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デプロイとはどういう意味?ビルドやリリースの違いとは

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デプロイのイメージイラスト

システムは開発したらそこで終わりではなく、ユーザーに届けるための「デプロイ」という工程が必要になります。デプロイを適切に実行するには、手法による違いや注意点、プロセスなどを理解しておくことが大切です。

本記事では、デプロイの意味や役割をはじめ、自動デプロイと手動デプロイの違い、必要性、代表的な手法などについて解説します。

 

目次

 

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デプロイとは?意味と役割をわかりやすく解説

デプロイは英語で「deploy」と書き、直訳すると「展開する・配置する」という意味です。ITの分野では、「システムにおいてファイルを実際のWebサーバ上に配置して利用できる状態にすること」を意味します。

システム開発においては、一般的に以下の環境と環境ごとのファイルが設置されて開発作業が行われます。

  • 開発環境:テキストエディターやエラーチェックなどの機能が搭載されたツールを使った環境

  • テスト環境:プログラミングしたファイルの挙動を確かめるための検証用の環境

  • 本番環境:実際にユーザーが利用するための環境

このうちデプロイは、テスト環境・本番環境を利用します。システムが稼働する実際の環境にする、あるいは、その環境を再現して実際に稼働できる状態にする(ファイルを配置してシステムとして動かせるようにする)のがデプロイです。

デプロイは、相互に関連したいくつかの作業を行うことによって実行できます。各作業ではどのようなことを行うのか、それを行う目的は何なのかを理解しておくことが、デプロイを確実に進めるために重要です。

 

自動デプロイと手動デプロイの違い

デプロイには自動で行う方法と手動で行う方法があり、それぞれメリットやデメリットがあります。

 

●自動デプロイ

自動デプロイとは、アプリケーションの更新時に自動でデプロイ作業が行われる方法です。

自動デプロイを実行するには、継続的インテグレーション(CI)と継続的デリバリー(CD)などのツールが必要です。ちなみに継続的インテグレーション(CI)とは変更のマージやビルド、テストの自動化を指します。ビルドやテストの自動化によって、手動の作業やテストの重複を回避できます。結果、効率的な開発プロセスの実現が可能に。継続的デリバリー(CD)はCIを含む概念で、変更のマージからリリースまでを自動化することを指します。

CIやCDの代表的なツールとしてはJenkinsやCircleCI、GitHub Actionsなどがあります。これらのツールを利用することで、ソースコードの更新時にデプロイを含む一連の工程を自動的に実行できます。自動デプロイの実行には実行タスクの定義やデプロイ先の指定などの各種設定が必要になりますが、開発サイクルを大幅に早められる便利な手法です。

また、手動による作業で発生しやすいヒューマンエラーの問題も回避でき、コードの品質向上につながるメリットもあります。

 

●手動デプロイ

手動デプロイは、人の手で必要な作業を直接行う方法です。

例えば開発者がローカル環境でアプリケーションのビルドを行い、ビルドしたファイルをFTPツールで運用サーバにアップロードしたとします。その後、運用サーバにログインしてアップロードしたファイルをインストールします。そして設定ファイルの修正やアプリケーションサーバの再起動を行ってデプロイを完了させる、といった一連の作業を人間で行うのが手動デプロイです。

状況に応じて細かく対応できるのが手動デプロイのメリットですが、手作業で行うため手間がかかってミスも発生しやすくなります。また、システムの規模が大きくなると手動デプロイでは管理が難しくリスクも高まるため、可能な限り自動化の導入を進めて、手動で行う作業は最小限にするのがおすすめです。

 

デプロイの必要性

デプロイは開発者と運用するユーザーの間をつなぐプロセスであり、開発者が実装した新機能やアップデート版をユーザーに届けるという重要な役割を持ちます。デプロイが必要とされる理由は主に「各種変更の反映」「セキュリティのアップデート」「パフォーマンスの改善」の3つです。

 

●各種変更を反映させるため

デプロイを適切に実行することで、開発した新しい機能やバグの修正といった各種変更をサービスに反映できます。また、ユーザーからの要望やフィードバックをデプロイでサービスに反映させることで、サービスの品質の継続的な向上につながります。デプロイを実行することによって開発の成果をサービスに取り入れられ、ユーザーに新しい体験を提供できます。

 

●セキュリティをアップデートするため

企業を標的としたサイバー攻撃の被害が増加しているため、セキュリティの強化が求められています。セキュリティを強化するには、常に変化するセキュリティの脆弱性や新しい脅威への対策が必須といえるでしょう。セキュリティの脅威に対応するために、デプロイでセキュリティのアップデートを行い常に最新の状態にしておくことが重要です。

 

●パフォーマンスを改善させるため

ユーザーに快適な利用環境を提供するためにも、デプロイは必要不可欠です。ユーザーからのフィードバックをもとに開発したアップデート版をデプロイで実装することで、処理速度をはじめとするパフォーマンス面の改善につながります。また、最新バージョンのソフトウェアを常に提供することにより、システムの安定した稼働を叶えられます。

 

デプロイの主なプロセス

デプロイを実行する際、主に次のプロセスで行われます。それぞれのフローについて解説します。

  1. 開発環境を用意する
  2. システムのビルドとテストを行う
  3. 本番環境へデプロイする

 

●1.開発環境を用意する

システム開発における開発環境とは、エンジニアが新しい機能を開発するのに必要な作業環境を指します。既存の機能を修正する時に使用するコンピュータシステムも同じく開発環境と呼びます。適切な開発環境の構築は、開発作業を効率良く進めるのに必要不可欠です。無計画に環境の整備を行うと必要なリソースを用意できず、作業効率が低下する恐れもあるので注意しましょう。

快適な開発環境を構築するには、事前に必要なリソースを調べることが大切です。開発環境が整っていることで作業をスムーズに進められ、エラーが発生した場合でも対処できます。

 

●2.システムのビルドとテストを行う

ビルドとは、ソースコードに問題がないかを解析し、実行可能なアプリケーションや配布パッケージなどを生成するプロセスを指します。ビルドで生成したファイルをテスト環境や本番環境に配置して実際に使えるようにするのがデプロイの役割です。ビルドでファイルを生成したらデプロイでテスト環境に配置し、ファイルの機能やパフォーマンスに問題がないかさまざまな検証を行います。

テストの種類には単体テストや結合テスト、総合テスト、性能テストなどがあります。例えば単体テストは個別のプログラムの機能が正しく動作しているかどうか、結合テストは複数のプログラムを組み合わせた際に正しく動作するかどうか確認するためのテストです。さまざまなテストを行うことで本番環境へ移行する前にバグや問題点を発見でき、システムの品質向上やトラブルリスクの最小化を図れます。

 

●3.本番環境へデプロイする

本番環境とは、テスト環境で検証したシステムをユーザーが実際に利用できる状態にした運用環境を指します。システム開発では開発環境やテスト環境やステージング環境を経て、本番環境にシステムを展開するのが一般的です。デプロイで開発したシステムを本番環境に展開する際、ミスや見落としがあるとUX(ユーザーエクスペリエンス)に影響を与えかねないため、注意深く実行する必要があります。

本番環境への展開中のトラブルでデータを失う恐れもあります。それを防ぐためにも、展開前にバックアップをしっかりと取っておくようにしましょう。これにより新しいコードが既存システムの安定性や機能性に影響を与えるリスクを抑え、本番環境へのスムーズな移行を実行できます。

デプロイは複雑なフローで行われると思われがちですが、上記で紹介した3つの段階を踏んで行われるのが基本です。これらのフローは本番環境にコードの変更が安全に反映されるようにするためのもので、問題の早期検出やソフトウェアの品質維持を図るうえで重要な役割を担っています。

 

デプロイに関連する作業とその内容

デプロイでは、「ビルド」や「リリース」「インストール」といったさまざまな開発作業が発生します。本項では、各作業の具体的な内容と、デプロイとの関連について解説します。

 

●ビルド

ビルドとは、ITの分野では「プログラミングファイルを実行ファイルへ置き換える作業」のことです。もともとは、形のあるものを組み立てる際に使われ、英語では「build」と書きます。

通常、私たちは半角英数字や全角文字などを使い、プログラミングを行います。しかしコンピューター側は、人間がコミュニケーションするための言葉を理解できません。そこで、コンピューターが理解できる2進数(0か1かでデータを置き換えたバイナリーファイル)の形へデータを変換する作業が求められます。

ただし、2進数のような機械が理解できる言葉に変換しただけでは、ビルドは終わりません。機械が理解できるようコンパイル(置換)されたファイル同士を連携させて、実行できるように調整する「リンク」を行う必要があります。つまり、プログラミングファイルを2進数のような機械の言葉へコンパイルした後、ファイル同士を組み合わせて調整する作業がビルドです。

ビルドが終わった後に、用意された環境へ実行ファイルを配置して、デプロイを完了させます。

 

●リリース(ローンチ)

リリース(ローンチ)とは、指定されたユーザーが利用できるように商品・サービスを提供開始することです。英語では「release」「launch」と書きます。リリースとローンチは別の言葉として使い分けられることもありますが、ビジネスにおいてはほぼ同義と捉えて問題ありません。ちなみにプレスリリースは「企業などが新商品・サービスなどに関する情報をいち早く速報として伝えるもの」のことです。

デプロイは指定の環境へシステムを配置して動かせるようにすることです。その後の公開や広い範囲で利用できるようにする作業は含みません。デプロイ完了後に調整を行い、問題がなければリリースして利用できるように公開します。

 

●インストール

インストールは、ソフトウェアをダウンロードしてPC・スマートフォンなどのデバイスへ配置、解凍して起動できる状態にすることです。システム開発分野以外でも広く使われており、英語では「install」と書きます。システム開発分野では「指定環境へシステムを展開する行為」を指します。

インストール段階では環境への展開・導入は済んでいますが、実際に利用できるかどうかは問われません。実際の利用にあたっては「アクティベート」を行い、デプロイを完了させます。

 

●アクティベート

アクティベートとは、本格的にシステムを起動して、機能をフルに利用できるようにすることです。英語では「activate」と書きます。システムにおいては、「機能制限」や「セキュリティ確保のためのアカウントログイン」が行われることがありますが、これらの制限を指定のフローで解除し、実際に使える状態にするのがアクティベートの役割です。

 

デプロイはどのタイミングで行うのか

デプロイを行うタイミングは企業によって異なりますが、主に以下のタイミングで行われます。

  • アプリケーションをリリースする直前のタイミング

  • システムの各機能検証が終わって、全体を検証できるようになったタイミング

デプロイを行うタイミングで多いのは、システムやアプリケーションのサービス提供目前の段階です。どのタイミングであってもソフトウェアとしてシステムが問題なく全体的に起動するか、デプロイで展開した後に入念に確かめる作業が重要になります。

また、時間帯に関しては、できれば深夜0時のような夜間帯をおすすめします。夜間帯はユーザーのアクセスが集中せず、トラブルが発生しても着実に対応できるからです。ただし、夜間のトラブルが連日発生するようなタイミングは避けましょう。

 

デプロイを実施するうえで大切なこと

デプロイでは、次のようなポイントを押さえておくことが重要です。

 

●なるべく早く終わらせること

デプロイが終わらないと、リリースや検証環境での動作テストなどができません。そのため、なるべく早くデプロイを終わらせることが重要です。

デプロイにおいては、以下の作業が発生します。

  • 環境へのファイル配置

  • コンパイル

  • リンクを行い実行ファイル化

いずれの作業もファイルのデータ量が多かったり、無駄なファイルがあったりすると、時間がかかってしまいます。システムのプログラミングや構築時には、次の内容を心掛けると、デプロイ時にスムーズに作業できるでしょう。

  • こまめにデータエラーのチェックを行う

  • シンプルなコードに内容をまとめる

  • 誰が見てもわかりやすいようにファイル量や配置箇所を調整する

 

●確実に行えるようにすること

デプロイでは、システム展開や構築に失敗する可能性もあります。その際、以下のような確実性が確保できていることが重要です。

  • 途中で作業を中断できるか

  • ロールバックで問題のない状態まですぐ戻せるのか

途中で作業を中断できるようにするには、例えば複数サーバがある場合に、サーバごとに1個ずつエラーチェックを行いながら配置する、といった対策が有効です。すると一部のサーバに問題が出ても大きなトラブルには発展しにくいでしょう。

また、ロールバックするためには、逐一システムのバックアップを行い、一段階前へすぐ戻せるようにすることが重要です。例えばWordPressの場合、自動的にリビジョンという形でデータのバックアップが更新され、時間経過ごとに蓄積されていきます。指定のリビジョンを選択すれば、その状態までロールバックが可能です。

 

●安定した状況下で行うこと

日時や開発環境に関係なく、デプロイを完了させられる状況を作っておくことも必要です。デプロイが必要なのにタイミングが悪くできない、といった事態はできるだけ避けましょう。対策としては、自動化の実行が考えられます。人の手によらず必要なデプロイを都度実行できれば、安定性を確保できます。展開の高速性も保証できるので安心です。

ただし万が一の際には、自動化エラーを人が介してチェックできるようにしておくことも重要です。

実際の作業の現場ではデプロイで必要なことはまだまだありますが、まずは以上の3点を意識しましょう。

 

●各種デプロイツールの機能を把握しておくこと

デプロイを安定して行うためのツールにはさまざまな種類がありますが、代表的なのは「Jenkins」「GitHub Actions」「CircleCI」の3つです。適切なツールを使用するためにも、それぞれのツールの機能や特徴をしっかりと把握しておきましょう。

 

Jenkins

JenkinsはJavaで開発されたオープンソースの継続的インテグレーションツール(CI)です。ソースコードの更新と同時にビルドやテスト、デプロイが自動的に実行されるように設定できるのが特徴です。Jenkinsを利用する大きなメリットとして、ブラグインの豊富さが挙げられます。1,300以上の多様なプラグインが公開されているため、さまざまなツールとの連携による自動化が可能です。また、複雑なデプロイ手順でも柔軟に対応できるのが魅力です。

カスタマイズ性が高い一方で、設定が複雑になりやすく、使いこなすのが難しいというデメリットもあります。

 

GitHub Actions

GitHub ActionsはGitHub上で特定の出来事が起きた時に、指定した処理が自動的に実行される機能です。リポジトリ内にワークフローの定義ファイルを置けば自動ビルドやテスト、デプロイを簡単に設定できます。GitHubユーザーなら利用しやすいツールですが、ほかのCI/CDツールに比べて高度な設定ができないため、複雑な自動化処理を構築するのには向いていません。

 

CircleCI

CircleCIは、クラウド型の継続的インテグレーション(CI)ツールです。サーバ構築の必要がなく、WebUIベースの簡単な初期設定で利用できる点がメリットです。また、さまざまな言語やフレームワークに対応しており、GitHubなどとの連携もスムーズに行えます。クラウド型のCI/CDを手軽に試したい場合に便利なツールです。

CircleCIにはフリープランも用意されていますが、並列実行数や保存期間に制限があるため、大規模なチームで利用する場合は有料プランが必要になります。

 

デプロイの手法を解説

デプロイする方法は、実施する環境や要件によって違います。本項では、デプロイの代表的な手法を7つ解説します。

 

●ブルーグリーンデプロイメント

ブルーグリーンデプロイメントとは、既存のシステム環境をブルー、新システム環境をグリーンとするデプロイ手法です。

ブルー環境をバックアップとして利用し、グリーンへの移行中も既存システムはブルー環境で起動したままにできます。ブルーグリーンデプロイメントでは、以下のようなメリットが期待できます。

  • グリーン環境の構築中もシステムを継続利用できる

  • グリーン環境に問題があっても、いつでもブルーへ戻せるのでシステムが停止しない

  • 担当者が安心してグリーン環境の構築ができる

その代わり、システム環境を2つ同時に運用する必要があるため、切り替えの際には注意が必要です。また、2システム分のサーバリソースが必要なため、コストがかかる点にも注意しましょう。

 

●イミュータブルデプロイメント

イミュータブルデプロイメントは、ブルーグリーンデプロイメントの派生形ともいえるデプロイ手法です。ブルーとグリーンの環境で移行作業をしつつ、グリーンの環境に問題がないと判断できたら、ブルーの環境を消去します。

イミュータブルデプロイメントではブルーグリーンデプロイメントと異なり、システム環境が最終的には一つになります。システムの完全デプロイ環境後にはシステムが統一されるメリットは、以下のとおりです。

  • サーバリソースがブルーグリーンデプロイメントより圧迫されにくい

  • 2つ同時に運用する手間が省ける

ただし、環境の統一後に問題が起きた場合、すぐに旧環境には戻せません。そのため、移行完了直後にロールバックを行えるように、システムを構築しておく必要があります。

 

●シンボリックデプロイメント

シンボリックデプロイメントは、ブルーグリーンデプロイメントやイミュータブルデプロイメントとは違い、最初からサーバ環境が一つという特徴を持ちます。ただし、サーバ内に仮想環境を2つ用意して、片方を旧システム、もう片方を新システムとしてデプロイを行います。

デプロイが一通り完了したら「シンボリックリンク」により、新システムへ環境を移行します。この手法のメリットは、以下の2点です。

  • デプロイ作業の自動化が容易

  • 一つのサーバ環境で複数システムの稼働が可能

サーバ環境が一つで済むので、リソースコストを削減できます。

ただしサーバ自体は一つなので、物理的なサーバエラーや再起動により、複数のシステム環境が影響を受けてしまいます。サーバを統一する場合はサーバそのものが停止しないように、マシンパワーを調整しておく必要があるでしょう。

 

●ローリングデプロイメント

ローリングデプロイメントは、システム環境を複数のサーバによって分割し、一つずつデプロイしていく手法です。ロードバランサー手法で、それぞれのサーバ負担を減らす運用を行っている場合に活用できます。

この方法は、例えばサーバA・B・Cがある場合、Aがデプロイ中でも、BとCの環境は提供されたままになります。全てのシステムが停止するわけではなく、一部機能が利用できなくなるだけなので、システム自体が停止するリスクは減らせます。そのため、一部機能が一時的に使えなくなっても大きな影響がないようなシステムに関しては有効です。

一方で、サーバごとに新旧システムが混在するため、間違って新環境をもう一度デプロイしてしまうといったリスクもあります。特に複数の担当者でデプロイする場合は、作業状態を確認しながら無駄な作業が起こらないよう、情報を共有する必要があります。

 

●カナリアデプロイメント

カナリアデプロイメント(カナリアリリース)とは、新しいバージョンのアプリケーションを一部の一般ユーザーに先行して公開し、検証を行ったうえで一般公開する手法です。カナリアという名前は、炭鉱夫がガス漏れの事故から身を守るために、無臭ガスに敏感に反応するカナリアを炭鉱に持ち込んだことが由来とされています。新バージョンに問題がないかのテストに参加する一部のユーザーをカナリアに見立て、カナリアデプロイメントという名前が付けられました。

カナリアデプロイメントでは現バージョンと並行して新バージョンを稼働でき、問題があれば現バージョンにすぐに戻せます。新バージョンへはすぐに切り替えられるため、現バージョンの稼働を停止する必要はありません。また、本番環境でテストを実施できるので、本番環境でないと気づけない不具合を一般公開する前に解消できるのもカナリアデプロイメントの大きなメリットです。

一方で、現バージョンと新バージョンを並行して稼働するため、サーバの処理速度が落ちたり、リソースの容量など追加コストが発生するというデメリットがあります。

 

●ダークローンチデプロイメント

カナリアデプロイメントが一部の一般ユーザーに先行して公開するのに対し、ダークローンチデプロイメントは対象者の範囲をシステム開発に携わったメンバーのみに限定して行うという特徴を持ちます。サービス全体への影響を避けながら新機能の検証を進められ、システムの問題の洗い出しができます。

 

●インプレースデプロイ

稼働中のサーバに新しい機能や制作物を直接配置し、新しいバージョンに上書きしてリリースする手法です。リリース方法がシンプルで、コストを抑えられるというメリットがあります。バージョン管理の必要がない小規模なアプリケーションで採用されることの多い手法です。

一方で、更新時にシステムの再起動が必要となり、ダウンタイムが発生するというデメリットもあります。バージョン管理が必要となる大規模なアプリケーションには向いていません。

 

まとめ

今回はデプロイの概要やほかの単語との違い、そして手法の違いを解説しました。デプロイではシステム環境を用意したうえで展開し、いつでも実行できるように準備をします。リリース直前の段階で行うことも多いので、ぜひ集中して安定したリリースを意識しましょう。

また、ブルーグリーンデプロイメントやイミュータブルデプロイメントなどの手法には、それぞれメリット・デメリットがあります。自社の環境・規模などに応じた手法を利用して、デプロイを完了させましょう。

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