経費システムは、経費精算の作業効率を上げるシステムです。導入によって申請者だけではなく、承認する側の作業時間の削減も期待できます。経費精算業務は、書類の数が多く細かな申請が必要となるため、非常に面倒な作業です。従来は、紙媒体での精算が一般的であり、会社に持参して押印を受けるといった無駄な労力がかかっていました。特に在宅勤務が増えた現在では、経費精算をするためにわざわざ出社するといった非効率な状態になることも少なくありません。今回は、経費システムの概要を解説するとともに、システムを導入した場合のメリットやデメリット、経費システムの選び方についても触れていきます。
目次
経費精算システム選びはプロにお任せ完全無料で4~6製品に選定
経費システムって何?どれだけ便利なの?
経費システムとは、交通費旅費、備品購入費などの経費精算を自動的に行うシステムのことを指します。経費精算は、従業員が立て替えた費用を会社の経費として精算する作業です。
これまでは紙媒体が主流だったため、費用を立て替えた従業員は領収書を受け取り、会社に持参して承認してもらう必要がありました。これらの作業を経費システムによって自動化することで、経費申請者や承認者、管理者の手間が省けるようになります。
ちなみに2022年1月、国税庁により「電子帳簿保存法」が改正されました。この改正により「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」であれば、電子データによる保存が認められています。こうした背景もあり、近年では経費システムを導入する企業が増えてきています。
<出典> 国税庁
【解説】経費システムの5大機能とは?
経費システムは、単純に経費の申請から承認までを自動で行うだけではなく、様々な機能が備わっています。特に下記の5つの機能は重要です。
経費の申請及び承認
電子帳簿保存
バックオフィスで一括管理
内部統制を強化
スマートフォンや交通系ICカードに対応
経費システムの機能をきちんと把握したうえで導入すると、より効果的に活用することができます。また、数ある経費システムの中から、自社に合うものを選ぶ際にも役立ちます。
続いては、経費システムのメインとなる5つの機能を見ていきましょう。
●経費の申請及び承認
経費システムの中で、核となる機能が経費の申請及び承認です。以前は、経費の申請から承認までのすべての段階で、紙媒体が必要とされていました。しかし、経費システムでは、これらの作業がすべてデータ間のやり取りだけで完了します。
例えば「OCR入力」という機能を搭載した経費システムであれば、領収書やレシートをスマートフォンのカメラで写すだけで申請できます。この段階でデータ化されるため、その後の事務作業も効率的に進められます。
●電子帳簿保存
経費システムでは電子帳簿保存ができるため、領収書のデータ保存が可能です。現物保管の必要がなくなるため管理が楽になり、保管スペースの問題も解消されます。
基本的に経費にかかわる領収書は、法律により7年間の保存が義務づけられています。そのため、従来は費用の立て替えをした場合、領収書を添付しなければなりませんでした。
しかし電子帳簿保存法の改正により、一定の要件を満たせばデータ化された領収書でも認められるようになりました。
<出典> 国税庁「電子帳簿保存法が改正されました」「帳簿書類等の保存期間」
●バックオフィスで一括管理
経費システムを導入することで、バックオフィスで担う仕事を一括で管理できます。個々の作業で発生していた手間が集約するため、労力の削減が可能です。
バックオフィスとは、事務や総務、経理などの業務を指します。
●内部統制を強化
経費システムが持つワークフロー機能を活用すると、申請と承認の履歴がシステム上に残ります。誰がどの費用を立て替え、誰が承認したのかを明確にすることができるため、内部統制の強化につながります。
内部統制とは、企業が事業目的や経営目標を達成するうえで、不正をすることなく適切に業務をするための体制です。大規模な企業や上場企業では、内部統制システムが義務づけられています。
経費精算においても、内部統制は重要な役割を果たします。一般的には上長が領収書の内容を確認し、承認されれば経理部から費用を負担した社員に立て替え金が支払われます。しかしこの過程が正しく行われなければ、不適切な支出も会社が負担することになりかねません。
経費システムの導入で内部統制を強化することで企業の風通しが良くなり、社員のモチベーションアップにもつながります。
●スマートフォンや交通系ICカードに対応
経費システムと交通系ICカードを連携させることで、経費の精算を効率良く行うことができます。また、不正申請の予防にもなり正確な経費精算が可能になります。紙媒体での経費精算だと、交通費を支払う際に適切な経路を利用しているかを判断することが困難です。また、提出された交通費精算書を経理担当者がチェックする必要があり、それだけ労力もかかります。
経費システムのほとんどは、スマートフォンや交通系ICカードに対応しています。「Suica」や「PASMO」などの交通系ICカードであれば、利用履歴がデータとして蓄積されるのです。
経費システムの代わりにExcelを使うのはアリ?
「経費システムを導入するより、Excelでどうにかならないの?」と考える方もいると思いますが、経費システムとの差は歴然としています。
Excelで経費計算を行うとなると、まず入力や転記作業が必要です。入力・転記は時間がかかるだけでなく、入力ミスが生じるリスクや、入力ミスを防止するためのチェックも必要となり、余計に時間がかかってしまいます。
さらに経費の承認もすぐに完了しません。
承認の方法は紙に印刷して提出する、ExcelデータをPDFにインポートしてメールで送付する、などが考えられます。しかしどちらにしても承認担当者が不在、ないしメールを確認できないであれば、承認が滞ってしまうのです。
このことからExcelを経費システムの代わりにすることには、限界があるといえます。では経費システムはExcelよりどういった点が秀でているのでしょうか?
【メリット】経費システム導入したほうが良い3つの理由
経費システムは、非常に面倒で手間のかかる経費精算業務を効率化させる仕組みであり、前章でも触れたように、便利な機能が搭載されています。導入することで、以下のような効果をもたらしてくれるのです。
経費精算における作業の効率化
経費精算にかかるコストの削減
不正な経費申請の防止
使い方によっては大幅な労力削減につながります。
●経費精算における作業の効率化
経費システムの中には、領収書をスマートフォンで撮影するだけでデータ化が可能なシステムもあります。そのまま申請もでき、会計ソフトにも送信できるため仕分け作業も楽になります。従来の経費精算業務では、領収書と併せて申請書に記入するのが一般的でした。立て替えをする度に同様の申請が必要となり、経理担当者だけでなく各社員にとっても業務負担になります。
また、交通系ICカードと連携できるため、その都度入力する必要もありません。スマホアプリに対応した経費システムを使えば、外出先から申請・承認ができ作業の効率化が図れます。
●経費精算にかかるコストの削減
経費システムを導入するとデータで管理ができるため、ペーパーレス化につながります。経費にかかわる資料は、基本的に7年間保管する義務があります。従来は、紙媒体を使用していたため整理にかかる手間や保管スペースが必要でした。電子帳簿保存法に対応しているシステムも多いため、安心して管理できるでしょう。
また、申請書を印刷する際にかかっていたコスト削減にもつながります。さらに、経費精算にかかっていた労力も抑えられるため、人件費削減も期待できるでしょう。
●不正な経費申請の防止
経費システムでは、交通系ICカードのほかにも、クレジットカードやプリペイドカードの利用履歴を確認できます。紙媒体での精算だと、細かい点まで把握することが困難なケースもありましたが、経費システムであれば詳細が明確になるため不正申請を未然に防止できます。
また、ワークフロー機能を使えば承認者も明らかになるため、無駄な出張や備品購入も避けられるでしょう。結果的に、内部統制の強化につながります。
【デメリット】経費システムの導入で気をつけたい3つのこと
便利で内部統制の強化にもつながる経費システムですが、少なからずデメリットもあります。
経費システム導入費がかかる
社内ルールやワークフローの見直しが必要
情報漏えいの恐れ
より効率的に経費システムを使うためには、デメリットも把握しておくことが大切です。導入前に理解しておくことで、賢く経費システムを活用できるはずです。
●経費システム導入費がかかる
経費システムのデメリットの1つが、導入にかかるコストです。明確な導入理由がないままに導入してしまうと、無駄なコストになってしまうため注意しましょう。
また、利用料やバージョンアップ時の費用も発生するため、ランニングコストの計算も徹底する必要があります。そのほか、トラブル時や従業員が使いこなすまでサポートを受ける際のコストも踏まえて、シミュレーションしておくことが大切です。
●社内ルールやワークフローの見直しが必要
経費システムを導入すると、従来の紙媒体を使った管理方法とは大きく変わります。そのため、社内ルールを見直す必要になる場合があります。また、ワークフローも変更しなければ、円滑な経費精算ができません。
導入後すぐにでも利用したいところですが、新たなルールやワークフローが浸透する前は、思うように効率化が図れない可能性もあります。社員が戸惑わないように事前にしっかりと説明することに加え、システムに関する質問に答えられる体制を整えておきましょう。
●情報漏えいの恐れ
経費システムは経費精算に必要な情報がデータ化され、様々なデバイスから確認できます。非常に便利な機能ですが、セキュリティがしっかりしていないと情報漏えいする恐れがあります。
こうしたリスクを避けるためにも、データの暗号化やアカウント権限の設定など、データの重要度に合わせてセキュリティを強化することが大切です。また、すべての社員がアクセスできる体制にするのではなく、閲覧者の設定も忘れずに行いましょう。
経費システムを選ぶ際の4つのポイント
経費精算のデータ化が進む昨今、経費システムが各社からリリースされています。数ある経費システムの中から、自社に合うものを選ぶためには、以下のようなポイントを押さえることが大切です。
自社のニーズにマッチしているか
継続して利用することが可能か
自社が望むサポートを受けられるか
安心して長く運用できるか
無計画に選べば、後になって使い勝手が悪いことに気がつき、コストや時間を無駄にしてしまうかもしれません。続いては、経費システムを選ぶ際のポイントを4つ解説します。
●自社のニーズにマッチしているか
経費システムと一括りにしても、製品によって機能は様々です。経費システムを選ぶ際には、まず目的を明確にしましょう。従業員の手間を省きたいのであれば、交通系ICカードと連携できる製品やデータ読み取りが可能なタイプを選ぶのがおすすめです。また、コスト削減を狙うなら会計システムと連携している製品を導入することで、経費精算だけではなく経理に関連するすべてのコスト削減を図れるでしょう。
そのほか、クラウド型の製品を選べば、場所や時間を問わず作業が可能です。このように、自社のニーズや課題が何かを把握したうえで、経費システムの機能がマッチしているかを見極めるようにしましょう。
●継続して利用することが可能か
経費システムは、一時的に導入するようなサービスではありません。長期的に活用して、作業効率アップや内部統制を図ることが大切です。そのためコスト面を把握しておく必要があります。導入費用だけではなく、運用にかかるコストも事前に把握しておかなければ、いざ使い始めてから費用が嵩み途中で解約することも考えられます。
導入コストはかからないけれど運用コストがかかるタイプや、反対に運用コストを抑えられるものなど、製品によって特徴が異なります。継続利用する場合は、自社の状況と照らし合わせながら慎重に検討してから導入しましょう。
●自社が望むサポートを受けられるか
経費システムは、製品によってサポート体制が異なります。例えば導入時のレクチャーや運用時に起こったトラブルに対するサポートなどを、どの程度受けられるか確認しておくと安心です。
システム管理や活用に長けた人材がいない場合は、特に手厚いサポートを受けられる製品を選ぶように心がけましょう。
●安心して長く運用できるか
経費システムを選ぶうえで大切なポイントの1つがセキュリティ面です。安心して長く運用するためには、セキュリティ機能が万全な製品を選ぶようにしましょう。特に、クラウド型の経費システムを利用する場合は、製品自体のセキュリティが重要です。導入前に、詳細を確認するように心がけましょう。
一方、社内のサーバーを使うオンプレミス型を導入するのであれば、社内セキュリティの対策も大切です。クラウド型と比べるとセキュリティが高いものの、社内のセキュリティが弱ければ意味がありません。今一度、セキュリティをチェックしてから導入するようにしましょう。
経費システムは業務効率アップを狙えるうえに、内部統制も強化できる便利なシステムです。より効率的に使うためには製品が持つ特性を理解し、自社のニーズに合うタイプを選ぶ必要があります。賢く活用できれば経理担当者の労力を削減できるだけではなく、社内全体のモチベーションアップにもつながるでしょう。
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