「発注ナビ」にご登録いただいている開発会社の皆様が発注ナビの導入に至った経緯、その使用感、そして導入後のビジネスの変化は、どのようなものだろうか。Tech Fun株式会社でプリセールスエンジニアの平井氏にお話を伺った。
社名 | Tech Fun株式会社 |
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所在地 | 東京都台東区東上野1-7-15 ヒューリック東上野一丁目ビル6F |
従業員数 | 101 – 300名 |
事業内容 | 1. クラウドを活用したITソリューションサービスの提供 2. Java研修、AI/Pythonセミナー、AWSセミナーに関するIT教育サービスの提供 3. オフショア開発サービスの提供 |
掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
受注案件としてSESの割合が少なくはなかったため、利益率の向上や技術ノウハウの社内への蓄積も増やすため、エンドユーザーからの受託開発を増やしたいと考えていた。しかし、SESと受託開発では営業スタイルが異なるため、何らかの営業支援ツールが必要だった。
- 導入後の効果
発注ナビの案件数の豊富さ、受注率の高さから受託開発の割合の増加と利益率のアップを実現した。副次的な効果として営業スタッフの意識も変化し、エンジニアの意欲やスキルも伸ばすことができた。
教育事業とシステム事業の2つの柱
Tech Fun株式会社はシステム開発事業とIT教育事業の2つのビジネスを展開しているユニークな企業だ。IT教育事業では、他のIT企業に向けたエンジニアの教育・研修サービスを12年間、200社以上に提供しているほか、独自開発のeラーニングサービス「StudySmile」を8年にわたり提供。こうしたサービスのカリキュラム策定から講師の調達までを自社内で行えるという点は、同社に在籍するエンジニアたちの技術レベルの高さ、そして同社に蓄積されている技術ノウハウの豊富さを示している。
システム開発事業においては、メーカー、金融、広告、小売等、さまざまな業種・業界を対象にシステムの受託開発を行っている。
「当社が得意としているのはAWSやGCP などのパブリッククラウドサービスを活用した、業務基盤となるシステムの開発です。もちろんフロントサイドからバックエンドまでシステムをトータルに、ワンストップで承ります」(平井氏)
最新技術にも積極的に取り組んでおり、AIスピーカーAlexaにおける「Alexa Skill」のプロトタイプ開発として、曜日ごとの献立を教えてくれるアプリを開発していたり、機械学習の分野では、Kerasライブラリを用いてCNNモデルを構築し、45,000枚ほどの学習用画像を用いて学習させたりするなど、多彩な開発実績を持っている。
受託開発の割合を増やそうと発注ナビを導入
そんな同社が発注ナビを導入したのは2018年6月のこと。当時、同社のビジネスの半分近くを占めていたSESの割合を減らし、受託開発の割合を増やしたいというのが目的だった。
SESは、エンドユーザーから直接受注した大手SIer企業が自社の開発リソースを補うため、あるいは有効に使うために、他の開発会社からエンジニアを調達する。同社も多くのエンジニアを顧客であるSIerに送り込んでいた。
しかしSESでは、エンジニアが直接エンドユーザーに接する機会は極めて少なく、大手SIerが作成した仕様書・設計書に従って開発を進めていくことがほとんど。コーディング等の実装技術は身につくものの、エンドユーザーからのヒアリング、業務分析、要件定義、基本設計といったシステムエンジニアリングの上流工程におけるスキル向上が図りにくい。
また「お客様が求めるシステムを、直接お客様の声を聞きながら作り上げていく」というシステムエンジニア本来の喜び、達成感を感じにくいという側面もあった。
さらにSESは案件が、二次請け、三次請け、四次請けと商流の下流に展開しやすく、利益率の面でも直接エンドユーザーから受注する場合に比べて不利なことが多い。
同社は、エンジニアが自ら直接お客様に価値のあるシステムを届けたいという思いと利益率改善の観点から、受託開発の割合を増やしていくことを決めた。
コストパフォーマンスの良い、発注ナビを最も長く愛用
SESと受託開発では、営業のスタイルが大きく異なる。SESでは、必要とされるエンジニアのスキルセット、プロジェクトの期間、人数、金額などがあらかじめ明らかになっており、条件に合致するエンジニアを送り出せば良いが、受託開発ではそうはいかない。まず見込み客を開拓する必要があり、見込み客を見つけても、ニーズのヒアリング、見積り、システム提案などを経て成約に至らなければならない。
この見込み客の開拓にかかる労力を大幅に軽減するのが、発注ナビを含む各種の案件マッチングサービスだ。同社では、これまで、いくつかの案件マッチングサービスを、同時に複数試しては入れ替えながら利用してきたという。使い比べてみた印象はどうだろうか。
「いくつかのサービスを併用し、当社のビジネスに合わないものは利用をやめ、また新たなサービスを使ってみるということを繰り返した結局、一番長く愛用しているのが発注ナビです。発注ナビから紹介された案件は、平均して5件に1件は受注につながっています」(平井氏)
発注ナビは、IT知識を持つ担当者が事前に発注企業からある程度案件の内容をヒアリングし、大まかな要件をまとめてから案件情報を掲出するため「事前に内容を把握しやすい」という。また、発注企業のシステム導入に対する本気度も高いので「きちんと商談に進めることが多いのが高い成約率に結びついているのではないか」とのことだ。
また、別の視点からも発注ナビの魅力を語ってくれた。
「マッチングするたびにお金がかかるサービスもありますが、発注ナビは、月額固定のプランならば、月内に何件もの案件に手を挙げることが可能です。もちろん開発リソースやスケジュール面でそうはいきませんが、コストメリットがあるのは確かです。また、登録されている案件数が多いのも魅力です。困ったときに覗けば、確実に案件があるというのは、とても心強いですね」(平井氏)
お客様のニーズを満たすシステムをご提案したほうがより良い結果につながる
同社では、発注ナビを営業スタッフ2~3名体制で利用している。
「発注ナビからのメールを受け取り、どの案件にエントリーするかは、社内で基準を設けています。たとえば、クラウドを使った社内業務システム、機械学習を活かせるシステム、そのほかエンジニアにとって面白そうな案件はエントリー候補です。そこに、予算やプロジェクト規模、スケジュール感などを加味し、該当していればエントリーするようにしています」(平井氏)
エントリー後、発注ナビから発注企業をご案内された後の対応はどのようにしているのだろうか。
「お客様にはすぐにご連絡を差し上げて、まずは最初のミーティングをセッティングします。そして見積り作成やシステム提案に必要となる要件のヒアリングを行います。必要に応じてNDA(秘密保持契約)も、このタイミングで行います。一通り聞き取った内容を社に持ち帰り、そこから見積りやご提案を作成していきます」
同社の営業スタッフはエンジニア出身。お客様からのヒアリング時に、ある程度システムのイメージが描けるため「それでしたら、こういう機能が必要なので、こういう見積りも必要ですね」「そこは、ワークフローを変えれば機能を省略できます」といったアドバイスもできる。
「予算に無理やり合わせるようなことはしていません。ですからお客様が想定していらっしゃる予算を上回ることも、下回ることもあります。予算ありきで進めると、せっかくのシステムが中途半端な仕様になってしまうこともあり、結果として、お客様が幸せにならないというケースも少なくありません。もちろん、お客様には、きちんとご納得いただく必要がありますが」(平井氏)
開発現場ではエンジニアが「なぜ」と思うような仕様も珍しくない。「もう少し予算をかければ」という思いがあってもSESの場合は、エンドユーザーと直接話す機会が少なく、歯がゆい思いをすることも多かった。そうした経験が、同社の「より良いシステムを開発したい」という考えにつながっている。
しっかりとした提案で印象づけることで、先々にチャンスが訪れる
同社のそうした思いは、提案書に如実に表れている。
「私も含めて営業の人間はエンジニア出身なので、システム提案にはとても力を入れています。そのためか、失注/受注によらず、お客様からは『提案書は作り込んでくれている』というご評価をいただくことが多いですね」(平井氏)
たとえ失注したとしても、そこで終わらないことも多いという。実際に、一度失注したお客様から半年後に連絡が入り、受注したケースもあるという。
「発注ナビから紹介されたあるお客様のケースでは、提案まで行ったのですが、失注になりました。見積りが折り合わなかったのかな?と思って諦めたのですが、半年ほどして『(別の業者に発注したが)うまくいかなかった。また見積りをしてくれないか』と言われ、受注することができました。そのお客様とは今もお付き合いさせていただいています」(平井氏)
こうしたことがあるのも、同社の提案力があればこそと言えるだろう。
「しっかりとした提案で印象づけておけば、たとえその時は失注したとしても、先々受注できる可能性があります。当社は1件1件の出会いを大切にし、丁寧にご対応しています」(平井氏)
こうした提案が、結果として同社の受注増にもつながっている。
エンジニアも営業スタッフも共にスキルアップ
発注ナビの導入効果は案件の受注だけではない。営業スタッフにも意識の変化やスキルの向上があったという。
「エンドユーザーであるお客様と話す機会が増え、お客様のビジネスがどういうもので、どう利益を上げていくかというところまで考える力が養われています。お客様の業種や業態がさまざまなので、SESの時とは比べ物になりません。また、当社からのご提案は、クラウドサービスを含めたご提案が多いので、ソフトウェア開発だけでなく、インフラ費用やランニングコストなど、システム導入後の運用についても意識するようになりました」
エンジニアも変化が表れているという。
「受託案件が増えたことで、自社のメンバーで構成されたチームで動くことが多くなり、メンバーのコミュニケーション力が向上し、チームの結束が強まり、技術スキルアップに寄与しています。そのおかげで、SESが中心だった頃に比べると、会社への帰属意識も高まりました。
発注ナビが、開発会社ごとに専任アドバイザーを配置し、情報交換を行うカスタマーサクセスも役立ったという。
発注ナビは同社にとって、新たな顧客を開拓したのみならず、社員の意識改革にもつながるなど、単に金額だけでは測ることができない大きな利益をもたらしていると言えそうだ。
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