システムやWebサービスの開発では、新たな機能開発やバグの減少といった新たな価値を生む作業、
または目に見える問題の対応ばかりが優先されがちです。
しかし、稼働率を高めて安定性と信頼性のあるシステムを運用するためには、ログ管理システムの導入は必要不可欠です。
今回は、ログ管理システムの概要や種類をはじめ、詳細な機能、実際に導入した場合のメリットについてご紹介します。
目次
そもそもログとは?
そもそもログとは、どのようなものを指すのでしょうか。ログにもいくつかの種類が存在します。まずは、ログの概要について解説します。
●PCの使用履歴
ログとは、仕事などで利用するPCやそのほかの機器の使用記録を指します。PCで使ったソフトウェアや編集・閲覧のために開いたファイル、操作した時間などの情報が正確に記録されます。
ログには多くの情報が含まれており、記録されたログを調べることによって、「誰が」「いつ」「どんな作業を行っていたのか」が明確になります。
●ログの種類
<操作ログ>
基本的にログと言われた場合には操作ログを指します。操作ログは、PC上で操作した履歴を記録したものです。
<認証ログ>
認証ログは、システムやWebサイトに対して、いつ、誰のPCやアカウントからログインがあったのかを記録するシステムです。システムに対する認証の記録を蓄積しています。
<アクセスログ>
アクセスログは、特定のファイルにアクセスした日時や回数が記録されます。
そのほかにも、印刷した書類やプリント枚数を記録する「印刷ログ」や、権限を持つ担当者がPC上で設定を変更した際に記録される「設定変更ログ」など、ログには多様な種類が存在します。
ログ管理の必要性
ログによるさまざまな情報の記録は、安定したシステム運用に欠かせません。ログ管理がなぜ大切なのか、必要性について見ていきましょう。
●ログ管理が必要な理由
ログを管理することで、インシデントの早期発見・原因究明を行うことが期待されます。インシデントとは「事件」や「危機」などと訳されますが、IT業界ではシステムを止めてしまう可能性のある事例や、データが消失してしまう危険性のある事例が該当します。インシデントは、システムを運用していれば必ず発生する事象です。だからこそ、安定的なシステム運用には、インシデントを未然に防ぐ必要があります。
例えば、社内外からの不正アクセスやインターネットからの攻撃によるシステム障害といったインシデントの原因特定には、ログ情報が不可欠です。外部からのアクセスによって重要なファイルやデータが書き換えられ、1カ月後にインシデントに気付いたとしても、ほかのファイルやデータが攻撃されていないか、どの時期のバックアップから確認すれば良いのかといった情報を分析することは、ログ管理システムが導入されていなければできないでしょう。インシデントを未然に防ぎ、被害を最小限に抑えるためにログ管理は重要です。
●ログ管理システムで一括管理
企業で多くの社員がPCを日常的に利用する場合、365日記録を続けるとログの量が膨大になります。ログを調査したくても、量が多すぎるとファイル数も大量になり、すべてのログを確認することは困難でしょう。ログ調査に時間がかかってしまうと、インシデントが発生した場合の対応が遅れ、システムの信頼性に影響を与えかねません。
そのため、ログ管理システムを活用して正確にログを管理する必要があります。
ログ管理システムの4つの機能
ログ管理システムには、収集、保管、監視、分析・活用といった4つの機能があります。それぞれの機能について解説します。
●ログの収集
本来ログは、機器やアプリケーションごとに記録されています。例えば、サーバAのログはサーバAに、サーバBのログはサーバBにというように、それぞれに記録が残ります。ログ管理システムでは、このように散らばったログをすべて収集します。
ネットワーク機器やサーバ、PC、アプリケーションなどシステム全体にあるさまざまな種類のログを収集することが可能です。そのため、担当者は1つずつ機器にログインして、ログをチェックするという手間を省くことができます。
●ログの保管
収集したログは保管しておかなければ、後からログを調査することができません。ログ管理システムではそれぞれの機器から収集したログを一元管理します。すべてのログを永続的に保管し続けると、テキストデータであっても大量の保存データ領域が必要です。そのため、システムによっては「保管したログは1年後に自動的に削除する」「7世代保管し、8世代目のログを自動的に削除する」などといった機能も備えています。自動的にデータを削除することで、ログ保管のデータ領域を確保しています。
●ログの監視
ログ管理システムでは、収集したログを常に監視しています。不正なアクセスや異常な操作などのインシデントを検出すると、アラートで知らせてくれます。この機能によってシステム担当者は早急にインシデント情報を認知でき、調査や対応へと作業を進めることができます。
また、効率的に監視するために、特定のログだけを絞り込んで追跡するという機能もあります。
●ログの分析・活用
保管された記録からログを検索して、収集・分析を行うこともログ管理システムの重要な機能です。分析することで、まだ表面上にはあらわれていない潜在的なインシデントを検出し、情報漏えいやシステム障害を未然に防ぐことができます。万が一、インシデントが発生した際には、ログを検索して早期原因究明やシステム復旧に役立てることが可能です。
ログ管理システム導入のメリット
多くの機能を持つログ管理システムを導入すると、防止できる2つのポイントがあります。ログ管理システム導入のメリットをご紹介します。
●システム障害を未然に防ぐ
ログ管理システムを導入することで、システム障害を未然に防ぐことができます。例えば、システムへのアクセス急増やネットワークのトラフィック増大は、サーバの停止などを招き、システムが停止するおそれがあります。このような予兆をログ監視システムによって検知し、サーバの増強などの事前の対策を実施することでシステム障害を防ぎます。
●内部の不正を防止する
ログ管理システムがあれば、インシデントが発生した際に、いつどこで何が発生したのかを追跡できます。ログが記録されていることで、情報漏えいを発見した場合には、発生時点までログをさかのぼって原因を調査できます。
また、ログ管理機能の存在を社内に公表しておき、セキュリティ上、操作履歴がログに記録されることを関係者に認知させておけば、内部の犯行を抑止する効果も得られるでしょう。
安定的なシステム運用に不可欠なログ管理システム
ログ管理システムは、実際にインシデントが発生するまで効果を実感しづらく、そのためにおざなりな運用になってしまうことがあります。
しかし、システム障害や内部の不正防止には、ログ管理システムはなくてはならない存在です。
システムをリリースした際には、必ずログ管理システムを導入し、正しい設定で運用しましょう。
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