実は古いものです。1960年代に使われていた大型汎用機(大企業や官公庁などの基幹情報システムなどに用いられる大型のコンピューター機器のこと)が現れた直後には、既に仮想化マシンが使われていました。また、ユーザー間でコンピューターリソースを共有して利用できるタイムシェアリングという仕組みが、仮想マシンの起源とされています。
大型汎用機を使用していた時代から、安価なハードウェアが多く乱立する時代にシフトしていくことになり、物理的な分散環境での運用が中心となっていきました。しかし、管理する物理マシンの対象が増えることで運用負荷が増加していった経緯があり、近年改めて仮想化技術が注目されるようになっていったのです。仮想マシンという言葉を、最近になって良く聞くようになった人も多いかもしれませんが、実際には昔から必要とされていた技術で、時代と共に再注目を浴びている技術といえます。
仮想マシンのアーキテクチャの種類
仮想マシンには、主に「ホスト型」、「ハイパーバイザー型」、「コンテナ型」の3種類のアーキテクチャ(ソフトウェアまたはハードウェアの基本的な設計概念)があります。それぞれの違いを解説します。
●ホスト型の仮想マシン
ホスト型とは、物理マシンにWindowsやLinuxなどのOSをインストールして、その中に仮想ソフトウェアとなるアプリケーションをインストールして、仮想マシンを実現させる方式のことです。ホスト型のメリットは、既に利用しているパソコンやサーバーにも簡単にインストールできるため、導入しやすいという点が挙げられます。
ホスト型の代表的なソフトウェアは以下の通りです。
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VMware Player
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Microsoft Virtual PC
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Oracle Virtual Box
●ハイパーバイザー型の仮想マシン
ハイパーバイザー型は、ホストのOSを使わずに直接サーバーにソフトウェアをインストールして仮想マシンを実現する方式のことです。現在、最も主流な方式としてハイパーバイザー型が浸透しています。メリットとしては、ホストOSが不要で直接ハードウェアを制御できるようになることから、仮想マシンの処理速度低下を最小限に抑えられるといった点が挙げられます。
ハイパーバイザー型の代表的なソフトウェアは以下の通りです。
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VMware vSphere ESXi
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Citrix XenServer
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Hyper-V
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KVM
●コンテナ型の仮想マシン
コンテナ型は、物理マシンにWindowsやLinuxなどのホストOSをインストールして、コンテナ管理ソフトウェアをインストールして利用する方式のことです。コンテナ型は、アプリケーションやソフトウェアを実行環境と共にコンテナイメージ(コンテナのテンプレートファイル)として包括することから、コンテナ型と呼ばれています。コンテナ型の場合、コンテナイメージやソフトウェアそのものが軽量という特徴が挙げられます。
コンテナ型の代表的なソフトウェアは以下の通りです。
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Docker
代表的な仮想マシンを紹介
仮想マシンは、様々な企業から提供されています。その中でも代表的な仮想マシンを紹介しますので、参考にしてみてください。
●Oracle Virtual Box
仮想マシンの中でも特にメジャーなものとして、Oracle社が提供する「Virtual Box」で、世界でも人気の高い仮想マシンとなっています。
特徴としては、「スナップショット」や「シームレスモード」、「共有フォルダ」、「クリップボードの共有」などの仮想マシンを活用するにあたり、欠かせない機能が入っている点です。様々なニーズに応えられる仮想マシンということで、「Virtual Box」を利用する人が多いといえます。
●Microsoft Virtual PC
Microsoft社が提供している仮想マシンのソフトウェアが「Microsoft Virtual PC」です。もともとは、アメリカのコネクティクス社が開発をしていた製品で、当初はアップル社の「Mac OS X」で「Windows」を使用できる仮想化ソフトとして発売されていました。その後、Windows版も販売していましたが、Microsoft社によってコネクティクス者が買収されて、Windows版は無償で提供されるようになったのです。
●KVM
KVMとは、Linuxに組み込まれたオープンソースの仮想化マシンのことです。KMVを使用すると、Linuxをハイパーバイザー型に変貌させることが可能になります。これにより、基盤となるコンピューターでは、複数の独立した仮想環境を稼働することが可能になります。
ちなみに、KMVはLinuxのバージョンがLinux2.60.20以降であれば、標準搭載されているものです。そのため、Linuxを使っており仮想マシンを使用してみたいと考えている方は、一度KMVを利用してみてはいかがでしょうか。
仮想マシンを活用するメリット
仮想マシンを活用することで以下のようなメリットが得られます。
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コスト削減ができる
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セキュリティ面でも安心できる
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複数のOSで確認できる
●コスト削減ができる
仮想マシンを活用することで、物理的なパソコンやサーバーといったハードウェアが不要となります。また、物理的なハードウェアが存在すると、機器を追加購入したり、メンテナンスが必要になったりするなど、維持費として大きなコストが継続的に発生します。その点、仮想マシンであれば、1台のマシンで複数のシステムを稼働させることができるため、物理的なハードウェアの台数を削減できるようになり、コストを最小限に抑えられるようになるのです。
●セキュリティ面でも安心
仮想化しない場合でも、1台のコンピューターで複数のサービスを動かすことは可能です。しかし、万が一、セキュリティホールを突破されてしまった場合、全てが乗っ取られてしまう可能性があります。そうしたセキュリティ面でのリスクを、仮想マシンなら軽減させることができるのです。とはいえ、必ずホストOSもゲストOSもセキュリティ対策をした上での話になるため、何の対策もしなくて良いというわけではありません。
セキュリティを盤石なものにするためにも、適切なセキュリティ対策を講じることで、より安心して仮想マシンを活用できるようになるのです。
●複数のOSで確認できる
仮想マシンを活用することで、複数のOSでシステムの稼働状況を確認できます。通常、必要なOSに応じてパソコンやサーバーを用意する必要がありますが、仮想サーバーであれば、ゲストOSを利用すれば物理的なハードウェアを準備する必要がありません。必要な時に、ゲストOSとしてインストールするだけで、複数のOSでシステム稼働状況を確認できるようになるため準備の手間も省けて便利です。
仮想マシンを導入するデメリット
仮想マシンを導入することで生じる、以下のようなデメリットに注意しなければなりません。
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物理環境よりも性能が劣る
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仮想技術を修得した人材の確保が必要になる
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状況によってコストが高くなる
●物理環境よりも性能が劣る
仮想マシンは、物理的な環境に比べて性能が劣ることがあります。そのため、厳密なパフォーマンスが要求されるようなアプリケーションを稼働させる場合には、不安定な面があるのは否めません。作業場、安定したパフォーマンスが必要になる場合は、物理的な環境を利用する方が良い場合もあるでしょう。そのため、仮想マシンを利用する際には、どんなアプリケーションを使うのか考えて最適な方を選んでください。
●仮想技術を修得した人材の確保が必要になる
仮想マシンを活用するにあたり、通常の知識や技術以外も必要になります。安定して安全に運用するには、仮想化における専門知識や技術を持つ人材が必要です。企業によっては、仮想マシンを導入するために、新たに人材を確保する必要があったり、対象者を教育して知識や技術を身につけたりするための教育コストが必要になる場合があります。
●状況によってコストが高くなる
仮想マシンを導入するにあたり、あまりにも小規模な環境で行う場合には、導入コスト・運用コストが高くなる可能性があります。仮想マシンを導入するのであれば、ある程度の規模がないと、導入コストの割に合わない可能性があるためシミュレーションを行い、本当に導入するべきかを確認する必要があるのです。また、極端に大規模な環境となると運用コストが高くなる場合もあります。どちらにしても、仮想マシンを導入する前には、必ずシミュレーションや見積もりを出して、コストメリットとして最適かどうかを再確認してください。
仮想マシンを活用してより良いビジネスを!
仮想マシンを導入することで、1台のコンピューターで複数のコンピューターを動かせるようになります。導入して活用することでのメリットが多くある反面、デメリットや注意点もあるため、しっかり理解した上で検討することが大切です。
とはいえ、仮想マシンの導入は多数の企業で進んでいる技術となっています。メリットとデメリットをしっかり知識として持った上で、上手く活用することができればコスト削減ができる以外にも、管理面・運用面での手間を省くことも可能になるのです。
また、仮想マシンを導入することで、業務の環境も変わり、様々な可能性を広げることができます。これだけ話題になって活用されている仮想マシンだからこそ、必要な場合には導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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