システム開発をスムーズに行うためには、開発環境が整っていなければなりません。開発環境とは、パソコンを使って実際にシステム開発を行う環境を指します。使用するプログラミング言語や開発予定のシステムに見合った環境を構築することが必要です。
開発環境では、ハードウェア・ソフトウェアの両方が必要ですが、数多くあるツールの中からどれを選んだら良いか分からない方も多いでしょう。適切なツールを選ぶためには、開発環境についてしっかりと把握する必要があります。今回は、システム開発における開発環境の概要を解説するとともに、おすすめの開発環境も紹介します。これからシステム開発をする方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
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開発環境とは?
開発環境とは、エンジニアがシステムやソフトウェア開発をするにあたって欠かせない作業環境のことを指します。例えばプログラミングに使用するパソコンやソフトウェアも開発環境に含まれます。事前にリサーチし快適な環境を整えれば、プログラミング作業が効率的になり、ストレスなく開発を進められるでしょう。そのためプログラミングを始める前に、開発環境について理解しておく必要があります。使用するプログラミング言語や、開発したいシステム・ソフトウェアに合ったツールを選ぶことが大切です。このように、開発環境を整える作業を「環境構築」といいます。
開発環境を整えるのに必要なもの
開発環境は、「ソフトウェア」と「ハードウェア」の2パターンに分類されます。いずれも、システム開発をするうえで欠かせない環境であり、役割やポイントを押さえておくことが大切です。無計画に環境整備を行い、開発する予定のソフトウェアやシステムにそぐわないツールを用意すると、作業が難航してしまう恐れがあるため注意しましょう。続いては、ハードウェア・ソフトウェアそれぞれの役割について見ていきます。
●ソフトウェア
開発環境におけるソフトウェアとは、プログラムを記述する「テキストエディタ」やプログラムを実行させる「ターミナル」などを指します。また、WindowsやmacOSなどのOSも開発環境の1つです。
開発環境に必要なソフトウェアは、初めからパソコンに搭載されているケースもあります。例えばパソコンに標準搭載されているメモ帳をテキストエディタとして使うことも可能です。システム開発に特化したテキストエディタを使うと、色分け機能や入力候補の表示などがあるため、効率良く作業を進められるでしょう。
テキストエディタで書いたソースコードを実行するために利用するツールが「ターミナル」です。Windowsの場合は「コマンドプロンプト」や「PowerShell」に対応可能な「Windows Terminal」がWindows11からデフォルトで含まれています。Macの場合は「ターミナル」というツールが標準搭載されており、使いやすいツールを選んでインストールすることが可能です。円滑にシステム開発を行うためには、開発するシステムに合わせて最適なものを選ぶように心がけましょう。
●ハードウェア
開発環境におけるハードウェアとは、パソコンやディスプレイ、メモリなど物理的な機器のことを指します。システム開発をしたくても、ソフトウェアを起動させるパソコン本体がなければ意味がありません。パソコンを選ぶ時にポイントとなるのがスペックです。例えばパソコンの頭脳であるCPUが小さいと、処理速度が遅く安定したシステム開発ができません。ハードウェアは後から交換できるケースもありますが、CPUは交換が難しいため開発環境を整える段階で慎重に選ぶ必要があります。また、メモリのサイズも開発環境において重要なポイントです。サイズが大きいほど円滑に動作するため、ゲーミング用パソコンと同等程度のメモリを選ぶと良いでしょう。
そのほか、キーボードやディスプレイ、マウスなどの細かいハードウェアも、自分の手や体に馴染むものがおすすめです。また、スマホアプリを開発する場合は、パソコンだけではなく動作確認をするためのスマートフォンも用意しましょう。エミュレーターを使って、パソコン上で仮装的にアプリを動かす方法もありますが、実際に使用するもので動作確認をしたほうが確実です。
IDE(統合開発環境)って何?
IDE(統合開発環境)は、プログラミングで使う複数のソフトウェアを統合したソフトです。
IDEには、基本的にソースコードを記述するテキストエディタや、言語変換するためのコンパイラなどが搭載されています。また、動作確認をするデバッガやバージョン管理をする機能など、すべてが1つになっているため非常に便利なソフトです。IDEは様々な種類があり、拡張機能を使って言語や機能を増やせるタイプもあるため、開発したいシステムに合わせて選びましょう。
IDEがおすすめの理由
IDEが登場する以前は、それぞれのソフトウェアを個別に入手しすべての操作を覚える必要がありました。また、開発の段階に合わせて使い分ける必要があり、慣れない方にとっては非常に難しい作業でした。しかし、IDEはテキストエディタやコンパイラ、デバッガなど複数のソフトが1つにまとまっており、手動で切り替える必要がありません。
また、IDEの多くは自動補完機能を搭載しています。自動補完機能とは、入力されたコードからタグやメソッドなどを予測する機能です。そのほか、構文エラーチェック機能もあるため、格段に打ち間違いが少なくなります。テキストエディタも視覚的にわかりやすく表示されることが多く、ソースコードを記述しやすいのも魅力でしょう。さらに、複数人のユーザーで共有する仕様に特化しているため、チームでシステム開発をする際にもおすすめです。
人気の開発環境4選
開発環境は、使用するプログラミング言語や開発する予定のシステムに合わせて整えることが大切です。IDEにも様々な種類があり、導入前には慎重に選ばなければなりません。続いては、人気の開発環境を4つ紹介します。それぞれの特徴についても解説しますので、これから導入予定の方はぜひ参考にしてみてください。
●Visual Studio
Microsoftからリリースされている代表的なIDEといえば、Visual Studioをイメージする方も多いでしょう。非常に多くの機能が搭載されており、インストール直後から便利に使えるのが魅力です。さらに拡張性も高く、使いやすい仕様にカスタマイズすることも可能です。自由度の高いIDEとして、様々なエンジニアが利用しています。言語は「.NET(C#/F#/VB.NET/ASP.NET)」と「C++」に対応しています。
近年はMac版もリリースされていますが、主にWindowsのアプリ開発に適しているため、Windows端末をメインで使用している企業におすすめです。Visual Studioさえあれば、効率良く開発を進められるでしょう。
また、Visual Studioで開発されたシステムは、簡単にアクセスを制御できる点も魅力です。例えば共有プリンタやネットワークのユーザー情報を管理する仕組みは、1行コードを追加するだけで実装できます。このように容易に操作できることから、システム管理者にとっても管理しやすいアプリといえるでしょう。
●RStudio
データ分析に特化したプログラミング言語を「R」といいます。R言語を使う際に欠かせないIDEが「RStudio」です。RStudioには、デスクトップに対応したタイプとブラウザベースで使用するタイプがあります。
RStudioの特徴は「ソースエディタ」「コンソール」「ワークスペース」「ファイル、プロット、パッケージ、ヘルプ、ビューワー」の4つの枠に画面が分割されている点です。配置も自由にアレンジできるため、使い勝手が良く好みの仕様にアレンジできます。また、良く使う提携コードをわかりやすい簡単なコマンドで呼び出す機能の「コードスニペット」を利用すれば、面倒なコード挿入を素早く行える点も魅力です。
RStudioで作成し、保存したドキュメントはRPubsで共有できます。RPubsとは、R言語を使う世界中のユーザーが利用しているスペースです。ユーザーごとにページが作られているため、気になるプログラムを見ることもできます。こうしたRStudioの特徴を踏まえると、統計や解析作業の多い会社におすすめのIDEといえるでしょう。
●Claris FileMaker
直感的・視覚的に作業をしたい方におすすめのIDEが、Claris FileMakerです。Apple社の子会社であるClaris International Inc.が提供するソフトで、1985年にリリースされました。現在もバージョンアップが続いており、国内でも多くの企業で利用されています。ITの知識がなくても操作しやすい点は、Appleならではといえるでしょう。
Claris FileMakerの特徴は、金銭管理や顧客管理などのデータ管理に特化している点です。例えば会員情報のような文字データをまとめるだけではなく、営業成績や売上管理など数字データの管理もできます。また、複数のデータを関連づけて一括管理できるため、効率良く作業しやすいでしょう。Excel管理をするよりも工数を削減できる点もポイントです。
さらに、パソコンだけではなく、iPadやiPhoneなどのモバイル端末でも利用可能なため、外出先でも重宝します。Apple社の子会社ですがWindowsでも使えるため、Windows端末を使用している企業でも安心です。
●Unity
Unityは、3Dプロジェクトの開発ができるIDEで、世界中のゲームアプリ開発をしているユーザーに人気があります。Unityの特徴は、プログラムを書かずにアプリ開発ができる点です。コンポーネントが充実しており、直感的に操作ができます。細かい設定をする際はプログラミングが必要ですが、簡単な動きはコンポーネントの追加だけで可能です。ある程度の知識があれば、難しいといわれるゲームアプリ開発も可能なため驚く方も多いでしょう。グラフィックが扱いやすいことから、ゲームだけではなく建築設計や映像制作にも向いています。
また、Unityには様々な開発支援サービスが用意されている点も魅力です。例えばコンサルティングサービスでは、中長期にわたるサポートを受けられるため、自社だけではできないと思っていたプロジェクトに取り組むことができます。
さらに、Unityを学ぶためのツールも公式で用意されており、プログラミングの初心者でもチャレンジしやすい点は大きな魅力といえるでしょう。プロフェッショナルトレーニングを受ければ、チーム全体のスキルを高めることもできます。
マルチプラットフォームにも対応しているため、WindowsやmacOS、Linuxで作業可能です。個人向けであれば無料版もあるため、まずは試してみたい方にもおすすめです。
開発環境は、システム開発をスムーズに進めるうえで欠かせないポイントです。使用するプログラミング言語や開発予定のプログラム内容に合わせて構築しなければ、作業が滞ってしまいます。パソコンや周辺機器などのハード面の環境構築はもちろん、ソフト面にも十分意識を向けなければなりません。1つずつソフトを集める方法もありますが、システム環境をするために必要なツールがまとめられたIDE(統合開発環境)を使うとより便利です。IDEは種類がたくさんあるため、それぞれの特性をしっかりと把握して最適な製品を選ぶようにしましょう。自社の開発に適したIDEを選べば、快適な開発作業を実現できます。
しかし、自社でシステム開発をするとなれば、相当の人材やスキルが求められます。開発環境の導入にはコストや時間もかかるため、外注するのも1つの手段です。
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