アプリ開発において、成功を収めるためには適切な計画と戦略が不可欠です。その基盤となるのが、堅実な企画書の作成です。企画書はアプリ開発の道筋を示し、ビジョンを明確化する重要なツールです。事前の準備や書くべき項目の選定は、企画書の質を高め、開発プロジェクトの成功を左右する要素となります。今回は、アプリ開発における成功の定義や企画書の重要性、事前準備の重要性、そして成功を促すための企画書に必要な項目について詳しく解説します。
目次
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アプリ開発における成功とは?
アプリ開発における成功とは、完成したアプリが人気を博し、たくさんのユーザーに使ってもらえるようになることです。さらに具体的にいうとユーザーニーズを満たし、長く運用できるような収益モデルを持つアプリを開発することです。
人気のあるアプリは、ユーザーが求めるものを的確に満たしてくれます。例えば、おいしい料理店を探したいユーザーには店舗の評価やルートを表示し、健康管理をしたいユーザーにはバランスのいい食事ができているかどうかを表示します。アプリを使う目的が満たせるようなものでなければ、ユーザーから支持されません。一方で、アプリの収益モデルを確立することも、ユーザーニーズを満たすことと同じくらい大切です。いくらユーザーから切望されても、赤字状態ではアプリの運用・保守を継続することは難しく、サービスの維持が困難になるからです。
多くのユーザーから愛用されるアプリの条件は、ユーザーニーズを満たすことと、持続可能な収益モデルを持つことです。この2点が揃ったアプリ開発ができれば、開発は大成功といえます。
アプリ開発における企画書の重要性
企画書の作成は、アプリ開発プロジェクトの成功に向けた第一歩といえるほど重要な工程です。企画書があれば、プロジェクトメンバーやパートナー会社が、共通の目標に向かって団結してプロジェクトを進行しやすくなります。
市場のニーズや技術は急速に変化するため、時にはプロジェクトの要件やスケジュールが変更になるケースもあるでしょう。しかし、目的とゴールが明確であれば、プロジェクトに変更があったとしても、当初の目的を見失うことなく協働できます。良い企画書は、アプリの開発の指針であり、開発プロセスを効率化する重要な資料です。
アプリ開発のノウハウが自社にない場合は、企画段階から開発会社と連携するという方法もあります。企画書でアプリ開発の目的を明確に定めておくことは、開発会社を探す指標にもなります。アプリ開発の目的を明確にすることで、パートナーとなる開発会社に何を求めるべきかを把握できるからです。開発会社によって得意とする分野や経験が異なるため、複数の開発企業を比較して相見積もりを取る際にも活用できます。そうして選んだ開発会社の知見を企画段階から盛り込むことで、アプリの可能性を最大限に引き出せます。
アプリの企画書作成における事前準備
企画書では、アプリ開発に関する基本的な要件を明文化します。例えば、アプリの目的、ターゲットユーザー、差別化ポイントの明確化、機能要件、売上目標などです。ここでは、アプリ開発の企画書を作成する前に行うべき準備について解説します。
●アプリの目的とターゲットユーザーの設定
企画書は、アプリ開発の目的を明確に定義し、ターゲットユーザーを特定する必要があります。この明確さがあれば、関係者はプロジェクトの意義やターゲットユーザーを理解しやすくなり、開発プロセスをスムーズに進められます。
まずは、自社が解決したい課題と、それをアプリでどう解決するのかを明確にするところから始めましょう。アプリを開発する理由や解決したい課題から「目的」を定めることで、アプリに搭載するべき機能を厳選できます。
アプリの目的を達成するためには、ターゲットユーザーを設定する必要もあります。ターゲットユーザーとは、ターゲットとなる利用者を具体的に想定したユーザーグループのことです。ターゲットユーザーは年代・性別・職業・趣味などの属性と、そのユーザーのニーズや価値観で絞り込めます。ターゲットユーザーを明確にすることで、開発者は利用者のニーズをより深く理解できます。
アプリの目的とターゲットユーザーを明確に定めることで、アプリに最適な機能やデザインを選択でき、想定するユーザーの心に響くアプリが作れます。
●差別化ポイントの明確化
競合他社のアプリを徹底的に分析し、市場調査を行うことは、その特徴や強みを理解するために不可欠です。差別化できるポイントを把握することで、自社アプリが市場に提供できる新たな価値を定められるうえ、アプリに独自性が生まれます。
競合との差別化ポイントを明確化するためには、以下のような方法があります。
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ユーザーニーズを満たす独自の機能を提供する
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ターゲットユーザーに特化したアプリを提供する
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使いやすさやデザインで競合と差別化する
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優れたカスタマーサポートやアフターサービスで差別化する
常に競合を分析し、市場の変化に柔軟に対応することでアプリが際立ち、市場競争を勝ち抜く可能性が高くなります。
●収益モデルの選択と収益予測
ユーザーを満足させるアプリ開発も大切ですが、その目的には「ビジネスとしての成功」が含まれているはずです。だからこそ、アプリ開発によって収益性の高いビジネスモデルが成り立つような企画をする必要があります。
収益モデルを決定することで、アプリの設計や搭載するべき機能がより明瞭になるため、時間・人手・コストといったリソースの配分方法を定められます。収益予測によって、投資回収の期間や効果の評価はもちろん、リスクの把握も可能です。
さらに、プロジェクトメンバー、パートナー会社、株主など、開発にかかわるステークホルダーにビジネスとしての成長戦略や金銭的な成功の根拠を示すことができれば、企画への賛同と投資を得やすくなり、アプリ開発の基盤を強固にできます。
アプリを作成する方法について詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
アプリ開発の企画書に書くべき項目
アプリ開発の企画書は、プロジェクトの進行に不可欠な情報をわかりやすくまとめた文書です。企画書の各項目は、アプリ開発プロジェクトの目的や背景を明確にし、開発チームや関係者が開発を進めやすいようにする役割を担っています。以下の項目を含めた企画書を構成することで、アプリ開発プロジェクトを成功させるための土台を築けます。
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アプリの実装方法
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機能要件
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市場・競合調査の分析結果
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プロモーション施策とユーザー数の推移予測
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アプリのデザイン
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コスト・スケジュール
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法的要件
●アプリの実装方法
開発コストや期間は、アプリの種類や対応プラットフォームによって異なるため、企画段階でアプリの実装方法を具体的に決めておく必要があります。
まずは、要件に適したアプリの種類を選択します。アプリには、特定のデバイス向けに開発される「ネイティブアプリ」と、様々なデバイス上で動作する「Webアプリ」があります。
もしネイティブアプリを選択する場合は、別途OSの選択が必要です。スマートフォン対応アプリの場合は、ターゲットユーザーによって利用しているOS(iOS/Androidか)が違うからです。ターゲットユーザーが持つ傾向の多いデバイスを考慮し、アプリの開発方針を定める必要があります。
●機能要件
機能要件は、アプリの根幹にかかわる重要な要素です。アプリに搭載したい機能については、以下のように優先順位をつけて検討したうえで、本当に必要な機能を提案に盛り込みます。
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アプリに必須の機能
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自社アプリに必要な機能
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あると望ましい機能(ただし、必須ではない)
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不要な機能
必須の機能を洗い出すだけでなく、必須とする機能の実現可能性を検証する必要もあります。実現可能性を検証するためには、開発者のスキルや経験を考慮し、技術的な問題やリスクをあわせて検討することが大切です。
●市場・競合調査の分析結果
ユーザーの興味の移り変わりは早いため、公開されているアプリのうち、ダウンロードすらされていないものがかなりの割合を占めます。新規参入をする以上、既存アプリを超える魅力がなければユーザーから選ばれることはありません。アプリ開発の方向性について、情報に基づいた意思決定を行うためには、市場分析や競合調査が必要です。
ターゲットとなる市場規模がわかれば、アプリが生み出す潜在的な売上を予測できます。競合アプリを分析することで、どのような点を参考にするべきか、どのような点で秀でるべきなのか、どのようなマーケティング戦略を行うべきかが見えてきます。市場・競合調査の分析結果を企画書に載せることで、アプリ開発のビジネス戦略の合理性を関係者に知らせることが可能です。
●プロモーション施策とユーザー数の推移予測
開発や運用・保守のリソースを適切に配分するためには、どれくらいのユーザーがアプリを利用するのか想定する必要があります。
例えば、サーバーに対する負荷は、ユーザー数に左右されます。ユーザー数に応じてサーバーの構成方法も変わってきますし、運用コストも見直さなければいけません。
また、ユーザー獲得方法では、どのようなメディアチャネルを利用するのかで利用者の推移は変動するため、プロモーション施策の概略を説明しておくことも重要です。プロモーション直後はユーザー数が急激に増える可能性があり、このタイミングに合わせて運用・保守の強化が必要になるかもしれません。ユーザー数変動のターニングポイントについて、予測できる範囲で記載することは、適切なリソース管理につながります。
●アプリのデザイン
長く使われるアプリを作るためには、定期的なアップデートも大切ですが、企画段階で長期的な利用を想定したデザインが大切です。ユーザーから気に入られるためには、使いやすいアプリであることはとても重要です。
アプリのデザインについては、画面構成、各画面に表示される情報の概要、簡単な画面遷移図などを、企画書に盛り込みます。アプリ全体のイメージが共有されることで、現実的に実装できるかどうかを判断でき、バグや不具合の発生を事前に抑えることにもつながります。
●コスト・スケジュール
アプリ開発は、「要件定義・設計~実装~テスト~リリース~運用・保守」という流れで進みます。開発にかかるコストは、アプリの種類や開発期間によって異なりますが、一般的にはエンジニアの人件費と開発期間に基づいて算出されます。特にスケジュールはアプリ開発のコストに大きな影響を与える要素で、各工程にかかる工数が増えるほどコストは上がっていきます。
開発を外部に依頼する場合は、複数の見積もりを出して、予算とスケジュールで合意が取れる開発会社を選定する時間も必要です。さらに、細かいスケジュールの調整やコミュニケーションにも時間を要します。開発だけではなく、バグの修正や再テストする時間も組み込まなくてはいけません。タイトなスケジュールや開発期間の延長によるコストの増加を避けるためにも、各工程に適度な余裕を持たせたスケジュールを組むように心がけてください。
●法的要件
搭載機能やアプリのジャンルによっては、法的な規制があり、意図せず法律違反をしてしまうケースは少なくありません。
アプリの機能にかかわる法律の例として、課金機能を搭載する場合には「特定商取引法」や「景品表示法」などの法律が適用されます。位置情報を取得する場合には個人情報の扱いについて法的要件を満たす必要があります。ユーザー間でコミュニケーションが取れるアプリなら、「出会い系サイト規制法」に接触しないよう、児童が参加できないような確認義務や書き込み内容の制限といった対処が運営側に求められます。さらに、アプリのデザインは「著作権法」で守られており、既存のアプリとそっくり同じデザインを採用することはできません。
このように、アプリを開発するにしても、様々な法的要件を満たす必要があります。法律に違反すると会社としての信用を失いリスクを伴うため、開発するアプリが法的要件を満たせるか、遵守するためにどれくらいリソースが必要かについて、慎重に検討することが重要です。
アプリの企画書が成功を左右する
アプリ開発において成功のカギを握るのは、プロジェクトの目的を綿密にまとめた企画書です。企画書には、アプリの目的や機能、ターゲットの属性、市場・競合分析、収益モデルなど、詳細な情報が含まれています。初期段階で緻密かつ実現可能性の高い計画を練れるかどうかが、アプリの将来を左右する重要なポイントといえます。
もし、アプリ開発のノウハウが自社になく、開発を外部に発注することを検討しているなら、企画段階から開発会社に協力を求めることも可能です。アプリ開発に関する知識と経験を持っている開発会社と協力することで、企画自体をブラッシュアップし、アプリ開発の精度を高めることにもつながります。開発会社によって実績や経験、活用する技術は異なるため、発注先を探す際には相見積もりを取ることがおすすめです。ただし、1社ずつ検討するのは時間がかかりますし、発注の相場もよくわからないという方もいるかもしれません。
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