VPNサーバとは、「Virtual Private Network」の略称で、日本語にすると「仮想専用線」です。例えば、テレワークやリモートワークで、自宅にいながらも社内のネットワークにつながり仕事ができる状態を指します。簡単にいえば、どんな場所でも社内にいるのと同じネットワーク環境になれる仕組みのことです。
この記事では、ますます需要が高まるVPNサーバについて、基本情報からメリット・デメリットまで解説していきます。
目次
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VPNサーバとは?
VPNとは、「Virtual Private Network」の略語です。日本語にすると、仮想専用線となり、会社のネットワークを自宅やサテライトオフィスなどでも使えるようにつながっている状態を指します。新型ウイルスの流行によって、企業ではテレワーク・リモートワークが必要になりました。そんな時に、どんな場所にいても、社内と同じネットワーク環境で業務ができるVPNの需要が高まっているのです。
VPNサーバの技術は、2000年代前半に登場しました。それまでは、物理的に回線工事を行い通信ができる「専用線」が活用されていましたが、導入するための時間や費用が大幅にかかることが課題となっていました。そんな時に、ブロードバンド化が進み、高速転送が可能となったインターネットを活用した「VPN」が誕生して、今につながっています。
VPNサーバの種類と適性
VPNサーバの種類には、「インターネットVPN」と「IP-VPN」の2種類があります。それぞれに特徴や適性があり、VPNサーバを導入する前に、どちらが自社に最適な方法であるかを確認しておきましょう。
●インターネットVPNの特徴
インターネットVPIは、オープンなインターネット回線(既存の公衆回線)を利用する方法です。インターネットVPIを利用するには、送受信側で専用の機器やソフトウェアが必要となります。
インターネットVPIの特徴としては、インターネットに接続できる環境さえあれば導入が可能で、低コストというのが挙げられます。さらに、VPNサーバの構築においても、IP-VPNに比べると難しくないため、導入時のハードルが低いタイプといえます。
●IP-VPNの特徴
IP-VPNは、専用のネットワークを利用する方法です。オープンなインターネットを利用するインターネットVPNに比べて、外部から侵入できないように閉鎖されています。そのためIP-VPNのほうが、より安全に情報のやり取りが行えます。さらに、閉鎖されている専用ネットワークであるため、データの送受信も安定安心して行えるというのも特徴の1つです。一般的に、企業で利用するVPNは、セキュリティ面を考えてIP-VPNを活用しているところがほとんどです。
VPNと専用線の違い
前述している通り、VPNサーバが普及する前は、「専用線」が活用されていました。専用線とは、拠点と拠点の間を通信業者が用意した回線で通信するものです。専用線なら通信業者に依頼をして、1社のみ使える専用回線となるため、ハッキングや情報漏洩のリスクが低く、安全性の高いネットワークです。
●VPNと専用線の比較
VPN | 専用線 | |
---|---|---|
柔軟性・拡張性 | 既存の回線を利用するため変更や拡張が用意 | 物理的な回線を利用するため 変更・拡張は簡単にはできない |
コスト | 既存の回線を共同利用できるので 専用線よりコストが低い |
回線工事が必要となりコストが高い |
複数拠点での 接続 |
可能 | 不可能 |
セキュリティ | 種類によって異なる 専用線と同等のセキュリティは難しい |
物理的な回線を利用しているので セキュリティは強固 |
VPNと専用線の違いは以下の通りです。
専用線にするとなると回線工事が必要になります。また、専用回線は1拠点につき1本が必要になるため、複数の拠点で接続できるようにするには、必要な分の回線工事と費用が必要で、コストが高くなる傾向にあります。さらに、物理的な回線を利用することから、変更や拡張は簡単にはできず、複数拠点での接続もできません。
一方、VPNであれば既存の回線を共同利用できるので、専用線で新たに回線工事をするよりもコストを抑えられます。また、拡張や変更なども容易にできますし、複数拠点での接続も可能です。専用線と比べると、セキュリティ面では劣る部分もありますが、テレワークの需要が高まる昨今は、VPNを活用する企業が増えています。
VPNを利用するメリット
VPNを利用するメリットには、「モバイル端末でも社内ネットワークへのアクセスが可能」、「通信を暗号化できるため安全」、「複数の拠点で接続できる」、「導入コストが抑えられる」などが挙げられます。
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モバイル端末でも社内ネットワークへのアクセスが可能
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通信を暗号化できるため安全
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複数の拠点で接続できる
-
導入コストが抑えられる
●モバイル端末でも社内ネットワークへのアクセスが可能
VPNサーバを使うことで、パソコンだけではなくモバイル端末からでも社内ネットワークにアクセスできるようになります。
近年、働き方改革や新型ウイルスの影響により、在宅勤務やテレワークといった、場所にとらわれない働き方が増えています。また一般的には、パソコンを従業員に供給し社内で業務を行いますが、在宅勤務やテレワークとなるとノートパソコンやタブレットなどを支給し、業務を行ってもらうことになります。また、デバイスの支給がない場合には、従業員が所持しているパソコンやモバイル端末と社内サーバをつながなければなりません。専用線では、モバイル端末まで対応できないことがありましたが、VPNサーバであれば場所だけではなく、様々なデバイスに柔軟に対応できるというメリットがあるのです。
●通信を暗号化できるため安全
VPNサーバのメリットとして、通信内容を暗号化できるという点が挙げられます。営業や打ち合わせなどで客先に訪問するとなると、外出先から社内サーバやシステムにアクセスしなければならないタイミングもあるでしょう。企業において、通信環境の安全性が求められており、第三者に通信内容を盗み見られたり、抜き取られたりしないようにする必要があります。
VPNサーバを利用すれば、通信内容を盗み取られないよう守るための暗号化機能があるため、安全にデータ通信が可能です。そのため、在宅勤務やテレワーク、リモートワークなどでも安心して社内サーバにアクセスし、業務ができます。
●複数の拠点で接続できる
VPNサーバを使うことで、距離に関係なく全国各地、海外などに拠点がある場合でもアクセスが可能です。また、専用線との違いでも話した通り、自社と拠点間のみの通信だった専用線と比べても、VPNなら拠点が複数ある場合にも、既存の回線を使うので柔軟な対応ができます。
●導入コストが抑えられる
専用線を使っていた時代の頃に比べると、VPNを活用することで大幅に費用を抑えられるようになりました。特にインターネットVPNの場合は、導入するための初期工事もほとんど必要なく、導入ハードルが低くなっています。導入する際の費用だけではなく、継続的に使っていくうえでの運用コストも低くなるといったメリットもあるのです。
VPNを利用するデメリットと注意点
VPNを利用するデメリットには、「情報漏洩のリスクがある」、「通信速度が遅くなることがある」、「拠点数が多いと管理が煩雑になる」などが挙げられます。
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情報漏洩のリスクがある
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通信速度が遅くなる・接続台数に限りがある
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複数の拠点で接続できる
●情報漏洩のリスクがある
VPNサーバの種類でも述べている通り、インターネットVPNを利用する際は、既存の公衆回線を使うことになります。これは、オープンになっているものなので、第三者に攻撃を受けて情報を盗み取られてしまうことが考えられます。そのため、企業でVPNサーバを使う場合には、企業専用のIP-VPNを使うのが一般的となっていますが、情報漏洩のリスクはまったくのゼロではありません。
特に、VPNの設定が適切に行えていないのに気づかず使用し、情報漏洩を助長してしまうこともあります。また、セキュリティ対策が行われておらず、なんらかのウイルス感染をしているパソコンやモバイル端末から社内サーバにアクセスした場合、二次被害を引き起こす可能性もあるのです。とても便利なものである一方、こうしたリスクがあることも念頭にVPNサーバを上手く活用するよう心がけてください。
●通信速度が遅くなる・接続台数に限りがある
インターネットVPNを使用した場合、時間帯によって通信速度が遅くなる場合があります。これは、公衆回線を使っているためで、IP-VPNであれば、接続台数が一気に集中しない限りは問題ありません。しかし、利用するVPNの種類によっては、接続できる台数に限りがあります。
特に大企業ともなると、リモートアクセスしなければならないデバイスも多くなるはずです。自社でVPNサーバを構築する際には、接続しなければならない台数を把握したうえで、規模に合わせた調整が必要です。
●拠点数が多いと管理が煩雑になる
拠点数や規模が多くなると管理が煩雑になり、トラブルに対応できないことがあります。例えば、VPNサーバを自社で構築した場合、管理に関しても自社で行う必要があります。セキュリティ面で最も重要な部分でもあるため、VPNサーバの管理はしっかり行わなければなりません。しかし、拠点数や接続台数が多くなり、規模が大きくなると管理の負担も大きくなります。
管理が煩雑になると、何かトラブルがあった時に対処ができない事態が発生する可能性もあります。素早く対処できる体制を整えるためには、それぞれの拠点に管理者を置くことが望ましいのですが、人手不足の場合には難しい部分もあるでしょう。VPNサーバを自社で構築する場合には、適切な管理体制を維持するには、どれくらいの費用と労力が必要かをシミュレーションしておくことをおすすめします。
VPNサーバの構築について
「IP-VPN」と「インターネットVPN」では、VPNサーバの構築方法が異なります。ちなみに、IP-VPNに関しては、通信業者に依頼をして構築してもらわなければなりません。その分、VPNサーバを構築する費用はかかるものの、後の構築作業は通信業者にお願いできる気軽さがあります。一方、インターネットVPNは、一般回線を使って自社での構築も可能です。
●インターネットVPNを構築する方法
IP-VPNは通信業者に依頼をして構築してもらうことになるため、以下に自社構築が可能なインターネットVPNサーバを構築する基本的な流れを紹介します。
- 利用するPCにVPNサーバのソフトウェアをインストールする
- データを送受信する双方の拠点でルーターを設置する
- ソフトウェアをインストールしたら、管理者パスワードの設定を行う
- 機種によっては「サイト間接続」または「リモートアクセス接続」のいずれかを選ぶ
- どのプロトコルを利用するかを選択
- IPsec、L2TP/IPsecなど使う項目にチェックを入れる
●インターネットVPNを利用する際に押さえておきたいポイント
インターネットVPNを利用する際には、対象となるパソコンにVPNサーバのソフトウェアのインストールが必要です。インストールができていなければ使えませんので注意してください。ちなみに、接続先のデバイスによっては、すでにVPN機能が標準搭載されている場合があります。この場合は、ソフトウェアのインストールは必要がありません。
また、各拠点にルーター(異なるネットワークを接続するための装置)の設置が必要です。例えば、ルーターが1箇所にしかない場合は、VPN接続ができないため、送受信する双方にルーターを設置してください。ちなみにルーターを選ぶ際に、VPNに対応しているかも確認しましょう。そして最後に、ソフトウェアをインストールしたら必ず管理者のパスワード設定を忘れずに行い、接続確認を行い問題なければ完了です。
上記の通り、VPNサーバの構築には、知識や経験が必要です。また、その後の管理ができる人材も必要になります。
VPNサーバを利用したいと考えているものの、自社で構築まで行う場合には、人材確保の部分がクリアしていればチャレンジしてみてください。人材確保が困難な状況、IP-VPNの利用を考えている場合には、業者に依頼をしてVPNを活用しましょう。
賢くVPNサーバを活用しよう!
働き方改革や新型ウイルスが猛威を振るい、企業はテレワークへの移行が求められています。今後も、インターネット技術が発展していけば、あらゆる業界で場所や時間を選ばない働き方が普及していくでしょう。そうした新たな様式を企業が取り入れ、セキュリティ面でも従業員が安全に業務を遂行できるように環境を整えていく必要があります。そうした際に、VPNが有効活用できます。また、VPNを、クラウドサービスも一般化してきているため、ますます在宅勤務やテレワークが広まる昨今では導入が進んでいくことになるでしょう。
VPN製品は数多く発売されています。大企業向けのものから中小企業向けまで、様々なタイプがありますので、自社に合った製品を選んで適切に運用してください。
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