かつては研究開発分野でしか耳にすることのなかった「AI」も、現在ではいたるところで活用されるようになった。とはいえ、自社のビジネスやサービスにAIを導入しようという企業は、ITシステム導入全体から見れば、まだまだ少ないのが実情だ。AI開発を得意とする株式会社XAIも、AI開発案件の受注に苦心していたが、発注ナビを導入することで案件受注はもちろんのこと、AI案件受注の体制強化も実現できたという。株式会社XAIの代表取締役である八木谷佑太氏にお話を伺った。
社名 | 株式会社XAI |
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所在地 | 東京都渋谷区神宮前6-23-4 桑野ビル2F |
従業員数 | 1 – 30名 |
事業内容 | AI開発・AIコンサルティング・システム開発 |
- 導入前の課題
設立当初は代表の知人経由の紹介で案件を受注していたが、紹介にも限界が出始めた。営業として動けるのは八木谷氏しかおらず、工数をかけずに、かつAIという限定された分野の案件を受注するには、何らかの方策が必要だった。
- 導入後の効果
発注ナビを導入することでAI開発を希望されているお客様にアプローチできるようになった。失注した場合も、その理由を営業だけでなくエンジニアにもフィードバックすることで、商談の進め方や提案内容の工夫につながっている。
さらなるAIの普及を目指し、コンサルから開発までをトータルに手掛ける
株式会社XAIは2021年に設立されたAI分野を得意とするシステム開発会社だ。現在、同社のメンバーは8名体制で、営業を担当しているのは代表の八木谷氏のみ。他のメンバーはすべて開発エンジニアだという。
「前職はスタートアップ企業でAIの開発を5年以上手掛けてきました。現在、AIを活用したサービスが身の回りに増えつつありますが、IT全体から見れば、ほんの一握りです。しかも企業にとって価値ある結果を出せているケースは、実はそれほど多くありません。さらなるAIの普及には、お客様のビジネス・課題を理解した上で、どのようにデータから価値を創出するかを導き出す詳細なコンサルティングが必要です。当社は開発だけでなく、コンサルティングサービスも提供し、お客様と伴走しながら新しい事業を創出していきたいと考えています」(八木谷氏)
AIを世の中により一層広め、さまざまな業種・業界のお客様のビジネスを支援する目的で設立された同社だが、AIという限られた分野で受注を続けていくのは容易ではなかった。
「設立当初は、知人経由で紹介してもらう案件を対応していました。しかし、知人の紹介経由の件数に限りが出始め、会社を大きくしていくには新規で営業活動もしないといけないよね、ということになりました」
複数の案件マッチングサービスを比較検討した結果、発注ナビを選択
リード獲得の施策にかけられる予算と人員は限られていた。
「一人では、まったくのゼロからお客様を掘り起こしていくようなこともできず、ある程度発注の意思をお持ちのお客様をどう獲得していくか悩みました」
イニシャルコストもかけられないので、営業スタッフを増員するということもできなかった。そのような中、案件マッチングサービスの存在を知り、複数社から話を聞いたという。
「プランやシステム、料金体系がどのようになっているかを聞き取り、比較検討しました。案件マッチングサービスと一口に言っても、さまざまな性格のものがあり、たとえば、見積りを取るだけのサービスや、資料のダウンロード1件当たりいくらという、マーケティング的な要素の強いサービスもありました。しかし、当社が求めていたのは、そういうサービスではありません。初期コストゼロ、紹介ベースで1件当たりいくらという従量課金制のサービスもいくつかあり検討しました」
発注ナビは、初期・月額費用は無料で、紹介に至った段階で費用が発生する従量課金(リージェンプラン)でサービスが利用できる。またイニシャルコストはかかるが、月額固定でエントリーできるベーシックプランや、自社の繫忙期・閑散期に応じてエントリーする月を選択ができるセレクトプラントなどの月額固定のプランもあり、利用者の細かなニーズに対応している。
結果として同社は発注ナビのリードジェンプランを選んだ。発注ナビから紹介されたお客様が6件ある中、1件の受注に成功しており、結果にも概ね満足しているという。
エントリーに悩んでいると専任担当から背中を押されることも!手厚いサポートも大きな魅力
発注ナビを1年間利用して、あらためて分かってきた魅力もあるという。
「新着案件一覧を見ていると全体の傾向を掴め、世の中のニーズやトレンドを知ることができます。また、商談を進める中で、自社の得意分野以外のシステム開発相談を受けることもあり、今、お客様が何を必要とされていらっしゃるのかといったことも把握できます」
加えて、発注ナビのユーザーサポート「カスタマーサクセス」の手厚いサポートも気に入っているという。
「カスタマーサクセスの担当者に自社の得意領域を伝えておくと色々フォローをしてくれます。たとえば、私のもとにいきなり連絡をくれて『今日の新着案件でAI関連の案件が流れているのでぜひ見てください』とプッシュしてくれます」
発注ナビでは、期限内にエントリーした全開発企業の中から4~5社に絞って発注企業の情報を紹介するため、いたずらにスピード競争に陥ることがなく、新着案件の内容を検討する時間的な猶予がある。そのため、こうしたサポートを行うこともある。
「そうしたプッシュの連絡は、すでに何回もいただいています。当社もAI関連の案件を新着の中から見落とすことはありませんが、エントリーするかどうか悩んでいるときに『どうですか?』と言われると、背中を押された気がして、エントリーすることもあります」
受注に至らなくても、失注理由をフィードバックすることで次回の営業や開発に役立てている
また同社では、商談まで進んだものの失注したという案件も、有効に活用している。
「お客様と商談を進められても残念ながら失注するケースはあります。しかし、失注したらその時点で話を終わらせてしまうのはもったいない。当社では『失注の分析をさせてもらいたい』とお伝えし、失注理由を丁寧に聞き取っています。いろいろと商談を進める中で、お客様からのご相談にも乗っているためか、失注理由をきちんとお話ししてくださるお客様が多いので助かっています」
しかも、聞き取った失注理由は、包み隠さずエンジニアにフィードバックしているという。
「営業の言葉で伝えるより、お客様の言葉が重要なので、お客様から言われたことをそのまま伝えるように心がけています」
その効果も少しずつ出始めている。
「エンジニアからは『次回からは、こういう提案をした方が良いのでは?』とか『モックアップを作って、最初にお見せしてはどうか?』といった意見が出てきています」
AI分野では事例や実績のご案内が効果的!事前準備でスピーディな商談も心がける
発注ナビの運用はどのように行っているのだろうか。
「新着案件は、一通り目を通して『AI』『画像認識』などのキーワードを軸に精査しています。予算的に見合わないものや内容の説明が薄いもの以外はエントリーしています。内容が詳細に書いてあるケースでは、技術的に可能かどうかをエンジニアに相談することもあります。どんな提案ができるかをある程度イメージした上でエントリーすることが多いですね」
あらかじめ準備することで、商談もスピーディになるという。
「多くの場合、初回のミーティングで仮説をぶつけます。『ここがポイントになると思うのですが、それで合っていますか?』という感じです。たとえそれが違っていたとしても、どこがどう違うかということで、議論は進みやすくなります」
また、お客様への最初の連絡時にも工夫があるという。
「発注企業には、紹介のあった開発会社複数社から次々と連絡が入ります。そのため、メールを1本送るにしても、どのようなメッセージを打てば、お客様が興味を示してくださるのかを考えています。AI分野は、実績や事例が大きく響くため、こういう実績・事例があります、とお知らせしています。一般的なものなら、こういう業務プロセスをAI化したい、こういうステップならば実現できますということをあらかじめご案内することで『この人たちは分かってくれている』という信頼感を醸成できます」
同社は製造業のお客様が多く、生産設備、機械の故障予知、加工の最適化などについて数々の実績を持っており、ファーストコンタクトで、そうした実績を紹介することも少なくない。
たとえばAIによる画像認識を検討しているお客様には、監視カメラの映像から人やクルマの数をカウントし、行動を認識するといったものや、外観検査を行うものなどの事例をご案内する。また、機械メーカーに向けては、温度センサーや加速度センサー、AEセンサーなどのデータを分析し、もうすぐこの部分が壊れるかもしれないという予知を行うといった事例なども具体的に紹介する。
そうすることでAIの知見はもちろん、製造業に対する同社の理解度も知ってもらえる効果が期待できる。
「AIを利用した新規ビジネスを始めたいというご相談をいただくことも多いですね。どういう風にサービスを構築すれば良いか悩まれているお客様のご相談に乗ることもあります。どのようなデータを集め、どのような結果を出せばよいのか仮説検証を繰り返し、事業計画を作成し、事業化に向けてお客様と伴走していくといったAIコンサル的なことも手掛けています」
発注ナビで受注したお客様とはその後もお付き合いが続いている
そんな同社は今後、どのように事業を展開していこうとしているのだろうか。
「発注ナビで受注したお客様とは、1年以上にわたり良い関係でお取引をさせていただいています。長いお付き合いができるのは当社にとっても財産です。今後も、そういうお客様にたくさん出会えることを願っています」
また、業界・業種を問わず、AI導入の余地はまだまだあるため、より一層、AI導入のハードルを下げていくことが大切だと考えている。
「今後も、コンサルを含め、AIにより価値(成果)を出す実績を積み上げていかなければなりません。新規事業でAIをどのように使うか、どのようなデータをどう収集して、そこから何を学習させるのか、ご相談いただければ真摯にご対応させていただきます。もちろんAIの研究開発にも積極的に取り組んでいます。AIを使ってどういった未来描けるのかを探りながら、お客様と一緒に、より良い世界を作り出していきたいですね」
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