
企業では経営会議から、チームミーティングまで、さまざまな種類の「会議」が日常的に開催されています。
従来の会議は、会議を行うための部屋やスペースを確保したうえで、参加者全員が同じ場所に集う必要がありました。しかし、通信技術の進歩により、物理的な場所の確保や参加者の招集が一切不要の「Web会議」という会議のスタイルが注目を集めています。今回は、Web会議の基礎知識から具体的な導入方法に至るまで、詳しく解説します。
目次
そもそもWeb会議ってどんな会議?

Web会議とは、その名の通り「インターネット上で行う会議」のことです。
●Web会議の基礎知識
Web会議とは、インターネットを通じて映像や音声のやり取りを行う会議のことです。パソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスとインターネット環境があれば、場所を問わずどこからでも参加できます。参加者全員が同じ場所に集まる必要がないため、会議室の確保や移動の手間を省くことができます。
名前こそ「会議」ですが、Web会議はセミナーや講義の開催、クライアントとの商談、在宅勤務やリモートワークなど、多彩なシーンで活用できるのもポイントです。その特徴から、企業によってはWeb会議のことを「オンライン会議」と呼ぶこともあります。以下では、Web会議とオンライン会議を同義の物として扱います。
●Web会議が注目されている理由
Web会議が注目される背景には、働き方の多様化があります。特に近年は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業がリモートワークを導入し、Web会議の需要が飛躍的に高まりました。
1990年代のインターネット普及初期には、遠隔でのコミュニケーションは主にメールやチャットが主流でした。しかし、通信技術の進化によって、映像や音声のやり取りが安定して行えるようになり、より円滑なコミュニケーションが可能になっています。
このようなインターネットならではのメリットを活用しようと、多くの企業がWeb会議の導入を検討しています。
業務でWeb会議を導入するのに必要な機材は?

冒頭で述べた通り、Web会議に参加するには「モバイル機器」と「インターネット環境」が必要です。音声や映像の通信に必要となるカメラやマイクなどを含めると、Web会議の導入に必要な道具は以下の通りです。
- パソコン(タブレット端末)またはスマートフォン
- インターネット環境
- マイクスピーカー
- Web会議ツール
- Webカメラ
ここで言う「Web会議ツール」とは、その名の通り「Web会議が行えるアプリケーション」のことです。シンプルさと汎用性の高さに定評のある「Chatwork(チャットワーク)」や、ビジネス向けにカスタマイズされた「Zoom(ズーム)」、マルチデバイスに対応している「Google ハングアウト」など、企業間で高い人気を誇るWeb会議ツールも数多く存在します。
Web会議を企業で導入するメリット5選

Web会議の導入は、コスト削減や生産性向上だけでなく、多様な働き方への対応やリスク管理にもつながります。ここでは、企業がWeb会議を導入することで得られる主なメリットを5つ紹介します。
- 働き方を問わず会議に参加しやすい
- 移動時間や交通費などのコストを削減できる
- 感染症や災害のリスクを抑えられる
- プレゼンテーションが行いやすい
- 緊急時の対応力向上
●働き方を問わず会議に参加しやすい
Web会議には、時間や場所にとらわれず会議に参加できるため、育児や介護などさまざまな事情を持つ従業員同士でも参加しやすいのが大きな特徴です。「働き方改革」や「テレワーク」の浸透が進んだ現代社会において、Web会議は多様な働き方を実現するための理想的なツールと言えます。
従業員が、自宅やレンタルオフィスなどから会議に参加することで、情報共有の迅速化や移動時間の削減、業務効率化といったメリットが生まれます。
●移動時間や交通費などのコストを削減できる
複数の拠点を持つ企業や、遠方の取引先との会議が多い企業にとって、Web会議は大きなコスト削減効果をもたらします。
参加者の移動にかかる時間や交通費、宿泊費を大幅に削減できるだけでなく、会議室の確保や関連備品の手配といった間接的なコスト削減にも効果を発揮するでしょう。
これにより、企業の経費削減に大きく貢献するだけでなく、より生産的な活動にリソースを集中できるようになります。
●感染症や災害のリスクを抑えられる
現代社会においては、世界各国で猛威を振るうコロナウイルスなどの感染症拡大に伴い、企業レベルの感染症対策が重要視されています。従来の対面会議は、「会議室に複数人が集う」という特性上、参加者が多いほど感染リスクが高まります。一方Web会議であれば、参加者数に関係なく感染リスクを抑えることが可能です。
また、地震や台風といった自然災害が発生した場合でも、各自が安全な場所から会議に参加できるため、事業継続性の確保(BCP対策)にもつながります。
●プレゼンテーションが行いやすい
多くのWeb会議ツールには、「画面共有」という機能が備わっており、参加者全員に同じ資料や画面を表示できます。これにより、画像や動画を使った効果的な情報共有が可能になります。
また、クラウド上に保存された資料を共有すれば、最新の情報を常に共有可能です。プレゼンテーションを行う際に紙の資料を事前に印刷する必要がなくなるため、印刷コストや手間を削減できるのも利点と言えます。
さらに、チャット機能を使って、会議中に質問やコメントを受け付けることで、双方向性の高いプレゼンテーションを行うことも可能です。
●緊急時の対応力向上
Web会議は全員が会議室などに集まる必要がないため、不測の事態が発生した場合でも、インターネット環境さえあれば、迅速に情報共有や意思決定を行うことができます。
例えば、システムトラブルや顧客からの緊急クレームが発生した際も、関係者がすぐに集まって状況を共有し、対策を検討できます。これにより、初動対応が迅速になり、被害を最小限に抑えることが可能です。Web会議は、企業のリスクマネジメントにおいて重要な役割を果たしてくれるツールとなっています。
Web会議のデメリットとは?

Web会議は便利な一方で、いくつかのデメリットも存在します。導入を検討する際は、これらの課題を理解し、適切な対策を講じることが重要です。ここでは、主なデメリットと対策の例を紹介します。
- 情報漏洩のリスクが高い
- 通信トラブルに弱い
- 場の雰囲気を把握しにくい
- 大人数の会議に不向きな場合がある
- 集中力が維持しにくい
●情報漏洩のリスクが高い
Web会議は、インターネット上でデータのやり取りを行うため、情報漏洩のリスクがつきまといます。第三者の不正アクセスが発生した場合、機密性の高い会議資料がダウンロードされたり、通話内容が傍受されたりする可能性もゼロではありません。そのため、Web会議ではサイバーセキュリティの観点からの対策が不可欠です。
このリスクを軽減するためには、情報の暗号化や端末の二段階認証、強固なパスワード設定といったセキュリティ対策が必須です。また、参加者全員が信頼できるネットワーク環境を利用し、不要な情報共有を避けるといった意識も重要となります。
●通信トラブルに弱い
Web会議は、すべての参加者の通信状態が良好であることを前提としています。ネットワーク回線が不安定だったり、通信障害や使用している機器にトラブルが発生したりすると、映像や音声が途切れたり、フリーズしたりする可能性があります。これにより、会議の進行が滞り、参加者が内容を十分に理解できなくなることも少なくありません。
特に、参加者の人数が多くなるほど通信データ量も増加するため、トラブルが起きやすくなります。スムーズな会議を実現するためには、通信速度の安定したインターネット環境の確保や、マイクやカメラなどの機器を事前にテストしておくことが不可欠です。万が一に備え、代替の通信手段を用意しておくことも検討しましょう。
●場の雰囲気を把握しにくい
Web会議は、通信機器の画面越しに会議を行うため、参加者の表情や声のトーン、身振り手振りといった非言語的な情報が伝わりにくく、場の雰囲気や空気感が分かりにくい傾向があります。そのため、意見交換が必要な場面では、「発言のタイミングがわからない」「自分の意見が十分に伝わっていないのではないか」と感じる人も少なくありません。
その結果、活発な議論が生まれにくくなり、商談や打ち合わせが思うように進まないケースも見受けられます。この課題を克服するには、ファシリテーターが積極的に発言を促したり、チャット機能を活用して意見交換を補助したりするなどの工夫が求められます。
●大人数の会議に不向きな場合がある
Web会議は、参加人数が多いと、誰が発言しているのか特定しづらくなったり、誰が次に話せばいいのか分からなくなったりすることがあります。また、同時に多くの人が発言を希望すると、発言の順番や会議全体の進行が混乱しやすくなります。
そのため、特に規模の大きな会議や、活発な意見交換が求められる場面では、円滑に運用するためにも工夫が必要です。意見交換をいくつかのグループに分けて実施したり、事前に議題と発言者を決めておいたりするなど、明確なルールを設けることで、混乱を避けることができるでしょう。
●集中力が維持しにくい
Web会議は、対面での会議に比べて、周囲の環境による影響を受けやすく、参加者の集中力が途切れやすいとされています。自宅やカフェなどオフィス外から参加する場合、家族の声や電話の着信音、周囲の雑音などが集中を妨げることがあるため注意が必要です。また、参加者が自由に画面を切り替えられるため、マルチタスクに陥りやすく、会議に集中できないといった問題も起こり得ます。
長時間のWeb会議や多人数参加の場合は、休憩時間を適切に挟んだり、会議の目的を明確にしたりするなど、集中力を保つための工夫を行いましょう。
先に挙げた通り、Web会議は多くのメリットを得られる一方、インターネット特有のデメリットも存在します。企業でWeb会議を導入する際は、メリットとデメリットの両方を把握したうえで、導入を検討すると良いでしょう。
Web会議を導入する具体的な手順とは

Web会議の導入を成功させるためには、計画的かつ段階的に進めることが重要です。ここでは、具体的な導入手順を4つのステップに分けて解説します。
- Web会議を導入する目的の設定
- 使用するWeb会議ツールの選定
- 機材の調達
- マニュアルの作成
●Web会議を導入する目的を決める
まずは「なぜWeb会議を導入するのか」という目的を明確にしましょう。例えば、「テレワークや在宅勤務の促進」や「遠方の取引先やグループ会社との連携強化」「出張費や移動時間の削減」など、導入する目的は企業によってさまざまです。
あらかじめ目的を設定しておくことで、Web会議の導入に必要な機能やツール、機材の検討がスムーズに進みます。この導入目的に加えて、「準備できる予算はどのくらいか」や「どれほどの人数で利用するか」なども合わせて確認しておくと良いでしょう。
●使用するWeb会議ツールの選定
Web会議ツールは、ツールごとに機能や利用料金などが異なるため、先に決めた目的に見合ったものを選ぶようにしましょう。この時点で「すべての従業員に使いやすい設計か」「ツールのセキュリティ性に問題はないか」などもしっかり確認することが重要です。
ツール選びに失敗すると、導入後のトラブルや定着率の低下につながるため、無料トライアルなどを活用して複数のツールを比較検討するのがおすすめです。
●機材の調達
Web会議の品質は、マイクやスピーカー、Webカメラといった機材に大きく左右されます。選ぶポイントは企業ごとに異なりますが、「音声がクリアに聞こえるか」「映像が鮮明か」といった点を考慮して機材を選定しましょう。
高性能であることに越したことはありませんが、追加の費用が後々発生しないように、あらかじめ設定した予算内に収まるものを選ぶのが理想です。
●マニュアルの作成
どんなに優れたWeb会議ツールや機材を導入しても、従業員が正しく使用できなければ意味がありません。ツールの選定と機材の調達が完了したら、従業員向けのマニュアルを作成し、社内に周知しましょう。Web会議ツールや機材の使い方をはじめ、「困った時はどこに相談すれば良いか」といった、問い合わせ窓口を設けておくのも良い方法です。
なお、クライアントとWeb会議では、「取引先企業にも自社と同じWeb会議ツールが必要?」という疑問を持つ人も少なくないでしょう。中には導入が必要なツールもありますが、最近はブラウザから簡単にアクセスでき、相手側のインストールが不要なものも増えています。
商談や打ち合わせといった用途であれば、Zoom(ズーム)やCalling(コーリング)といった、インストールのいらないWeb会議ツールを選びましょう。これにより、顧客に負担を強いることなく、Web会議を行うことができます。
以上の手順を完了させることで、晴れてWeb会議の導入が完了します。とはいえ、技術者やITエンジニアがいない企業にとっては、「どんなWeb会議ツールを用意すべきか」「自社に最適な機材は」などの選定が困難なケースもあります。
判断が難しいようであれば、会社の規模や業務内容に最適なWeb会議ツールの導入、機材の選定などをアシストしてくれるコンサルティングサービスなどを利用してもいいでしょう。
おすすめのWeb会議ツール5選
Web会議の導入を検討している企業や担当者にとって、どのツールを選ぶべきかは非常に重要なポイントです。
現在、多くのWeb会議システムが登場していますが、それぞれ機能や特徴が異なります。ここでは、代表的なツールを5つ紹介します。
- Zoom
- Microsoft Teams
- Google Meet
- Webex Meetings
- Whereby
●1.Zoom
Zoomは、世界中で利用されているWeb会議ツールで、その安定した音声・映像品質と直感的な操作性が大きな特徴です。無料プランでも最大100人までのグループ会議が可能で、バーチャル背景、ブレイクアウトルーム、画面共有、録画機能など、多彩な機能を備えています。
社内外の会議はもちろん、大規模なウェビナーやセミナーにも対応できるため、幅広い用途で活用されています。多くのユーザーに支持されている実績と、豊富な機能により、初めてWeb会議を導入する企業にもおすすめのツールです。
●2.Microsoft Teams
Microsoft Teamsは、Office 365と連携できる点が最大の強みです。Web会議機能に加え、チャット、ファイル共有、タスク管理、共同編集など、チームのコミュニケーションを効率化する豊富な機能が採用されています。
社内チームのコミュニケーションだけでなく、社外との会議にも活用でき、強固なセキュリティ機能も備わっているため安心です。特にMicrosoftのサービスをすでに利用している企業にとっては、導入のしやすさや既存システムとの高い親和性から、非常に人気のあるツールとなっています。
●3.Google Meet
Google Meetは、Googleアカウントがあればすぐに利用できるシンプルさが魅力のWeb会議ツールです。ブラウザベースで動作するため、追加のインストールが不要で、PCやスマートフォンなど、デバイスを問わずスムーズに参加できます。
また、GoogleカレンダーやGmailとの連携がスムーズに行えるため、日常的にGoogleサービスを利用している企業や個人ユーザーにとって、シームレスに導入可能なのも嬉しいポイントです。
シンプルながらも、画面共有や録画、字幕機能などの基本機能を網羅しており、手軽にWeb会議を始めたい場合に最適なツールです。
●4.Webex Meetings
Webex Meetingsは、Ciscoが提供する高いセキュリティと強力な通信基盤を持つWeb会議ツールです。その信頼性から、官公庁や大企業でも多く採用されています。大規模な会議や国際会議にも適しており、安定した品質と充実したサポートが求められる場面で特におすすめです。
高画質の映像とクリアな音声に加え、録画、字幕表示、参加者管理など、会議を円滑に進めるための機能が充実しています。企業の重要な会議や、機密性の高い情報を扱う場面でも安心して利用できるツールです。
●5.Whereby
Wherebyは、「誰でもどこからでも簡単に」をコンセプトにしたWeb会議ツールです。アプリのインストールが不要で、共有されたURLをクリックするだけで会議に参加できる手軽さが大きな特徴です。
URLをカスタマイズして自分専用の会議室を持つことができ、参加者はパスワードなしでも入室可能なため、取引先との急な打ち合わせなどにも非常に便利です。シンプルながらも、画面共有や録画といった基本的な機能は備えており、手軽さや利便性を重視する企業におすすめのツールとなっています。
Web会議とテレビ会議(ビデオ会議)の違いとは
最後に、Web会議と類似する言葉として挙げられる「テレビ会議」について紹介します。
| Web会議 | テレビ会議 | |
|---|---|---|
| 適した用途 | ・オンラインの採用面接 ・セミナーや講義の開催 ・顧客との商談、打ち合わせ ・在宅勤務やリモートワークなど |
・経営会議 ・フォーラムの開催 ・役員会議、定例会議 ・遠隔授業や遠隔医療など |
| 会議を開催する場所 | どこからでも参加可能 | カメラを設置した室内のみ |
| 必要な機材 | モバイル機器とインターネット環境 | テレビ会議専用の端末 |
| 導入コスト | 安い | 高い |
| 通信の安定性 | 人数が増えるほど低下する | 高い |
テレビ会議とは、会議室や応接室など特定の場所に設置した専用の機材を使って行う会議です。専用機材を使用するため、Web会議よりも臨場感のある映像や音声が伝わりやすく、社長や役員による重要度の高い会議に採用されることが多くなっています。
また、専用回線を利用するケースも多いため、通信が安定しており、セキュリティも強固な点が大きな特徴です。参加人数が多くても通信障害のリスクが低く、大人数での会議にも適しているシステムと言えます。
一方でテレビ会議にはデメリットもあります。専用の機材が必要なため開催場所が限定され、Web会議と比べて導入コストや費用が高くなる傾向があります。汎用性やコスト面を重視するのであれば、テレビ会議よりもWeb会議が優れていると言えるでしょう。
このように、テレビ会議とWeb会議にはそれぞれの異なる特徴があります。両者の特性を理解したうえで、自社の目的に最も適したシステムを導入することが重要です。
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