さまざまな企業がビジネスにAIを導入しており、自社でもAIを活用したシステムを開発したいとお考えのご担当者様もいらっしゃるでしょう。本記事ではAI開発と一般的なシステム開発の違いをはじめ、AI開発のフローや発注を成功させるポイントについてご紹介します。
目次
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AI開発と一般的なシステム開発の違い
AIと一般的なシステム開発との違いを押さえておくことも、AI開発に関する理解を深めるのに役立ちます。AI開発と一般的なシステム開発の主な違いは、「開発プロセス」と「アルゴリズム」の2つです。それぞれの違いについて解説します。
●開発プロセスに違いがある
AI開発と一般的なシステム開発の違いとして、まず開発プロセスが挙げられます。一般的なシステム開発のプロセスの例として、システムやソフトウェア開発で用いられるウォーターフォール型の開発の流れを見ていきましょう。
【一般的なシステム開発(ウォーターフォール型)の流れ】
工程 | 概要 |
---|---|
要件定義 | システムの機能や性能、開発に必要な予算・人員などを決める |
外部設計 | 外見的な見た目となるUI(ユーザーインターフェース)を設計する |
内部設計 | システム内部の動作・機能・物理的データ部分を設計する |
実装 | 外部・内部設計をもとにプログラムを作成・実装する |
単体テスト | 実装したプログラムが正確に機能するかのテストを行う |
統合テスト | 複数のプログラムを組み合わせて正確に機能するかのテストを行う |
運用テスト | システムが実際の業務に使用できるかのテストを行う |
公開 | テストが完了したシステムを公開する |
ウォーターフォール型は大きく8つの工程に分かれ、上流工程から下流工程へ順序良く開発を進めていくのが特徴です。各工程が明確に区切られているため、進捗や品質の管理がしやすいことから、大規模プロジェクトや複雑な開発に向いています。
続いて、AI開発の流れを見ていきましょう。
【AI開発の流れ】
工程 | 概要 |
---|---|
構想フェーズ | AI開発の目的と目標を明確にし、AIの方向性を決定する |
PoCフェーズ | プロトタイプを作成して技術的に実現可能かを検証する |
実装フェーズ | PoCフェーズで得た知見をもとにAIシステムを開発する |
運用フェーズ | 実際の業務で運用しながらモニタリングやチューリングなどを行う |
一般的なシステム開発とAI開発のプロセスの大きな違いは、開発で目指すゴールです。一般的なシステム開発は計画段階で完成形を想定し、100%の形で実現することが目標となります。一方でAI開発は公開の時点で完成形になっているとは限らず、運用しながらデータの調整やチューニングを行い、誤差をゼロに近づけていくのが基本です。そのため、AI開発においては運用後もデータ解析やプログラミングに関する高いスキルを持ったエンジニアが必要になります。
●アルゴリズムにも違いがある
一般的なシステム開発ではアルゴリズムを最初に定めてからプログラミングを行うのに対し、AI開発ではデータからパターンを学習し、アルゴリズムがつくられるという違いがあります。また、AIは運用しながら精度を徐々に高めていくため、アルゴリズムの更新も必要です。AIを開発する際は将来的なアップデートも見込んで、誰にでもわかりやすい、更新しやすいコードやアルゴリズムにしておくことをおすすめします。
開発会社選定から依頼までAI開発を行うフロー
AIシステムの開発には高度な知識やスキルを持つエンジニアが必要になるため、システム開発会社への発注を検討しているご担当者様もいるはず。開発会社にAIシステムの開発を依頼する時の主な流れは以下のとおりです。
- 自社の課題や問題を整理する
- 開発予算や運用方針の決定
- 提案依頼書(RFP)を作成する
- 複数の開発会社へ見積もりを依頼
- 開発会社の選定
それぞれの流れで押さえておきたいポイントや注意点について解説します。
●1.自社の課題や問題を整理する
AIシステムの開発を依頼するにあたり、まずはAIシステムを使って解決したい自社の課題や問題を整理しましょう。課題や問題を整理する際は多角的な視点が必要になるため、プロジェクトチームだけでなく、現場でシステムを利用しているメンバーからの意見も取り入れることが大切です。「工場の既存AIロボットの不良品を検知する精度が低い」「チャットボットの精度が良くなくて途中離脱者が多い」などの課題や問題を洗い出したら、それらを解決するためにはどのようなAIシステムが必要になるのかについても考える必要があります。
●2.開発予算や運用方針の決定
自社が抱えている課題や問題を整理したら、次は開発予算や運用方針を決定しましょう。AIシステムの開発に明確な相場はないものの、AIに学習させる情報量が増えるにしたがって、開発費用も高くなるのが一般的です。そのため、AIシステム導入の主な目的となる「売上アップ」「コスト削減」の2つを軸にし、自社のビジネス規模に応じた予算や運用方針を決めるのが良いでしょう。また、開発から導入までの期間もこの段階で決定します。
●3.提案依頼書(RFP)を作成する
提案依頼書(RFP)とは、システム開発会社を選定するにあたり、候補となる各会社に適切な提案を依頼するための書類です。提案依頼書には、AIシステムを導入する目的や概要、要件、予算を含む制約条件など、提案を受けたい項目の情報やシステムの導入で実現したい要求を記載します。提案依頼書を作成したら、複数のシステム開発会社に送付しましょう。
●4.複数の開発会社へ見積もりを依頼
送付した提案依頼書をもとに、複数のシステム開発会社から見積もりをとります。提案依頼書を受け取ったシステム開発会社から見積もりのほかに、どのようなシステムを開発するかといった提案書が送付されます。提案書や見積もりは開発会社を選定するうえでの評価材料となるため、複数の会社に依頼して比較検討することが大切です。
●5.開発会社の選定
開発会社から受け取った提案書の内容で候補を絞りきれない場合は、開発会社にプレゼンを行ってもらいましょう。プレゼンでは開発会社のプロジェクトメンバーのコミュニケーション能力や要望への対応の姿勢なども確認でき、自社との相性を測る機会にもなります。プレゼンの内容に加え、開発実績や開発経験、専門性、スピード感といった要素もチェックしておくと、自社に合った開発会社を図込みやすくなるのでおすすめです。提案書に記載されていなかったことや他社との比較で情報収集しきれていなかったことなども確認したら、自社に最も合うと思った開発会社に依頼しましょう。
AI開発を成功させるためのポイント
AIに詳しくないからと、専門知識のあるシステム開発会社に丸投げしたいと考えているご担当者様もいるかもしれません。ただ、それだと期待していたAIが納品されない可能性もあるため、AI開発の発注を成功させるための5つのポイントを解説していきます。
●AIシステムを導入する目的を明確にする
AIシステムの開発を成功させるには、AIを導入する目的を明確にしておく必要があります。AIを使って解決したい課題は何なのか、AI導入によって解決できる見込みがあるのか、課題を解決するにはどのようなAIが必要になるのか、AIで効率化したい業務は何かなどを整理しておきましょう。「AIの導入で○○を解決する」「利益率を〇%アップする」といったように具体的な目的を設定することで、プロジェクトの方向性がブレる心配がなく、必要なリソースや技術を適切に配分するための計画の作成にも役立ちます。目的の達成につながるAIシステムを実現するためにも、AIシステム導入の目的を明確にすることが重要です。
●AIシステムごとの得意分野を理解しておく
AIはどのような処理にも対応できる万能なシステムではありません。AIを活用して課題を解決するには、AIの得意分野を理解しておくことが重要です。AIが得意とする処理は、データ分析や予測分析、パターン認識、自然言語処理、画像認識、音声処理などで、AIシステムの種類によっても特性や強みが異なります。AIの特性を最大限に活用して課題を解決するには、プロジェクトの目的や課題に合わせて適切なAI技術を選定することが大切です。適切なAI技術を選定することでパフォーマンスと効率の最大化を図れ、目的の達成に近づけます。そのためにも、AIが提供する技術がビジネスにおいてどのようなニーズに応えられるのかについても、しっかりと押さえておきましょう。
●AIシステムの導入対象となる業務を整理する
AIシステムの導入にあたって、対象となる具体的な業務やタスク量を明確に洗い出しておきましょう。洗い出す際は、AIの導入によって効率化や品質の向上を期待できる業務の分析・特定が重要となります。業務を明確にしたらフローのどの部分にAIを組み込むのか、どのようにデータ収集してモデルを学習させ、運用するのかの計画を立てましょう。AIシステムのスムーズな導入を叶えるためにも、しっかりとした計画を立てることが大切です。
●調整や更新を見越したアルゴリズムを設計してもらう
AIシステムは開発がゴールではなく、精度を高めるために学習とチューニングを繰り返し行う必要があります。また、定期的にメンテナンスやアルゴリズムのアップデートも行わないといけません。AIシステムを長期的に運用・改善していくには、運用後の調整や更新が容易なアルゴリズムを組むことが求められます。開発の段階からアップデートが将来的に必要となることを想定し、柔軟性と拡張性を考慮したアルゴリズムの設計を開発会社に依頼しましょう。
●トラブル対応がしやすい設計にしてもらう
AIシステムの運用中に予期せぬトラブルやエラーが生じる可能性があります。トラブルやエラーを解決するために業務や顧客へのサービスなどの提供が長時間中断してしまうと、機会損失や顧客満足度の低下などの損害を生じかねません。業務の効率化やコスト削減などのためにAIシステムを導入した意味もなくなってしまうため、問題が発生した時に運用担当者でもすぐに対応できるシステム設計が必要になります。例えば、エラー発生時に自動通知や診断が行われる機能を組み込んでシステムの監視機能を強化することにより、迅速なトラブルシューティングが可能です。透明性が高くわかりやすいシステムにすれば、問題の原因をすぐに特定でき、システムのダウンタイムを最小限に抑えられるメリットがあります。また、トラブルが発生した際の対応方法について、開発会社にあらかじめ聞いておくことも大切です。
AI開発に対応している開発会社
発注ナビでご紹介可能なシステム開発会社の中から、AI開発に対応している会社を複数ピックアップしました。それぞれのシステム開発会社の特徴や得意分野、開発実績などの情報をまとめましたので、発注するシステム開発会社の選定にお役立てください。
●スパイスファクトリー株式会社
スパイスファクトリー株式会社は、生成AIやシステム開発、UI/UXデザイン、マーケティングなどの技術を提供し、クライアントのDX推進をサポートしているエージェンシーです。アジャイル開発を得意としており、ユーザー視点でのスピーディーで質の高い開発が強みです。生成AIをはじめとする先端技術を活用したシステム開発をはじめ、新規事業に向けたアイデアの創出や価値検証、優れたユーザー体験を提供するUI/UXデザイン、事業を加速させるマーケティング支援など柔軟に対応できる体制を整えています。大企業から中小企業まで幅広い業界のDXを支援してきた実績があり、多様な知見や対応実績をもとにわかりやすく、使いやすいシステム開発に取り組んでいる開発会社です。
●株式会社リヴィティエ
株式会社リヴィティエは、Webアプリやモバイルアプリなどソフトウェア開発を主要事業としているシステム開発会社です。AIやXR、IoTなどに対応できる技術者が多数在籍し、先端技術を活用した開発にも積極的に取り組んでいます。IT導入の進んでいない企業へのサポート実績も豊富なため、要件が固まっていない段階からでも相談が可能。企画の提案から具体的な技術の提案までサポートしてもらえるのは、システム開発を発注するのが初めての企業にとって心強いポイントです。また、高い技術力と豊富な経験をもとに、クライアントの課題に応じた最適な技術の選定と幅広い選択肢を用意できる柔軟な対応力も強みとしています。
●Aispel株式会社
Aispel株式会社は、AIを活用したソリューションやシステム開発を得意とする会社です。医療や教育、ビジネスなど幅広い分野のサービスを手掛けてきた実績があり、会員管理やマッチングサービスのような複合的な機能を備えた仕様に対応した経験も豊富。ウォーターフォール開発の体制を整え、クライアントの業務の自動化や効率化の支援に取り組んでいます。ChatGPTを活用したシステム開発にも対応しており、自社データを学習させたうえでサービスとして提供することも可能。経験豊富なスタッフがコンサルティングを行い、クライアントが抱える課題解決に向けたソリューションの提案を行っています。
さまざまなシステム開発会社がAI開発に参入しているため、自社の要望に応えてくれるシステム開発会社をイチから探すのはかなり困難です。「どういった開発会社が自社に合っているのかわからない」「発注先の選定になるべく時間をかけたくない」とお考えの場合は、要望や案件内容をもとに適したシステム開発会社をマッチングしてくれるサービスの利用をおすすめします。
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