「AI」と聞くと、何か難しい技術のように感じるかもしれません。でも実は、当たり前のように使っているスマホやインターネットの中にもAIが搭載されているのです。特に最近話題の「生成AI」は、ビジネスやクリエイティブな分野においてめざましい進歩を見せていて、私たちの仕事の進め方を大きく変えています。そんな生成AIについて、概要やメリット、活用事例などを紹介します。
目次
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生成AIとは?
生成AI(ジェネレーティブAI)とは、コンピュータが人間のように文章や画像、音楽などを自動で生成する技術を用いたAIです。例えば、仕事でプレゼン資料を作成する際に、「新製品の紹介文を作って」と製品のデータを渡してAIに頼むと、これまでに学んだ膨大なデータを基にしてAIが文章を作成してくれます。
あるいは、新商品の広告用画像が必要な場合には、AIが画像を生成させられます。同じように、一部のサービスでは動画や音楽なども生成できます。
この技術の特徴は、単なるデータのコピーではなくAIが膨大なデータを学習して、その学習結果を基に新しいコンテンツを創り出せる点にあります。従来のAIが主にデータの分析やパターン認識に使われていたのに対し、生成AIは創造的な作業にも利用できるのが大きな違いです。
次に、生成AIと関連性の高いLLMと、生成AIの機能について解説します。
●LLMとは?
LLMは「Large Language Model」の略で、コンピュータが人間の言葉を理解したり、自然な文章を作成したりするための大規模言語モデルです。LLMはAIの一種で、特に「言葉」に関する知識が豊富という点が特徴です。
例えば、スマホの音声アシスタントに話しかけた時に、その質問に対して正しい答えを返してくれたり、チャットで人間のように会話ができるのは、LLMのおかげです。また、文章を自動で作成したり、文章の意味を理解して処理したりすることもLLMによって成り立っています。
LLMの代表的な例としては、OpenAIの「ChatGPT(チャットジーピーティー)」やAnthropicの「Claude(クロード)」、Googleが開発した「Gemini(ジェミニ)」などがあります。
なお、LLMと生成AIは密接に関連していますが異なる概念です。LLMは「言葉に特化したAI」で、生成AIは「言葉だけでなく、他のものも作り出せるAI」と考えるとわかりやすいでしょう。
●生成AIの主な機能
生成AIには、以下のような主な機能があります。
テキスト生成
テキスト生成とは、AIが自動で文章を作る機能です。例えば、「〇〇に関する説明を書いて」と入力すると、AIがそのテーマに基づいて文章を作成します。文章を書くのが苦手な方でも簡単に記事やレポートを作成できるのが大きなメリットです。例としては、ブログ記事のアイデアが浮かばない時やメールの文面を考えるのが面倒な時など、文章作成全般に役立ちます。
画像生成
画像生成は、AIが絵や写真のようなビジュアルを自動で作り出す機能です。特定のスタイルで描かれたイラストや、これまでになかったような斬新なアート作品を生み出せます。人間が言葉で指示した内容を基にしてAIがイメージを具現化するため、デザインのアイデアを試す時や、広告用のビジュアルを作る時などに役立つでしょう。例えば、「青い空に浮かぶ風船の絵を描いて」と指示すると、AIはその指示に沿って画像を生成してくれます。
音声生成
音声生成は、AIが声や音楽を作り出す機能です。人間の声を再現して、文章を読み上げたり、新しいメロディや音楽を作曲したりといったことができます。また、特定の声の特徴を学習して、その人の声に似た音声を作ることも可能です。この技術は、ナレーションや音声アシスタント、ゲームのキャラクターの声などで利用されています。
生成AIをビジネスで活用するメリット
生成AIはパソコンやスマホのように、仕事をもっと早く、簡単にしてくれる「賢い助手」のようなものです。生成AIがビジネスに与えるメリットを見ていきましょう。
●1. 業務効率化
生成AIは、報告書やメール、プレゼン資料といった文書の作成を手伝ってくれます。例えば、AIに「こんな内容の報告書が必要」と伝えると、AIがその内容に沿って概要や本文を書いてくれます。自分一人でやるよりも文章の作成が格段に早く終わるため、その分、より重要な業務に集中できるでしょう。
また、AIを使ったチャットボットや自動応答システムを導入することで、顧客からの問い合わせに対して、待ち時間を減らせるのもメリットです。簡単な質問にはAIが即座に答え、複雑な問題については担当者に引き継ぐため、顧客対応のスピードが向上します。
ほかにも、AIは、完璧ではないものの人間にはありがちなミスが起こりにくいことも特徴です。例えば、文章であれば誤字や脱字といったヒューマンエラーが起こる可能性を低くできます。
●2. 新規事業開発の促進
新規事業を生み出すには、新しいアイデアや競合他社との差別化など、考えることが山積みです。生成AIは、作業だけではなく思考プロセスの補助にも役立ちます。例えば、AIに「新しい飲み物のアイデアが欲しい」とリクエストすると、「暗闇で光る栄養ドリンク」といったように、自分一人では思いつかないような新しい発想を提案してくれます。AIの発想を参考にして、新しいアイデアが生まれる可能性が高まるでしょう。
また、AIは市場のニーズ分析にも役立ちます。膨大なデータを読み込み、現在のトレンドや将来の予測を基に「今、どんな製品やサービスが求められているか」を分析します。自社のビジネスがどの市場に焦点を当てるべきかを理解する助けになるでしょう。
さらに、アイデアが固まったら、そのアイデアを形にするための試作品の作成もAIがサポートしてくれます。例えば、アプリのデザインをAIに尋ねると、いくつかの案を提示してくれますし、必要なコンテンツも自動作成できます。アイデアを素早く形にし、市場での成功の可能性を早期に確認でき、ビジネスを始める前にリスクを抑えながら試行錯誤が可能になります。
生成AI活用事例一覧
ここでは、生成AIを活用している企業の事例を5つ紹介します。
●1. 伊藤園:広告制作
株式会社伊藤園は、生成AIを活用して、CM広告やパッケージデザインを新たなものにしました。テレビCMでは「AIタレント」と呼ばれる、コンピュータが作り出したキャラクターが登場します。キャラクターは人間のように見えますがAIが作り出したもので、現在と30年後の自分という加齢による変化を見せることで、商品の特徴を視聴者にわかりやすく伝えています。また、パッケージもAIによって作られ、商品が持つブランド力がより一層引き出されたデザインとなりました。
参照元:株式会社伊藤園│AIタレントを起用した「お~いお茶 カテキン緑茶」のTV-CM第二弾!新作TV-CM「食事の脂肪をスルー」篇を、4月4日(木)より放映開始
●2. パナソニック:社内AIアシスタントの導入
パナソニックホールディングス株式会社は、AIアシスタントサービス「PX-GPT」を約9万人の国内の全社員に提供しました。これは、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環で、社員が業務効率を上げたり新しいビジネスアイデアを生み出したりするのを支援するAIツールです。
PX-GPTは、Microsoftのクラウド技術を使って開発され、社員はいつでも社内ネットワークからアクセスできます。特に、情報の安全性を確保するための仕組みが整えられており、入力情報は一定期間後に消去されます。社員はAIを使って日常業務を効率化しながら、新しい技術に触れる機会が増えることを期待されています。
参照元:パナソニックホールディングス株式会社│AIアシスタントサービス「PX-GPT」をパナソニックグループ全社員へ拡大 国内約9万人が本格利用開始)
●3. LINEヤフー:エンジニア業務の効率化
LINEヤフー株式会社が導入した「SeekAI(シークエーアイ)」は、社内の情報を簡単に検索できるようにして、仕事の効率を大幅に上げるツールです。例えば、プロジェクトの進行状況を確認したり、営業が顧客とのやり取りをチェックして戦略を立てたりするのに役立ちます。
導入段階時点で社員からの質問に98%以上の正確な回答を達成。また、生成AIを活用した業務改善として年間70万~80万時間の削減を目指しています。
参照元:LINEヤフー、RAG技術を活用した独自業務効率化ツール「SeekAI」を全従業員に本格導入。膨大な社内文書データベースから部門ごとに最適な回答を表示し、確認・問い合わせ時間を大幅に削減
●4. ベネッセ:教育分野でのAI活用
株式会社ベネッセコーポレーションは、生成AIを使って子ども向けに「自由研究おたすけAI」というサービスをリリースしました。企画と開発それぞれの部門が密に連携することで、3ヶ月という短期間で開発に成功。子ども向けのサービスであるため、AIが提案する内容の適切さや、ユーザーに直接答えを出しすぎないようにするといったことを重要視したそうです。
リリース後、利用者の8割以上が自由研究に役立ったと答え、システムの不具合も報告されませんでした。今後は、自由研究以外の分野でも子どもたちをサポートするサービスの展開が検討されています。
参照元:株式会社ベネッセコーポレーション│注目の生成AIを自社プロダクトに導入 子どもの期待に技術で応え続ける
●5. GMOインターネット:業務時間の大幅削減
GMOインターネットグループ株式会社は、生成AIを使って大きな成果を上げています。社員の多くがAIを活用していて、2024年上半期で約67万時間もの業務時間の削減に成功。定型業務が効率化できたことで、社員はよりクリエイティブな作業に集中できるようになりました。ChatGPTやClaude、Geminiなど複数のAIを使い分けることで、より効率的に仕事を進めています。
参照元:GMOインターネットグループ株式会社│GMOインターネットグループ、生成AI活用により2024年上半期で約67万時間の業務時間を削減 ~国内パートナー(従業員)の83.9%が生成AIを活用~
生成AIを活用する際のポイント
生成AIは、業務の効率を上げたり、新しいアイデアを生み出したりするのに非常に役立つツールです。しかし、その効果をしっかり引き出すためには、きちんとした準備と計画が必要です。ここでは、生成AIを導入する際に重要なポイントを説明します。
●1. 明確な導入目的の設定
生成AIを活用する際、まず最初に考えることは「何のために使うのか」をはっきりさせることです。AIを使ってメールや報告書を作成したいのか、それとも画像や動画を作りたいのか、具体的な目的を決めましょう。目的があやふやだと、AIをどのように使うのかが不明確になり、結果的に時間や労力を無駄にしてしまう可能性があります。
また、目的や用途が明確であれば、どのようなAIツールを使うべきかの判断がしやすくなります。例えば、ブログ記事を効率的に投稿したい場合、ChatGPTやClaudeなどのテキスト生成が得意なAIを選ぶと良いでしょう。このように、最初に「何がしたいのか」を明確にすることが、生成AIを活用するためのスタート地点です。
●2. 社員のAIリテラシー向上
社員のAIリテラシー向上は、生成AIを効果的に活用するために欠かせない要素です。
まず、社員がAIについて基本的な理解を持つことが重要です。AIがどのようにデータを処理し、どのように結果を生成するのか、その仕組みを知ることで、AIがどのように業務に役立つかを正しく判断できるようになります。
次に、具体的なAIツールの使い方を習得するためのトレーニングが必要です。例えば、文章生成AIを使って業務報告書やメールの下書きを作成したり、画像生成AIを用いてプレゼン資料を作成したりする方法を学ぶことで、社員は日常業務にAIを組み込むスキルを身につけることができます。
最後に、AI技術は急速に進化するため、定期的なフォローアップを行い、最新の知識を共有する場を設けることも重要です。これにより、社員全体で継続的にAIリテラシーを向上させられます。
●3. 小規模からプロジェクトを始める
生成AIを活用する際には、いきなり大規模なプロジェクトに導入するのではなく、小さな部分から始めるのが賢明です。例えば、社内の定型文書作成や、簡単なブログ記事の作成など、まずはリスクが低く、結果をすぐに確認できる部分で試してみると良いでしょう。このように小規模で始めることで、AIの使い方に慣れ、結果を見ながら徐々に活用範囲を広げることができます。
また、生成物の品質についてフィードバックを集めてAIの設定を調整し、コンテンツの質を向上させて、成果を最大化するようにしましょう。
こうした段階的なアプローチは、AIの導入に伴うリスクを最小限に抑えつつ、着実な成果を得るための重要な戦略です。
●4. プライバシーとセキュリティの考慮
生成AIを活用する際には、プライバシーとセキュリティの問題に十分注意することが必要です。特に、顧客データや企業の機密情報を取り扱う場合、そのデータが適切に保護されているかを確認しなければなりません。例えば、AIを使って顧客対応を自動化する場合、その会話内容が外部に漏れるリスクがないか、データが暗号化されているかなどをチェックすることが大切です。また、AIが生成するコンテンツに誤りが含まれていないか、プライバシーにかかわる情報が無断で使用されていないかなども確認する必要があります。
また、データの使用許可や管理についても、社内で明確なルールを設けましょう。データの取り扱いを適切に行うことで、AIの活用によるメリットを最大限に享受できます。
生成AI活用の可能性とビジネスへの影響
本記事では生成AIの基礎知識や事例、活用ポイントなどをご紹介しました。事例から見てとれるように、生成AIのツールやシステムはビジネスを効率化するために広く用いられていくでしょう。
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